売上原価とは
損益計算書を作成する上で、売上原価を算出しなければなりません。まずは、売上原価とはどのようなものなのか見ていきましょう。
商品が売れた際に計上する費用のこと
売上原価とは、販売した商品やサービスの仕入れや製造、提供に必要となった原価、費用のことです。主に販売した製品を仕入れた費用や、自社で製造するのにかかった費用が該当します。
しかし、あくまでも「売れた」商品に対して計上されるため、仕入れたすべての商品の原価が該当するわけではありません。つまり、売れなかった商品の仕入れや製造にかかった費用は含まれないため注意してください。
製造原価との違い:売上に関与しているかどうか
製造原価は売上原価と異なり、商品やサービスを製造するために必要な費用や原価のことです。そのため、製造原価は売上に関与していません。
しかし前述のとおり、売上原価は売れた商品の製造にかかった費用を指すため、広い意味では製造原価は売上原価に含まれることもあります。一般的には販売部門の原価を売上原価、製造部門の原価を製造原価として使われることが多いです。
製造原価には、大きく分けて「材料費」「労務費」「経費」があります。材料費とは、商品を作る際に必要な材料や、製造に必要な消耗品などの費用のことです。労務費は、商品の製造に関わった従業員の賃金のことで、経費は材料費や労務費に含まれない費用のことです。
また、会計上では売上原価は商品に分類され、製造原価は製品に分類されるという違いがあります。
以下の記事では製造原価について詳しく解説しています。気になる方はご覧になってください。

売上原価の計算方法
売上原価は基本的に仕入れをした金額と等しくなりますが、販売した商品の分しかカウントされません。つまり、仕入れたものでも売れなかったものなどの在庫品は、仕入れ金額から除外する必要があります。
例えば、1,000円の商品を1個500円で100個仕入れて10個しか売れていないとします。このとき、「仕入金額=売上原価」とすると、利益は大きなマイナスになってしまうため、売上原価の求め方は以下のようになります。
売上原価=期首商品棚卸高+当期商品仕入高-期末商品棚卸高
まずは、原価を計算する期間の最初に抱えている在庫に、仕入れた商品の金額を加えます。そして、そこから期末の在庫品の分を引くことで、売れた商品分の売上原価を求めることが可能です。
先程の例でいえば、売上高は10,000円であり売上原価は5,000円、差し引いて残った5,000円が利益になります。
製造業における「人件費」の考え方
売上原価を計上する際に迷いやすいものに「人件費」があります。製造業の場合、自社で製造した商品を販売することも多いため、基本的に商品を製造する従業員の人件費は「製造費用」に分類され、最終的に売上原価に分類されます。また、製造に直接携わっていない、生産管理や品質管理などの間接労務費の場合も同様です。
しかし、研究開発を行っている従業員の人件費は、製造費用ではなく「研究開発費」に分類されるなど業種によって異なるので、注意してください。
売上原価について理解し、間違いのない計算を!
「売上原価」は商品が売れた際に計上する費用のことであり、基本的には仕入れや製造にかかった費用が該当します。なお、売上原価は「売れた商品やサービス」を対象に計上するため、計算する際は在庫分の仕入金額は除外してください。
似た概念である「製造原価」は、売上に関与していていないという点で売上原価と違いがありますが、広い意味では売上原価に含まれます。
売上原価について正しく理解して、間違いがないように計算しましょう。
