データベースサービスで業種ごとに起こりやすい懸念点の傾向
業種によって、データベースサービスに関する懸念点の傾向は異なります。まずは業種特有の懸念が生まれる背景と、共通して確認しておきたいポイントを整理します。
業種特有のデータ特性が生む懸念
業種によって、扱うデータの更新頻度や重要度、法令上の取り扱いルールが異なります。こうした違いが、業種ごとに異なる懸念点を生む背景になっています。自社の業種特有のデータ特性を理解しておくことが対策の第一歩です。データの特性を洗い出す際は、担当部署だけでなく、実際にデータを利用する現場の意見もあわせて確認しておくとよいでしょう。
例えば、更新頻度の高いデータを扱う業種ではアクセス集中時の性能面が懸念になりやすく、長期保存が必要なデータを扱う業種ではデータの正確な移行や保存が懸念になりやすい傾向があります。自社のデータ特性にあわせて確認すべき点を整理しましょう。同じ業種でも会社の規模や利用目的によって重視すべき点は変わるため、自社の状況にあわせた確認が欠かせません。業種の傾向はあくまで参考情報として捉え、最終的には自社の運用実態にあわせて判断することが大切です。
懸念を防ぐための共通の確認視点
業種を問わず共通して確認しておきたいのは、想定される負荷やデータ量に対して製品の性能が十分かどうか、そして障害やトラブルが起きた際にどこまで自動で対応できるかという点です。事前の想定と実際の運用にずれがないかを確認しておきましょう。
また、業種特有の懸念については、同業種での導入事例を参考にすることも一つの方法です。ただし、事例の条件は会社によって異なるため、自社の状況にそのまま当てはまるとは限らない点に注意しましょう。可能であれば、事例を紹介しているベンダーに詳細を問い合わせ、自社との条件の違いを確認しておくとより参考にしやすくなります。
EC通販でセール時のアクセス集中によるボトルネック
EC通販では、セール時に注文が集中し、データベースがボトルネックとなって処理が滞る懸念があります。ここでは要因と対策の観点を紹介します。
アクセス集中でボトルネックが生じる要因
セール時のボトルネックは、データベース側の処理能力だけでなく、在庫確認や決済処理など複数のシステムが同時にやり取りを行うことで生じる場合があります。原因を単一のシステムに限定せず、関連する複数の要素を確認することが重要です。
例えば、在庫データの更新と注文データの登録が同時に集中すると、処理の順番待ちが発生し、応答が遅くなる場合があります。普段のアクセス数とセール時の想定アクセス数の差を事前に把握しておくことが対策の出発点になります。過去のセール実績があれば、そのデータを参考にピーク時のアクセス数を見積もっておくとよいでしょう。
ボトルネックを防ぐための事前対策
ボトルネックを防ぐためには、セール前に想定されるアクセス数を用いた負荷テストを実施し、実際の処理能力を確認しておくことが望ましいといえます。負荷に応じて自動でリソースを増やせる仕組みがあるかもあわせて確認しましょう。
また、セール当日は担当者が状況を監視できる体制を整え、異常があった場合にすぐ気づける仕組みを用意しておくことも重要です。事前のテストと当日の監視をあわせて行うことで、想定外の事態への対応力を高めやすくなります。セール終了後には結果を振り返り、次回に向けた改善点を整理しておくことも運用の質を高めるうえで役立ちます。
金融機関でのデータベースサービス導入における懸念
金融機関では、信頼性や法令対応の観点から、データベースサービスの導入時にさまざまな懸念が生じる場合があります。ここでは進め方のポイントを紹介します。
導入時に生じやすい懸念点
金融機関では、既存システムとの連携やセキュリティ要件の確認に時間がかかり、導入計画が想定より長引く場合があります。要件が複雑になりやすい背景には、関連部署が多く、確認すべき項目が多岐にわたることが関係しています。
また、既存の基幹システムとのデータ移行がスムーズに進まず、一時的に業務に影響が出るケースも見られます。移行作業は単純なデータのコピーではなく、形式の変換や整合性の確認を伴うため、想定より工数がかかる場合がある点に留意しましょう。移行スケジュールには、想定外の調整が発生する余地をあらかじめ見込んでおくことが望ましいといえます。
導入の懸念を軽減するための進め方
懸念を軽減するためには、導入前に関係部署を交えた要件整理を丁寧に行い、必要なセキュリティ要件や法令対応の範囲を明確にしておくことが重要です。要件があいまいなまま進めると、後戻りが発生しやすくなります。要件定義の段階から情報システム部門だけでなく、業務担当部署も交えて確認を進めることが望ましいといえます。
あわせて、移行作業は一度に全てを切り替えるのではなく、段階的に進める方法も選択肢の一つです。並行稼働の期間を設けることで、問題が発生した際の影響を抑えやすくなります。ベンダーとの綿密な計画のすり合わせが望ましいといえます。段階を分けることで、問題が生じた箇所を特定しやすくなり、対応の負担も軽減しやすくなります。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でデータベースの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
製造業の生産データ運用で起こりやすいトラブル
