Web接客ツールの連携性を確認する前の整理
Web接客ツールは単体でも使えますが、ほかのシステムとつなげると接客の幅が広がる場合があります。連携性を比較する前に、何をつなげたいのか、どの方法でつなぐのかを整理しておきましょう。主な連携先は次のとおりです。
| 連携先 | 主な目的 | 連携方法の例 |
|---|---|---|
| ECカートシステム | 商品やカートの情報にもとづく接客 | 標準連携、API、タグ |
| Google Analytics | 接客の成果の計測 | イベントの送信、タグ |
| MAツール | 見込み客の情報にもとづく出し分け | 標準連携、API |
| CRM | 顧客情報の活用と問い合わせ履歴の蓄積 | 標準連携、API、CSV |
連携で実現できることの整理
連携の目的は、大きく3つに分けられます。1つ目は、購買履歴や顧客情報を使った接客の出し分けです。
2つ目は、接客の成果をほかの解析ツールで計測することです。どの目的を優先するかで、連携先の候補が絞られます。
3つ目は、チャットで得た問い合わせ情報を、営業や顧客管理の担当者に引き継ぐことです。自社で実現したい目的を先に決めておくと、必要な連携先が見えてきます。優先度の低い連携は後回しにする判断もできます。
連携方式の種類と特徴
連携の方式には、あらかじめ用意された標準連携、API、CSVファイルの受け渡しがあります。APIとは、システム同士がデータをやり取りするための窓口です。標準連携は、設定画面から短時間で接続できる場合があります。
APIは連携の内容を自社で設計できる反面、開発の工数がかかります。CSVは手作業が中心ですが、特別な開発は不要です。
運用担当者のスキルと更新頻度から、無理のない方式を選びましょう。あとから方式を切り替えられるかも聞いておくと安心です。
連携するデータの範囲と取り扱いの確認
連携で渡すデータに個人情報が含まれる場合は、取り扱いの確認が必要です。氏名やメールアドレスをツールに送ってよいかは、プライバシーポリシーや同意の取得状況によって変わります。提供会社がデータを保管する場所や期間も、確認しておきたい項目です。
連携するデータの項目を、社内の法務部門や情報システム部門に伝えて確認してもらいましょう。必要最小限の項目に絞るなど、連携を設計する段階で決めておくと、あとからの手戻りを抑えられます。
ECカートシステムとの連携で確認したい点
ECサイトでは、閲覧した商品やカートに入れた商品に応じて接客できると、購入の後押しにつながる場合があります。そのためには、ECカートシステムのどのデータを、どの方法で取得できるかを確認することが大切です。
商品情報とカート内容の取得方法
カートに入った商品や金額、閲覧した商品のカテゴリーを取得できると、離脱しそうな訪問者にあわせた接客ができます。取得の方法は、製品や連携先のカートシステムによって異なります。取得できる項目が限られる製品もあるため、必要なデータを先に整理しておきましょう。
自社のカートシステムが、ツールの標準連携の対象に含まれているかを確認しましょう。対象外の場合は、API連携や追加のタグ設置が必要な場合があるため、費用と期間もあわせて聞いておきます。
クーポンや在庫情報の反映
カートシステムで発行したクーポンをツール上で案内する場合、クーポンコードの受け渡し方法が確認点です。ツール側で表示した割引が、カートでの精算に反映されるかも確かめましょう。発行元がどちらのシステムかによって、設定の手順も変わります。
在庫の少ない商品を知らせる表示を使いたい場合は、在庫数のデータを取得できるかが重要です。在庫情報の更新頻度によっては、表示と実際の在庫にずれが生じる場合もあります。反映までの時間も、あわせて聞いておくと安心です。
導入時の設定作業と支援の範囲
連携の設定を提供会社が支援するのか、自社で行うのかは、製品によって異なります。支援の内容が、マニュアルの案内、設定方法の相談、作業代行のどれにあたるかを具体的に確認しましょう。初期費用に含まれる作業範囲も、見積もりの段階で確かめましょう。
カートシステム側のバージョンアップで、連携の動作に影響が出る場合もあります。変更時の連絡体制や、動作確認を担当する人を事前に決めておくと安心です。事前の動作確認は、検証環境で行えると安心です。
Web接客ツールとGoogle Analytics、MA連携
接客の成果を計測する解析ツールと、見込み客の情報を管理するMAツールは、Web接客ツールと組み合わせて使われる連携先の例です。それぞれの連携で何ができるのかを確認しましょう。
Google Analyticsへのイベント送信
Web接客ツールの表示やクリックを、Google Analyticsのイベントとして送信できる製品があります。現在のGoogle AnalyticsはGA4で、イベント単位でデータを計測します。送信の設定が画面操作で済むか、開発が必要かを確認しましょう。
計測できると、接客を見た人と見ていない人の行動を比べられます。ツール側のレポートとGoogle Analyticsでは、数値の定義が異なる場合があるため、比較する際は計測の条件をそろえましょう。
MAツールとの顧客情報の受け渡し
MAツールとは、見込み客の情報を管理し、メール配信などの施策を自動化するツールです。連携すると、MAツールに登録された見込み客の属性に応じて、接客の内容を変えられる場合があります。
