福利厚生サービスとは
福利厚生の管理や運用を、外部委託できるアウトソーシングサービスが、福利厚生サービスです。福利厚生は、法定福利厚生と法定外福利厚生の2つに分けられます。法律で企業に義務付けられている法定福利厚生は、雇用保険・健康保険などです。
法定外福利厚生は、通勤手当・定期健診・レクレーションなど、企業が任意で行います。福利厚生サービスとしてアウトソーシングできるのは、主に法定外福利厚生です。このサービスを活用すると、従業員は、旅行・エンターテイメント・レジャーなど、自分の嗜好にあわせて選択できます。
バブル崩壊後、日本経済は低迷し少子高齢化が進みました。そして、社会保障の負担が増え、企業が負担する法定福利厚生の費用も増加したのです。その結果、バブル期に建てた保養施設などを、維持できず手放す企業も少なくありませんでした。
このような企業をとりまく環境の変化と、従業員の満足度を高めたいニーズのために、限られた予算で実施できる福利厚生サービスが登場しました。
福利厚生サービスのトレンド
新型コロナウイルスの流行によって、従業員が求める福利厚生のトレンドは、大きく変化しました。以下のランキングを見てください。
- 【従業員が求める福利厚生ランキング推移】
- ■2019年度
- 1位 住宅手当・家賃補助
- 2位 食堂・昼食補助
- 3位 特別休暇
- 4位 ヘルスケアサポート
- ■2020年度
- 1位 特別休暇
- 2位 慶弔支援
- 3位 ファミリーサポート
- 4位 ヘルスケアサポート
2019年度の1位「住宅手当・家賃補助」と2位「食堂・昼食補助」が、2020年度はランク外です。2020年度の1位はリフレッシュ休暇などの「特別休暇」、2位は結婚祝金などの「慶弔支援」、3位は家族手当などの「ファミリーサポート」となりました。
この推移から、コロナ禍のため家庭内の時間が増えたため、より生活に根ざしたサービスが人気を博していると推測されます。従業員のトレンドが、非日常的なサービスから、日常的なものに変化したと考えられます。
参考:<withコロナで変化する「働くこと」に関する調査④>コロナ禍で顕著になった”企業と従業員の関係希薄化” 会社に愛着が湧く理由トップは「特になし」 31.3%|株式会社OKAN
福利厚生サービスの提供タイプ
メリット・デメリットが異なる、多くの種類の福利厚生サービスがあります。代表的な2つのタイプの特徴と、おすすめする企業を解説します。
パッケージプラン
複数の福利厚生メニューが1つに組み合わされているのが、パッケージプランです。企業は、いくつか用意されたパッケージから選択できます。従業員ひとり当たりの費用が定額で、低コストかつスピーディーに導入できるメリットがあります。
メニューが決まっているため、自社にあうカスタマイズができず、望むメニューがなければ従業員の満足を得られません。従業員の要望を把握し、自社にあうパッケージプランを選択しましょう。コストと導入の手間をできる限り抑えて、福利厚生をすばやく導入したい企業に向いています。
カフェテリアプラン
従業員に上限付きのポイントを毎年与え、そのポイントを利用して好みの福利厚生サービスを受けられるのが、カフェテリアプランです。自分好みのメニューにカスタマイズできるため、多様な価値観をもつ従業員が、平等に福利厚生を受けられるメリットがあります。
企業は、事前にポイントを与えるため、コストを正確に把握でき管理が容易です。しかし、ポイントが翌年に繰り越せない精算方式の場合は、消化できない従業員から不満が出る可能性があります。ポイントの消化傾向に注意してください。従業員の層が厚く、従業員数が多い企業に向いています。
おすすめの福利厚生サービス10選を比較
福利厚生サービスの中には、パッケージプラン・カフェテリアプラン・食のプラン・ギフトプランなど、異なる特徴をもつさまざまな種類のサービスがあります。おすすめの10選を比較して紹介します。
ベネフィット・ステーション
株式会社ベネフィット・ワンが提供する「ベネフィット・ステーション」は、従業員のエンゲージメントを高め、家族全員が使える総合型福利厚生サービスです。ワークバランスを実現し、健康増進やスキルアップを促進する、140万以上のサービスを何度でも利用できます。手軽に使えるデジタルチケットでプライベートが充実し、検診データの蓄積で健康リスクを可視化でき、800講座から選択して新入社員から経営層まで学べます。
