データベース運用で起こりやすい失敗の傾向
運用の失敗は、単一の原因ではなく、体制や連携の不足が積み重なって起こる場合があります。まずは失敗が起こりやすい傾向と、共通する対策の考え方を整理します。
失敗が起こりやすい運用状況の特徴
担当者が少ない状態や、部門間の役割分担があいまいな状態が続くと、日々の運用で見落としが生じやすくなります。日常業務に追われるなかで、設定の見直しや確認作業が後回しになるケースも少なくありません。
例えば、担当者が変わった際に運用ルールが十分に引き継がれず、設定の意図が分からなくなることがあります。こうした状況を防ぐには、日頃から設定内容や運用ルールを記録し、複数人で状況を把握できる体制を整えておくことが望ましいといえます。記録を残す習慣は、担当者の負担が増えている時期ほど後回しにされやすいため、定期的な見直しの機会を設けておくことも大切です。
失敗を防ぐための基本的な考え方
失敗を防ぐためには、特定の担当者や部門だけに運用を依存させず、複数人や複数部門で状況を共有できる仕組みを整えることが重要です。属人化した状態では、担当者の不在時に対応が滞る場合があります。
あわせて、トラブルが起きた際の対応フローをあらかじめ決めておくことも大切です。誰が一次対応を行い、どの段階でベンダーに相談するかを明確にしておくと、混乱を抑えやすくなります。対応フローは一度決めて終わりにせず、実際の運用を通じて定期的に見直しを重ねていくことが望ましいといえます。
エンジニア1人体制で監視・チューニングが回らない失敗
エンジニアが1人しかいない体制では、日々の監視やチューニング作業が後回しになりやすい傾向があります。ここでは要因と対策を紹介します。
1人体制で業務が滞る要因
1人で複数のシステムを担当している場合、データベースの監視やチューニングに十分な時間を割けず、問題が蓄積してから対応することになりやすい傾向があります。日々の業務量が担当者の対応可能な範囲を超えると、優先順位の低い作業から後回しになります。優先順位を判断する基準があいまいだと、重要な確認作業まで後回しにされてしまう懸念もあります。
また、担当者が休暇や体調不良で不在の際に、監視や対応が完全に止まってしまう懸念もあります。1人体制では、緊急時の代替対応をどう確保するかが重要な検討事項になります。近隣の部署から一時的に応援を得られる体制を整えておくことも、負担を分散するうえで役立ちます。あわせて、最低限の対応手順を文書化しておけば、担当者以外が一時的に代行する際の負担も抑えやすくなります。
負担を軽減するための対策
負担を軽減するためには、監視やバックアップなど定型的な作業を自動化できる機能を活用し、担当者が対応すべき作業を減らすことが有効です。自動化できる範囲を洗い出し、優先的に導入を検討しましょう。自動化によって空いた時間を、根本的な原因の調査や設計の見直しに充てられれば、より効果的な運用改善につながります。
あわせて、外部のマネージドサービスに一部の運用を委託することも選択肢の一つです。全てを内製する必要はなく、負担の大きい作業を切り分けて外部に任せることで、1人体制でも運用を続けやすくなります。委託範囲を決める際は、緊急時の連絡体制もあわせて確認しておくと安心です。
情シス不在でバックアップ設定が放置される失敗
情報システム部門がない会社では、バックアップの設定が誰にも管理されないまま放置されるケースが見られます。ここでは経緯と対策を整理します。
バックアップ管理が放置される経緯
情シスが不在の会社では、導入時に設定した担当者が異動や退職をした後、バックアップの管理が誰の担当か分からなくなるケースがあります。設定内容が記録されていないと、後任者が状況を把握できず、放置されたままになる場合があります。
放置された状態が続くと、バックアップが正しく取得されているかを誰も確認しないまま時間が経過し、いざという時に復元できないという事態につながる懸念があります。管理者が不明なまま放置される期間が長いほど、問題の発見が遅れやすくなるため、早めの体制整備が求められます。定期的な確認が行われない仕組みは、こうしたリスクを高めます。バックアップの状態を誰も確認しない期間が長引くほど、問題に気づくタイミングも遅れやすくなります。
放置を防ぐための仕組みづくり
放置を防ぐためには、担当者が変わっても引き継げるよう、バックアップの設定内容や確認手順をドキュメント化しておくことが重要です。特定の個人の記憶に頼らない仕組みを整えることが対策の基本になります。
あわせて、バックアップの取得状況を定期的に自動通知する機能があれば、担当者が意識しなくても異常に気づきやすくなります。情シスがいない会社では、こうした自動化の仕組みを積極的に活用することが望ましいといえます。通知の宛先を複数人に設定しておけば、担当者の異動があってもすぐに管理が途切れる事態を避けやすくなります。
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多拠点アクセスで権限設定が混乱する失敗
複数拠点からデータベースにアクセスする体制では、権限設定が複雑になり混乱が生じる場合があります。ここでは要因と整理の方法を紹介します。
権限設定が混乱する要因
拠点数が増えるほど、閲覧や編集の範囲を細かく分ける必要が出てきますが、設定を行う担当者が拠点ごとの業務内容を十分に把握していないと、権限の付与が実態にあわなくなる場合があります。