反対に、チャットで得たメールアドレスをMAツールに登録する使い方もあります。データの受け渡しが片方向か双方向か、受け渡しの頻度はどの程度かを確認しましょう。連携できる項目に制限があるかも、事前に確かめておくと安心です。
タグ管理ツールの利用可否
タグ管理ツールを使っている場合は、Web接客ツールのタグをその管理画面から配信できるかを確認します。タグ管理ツールとは、複数の計測タグをまとめて設置、更新できるサービスです。利用の可否は、製品や連携の方式によって異なります。
タグ管理ツールを使えれば、サイトの改修を待たずにタグを更新できる場合があります。ほかのタグと干渉しないかをテスト環境で確かめる運用も、あわせて検討しましょう。社内でタグの更新を誰が担当するかも決めておきましょう。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料請求して、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でWeb接客ツールの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
CRMとの連携で確認したい顧客情報の扱い
CRMとは、顧客の情報や対応履歴を一元管理するシステムです。Web接客ツールとCRMがつながると、顧客ごとの履歴を接客に活用できる場合があります。連携で確認したい点を整理します。
顧客を識別するIDの紐づけ
接客の内容を顧客ごとに変えるには、サイトの訪問者とCRM上の顧客を結びつける必要があります。ログインIDやメールアドレスなど、何をキーにして紐づけるのかを確認しましょう。紐づけの設定には、サイト側の改修が必要になる場合もあります。
ログインしていない訪問者は、CRM上の顧客と結びつけられない場合があります。会員向けの接客と、未登録の訪問者向けの接客を分けて設計すると、運用を整理しやすくなります。どちらの接客も必要か、目的にあわせて判断しましょう。
連携のタイミングとデータの更新頻度
連携が即時なのか、一定時間ごとの同期なのかによって、使える場面が変わります。例えば、購入直後の顧客に購入を促す表示が出ると、不適切な接客になってしまいます。
接客の目的に応じて、必要な更新頻度を事前に決めておきましょう。更新間隔が短いほど、利用できる接客の幅は広がります。
同期に遅れが出る場合を想定して、更新の間隔と遅延時の挙動を聞いておきましょう。連携先のCRM側の仕様や通信状況も影響するため、複数の要因を確認することが大切です。
チャットや問い合わせ内容のCRMへの登録
チャットで受けた問い合わせの内容や入力された顧客情報をCRMに登録できると、営業担当者との情報共有が円滑になります。登録される項目と、既存の顧客と重複した場合の扱いを確認しましょう。
対応履歴を自動で登録できる製品もあれば、手動で転記する製品もあります。転記が必要な場合は、担当者の作業負担とあわせて、入力ミスを抑える手順も検討しておきましょう。登録後に、誰が対応を引き継ぐかの流れも決めておきましょう。
API連携とCSV出力で確認したい運用面
標準連携で対応していないシステムとつなぐ場合や、データを自社で分析したい場合は、APIとCSV出力が選択肢になります。仕様の公開状況やエラー時の対応まで確認しておくと、導入後の運用が安定します。
APIの仕様書とできることの範囲
APIを使うと、接客の表示条件の設定や訪問者データの取得などを、自社のシステムから操作できる場合があります。ただし、APIで操作できる範囲は製品ごとに異なります。提供される範囲が、画面操作で行える内容と同じとは限りません。
仕様書が公開されているか、日本語で読めるか、利用回数の上限があるかを確認しましょう。自社に開発担当者がいない場合は、開発会社に確認を依頼する選択肢もあります。実際に呼び出して確認できるテスト環境の有無も、聞いておきましょう。
CSV出力の項目と形式
CSV出力は、レポートや訪問者のデータを表計算ソフトで加工したいときに役立ちます。出力できる項目と期間、1回に出力できる件数を確認しましょう。必要な指標が出力項目に含まれているか、サンプルの提示を依頼すると確実です。
文字コードが自社の環境で文字化けしないかも、見落としやすい点です。出力の操作が画面からのみか、定期的に自動出力できるかによって、レポート作成の手間も変わります。ファイルを共有する際は、個人情報の取り扱いにも注意が必要です。
連携エラー時の通知と復旧手順
連携は、ツール側、連携先のシステム側、ネットワークや設定など、複数の要因で止まる場合があります。同期の停止や認証エラーなどが起きたときに、管理者へ通知されるかを確認しましょう。
エラーの履歴を確認できるか、未処理のデータを再実行できるかも重要です。連絡先や対応手順をマニュアルにまとめ、複数の担当者で共有しておくと、特定の担当者への依存を避けられます。復旧にかかる時間の目安も、サポート窓口に確認しておきましょう。
データ連携を軸に見るWeb接客ツールの製品例
会員データやCDP、LINE公式アカウントなど、連携に関する情報が製品ページで確認できる製品を紹介します。連携できる範囲や方法については、個別に確認が必要です。
TETORI(テトリ)
- 豊富な機能と、月額1万円からの優れたコストパフォーマンス
