データベースサービス導入後に失敗が起こりやすい理由
導入自体は完了しても、期待していた効果が得られないと感じる会社は少なくありません。まずは失敗が起こりやすい背景を整理します。
導入前の期待と実際の運用のギャップ
導入前に描いていた理想像と、実際の運用で直面する課題との間にギャップが生じることが、失敗と感じる大きな要因になります。製品の機能だけに注目し、運用体制の整備を後回しにすると、こうしたギャップが生まれやすくなります。導入を検討する段階から、実際に運用する現場担当者の意見を丁寧に取り入れておくことも有効です。
例えば、自動化機能があると聞いて導入したものの、実際には初期設定に専門知識が必要で、想定より運用の手間がかかるケースがあります。導入前に、機能の内容だけでなく、運用開始までに必要な作業も確認しておくことが望ましいといえます。営業担当者からの説明だけでなく、実際の設定画面をデモで確認しておくと、こうしたギャップに気づきやすくなります。
失敗に気づきにくい運用体制
導入後の効果を定期的に振り返る機会がないと、実は期待した効果が出ていないことに気づかないまま運用が続く場合があります。導入時の目的や指標を明確にしていないと、振り返り自体が難しくなります。
あわせて、担当者が日々の業務に追われていると、じっくり効果を検証する時間を確保しにくくなります。振り返りの作業自体を業務の一部として明確に位置づけておくことが望ましいといえます。導入時に効果測定のタイミングをあらかじめ決めておくことが、失敗への早期の気づきにつながります。四半期ごとなど定期的な振り返りの機会を業務スケジュールに組み込んでおくと、確認自体が後回しになりにくくなります。
導入しても運用の属人化が解消しない原因
属人化の解消を目的にデータベースサービスを導入しても、期待通りに解消しないケースが見られます。ここでは原因と対策を紹介します。
ツールを導入するだけでは解消しない理由
属人化は、ツールの機能だけで解消できるものではなく、運用ルールや情報共有の仕組みが伴って初めて改善が期待できます。ツールを導入しても、従来の運用方法を変えずに使い続けると、結局は特定の担当者に依存した状態が続く場合があります。
また、新しいツールの操作を1人の担当者だけが習得し、他のメンバーに共有しないまま運用が進むと、属人化が形を変えて続くことになります。ツールを変えても運用体制そのものを見直さなければ、根本的な解決にはつながりにくいといえます。導入時に複数人で操作方法を学ぶ機会を設けることが重要です。特定の担当者だけが詳しい状態を避けるため、複数人が同じ研修や説明を受けられる機会をつくることが望ましいといえます。
属人化を防ぐための運用ルール
属人化を防ぐためには、設定内容や運用手順をドキュメント化し、複数人が確認できる状態を維持することが基本になります。ドキュメントは作成して終わりにせず、更新のタイミングをあらかじめ決めておくことが望ましいといえます。
あわせて、操作履歴や変更履歴を自動で記録できる機能を活用すれば、担当者が不在の際にも状況を把握しやすくなります。ツールの機能と運用ルールを組み合わせることが、属人化解消の実現につながります。機能に頼るだけでなく、日頃から情報共有を意識した組織全体の運用文化を育てていくことも大切です。
オンプレからクラウドへの移行で失敗する原因
オンプレミス環境からクラウド型のデータベースサービスへ移行する際に、想定外のトラブルが生じるケースがあります。ここでは原因を整理します。
移行計画の見積もり不足
移行にかかる期間や工数を十分に見積もらないまま計画を進めると、想定より時間がかかり、業務への影響が長引く場合があります。データ量が多いほど移行にかかる時間も延びる傾向があるため、事前の試算が重要です。
また、既存システムとの連携部分を軽視すると、移行後に連携がうまく機能しないという事態につながる懸念があります。移行前に、既存システムとの接続方法や必要な設定変更を洗い出しておくことが望ましいといえます。連携先が複数ある場合は、それぞれの担当者に事前確認を依頼しておくと、見落としを減らしやすくなります。関係者が多いプロジェクトほど、確認漏れが起きやすいため、チェックリストを用意しておくことも有効です。
移行後の運用体制の準備不足
移行が完了しても、クラウド環境特有の運用方法に担当者が慣れていないと、思うように運用できない場合があります。オンプレミス環境とは操作方法や確認すべき項目が異なる場合があるため、事前の学習期間を設けることが重要です。
あわせて、移行後しばらくは旧環境と並行して稼働させ、問題がないことを確認したうえで完全に切り替える方法も選択肢の一つです。段階的な移行により、想定外のトラブルへの対応がしやすくなります。並行稼働の期間は費用が一時的に増える場合もあるため、あらかじめ想定しておくと安心です。並行稼働の終了時期を事前に決めておくことで、切り替えが先延ばしになる事態も防ぎやすくなります。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でデータベースの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
移行してもコストが削減されない原因
コスト削減を目的にデータベースサービスへ移行しても、期待した効果が得られないケースがあります。ここでは原因を整理します。
想定外の追加費用が発生するケース
