EAI導入が期待どおりに進まない背景
導入の成否は、製品を選ぶ前の準備で大きく変わります。何をどこまで自動化するのかが定まっていないと、比較の基準を作れず、稼働後の評価もできません。まずは背景にある2つの状況を確認しましょう。
目的を決めないまま製品を選ぶ
連携基盤を入れれば業務が効率化するという前提で検討を始めると、機能の多さや価格だけで候補を絞ってしまいます。その結果、自社でつなぎたい相手に対応していない、あるいは使わない機能に費用を払う状態が生まれます。まずは対象の業務と削減したい作業を具体化しましょう。
目的を定めるときは、対象業務、現在かかっている時間、自動化後に残る作業、達成したい状態の4点を書き出すと整理できます。この内容がそろっていれば、ベンダーへ同じ条件を提示して比較でき、稼働後にどこまで達成できたかを振り返る材料にもなります。
- ■対象業務
- どのシステム間の、どのデータを、どの頻度で連携したいのか
- ■現在の工数
- その作業に月あたり何時間かかっているか、誰が担当しているか
- ■残る作業
- 自動化後も人が確認や判断を行う工程はどこか
- ■達成したい状態
- 削減したい時間や、なくしたい確認作業を数値や具体例で示す
現行の手順を確かめずに移す
今の手作業をそのまま自動化しようとすると、担当者が経験で判断していた部分が設計から漏れることがあります。特定の取引先だけ処理を変えている、月末だけ手順が異なるといった運用は、依頼書に書かれないまま進むことがあります。
設計に入る前に、実際の作業を担当者に実演してもらいながら手順を記録する方法が有効です。判断が入る場面では、その基準を言葉にしてもらいます。この作業には時間がかかりますが、稼働後の手戻りを減らせるため、導入計画の中に工数として見込んでおきましょう。
EAI導入後も属人化が残る理由
手作業をなくせば属人化も解消すると考えがちですが、作業の場所が担当者の手元から連携基盤の設定へ移っただけという状態も起こりえます。何が引き継がれていないのかを分けて考えましょう。
設計の意図が記録に残らない
連携の設定画面を見れば処理の流れは追えますが、なぜその順番なのか、なぜ特定の条件を除外しているのかまでは読み取れません。業務上の理由が記録されていないと、後任は変更してよいかどうかを判断できず、手を付けられない状態が続きます。
設定と一緒に、目的、対象データ、除外している条件とその理由、関係する部門を残しておきましょう。製品にメモを記録できる機能があれば併用します。導入時にベンダーが作成した設計資料は、稼働後の変更まで反映され続けるとは限らないため、更新の担当も決めておくと確実です。
特定の担当者に依頼が集中する
設定を扱えるのが1人だけという状態では、業務部門からの依頼がその人に集まります。通常業務と並行して対応するうちに、優先度の判断や着手の順番も個人の裁量に委ねられ、外から進捗が見えなくなります。
依頼の受け付け方を仕組みとして整えると改善が見込めます。依頼の書式を決めて記録に残す、対応状況を共有できる場所で管理する、内容によって担当を分けるといった方法です。あわせて、操作できる人を複数名に広げ、権限の範囲を分けて設定しておくと、対応の偏りを抑えられます。
引き継ぎの機会が用意されない
担当が変わるときにまとめて引き継ごうとすると、時間が足りず表面的な説明で終わりがちです。連携は本数が多く、それぞれに背景があるため、短期間で伝えきるのは難しいといえます。日常の運用の中で共有の機会を作りましょう。
例えば、月に1度、稼働状況を複数名で確認する場を設ける方法があります。エラーが起きた際の対応を交代で担当する進め方も有効です。実際に手を動かす経験があれば、資料だけでは伝わりにくい判断の勘所も共有でき、担当が変わっても運用を続けやすくなります。
手作業からEAIへ移行する際の落とし穴
これまで人が担ってきた連携を機械の処理へ置き換える過程では、想定していなかった条件が次々に見つかります。移行の期間をどう設計するかが、稼働後の負担を左右します。
例外処理が設計から抜け落ちる
通常のデータであれば問題なく流れても、値が空になっている、想定外の文字が含まれる、同じ内容が二重に届くといった場合の扱いは個別に決める必要があります。これらが決まっていないと、処理が止まるか、誤った内容のまま登録される可能性があります。
過去数か月分の実データを対象に、どのような値が実際に入っているかを確認する方法が有効です。想定外の値が見つかったら、止めて通知するのか、既定値に置き換えるのか、対象から除くのかを業務部門と決めます。判断の基準を設計資料に残しておけば、稼働後の問い合わせにも対応しやすくなります。
移行の期間に二重運用が長引く