価格 |
月額費用:パッケージプラン1,000円/名、カフェテリアプラン要問い合わせ・初期費用:要問い合わせ |
提供タイプ(プラン) |
パッケージプラン・カフェテリアプラン |
導入社数 |
16,103社 |
ライフサポート倶楽部
リソルライフサポート株式会社が提供する「ライフサポート倶楽部」は、従業員が身体的・精神的・社会的にすべてが満たされる、ウェルビーイングを支援します。企業と従業員の双方にメリットがあるサービスです。企業は、手間をかけず低コストで導入でき、従業員が仕事と育児や介護を両立できる環境の提供ができます。多種多様なメニューから選択して利用できるので、従業員は、ワークライフバランスの充実に役立てられます。
価格 |
月額費用:パッケージプラン350円~/名、カフェテリアプラン500円~・初期費用:0円 |
提供タイプ(プラン) |
パッケージプラン・カフェテリアプラン |
導入社数 |
2,000社以上 |
福利厚生倶楽部
株式会社リロクラブが提供する「福利厚生倶楽部」は、ワークライフバランスを実現し、自己啓発をサポートするサービスです。満足度の高いサービスが用意され、非正規社員にも対応しているため、パート・アルバイトの人材確保にも役立ちます。健康増進に貢献する、全国3,800のスポーツクラブと600のゴルフ場を割引料金で利用可能です。全国3,000以上の保育施設と連携した保育補助制度が、働くパパママを支援します。
価格 |
月額費用:パッケージプラン1,000円/名、カフェテリアプラン要問い合わせ・初期費用:30,000円~ |
提供タイプ(プラン) |
パッケージプラン・カフェテリアプラン |
導入社数 |
18,200社 |
WELBOX
株式会社イーウェルが提供する「WELBOX」は、全国各地の提携している施設やサービスを、自由に使えるパッケージ型のサービスです。導入後は、専用Webページやガイドブックから提携先の施設やサービスを検索し、いつでも会員価格で利用できます。人間ドック・訪問介護・保育所・自己啓発講座・フィットネスなど、20代から60代まで、ライフステージに応じた幅広いメニューが用意されています。
価格 |
月額費用:パッケージプラン要問い合わせ、カフェテリアプラン要問い合わせ・初期費用:要問い合わせ |
提供タイプ(プラン) |
パッケージプラン・カフェテリアプラン |
導入社数 |
要問い合わせ(拠点数は2,500) |
オフィスおかん
株式会社OKANが提供する「オフィスおかん」は、置くだけで簡単にできる、食の福利厚生サービスです。オフィスに冷蔵庫を設置すると、肉や魚から野菜まで、1品100円の総菜が毎月20種類届きます。専任の管理栄養士が、何度も試作を重ね、地のものと旬のものを取り入れて作られています。性別・年齢を問わず、ランチに限らず24時間利用可能です。朝食用に、ランチの弁当に1品追加、もち帰って夕食など、多様なシーンで活用できます。
価格 |
月額費用:66,000円~要問い合わせ・初期費用:要問い合わせ |
提供タイプ(プラン) |
食のプラン |
導入社数 |
要問い合わせ(拠点数は3,000) |
OFFICE DE YASAI
株式会社 KOMPEITOが提供する「OFFICE DE YASAI」は、冷蔵庫を置くだけで、オフィスでいつでも健康的な食事ができる福利厚生サービスです。新鮮なサラダやフルーツが届く「オフィスでやさい」、健康にこだわった惣菜が届く「オフィスでごはん」、2つのプランがあります。1つ100円で、コンビニより低価格で購入可能です。専任の管理栄養士が、日本全国のヘルシーフードを厳選しています。
価格 |
月額費用:オフィスでやさい150個パック63,800円、オフィスでごはん80個パック31,900円・初期費用:66,000円 |
提供タイプ(プラン) |
食のプラン |
導入社数 |
要問い合わせ(拠点数は5,000以上) |
Fit Food Biz Lite