基本料金だけを見て契約すると、データ量やアクセス数の増加にともなう従量課金や、オプション機能の追加費用が想定より膨らむ場合があります。契約前に、自社の利用パターンにあわせた総費用を見積もっておくことが重要です。
また、移行時に発生する初期費用や、旧システムとの並行稼働にかかる費用を考慮していないと、短期的にはコストが増加する場合もあります。長期的な視点で費用対効果を確認することが望ましいといえます。移行直後だけでなく、数か月後の運用が安定した時点での費用も含めて評価することが大切です。
コスト削減効果を正しく評価する方法
コスト削減効果を正しく評価するには、移行前後の費用だけでなく、運用にかかる人件費や工数の変化もあわせて確認することが判断の助けになります。表面的な利用料の比較だけでは、実際の効果を見誤る場合があります。
あわせて、効果測定のタイミングをあらかじめ決めておき、一定期間ごとに費用の推移を確認する運用を取り入れることが望ましいといえます。想定と実態にずれがあれば、早めにプランの見直しを検討しましょう。数値として記録を残しておけば、経営層への報告や次回の見直し時にも活用しやすくなります。記録の形式をあらかじめ統一しておくと、複数年にわたる推移の比較もしやすくなります。
大量データのクエリ実行で処理速度が遅くなる原因
データ量が増えると、クエリの実行に時間がかかり、処理速度が低下する場合があります。ここでは要因と対策を紹介します。
クエリ処理が遅くなる複数の要因
クエリの処理速度低下は、データベースの構成だけでなく、クエリの書き方や、検索対象となるデータの整理状況など複数の要因が関係する場合があります。原因を一つに絞らず、複数の観点から確認することが重要です。
例えば、検索条件に対応したインデックスが適切に設定されていないと、データ量が増えるほど検索に時間がかかりやすくなります。定期的にクエリの実行状況を確認し、遅い処理を特定する仕組みがあるかを確認しておきましょう。処理の遅いクエリを自動で検出する機能があれば、専門知識が少ない担当者でも問題箇所を見つけやすくなります。
処理速度を維持するための対策
処理速度を維持するためには、データを分割して処理する仕組みや、読み取り専用の複製を用意して負荷を分散する仕組みを活用する方法があります。自社のデータ量にあわせて、必要な対策を検討しましょう。
あわせて、不要になった古いデータを整理し、検索対象となるデータ量を適切に保つ運用も有効です。定期的なメンテナンスを行う体制を整えておくことが、長期的な処理速度の維持につながります。メンテナンスの頻度や方法をあらかじめ決めておくことで、対応が後回しになる事態を防ぎやすくなります。担当者間でメンテナンスの結果を丁寧に共有しておくことも、継続的な改善につながっていきます。
導入失敗を防ぐ際に参考になるデータベース製品例
移行や運用の負担を抑えやすい製品と、処理速度の維持に強みを持つ製品をあわせて紹介します。想定していた効果とのギャップを防ぐための比較材料としてご覧ください。
キントーン
- AIとノーコードで業務アプリをシュシュッとつくれる
- 「アプリ」同士はデータで紐付けて連携できる
- プラグイン・連携サービスと組み合わせてデータ活用を促進
サイボウズ株式会社が提供する「キントーン」は、プログラミングの知識がなくても業務用アプリを作成できるクラウド型のデータベースサービスです。操作履歴が残る仕組みを備えており、複数人で運用状況を確認しやすいため、属人化の解消を目的とした導入の選択肢になります。サーバー保守もクラウド側で行われます。
楽々Webデータベース
- 活エクセル|Excelを活用したままExcel業務の課題解決
- かんたん構築|ノーコードでだれもがIT人材に
- つなげて活用|貯めたデータも人もつなげて新たな価値を
住友電工情報システム株式会社が提供する「楽々Webデータベース」は、ノーコードで業務用のWebデータベースを構築できるパッケージ製品です。オンプレミス・クラウドいずれの環境にも対応しており、既存のオンプレ環境から段階的に移行を進めたい場合の選択肢として検討しやすくなっています。
Dr.Sum
- 導入実績7,700社超!顧客満足度No.1・サポート品質ランク★★★
- 散在したデータを一元化、10億件のデータも1秒台で◆高速集計◆
- 直感的な操作で誰でも簡単にデータ分析が可能
ウイングアーク1st株式会社が提供する「Dr.Sum」は、大量データの集計・分析に特化したデータベース型のBI基盤です。データ量の増加にともなうクエリ処理の遅延が懸念される場合に、高速な検索・集計処理を行える設計が選定の参考になります。
SQLデータベースモニターソフトウェア (SolarWinds Japan株式会社)
- 機械学習でデータベースの異常を検出
- AIでクエリ調整とボトルネック修正を支援
- マルチクラウドDBに対応
MicrosoftSQLServer (日本マイクロソフト株式会社)
- 地上・クラウド対応のAIエンタープライズDB
- LangChain等統合でアプリ開発加速
- Azure Arcでオンプレ・マルチクラウドのSQL Server統合管理
まとめ
データベースサービス導入の失敗は、属人化の解消不足や移行計画の見積もり不足、コスト削減効果の見誤り、クエリ処理速度の低下など、複数の要因から生じる場合があります。導入前後の運用体制をあわせて見直したうえで、複数の製品を比較検討してみてください。


