ITトレンドがおすすめする製品・サービス
- ■データの出力・連携方法別
- SS-MIX2・HL7 FHIRなどの標準規格に対応:CLIUS (クリアス)、HOPE LifeMark-TXシリーズ
- 蓄積したデータを抽出して集計に使える:m-KARTE、HOPELifeMark-MX
- CSV・エクセル形式で出力できる:m-KARTE、Medicom-CKⅡ
- ■画像・文書の管理方法別
- PACSと連携して画像を参照:医師協 Zebra for Karte、モバカルクリニック
- 紙の文書や画像を取り込んで管理:医師協 Zebra for Karte、MAPs for CLINIC
電子カルテのデータベースが扱う情報
電子カルテのデータベースは、文字の記録だけでなく、項目が決まったデータや画像、操作の記録まで、性質の異なる情報をまとめて管理しています。どのような情報が保存されているかを、3つに分けて見ていきましょう。
構造化データと自由記載の記録
電子カルテの情報は、大きく構造化データと自由記載に分かれます。構造化データとは、病名や処方、検査の項目と値、バイタルサインのように、決まった項目と形式で保存されるデータのことです。集計や検索に向いており、他のシステムとも受け渡しやすい特徴があります。
一方、医師の所見や経過、看護記録の文章は、自由記載の文章として保存されます。内容は豊かですが、そのままでは集計しにくいため、テンプレートで入力項目を決めて構造化データとして残す工夫をしている医療機関もあります。
画像やスキャン文書の保存先
レントゲンやCTなどの医用画像は、データ量が大きいため、電子カルテ本体とは別のPACS(医用画像を保存・配信するシステム)で管理し、電子カルテからは参照する形があります。心電図や内視鏡の画像も、部門システム側で保存される場合があります。
同意書や紹介状など紙で受け取った文書は、スキャンして電子カルテに取り込む方法があります。取り込んだ文書をどの患者・どの日付にひも付けるか、原本の紙をいつまで保管するかを、院内のルールとして決めておくことが大切です。
更新履歴と記載者の記録
電子カルテのデータベースには、記録の内容だけでなく、誰がいつ記載し、いつ修正したかという履歴も保存されます。修正した場合も、修正前の内容が残る仕組みになっていることが、記録の信頼性を保つうえで重要です。
あわせて、誰がどの患者のカルテを閲覧したかといった操作ログ(操作の記録)も残ります。これらの記録は、不適切な閲覧がないかの確認や、トラブルが起きた際の原因調査に使われます。患者や家族から記録の開示を求められた際に、記載の経緯を説明する材料にもなるでしょう。ログをどの程度の期間保存できるか、検索や出力がしやすい形で確認できるかは、製品ごとに確かめておきましょう。
電子カルテのデータベースの仕組みと標準規格
電子カルテのデータベースは、製品ごとに内部の構造が異なります。そのため、病名や薬剤を表すコードや、データを受け渡す際の標準規格をそろえることで、異なるシステムの間でも情報を正しくやり取りできるようにしています。
データベースの基本的な構造
電子カルテのデータベースには、表の形でデータを管理するリレーショナルデータベースが使われることがあります。患者の基本情報、受診ごとの記録、処方、検査結果などを別々の表に分け、患者番号などの共通の項目でつなぐことで、必要な情報を組み合わせて取り出せる仕組みです。
ただし、どのような表の構成でデータを持つかは製品によって異なり、内部の構造が公開されていないこともあります。そのため、データを院外へ出したり別の製品へ移したりする際は、内部の構造に直接頼るのではなく、製品が用意する出力機能や標準規格を使う形が基本です。
マスタとコード体系の役割
電子カルテでは、病名や薬剤、検査項目をマスタ(選択肢となる基本データ)から選んで入力します。マスタには、ICD10対応標準病名マスターのような病名の標準マスタや、医薬品・臨床検査の標準コードと対応づけられたものがあります。