株式会社AIVICKが提供する「Fit Food Biz Lite」は、従業員の健康に配慮した、健康経営のために必要不可欠な食事のサービスです。糖質中心の昼食をとると、食後の眠気でパフォーマンスが急降下します。偏った栄養バランスの食事を繰り返すと、質的栄養失調になりかねません。糖質量を約半分に抑え、7大栄養素を計算した弁当を提供します。1食500円の弁当で、従業員は高いパフォーマンスが発揮できます。
価格 |
月額費用:要問い合わせ・初期費用:要問い合わせ |
提供タイプ(プラン) |
食のプラン |
導入社数 |
要問い合わせ |
チケットレストラン
株式会社エデンレッドジャパンが提供する「チケットレストラン」は、毎日利用できる福利厚生の食事補助サービスです。毎月決められた金額が専用のカードにチャージされます。従業員が全国66,000店以上の好きな加盟店で食事をし、専用のカードで支払うと、会社が食事代の半分を支給します。街のレストランを社員食堂として利用可能です。従業員の満足度がアップして人材確保や定着率向上につながります。
価格 |
月額費用:要問い合わせ・初期費用:要問い合わせ |
提供タイプ(プラン) |
食のプラン |
導入社数 |
2,000社以上 |
オフィスグリコ
江崎グリコ株式会社が提供する「オフィスグリコ」は、置くだけで職場を改善できるサービスです。リラックスできる空間を作りたい、コンビニが近くにない、社員同士のコミュニケーションを増やしたいなど、職場の課題解決につながります。チョコレート・スナック・アイスクリーム・飲料など、幅広い商品ラインナップです。代金は購入者が貯金箱に入れて、不足した商品はサービススタッフが随時補充します。
価格 |
月額費用:0円・初期費用:0円 |
提供タイプ(プラン) |
食のプラン |
導入社数 |
要問い合わせ(拠点数は約10万) |
giftee for Business
株式会社ギフティが提供する「giftee for Business」は、販促キャンペーンから福利厚生まで、デジタルギフトを提供するサービスです。リファラル採用インセンティブ、ランチ手当や永年勤続表彰など、手軽に福利厚生のデジタルギフトを送れます。1,000種類以上のラインナップから、幅広い年代や異なる趣味嗜好に適したギフトが選べます。メールあるいはカード、企業に適した配布方法を選択可能です。
価格 |
月額費用:要問い合わせ・初期費用:要問い合わせ |
提供タイプ(プラン) |
ギフトプラン |
導入社数 |
要問い合わせ |
福利厚生サービスのメリット
従業員はもちろんですが、企業にとっても、福利厚生サービスを導入するメリットがあります。主なメリットを、4つとり上げて紹介します。
充実した福利厚生を低コストで実現
福利厚生サービスを活用すれば、1社と契約するだけで、企業は多彩で充実した福利厚生を低コストで提供できます。自社で福利厚生メニューを1つずつ探し、比較検討して契約するには膨大な時間と労力が必要です。
特に、余力がない中小企業は福利厚生の充実が困難でしたが、アウトソーシングすると、大企業並みの福利厚生サービスを実現できます。さらに、従業員に対する負担は少なく、月額数百円というリーズナブルな料金で利用が可能です。
優秀な人材の確保と定着率の向上
福利厚生サービスを活用すると、優秀な人材確保と定着率の向上につながります。求職者にとって、福利厚生は企業選びの大切なポイントで、特に若い人材が重視するのは、仕事の内容より福利厚生です。
質の高い福利厚生を提供する企業は、「従業員を大切にしている」というメッセージが伝わりやすくなります。求職者はそのような企業を求めているため、労働人口減少の中、福利厚生サービスは従業員確保の大きな力となります。
従業員エンゲージメントや満足度の向上
幅広いニーズにこたえられる福利厚生サービスは、従業員一人ひとりの満足度を高め、エンゲージメントの向上につながります。社食のサービスやフィットネスジムなどの福利厚生を利用すると、従業員は、企業が健康に配慮してくれていることを実感します。
家族旅行サービスを活用し、家族が喜んでくれたら、仕事への意欲がわいてくるでしょう。福利厚生サービスは、従業員のエンゲージメントを高める効果があります。
