失敗の原因が生まれるタイミング
データベースは運用してはじめて価値が生まれます。しかし、導入・運用・活用とそれぞれの場面で、専門的な知識が必要です。ここでパートナーとなる専門家の選定は、失敗しないために非常に大切なプロセスだといえます。
失敗原因の多くは、データベースの利用者と専門家との認識のずれに起因しています。失敗事例の当事者はお互いに「相手が悪い」と思っています。利用者は「何度手直しさせても要求通りの結果が得られなかった」と思い、専門家は「要求が曖昧で途中でどんどん変更された」と思っています。つまり、失敗の原因はパートナー選びの段階ですでに発生しているのです。
利用目的や導入後のイメージが曖昧だったために開発に失敗
「導入が決まって、いざ設計をはじめてみたら、追加が多くて見積りの倍ぐらいにコストが膨らんだ。」
このような失敗の共通点は、データベース導入による明確な目標や課題解決が描けていない状態で導入を決めてしまったことです。
また、「このような感じでお願いします」や「おまかせします」などの曖昧な要求も失敗の原因となり得ます。画面イメージなどを用いて、できるだけ具体的かつ正確に開発者に要件を伝えるのが重要です。
従業員の負担が増えたため社内に浸透しない
「技術開発部門で、増えてきた技術レポートを管理するためにデータベースを導入。入力・保管ルールを設定したが、レポート件数が激減。」
これもよくある例です。データベース導入にあたり、入力項目や内容、保管方法を指定した結果、レポート自体の件数が激減してしまうケースがあります。
レポートを書くのは慣れていても、データ入力が面倒と感じてしまうことが要因です。
初期段階で、現場と導入者とで入力画面やルールが検討できていれば防げた可能性があります。実際に操作する従業員に前もってヒアリングしたり、体験デモに同席してもらったりするとよいでしょう。
失敗しないために
データベースを導入して成功した事例では、導入の目的が具体的になっていることが多いです。目的が具体的なために、成果も具体的に評価できます。
また、データベースのややこしいからくりは専門家に任せるとしても、利用者側にもある程度の知識は必要です。利用者側に必要な知識は、「利用する具体的なイメージ」とも言い換えられます。「だれが、いつ、どの段階でデータを入力するのか」「データが発生する頻度と保存したいデータはどれくらいの量になるのか」「集まったデータは何に活用するのか」は利用者にしかわからないでしょう。
データベースは導入時に限らず、運用や変更にも多大なコストと労力が必要です。しかし、使いこなせばビジネスを変える力も持っている強力なツールとなりえるのです。