また、拠点の新設や統廃合にあわせて権限設定を都度見直さないと、退職者の権限が残ったままになったり、必要な担当者に権限が付与されていなかったりする状況が生じる懸念があります。定期的な見直しが行われないことも一因になります。特に人の入れ替わりが多い拠点では、権限設定が実態から乖離しやすい傾向があるため、注意が必要です。見直しのタイミングを人事異動のスケジュールにあわせて設定しておくと、権限の更新漏れを減らしやすくなります。
権限管理を整理するための方法
権限管理を整理するためには、拠点ごと、役職ごとに権限のテンプレートを用意し、個別に設定するのではなくテンプレートを適用する運用にすることが有効です。設定のばらつきを抑えやすくなります。
あわせて、権限の付与状況を定期的に棚卸しし、実際の業務内容とずれがないかを確認する機会を設けることも重要です。棚卸しの頻度をあらかじめ決めておくと、見直しが後回しになる事態を防ぎやすくなります。拠点責任者が権限設定の内容を定期的に確認できる仕組みを整えておくことも有効です。
情シスと開発部門の設計方針をめぐる問題
情報システム部門と開発部門がそれぞれ異なる方針を持つ場合、データベースの設計をめぐって意見の相違が生じる場合があります。ここでは背景と対応を紹介します。
部門間で方針が対立する背景
情報システム部門は安定性や統制を重視し、開発部門は開発のスピードや柔軟性を重視する傾向があるため、データベースの設計方針をめぐって意見が分かれる場合があります。どちらの立場にも合理的な理由がある点に留意が必要です。立場の違いを踏まえずに片方の意見だけを優先すると、後になって別の課題が生じる可能性があります。
また、双方が自部門の視点だけで要件を主張すると、全体最適の観点が抜け落ちる懸念があります。対立が長引くと、意思決定が遅れ、プロジェクト全体のスケジュールに影響が及ぶ場合もあります。双方の意見が対立した場合に立ち返るべき共通の目的をあらかじめ確認しておくことも役立ちます。
対立を防ぐための連携の進め方
対立を防ぐためには、早い段階から双方の担当者が同じ場で要件をすり合わせ、優先順位を共有しておくことが重要です。後になってから方針の違いが表面化すると、修正の手間が大きくなる場合があります。
あわせて、双方の意見を調整する役割を明確にしておくことも有効です。責任者を決めずに議論を続けると、結論が出ないまま時間だけが経過する懸念があるため、意思決定の進め方をあらかじめ整理しておきましょう。定期的な進捗確認の場を設け、話し合いで決まった合意事項を記録として残しておくことも、後になっての認識違いを防ぐうえで役立ちます。
運用の失敗を防ぐ際に参考になるデータベース製品例
少人数体制での運用負担を抑えやすい製品と、拠点ごとの権限管理に活用できる製品をあわせて紹介します。自社の運用体制で起こりやすい失敗と照らし合わせて比較してみてください。
キントーン
- AIとノーコードで業務アプリをシュシュッとつくれる
- 「アプリ」同士はデータで紐付けて連携できる
- プラグイン・連携サービスと組み合わせてデータ活用を促進
サイボウズ株式会社が提供する「キントーン」は、プログラミングの知識がなくても業務用アプリを作成できるクラウド型のデータベースサービスです。サーバーの保守はクラウド側で行われるため、エンジニアが1人しかいない体制や情報システム部門が不在の会社でも、監視やバックアップの負担を抑えて運用しやすくなっています。
楽々Webデータベース
- 活エクセル|Excelを活用したままExcel業務の課題解決
- かんたん構築|ノーコードでだれもがIT人材に
- つなげて活用|貯めたデータも人もつなげて新たな価値を
住友電工情報システム株式会社が提供する「楽々Webデータベース」は、ノーコードで業務用のWebデータベースを構築できるパッケージ製品です。拠点や部署ごとにアクセス範囲を分けて設定できるため、多拠点でのアクセス権限管理を整理したい場合の運用設計にも活用できます。
Dr.Sum
- 導入実績7,700社超!顧客満足度No.1・サポート品質ランク★★★
- 散在したデータを一元化、10億件のデータも1秒台で◆高速集計◆
- 直感的な操作で誰でも簡単にデータ分析が可能
ウイングアーク1st株式会社が提供する「Dr.Sum」は、大量データの集計・分析に特化したデータベース型のBI基盤です。複数のシステムや拠点に分散したデータを統合して扱えるため、部門間で情報共有をしながら運用体制を整えたい場合の比較先として検討できます。
SQLデータベースモニターソフトウェア (SolarWinds Japan株式会社)
- 機械学習でデータベースの異常を検出
- AIでクエリ調整とボトルネック修正を支援
- マルチクラウドDBに対応
IBM Db2 (日本アイ・ビー・エム株式会社)
- AIによるリアルタイム分析と意思決定の支援
- オンプレとクラウドに対応し、柔軟な展開が可能。
- 高可用性とセキュリティで強固なデータ管理を実現。
まとめ
データベース運用の失敗は、担当者の負担集中や管理の放置、権限設定の混乱、部門間の方針対立など、体制や連携の不足から生じる場合があります。自社の運用体制を見直し、仕組みづくりや連携の強化を通じて対策を検討してみてください。