院内独自の名称だけで登録すると、同じ検査が別の名前で記録されるなど、集計や他施設とのやり取りで食い違いが生じるおそれがあります。導入時には、標準コードとどこまで対応づけられるか、院内で追加したマスタをどう管理するかを確認しておきましょう。
SS-MIX2やHL7 FHIRによるデータ連携
異なるシステムの間でデータを受け渡すために、標準規格が使われています。SS-MIX2は、厚生労働省の事業をきっかけに作られた、診療データを標準的な形式で蓄えておく仕組みで、地域医療連携やデータのバックアップなどに使われています。
HL7 FHIRは、診療情報をやり取りするための国際的な標準規格です。国が進める電子カルテ情報共有サービスでも採用されています。製品がどの規格に対応し、どの情報を出力できるかは、データ連携の幅を左右する確認項目です。
電子保存の要件とデータベースの管理
電子カルテのデータは、紙のカルテと同様に法令で定められた期間の保存が必要です。例えば診療録は、医師法で完結の日から5年間の保存が定められています。電子保存ならではの要件を満たし、障害や不正なアクセスからデータを守るための管理が求められます。
真正性・見読性・保存性の確保
診療録を電子的に保存する場合は、真正性、見読性、保存性の3つの基準を満たす必要があります。真正性は、記録が誰によっていつ作成されたかが明確で、改ざんされていないことです。見読性は必要なときに読める状態で表示・印刷できること、保存性は定められた期間、読める状態で保存できることを指します。
データベースの履歴管理やアクセス管理、バックアップは、これらの基準を支える仕組みです。具体的な要件は、厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」で確認しましょう。
バックアップと復元の手順
電子カルテのデータベースは、機器の故障やランサムウェアの被害、操作の誤りなど、さまざまな要因で使えなくなる可能性があります。そのため、定期的なバックアップに加えて、複数の世代を残し、ネットワークから切り離した場所にも保管することが重要です。
バックアップは、取得していても実際に戻せなければ意味がありません。どのくらいの時間で、どの時点の状態まで戻せるのかを、ベンダーと一緒に復元の手順を試して確かめておきましょう。
アクセス権とログの管理
電子カルテのデータベースには、職種や役割に応じて閲覧・記載できる範囲を設定します。例えば、医事課の職員は会計に必要な情報だけを、看護師は担当する病棟の患者の記録を中心に扱うといった形です。
アクセス権を設定するだけでなく、操作ログを定期的に確認することも大切です。退職した職員のアカウントが残っていないか、業務と関係のない閲覧がないかを点検する担当と頻度を、院内の規程に定めておきましょう。
電子カルテのデータを分析や連携に生かす方法
電子カルテのデータベースに蓄積された情報は、診療の記録としてだけでなく、経営分析や地域連携、システムの乗り換えにも使われます。データを生かすための方法と注意点を整理します。
DWHでの集計と分析
電子カルテのデータを分析する方法として、DWH(データウェアハウス)と呼ばれる分析用のデータベースにデータを移し、集計する方法があります。電子カルテ本体で重い集計を行うと、診療中の動作に影響するおそれがあるため、分析用に分けて扱う考え方です。
患者数や病名の傾向、検査の実施件数などを集計すれば、診療体制の見直しや経営の判断材料に使えます。電子カルテとDWHを連携できるか、どの項目を取り出せるかは、製品によって異なります。
データ出力の形式と乗り換え時の移行
電子カルテのデータをどの形式で出力できるかは、将来の乗り換えにも関わります。標準規格やCSV形式でデータを出力すれば、別の製品へデータを移す際の手がかりとして使えます。
ただし、出力できる項目の範囲や、移行の作業を誰が担い、どの程度の費用がかかるかは製品や契約によって異なります。画像やスキャン文書、操作ログまで移せるかどうかも、あわせて確認したい点です。導入時の契約で、契約終了時にどの形式でデータを受け取れるかを確認しておくと、後の移行の負担を見積もりやすくなります。
