リレーショナルデータベース(RDB)以前
初めてデータベースがソフトウェアとして登場したのは1960年代です。この時代では、階層型データベースとネットワーク型データベースが主流でした。コンピュータが大きく、高価だった時代に機械への負担を減らすため、目的ごとにデータベースが細分化されていたのが特徴です。
しかし、別々のデータベースに蓄積されたデータを関連づけることや、構築・運用・保守の手間などが課題でした。
階層型データベースやネットワーク型データベースといったデータベースの種類は、以下の記事で詳しく解説しています。
リレーショナルデータベース(RDB)
リレーショナルデータベース(RDB)とは、複数のデータベースから情報を関連付け、同じ項目を同期できるデータベースです。RDBの登場により、いくつかのデータベースに存在する項目を一度に抽出できるようになりました。また、プログラミング言語が「SQL」に置き換えられたことで、作業の高速化も実現しました。
RDBでは、定義された条件に当てはまるすべてのデータを集め、後に取り出しやすいように、表と列による一つのテーブルで保管しています。ここからはRDBの機能について活用事例をもとに解説します。
RDBの活用事例
RDBでは、個人情報を社員番号などでデータ管理し、入社してからの異動や昇進もすべて記録可能です。例えば過去の議事録を出力するときは、議事録に書かれた社員番号から個人情報を抽出して、議事録出席時の情報と最新情報をあわせて一つの情報とします。この作業により、会議出席時の立場と現在の社員情報が一度にわかります。
このように複数のデータベースの同じ項目を同期させることで、データベースの活用の幅が広がっていきました。これによりRDBは、一気に流行し現在でもデータベースの主流となっています。
スケールできないというRDBの課題
しかしRDBには、サーバの台数を増やして性能を向上させるスケールアウトに限界があります。Webサービスの多様化により文章や動画、画像などを処理する際、規模が大きくなると同期の遅延が起きたり、運用の複雑さが増したりします。このように実用的な範囲を超えてきたため、処理能力の拡張が必須となりました。
そこで新たなデータベース技術、柔軟かつ多彩な拡張性をもつ「NoSQL」が注目されるようになったのです。
データベースの最新トレンド「NoSQL」とは?
RDBの課題を解決するNoSQLとはどのようなデータベースでしょうか?その特性や課題について見ていきましょう。
高い拡張性をもつNoSQL
NoSQLとは、FacebookやGoogleが独自に開発した新しいデータベース技術で、以前のRDBに比べ高い拡張性をもちます。RDBはSQLによってデータベースを操作しますが、NoSQLはその名のとおりSQLを用いることはありません。そのため「SQLに代わる存在」という意味も含め、「NoSQL」と名付けられました。
トランザクションが不要なため耐障害性があり、高速処理が行える点が特徴です。またサーバの台数に比例して拡張できるスケールアウトが可能です。データの取得と格納が高度に最適化されているのがメリットの一方で、データ加工が難しいなどのデメリットもあります。
NoSQLについては、以下の記事で詳しく解説しています。
NoSQLの課題
RDBのスケールできないという課題を解決する技術がNoSQLです。ただNoSQLには導入コストが高いといった課題があり、まだまだトレンドの中心はRDBといえます。しかし、今後注目を集めていくことは間違いないでしょう。
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データベースの今後
現在、リレーショナルデータベース(RDB)がデータベースのトレンドとなっています。そんな中、新たにNoSQLなど、ポストRDBが誕生しました。しかし、この新しいデータベース技術は決してRDBを否定するものではありません。むしろ積極的に、RDBを今まで以上に活用するための仕組み作りといってもよいでしょう。