- 初心者でも簡単・快適に使える、100種以上の業種テンプレート
- 充実の無償サポート!トライアルから施策成功まで徹底支援
グルービーモバイル株式会社が提供する「Web接客ツール『TETORI』(テトリ)」は、会員データ連携機能を備えたWeb接客ツールです。自社が保有する会員データとTETORIを連携できます。専用タグの設置で導入でき、訪問者のアクセス情報や行動履歴にあわせたパーソナライズ施策を実行できます。ポップアップやモーダル、バーなどの接客手段も用意されています。日程調整ツールとの連携も製品ページに記載されています。そのほかの連携先は、個別に確認が必要です。
Helpfeel(ヘルプフィール)
- 疑問をその場で解消し、カート/申込途中の離脱をまとめて防ぐ
- 行動ログだけでは見えない“心理データ”でCVに効く打ち手がわかる
- 継続率99%!1000サイトのCX改善ノウハウで少人数運用も安心
株式会社Helpfeelが提供する「ヘルプフィール」は、AI検索FAQをベースにしたWeb接客ツールで、APIによる連携に対応するとされています。LINE公式アカウントとの連携も製品ページに記載されており、サイトの外の導線ともつなげられます。サイト内の検索ログを収集して、どのページでどんな不安が多いかを把握できるため、結果を接客の改善に活かせます。専任のアナリストが施策の設計や定例レポートで伴走するとされています。
Rtoaster(アールトースター)
- データ収集から活用まで出来るワンストップソリューション
- 2006年からの実績・350社以上の業界トップクラス企業と共に成長
- 対応満足度98.6%を誇る万全のサポート体制
株式会社ブレインパッドが提供する「Rtoaster(アールトースター)」は、Web接客に加えて、顧客データを統合するCDPの機能をカバーするソリューションです。多種多様な顧客データを個人単位で統合し、抽出してマーケティング施策に利用できる仕組みを備えています。製品ページでは、Web接客・レコメンドの機能とCDPの機能が、それぞれ紹介された構成です。マーケターだけでSQLなしで使える点も、製品ページに記載されています。連携できる外部システムは、個別に確認が必要です。
Marketing Cloud Personalization
- 顧客のあらゆる瞬間をAIとデータでパーソナライズ
- 嗜好をリアルタイムで見極め、お客様に寄り添うレコメンドが可能
- あらゆるデータを分析し、キャンペーン効果の最大化が実現
株式会社セールスフォース・ジャパンが提供する「Marketing Cloud Personalization」は、パーソナライゼーションエンジンです。リアルタイムやデジタル・オフラインにまたがる統合顧客プロファイルを構築できるとされています。顧客行動をトラッキングして、自社のWebサイトやアプリに反映できます。Webやメール、アプリと連携した1対1の施策も実行できるため、連携の具体的な方法やデータの範囲を個別に確認しましょう。
DynamicYield (Dynamic Yield Ltd.)
- ウェブ/アプリ/メールで体験をパーソナライズ。
- 機械学習レコメンドで表示を最適化。
- A/Bテスト・分析で施策検証と最適化
SnapEngage (SnapEngage)
- オムニチャネルで顧客接点を一元化
- 複数ボットの組み合わせによる自動応答を実現。
- CRM連携により対応履歴を自動反映。
SaleCycle (株式会社クローバーテック)
- 毎日300万件以上のオンライン行動をトラッキングし分析。
- 成果報酬型課金でスモールスタート可能
- 世界有数のブランド含む300万件以上のECサイト導入実績。
Web接客ツールに関するよくある質問
Web接客ツールの連携性についてよくある質問と回答をまとめました。
- ■Q1:標準連携とAPI連携は、どちらを選べばよいですか?
- A:標準連携は設定画面から接続できる場合があり、APIは連携内容を自社で設計できます。運用担当者のスキルや開発の工数もふまえて選びましょう。
- ■Q2:自社のカートシステムが連携の対象か、どう確認しますか?
- A:提供会社の資料や問い合わせで、標準連携の対象に含まれているかを確認します。対象外の場合は、API連携などの対応方法と、費用や期間も聞いておきましょう。カートシステムのバージョンによって対応が異なる場合もあります。
- ■Q3:連携でエラーが起きた場合はどうなりますか?
- A:原因はツール側、連携先側、設定などの複数の場合があります。管理者への通知や履歴の確認、再実行ができるかを事前に確認しておきましょう。担当者を複数にして、対応手順を共有しておくと安心です。
- ■Q4:個人情報を連携しても問題ありませんか?
- A:連携するデータの項目や、同意の取得状況によって対応が変わります。法務部門や情報システム部門に項目を伝えて確認してもらいましょう。
まとめ
Web接客ツールの連携性は、つなぐ相手と連携の方法、受け渡すデータの範囲を整理して確認することが基本です。ECカートシステムは商品やカートの情報、MAツールやCRMは顧客情報の受け渡し、APIやCSVは仕様と運用の負担が確認ポイントになります。連携エラーへの備えも欠かせません。自社の連携条件にあう製品を、資料請求で比較してみてください。