個人情報の保護と二次利用のルール
電子カルテのデータを診療以外の目的で使う場合は、個人情報保護法をはじめとする関連法令や、院内の規程に沿った取り扱いが必要です。研究や外部への提供では、本人の同意や、個人を特定できないように加工する手続きが求められる場合があります。
院内で分析する場合も、分析に必要な項目だけを取り出し、分析用のデータにアクセスできる職員を限定しましょう。判断に迷う場合は、院内の個人情報保護の担当者や専門家に相談することが大切です。分析の目的や使うデータの範囲を事前に記録しておくと、後から説明を求められた際にも対応できます。
データの出力・連携で比べる電子カルテ一覧
標準規格への対応やデータの出力形式、画像・文書の取り込み方を比べやすいよう、この記事で紹介する電子カルテを一覧にまとめました。
| 製品名 | 特徴 |
|---|---|
| CLIUS (クリアス) | SS-MIX2に対応したクラウド型。クラウドORCAと連携し受付から会計まで効率化 |
| 医師協 Zebra for Karte | 紹介状や同意書を取り込んで管理でき、PACS製品と組み合わせて画像も閲覧可能 |
| モバカルクリニック | 外来向けのクラウド型。オプションでPACSや画像検査機器、心電図と連携できる |
| m-KARTE | 検査支援システムで検査結果データを抽出し、帳票・グラフ・CSVで出力できる |
| MAPs for CLINIC | スキャン画像や患部写真をカルテに添付し、複数の画像を比較して確認できる |
| Medicom-CKⅡ | 中小規模病院向けのWeb型。看護必要度を管理し、ADL区分をエクセルで集計・出力 |
| HOPE LifeMark-TXシリーズ | オンライン資格確認や電子処方箋、HL7 FHIRへの対応を標準搭載した診療所向け製品 |
| HOPELifeMark-MX | 蓄積した情報をデータ抽出基盤から活用でき、研究や教育目的の集計・統計を効率化 |
データ活用や画像連携に強みのある電子カルテ
標準規格への対応やデータの出力、画像・スキャン文書の扱い方に特徴がある製品を紹介します。院内外でデータをどう生かしたいかにあわせて比べてみてください。
CLIUS (クリアス)
- 【無料】WEB予約・問診・在宅・オンライン診療全て追加料金なし
- カルテ入力時間を短縮できるUI・UX。初心者でも使いやすい
- iPadでも使える!訪問診療や院内での持ち運びに役立ちます
株式会社DONUTSが提供する「CLIUS (クリアス)」は、地域医療連携に向けてSS-MIX2に対応したクリニック向けのクラウド型電子カルテです。日本医師会が提供する「クラウドORCA」と連携しており、受付から診療、会計までを一貫して効率化します。Windows・Mac・iPadで利用でき、グループ医院での利用や複数医院をまたがった働き方に対応した機能も標準搭載しています。標準形式でのデータのやり取りを見据えて製品を選びたい場合の候補です。
医師協 Zebra for Karte
- シンプルな画面構成と直感的な操作で誰でも使いやすい電子カルテ
- ORCAと連動!レセプト請求や各帳票類の作成も素早く正確で安心
- 診療報酬改定によるプログラムの更新や新機能の更新も無償で対応
一般社団法人全国医師厚生会が提供する「医師協 Zebra for Karte」は、紙の文書や画像もカルテとあわせて管理したい診療所に向く、ORCA連動型の電子カルテです。紹介状や問診票、手術や検査の同意書を電子カルテに取り込んで管理し、検査結果はオンラインで取り込んで時系列のグラフにできます。同じ提供元の『医師協 Zebra for Cloud PACS』と組み合わせれば、電子カルテ端末から画像の閲覧が可能です。会計済みの診療データを電子カルテ上から参照できる点も特徴です。
モバカルクリニック