安全のために手作業と自動処理を並行させる期間を設けるのは妥当な進め方です。ただし、いつ切り替えるのかを決めないまま続けると、確認の手間が増えたまま定着してしまいます。開始前に判断の基準と期限を決めておきましょう。
基準としては、一定期間にわたって件数と内容が一致すること、想定した例外がすべて処理できていることなどが挙げられます。基準を満たしたら手作業を終える手順と、その判断を誰が行うかも決めておきます。切り替え後に問題が起きた場合に戻せる手順を用意しておくと、判断を進めやすくなります。
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導入後も連携ミスが減らない原因
自動化すれば転記の誤りはなくなりますが、別の種類の誤りが表面化することがあります。原因はEAIの側だけにあるとは限らないため、どこを確認すべきかを分けて捉えましょう。
| 起こりうる状態 | 確認する箇所 |
|---|---|
| 誤った内容がそのまま転記される | 連携元のデータ入力の手順とチェックの仕組み |
| 意図と違う値へ変換される | 変換ルールと、業務側の分類の定義 |
| 一部のデータだけ反映されない | 失敗した処理の記録と、やり直しの手順 |
入力元のデータそのものに誤りが残る
連携は、渡された内容をそのまま次のシステムへ届ける仕組みです。元のデータに誤りがあれば、その誤りが速く広く伝わることになります。手作業のときは担当者が気づいて直していた誤りが、自動化によって表面化する場合もあります。
対策としては、連携の前段で内容を確かめる仕組みを用意する方法があります。必須の項目が埋まっているか、桁数や形式が正しいかを判定し、条件を満たさない場合は保留して通知するという設計です。あわせて、入力する側の画面での制限や、入力手順の見直しも検討しましょう。
変換ルールが業務の現状と合わない
システムごとに分類の定義が違う場合、対応表を作って値を置き換えます。この対応表が業務の現状と合っていないと、集計の結果がずれます。新しい区分が追加されたのに対応表が更新されていないという状況も起こりえます。
対応表は作って終わりにせず、更新の責任者と見直しの時期を決めておきましょう。区分を追加する業務の手順に、連携側への反映を組み込む方法もあります。対応表にない値が来たときに、そのまま通すのではなく通知して止める設定にしておくと、誤った集計を防ぎやすくなります。
失敗した処理の扱いが決まっていない
接続の一時的な不調などで処理が失敗した場合、そのデータをどう扱うかが決まっていないと、反映されないまま残ります。後から気づいて手作業で登録すると、今度は重複が生じることがあります。
導入時に、失敗を検知する方法、通知の宛先、やり直しの判断者、重複を避ける仕組みを決めておきましょう。製品側に自動で再試行する設定や、未処理データを一覧で確認する画面があるかも確かめます。手順を文書にして複数名が参照できる状態にしておくと、対応の質が安定します。
大量データで処理が遅くなる場面と備え
件数が増えると、これまで問題なく終わっていた処理の完了が遅れることがあります。遅れの原因は連携基盤の側だけとは限らないため、切り分けられる状態を作っておきましょう。
全件処理を続けたときの所要時間
導入時に対象データが少なければ、毎回すべてを対象にする設計でも短時間で終わります。しかし取引や登録が積み上がると、処理する件数も増え、完了までの時間が延びていきます。翌朝の業務までに終わらない状態は、この経過の中で生じることがあります。
備えとして、前回からの差分だけを対象にできるか、一定件数ごとに区切って処理できるかを確認しておきましょう。あわせて、処理ごとの所要時間を記録する仕組みがあると、時間の伸び方を把握できます。件数が増える見込みを伝えたうえで、必要な条件をベンダーへ相談しておくと安心です。
接続先の応答や上限による待ち時間
処理が遅い場合でも、原因が連携基盤の性能にあるとは限りません。接続先のシステムが応答に時間を要している場合や、外部サービスに呼び出し回数の上限が設けられている場合もあります。どこで時間がかかっているかを分けて見る必要があります。
そのためには、処理の段階ごとに時間を記録できる機能が役立ちます。取得、変換、登録のどこで時間が延びているかが分かれば、相談すべき相手を判断できます。上限に達したときに待機して再試行する設定に対応しているかも、確認しておきたい項目です。
手作業の置き換えを進めやすいEAI
取り込みや転記を人が行っている工程を、どこまで自動で回せるかが導入の効果を左右します。移行を前提に検討したい製品を紹介します。
Reckoner[レコナー]
- クラウド型ETLサービスの決定版‼100種以上のデータ連携先と接続
- データ連携作業の工数を大幅削減!プログラム作業不要で実現!