製造業では、生産設備から送られる大量のデータを扱うため、運用面でのトラブルが起こる懸念があります。ここでは要因と工夫を紹介します。
生産データ特有の運用トラブル
製造業では、複数の生産設備から継続的にデータが送られるため、データの取りこぼしや反映の遅延が発生する懸念があります。設備の稼働状況やネットワーク環境、データベース側の処理能力など複数の要因が関係する場合があります。
また、既存の生産管理システムとの連携がうまくいかず、データの二重登録や欠損が起きるケースも見られます。連携部分は導入後に問題が表面化しやすいため、稼働前の十分な検証が求められます。実際の生産ラインを想定したテストデータを用いて、事前に連携の動作を確認しておくことが望ましいといえます。
トラブルを防ぐための運用の工夫
トラブルを防ぐためには、データの欠損や遅延を検知できる監視機能を活用し、異常があった際に早期に気づける体制を整えることが望ましいといえます。定期的にデータの整合性を確認する運用も有効です。
あわせて、設備側とデータベース側の担当者が連携し、異常発生時の対応手順をあらかじめ共有しておくことも重要です。役割分担が不明確なままだと、対応が後手に回る場合があります。定期的な棚卸しを行い、運用ルールが現場の実態にあっているかを見直すことも有効です。
医療法人でのデータ移行時に起こりやすい不具合
医療法人では、既存の電子カルテなどからデータベースサービスへ移行する際に、不具合が起こる懸念があります。ここでは準備の視点を整理します。
データ移行時に生じやすい不具合
データ移行時には、文字コードの違いやデータ形式の差異により、一部の項目が正しく反映されない不具合が起こる場合があります。長期間にわたり蓄積された患者データほど、形式のばらつきが生じやすい傾向があります。過去に複数のシステムを利用していた場合は、データの統一状況をあらかじめ確認しておくことも重要です。
また、移行作業中に一時的にシステムを停止する必要がある場合、その間の業務運用への影響も考慮する必要があります。移行のタイミングや作業時間帯は、業務への影響を抑えられるよう事前に調整しておくことが望ましいといえます。診療への影響を最小限に抑えるため、夜間や休診日を活用する会社も見られます。
不具合を防ぐための移行準備
不具合を防ぐためには、移行前にデータの形式やばらつきを確認し、必要な変換作業を洗い出しておくことが重要です。可能であれば、少量のデータで事前に移行のリハーサルを行い、問題点を早期に発見しておきましょう。
あわせて、移行後にデータが正しく反映されているかを確認する検証作業も欠かせません。院内の関係者と協力しながら、複数の観点でデータを確認する体制を整えておくことが望ましいといえます。移行完了後も一定期間は旧システムのデータを保持し、必要に応じて照合できるようにしておくと安心です。
業種特有の懸念に対応したいデータベース製品例
業務データの管理をノーコードで柔軟に構築できる製品と、監視や大量データ処理に強みを持つ製品をあわせて紹介します。自社の業種で起こりやすい懸念点と照らし合わせて比較してみてください。
キントーン
- AIとノーコードで業務アプリをシュシュッとつくれる
- 「アプリ」同士はデータで紐付けて連携できる
- プラグイン・連携サービスと組み合わせてデータ活用を促進
サイボウズ株式会社が提供する「キントーン」は、プログラミングの知識がなくても業務用アプリを作成できるクラウド型のデータベースサービスです。フォームや一覧画面を業種・業務にあわせて設定できるため、EC通販の顧客対応や士業事務所の案件管理など、幅広い用途で利用しやすくなっています。
楽々Webデータベース
- 活エクセル|Excelを活用したままExcel業務の課題解決
- かんたん構築|ノーコードでだれもがIT人材に
- つなげて活用|貯めたデータも人もつなげて新たな価値を
住友電工情報システム株式会社が提供する「楽々Webデータベース」は、ノーコードで業務用のWebデータベースを構築できるパッケージ製品です。製造業の生産管理台帳や医療法人の管理台帳など、業種固有の運用にあわせた画面を設定でき、既存システムとの連携方法もあわせて相談できます。
Dr.Sum
- 導入実績7,700社超!顧客満足度No.1・サポート品質ランク★★★
- 散在したデータを一元化、10億件のデータも1秒台で◆高速集計◆
- 直感的な操作で誰でも簡単にデータ分析が可能
ウイングアーク1st株式会社が提供する「Dr.Sum」は、大量データの集計・分析に特化したデータベース型のBI基盤です。EC通販のアクセス集中時や金融機関の大量取引データなど、処理量が多くなる場面でも高速な検索・集計処理を行える設計になっています。
SQLデータベースモニターソフトウェア (SolarWinds Japan株式会社)
- 機械学習でデータベースの異常を検出
- AIでクエリ調整とボトルネック修正を支援
- マルチクラウドDBに対応
IBM Db2 (日本アイ・ビー・エム株式会社)
- AIによるリアルタイム分析と意思決定の支援
- オンプレとクラウドに対応し、柔軟な展開が可能。
- 高可用性とセキュリティで強固なデータ管理を実現。
まとめ
データベースサービスの懸念点は、EC通販のアクセス集中や金融機関の導入時の要件、製造業の運用トラブル、医療法人のデータ移行など、業種によって傾向が異なります。自社の業種特有の懸念を整理し、事前の対策を検討したうえで製品を比較してみてください。