節税効果
法定外福利厚生費は、税法上「福利厚生費」として計上するため非課税となり、企業にとって節税につながるメリットがあります。従業員の給与を増やすと、所得税が増えてしまいます。しかし、充実した福利厚生を提供すれば、税金負担は増えず、従業員の満足度が向上します。
福利厚生サービスのデメリット
利用してもらえない福利厚生サービスは、企業と従業員のデメリットになります。導入する際に気を付けなければならない、2つのポイントと対応策を解説します。
利用状況にかかわらず毎月コストが発生する
従業員が魅力を感じないと、福利厚生サービスの利用頻度は高くなりませんが、毎月のコストが発生します。利用してもらえない福利厚生サービスは、なんの効果も発揮しません。
子育て従業員が多い場合は、保育サービスを手厚くするなど、社員の状況にあわせたサービスを選びましょう。サービス内容を決めるために、従業員へアンケートを行うのもよい方法です。
一部の従業員しか利用しにくいサービスだと不満の種になる
自社の従業員ニーズとかけ離れたサービスを提供すると、満足度を高めるどころか、逆に不満が溜まってしまう可能性があります。一部の従業員しか活用しないサービスや、地域が限定されていると、利用しにくいサービスになります。
従業員ニーズと合致したサービスを提供するためには、アンケートなどを行い事前に入念なリサーチが必要です。既存のサービスの利用率が上がらない場合は、従業員が自分で選択できるカフェテリアプランを検討してみましょう。
福利厚生サービスを選ぶ際のポイント
どのようなサービスや製品でも、選ぶ際に大切な項目は、「目的」「コスト」「使いやすさ」「実績」です。福利厚生サービスを選ぶ際に大切なポイントを、4つとり上げて紹介します。
導入目的の明確化
企業の状況により、必要なサービス内容やプランが異なるため、まずは導入目的を明確にしてください。コストの削減、従業員の満足度の向上、新たな人材確保など、福利厚生サービスを企業が導入する目的はさまざまです。
コストを削減するためには、既存のサービスより安価な他社のサービスを、比較検討しましょう。満足度向上のためには、従業員の年齢層や生活環境などに応じた、サービスの検討が必要です。新たな人材確保のためには、自由度の高いカフェテリアプランなどがよいでしょう。
最初に行うべき大切なポイントは、導入目的の明確化です。
コストパフォーマンスのよさ
自社のニーズとコストのバランスがよい、コストパフォーマンスの高いサービスを選びましょう。福利厚生サービスは、比較的低コストで導入できますが、メニューや施設が増えると利用料が高くなる傾向があります。
しかし、コストを重視するあまりに、安いからと安易に選べば、従業員が使いにくいサービスになります。現在の従業員と将来の人員計画をあわせて検討し、トータルコストでパフォーマンスのよいサービスを選んでください。
会員サイトの使いやすさ
魅力的な福利厚生サービスでも、会員サイトが使いにくいと、従業員の利用率が上がらない可能性があります。申し込みに手間がかかったり、手順がわかりにくかったりすると、利用されなくなります。
ログインはスムーズか、目的のメニューは探しやすいか、直感的に操作できるかなど、会員サイトの使いやすさに注意しましょう。
導入実績と継続率
福利厚生サービスは、長期にわたり継続的な利用が考えられます。検討しているサービスの導入実績と継続率から、「どのような企業が何の目的で導入しているか」「企業と従業員の長期的な満足度」などが推し量れます。
導入実績と継続率を確認し、長く付きあえる安定感のある、福利厚生サービスを選んでください。
福利厚生サービスで従業員の満足度やエンゲージメントが向上
福利厚生サービスは、管理や運用のアウトソーシングサービスです。通勤手当・定期健診など、法定外福利厚生を外部委託できます。
導入のメリットは以下のとおりです。
- ・低コストで実現
- ・優秀な人材の確保
- ・エンゲージメントと満足度の向上
- ・節税効果
おすすめの10選や導入のポイントなどを参考にし、自社に適した福利厚生サービスを導入してください。従業員の満足度とエンゲージメントを向上し、ビジネス拡大に役立てましょう。