- 直感的なインターフェースで簡単操作!ドラッグ&ドロップで連携
株式会社スリーシェイクが提供する「Reckoner[レコナー]」は、クラウド型のデータ連携サービスです。画面上の操作で取得元と出力先をつなぐ処理を作成でき、決めた時刻に自動で実行する設定にも対応します。表計算ソフトを使って手作業で行っていた取り込みや加工を、順に置き換えていく進め方を検討できます。まず一つの業務から試したい場合の材料になります。
ASTERIA Warp
- 国内1万社以上の導入実績と18年連続国内シェアNo.1連携ツール
- ノーコード簡単連携で高速開発を実現
- 豊富な接続先で拡張性も抜群!クラウドとの連携機能も充実!
アステリア株式会社が提供する「ASTERIA Warp」は、システム間のデータ連携をノーコードで構築できるEAIです。画面上でアイコンをつなぐ操作で処理を定義でき、接続先ごとの部品が用意されています。手作業で行っていた受け渡しを設定として残せるため、担当者に依存しない運用へ移す際の選択肢になります。
Waha! Transformer
- 1,000億件のベンチマークが証明する大量データ高速処理性能
- ノーコードで簡単に構築できるシンプルな操作性
- 作り手が「欲しい!」と感じるデータ接続先とメンテナンス機能
株式会社ユニリタが提供する「Waha! Transformer」は、大量のデータを変換して受け渡すためのデータ連携ツールです。異なる形式のデータを扱う処理を定義し、繰り返し実行する運用に対応します。件数が多く手作業では追いつかない処理を対象にしたい場合に検討できます。
mitoco X Powered by DataSpider Cloud (株式会社テラスカイ)
- SOAP API、REST APIのほかさまざまなAPIに対応
- クエリ言語SOQLで頻繁に使われるパターンを網羅
- ユーティリティ系の機能も多数
EAIの導入に関するFAQ
EAIの導入でよく挙がる質問と回答をまとめました。
- Q1:EAIを導入すれば手作業は完全になくなりますか?
- 判断が必要な工程や、例外的な処理は人が担う形で残ることがあります。どの工程が自動化され、どこが手作業として残るのかを設計の段階で図に整理しておくと、導入後の効果を見込みやすくなります。
- Q2:移行の際、手作業と並行する期間はどのくらい必要ですか?
- 業務の周期によって変わります。月次の処理が含まれるなら、少なくとも1か月分の締めを通して確認する進め方が考えられます。件数と内容が一致することを基準に、切り替えの判断者と期限を先に決めておきましょう。
- Q3:導入後に処理が遅くなった場合、まず何を確認すべきですか?
- 処理の段階ごとの所要時間を記録から確認し、取得と変換と登録のどこで延びているかを絞り込みます。接続先の応答や呼び出し回数の上限が関係する場合もあるため、双方の記録を突き合わせて判断しましょう。
まとめ
EAIの導入で期待した効果を得るには、対象業務と削減したい工数を先に定め、現行の手順や例外を洗い出しておくことが出発点になります。設計の意図を記録し、操作できる人を複数名に広げれば、属人化の解消につながります。連携ミスや処理の遅れは、原因を切り分けられる記録の仕組みと、やり直しの手順を決めておくことで対応しやすくなります。候補を絞り込みたい方は、資料請求して対応範囲を確かめてみてください。