- レセコンと連携し、カルテ操作のみで受付・診察会計業務が完結
- 高性能なオーダリング機能によりチーム診療を強力にサポート
- 在宅医療特化の電子カルテ『モバカルネット』との連携も可能
NTTプレシジョンメディシン株式会社が提供する「モバカルクリニック」は、画像検査機器やPACSとのオプション連携を用意した、外来診療向けのクラウド型電子カルテです。レントゲンなどの画像検査機器やPACS、心電図との連携はオプションで追加する形のため、検査画像をカルテとあわせて扱いたい場合は利用範囲を確認しておきましょう。日医標準レセプトソフト「Web ORCA」とは高機能APIで連携し、カルテ操作だけで受付や会計業務が完結します。在宅医療向けの『モバカルネット』とは、検査結果や文書情報を共有できます。
m-KARTE
- 富士通とLSIメディエンスの技術とノウハウを融合
- 診療報酬改定や制度改革にも迅速に対応する万全のサポート
- クラウドを活用したサービスにも対応できる高信頼なシステム構成
株式会社LSIメディエンスが提供する「m-KARTE」は、蓄積した検査データを出力して活用したい診療所に向く電子カルテです。検査支援システム「m-TEST」では、検査依頼のオンライン送信や結果の受信に加え、検査結果データの抽出と帳票・グラフ・CSVでの出力ができます。過去カルテの検索や絞込表示、適応病名チェックDBなど、診療記録を参照しやすくする機能も備えています。診療報酬改定にあわせてマスタ情報の提供を受けられる契約も用意されています。
MAPs for CLINIC
- 初期ライセンス0円!Web予約問診(LINE連携)も追加費用0円!
- 柔軟な入力セット・画面表示カスタマイズで4倍速の高速入力
- ネットワーク障害時は別回線に自動切換。オフラインでも入力可能
株式会社EMシステムズが提供する「MAPs for CLINIC」は、クリニック向けに設計されたクラウド型電子カルテです。デジカメやスマホで撮影した患部写真を主訴・所見欄に添付し、スキャン画像や複数の画像を比較して確認できます。取込画像の表示専用領域も設けられており、画像をカルテと並べて扱う運用に向いています。ネットワーク障害時にも過去カルテを参照できる設計で、レセコンとレセプトチェックソフトも標準搭載しています。
Medicom-CKⅡ
- シンプルで使いやすい操作性。中小規模病院に特化した機能性
- チーム医療に必要な機能を搭載!環境に合わせた使い方を実現
- Web型電子カルテなので、離れた場所でも情報共有が可能
ウィーメックス株式会社が提供する「Medicom-CKⅡ」は、一般・療養型の中小規模病院に向けたWeb型電子カルテシステムです。看護必要度の管理に対応し、ADL区分はエクセルで自動集計・出力できるため、病棟の評価データを集計作業に生かしやすい製品です。患者の病名や治療経過を年表形式で一画面に表示するライフビューを備え、PC・タブレット・スマートフォンから利用できます。帳票やカルテ記載の文例が標準でパッケージ化されています。
HOPE LifeMark-TXシリーズ (富士通株式会社)
- クラウド型/オンプレミス型を選べる柔軟な提供形態。
- オンライン資格確認など、将来の医療DXに対応。
- サブスクで買い替え・コスト不要、継続利用可能。
HOPELifeMark-MX (富士通株式会社)
- 現場の情報活用を推進する使いやすいユーザーインターフェース
- 地域ぐるみのケアを可能にするシステム連携機能
- トータルコストを軽減し、安定稼働する仮想化サーバ―を採用
まとめ
電子カルテのデータベースには、構造化データと自由記載の記録、画像や文書、更新履歴と操作ログが保存されています。標準のコード体系やSS-MIX2、HL7 FHIRといった規格への対応状況は、データ連携や乗り換えのしやすさに関わります。真正性・見読性・保存性を保つ管理とあわせて、データの出力形式や分析ツールとの連携方法も比べながら、自院にあう電子カルテを検討しましょう。

