固定資産管理とは?
まずは固定資産管理についての基本的な情報をまとめていきます。固定資産管理台帳についてしっかりと理解するために、固定資産の管理を知っておきましょう。
固定資産を正確に把握すること
企業活動をしていると、10万円を超える資産を設備投資として購入することがあります。このような固定資産は「償却資産」と呼ばれ、税法に基づいて減価償却をする必要があります。
そこで登場するのが「固定資産管理」です。固定資産管理とは、企業が所有する資産の価値などの情報を集約し、管理する業務です。固定資産の管理は企業の健全運営のために欠かせません。
固定資産管理の具体的な業務内容
ここでは、固定資産管理にかかる具体的な業務内容を大きく4つに分けて解説します。
業務内容①固定資産管理台帳の作成
固定資産管理にかかる業務のうち、最も大切な業務は「固定資産管理台帳」の作成です。固定資産管理台帳は、企業が所有する固定資産の情報を集約するもので、資産の名前、価格や取得年月日、管理部門などの情報を記入します。
業務内容②リース物件管理台帳の作成
企業が所有する設備のなかには、ほかの企業からリース契約しているものもあります。これらについてもリース物件管理台帳を作成し管理しておかなければなりません。リース物件管理台帳には、たとえば以下の情報を登録しておきます。
- ●設備名
- ●リース料金
- ●リース契約番号
- ●リース会社名
- ●リース回数
- ●リース終了日
- ●再リースの有無
- ●リース更新の回答期限
業務内容③各部署の資産購入・破棄状況の把握
企業が所有する資産は必要に応じて買い足しや買い替えが行われます。また各資産は、それを必要とする部署の管理下に置かれますが、必要がなくなれば資産の廃棄、あるいは他部署への移動も生じます。
企業の健全運営のためには資産の動きを把握しておくことが重要で、資産に動きがあれば、各部署から資産の申請書などを提出させるようにして、すべての固定資産・償却資産の状況を把握しておきます。
業務内容④把握した内容を固定資産管理台帳に記入
これまでの過程で収集した固定資産に関する情報を固定資産管理台帳に記入していきます。固定資産台帳への資産情報の記入漏れがあると、税金の過払いや過少申告にもつながるため、しっかりと確認するようにしてください。
固定資産管理台帳とは?
固定資産管理台帳は、企業の所有する土地や不動産、償却資産などの情報を集約・管理する書類です。確定申告の際に必要となる補助簿であるため、固定資産や償却資産を所有している場合には作成する義務が発生します。
固定資産管理台帳の目的
固定資産管理台帳の作成は企業の義務ですが、大きく分けて3つの目的があります。確定申告で損をしないためにも、なぜ固定資産管理台帳を作成する必要があるのかを理解しておきましょう。
目的①会計処理目的
確定申告の際に必ず作成することになる貸借対照表や損益計算書には、具体的な設備の価格や減価償却費の内訳は記載されません。設備投資にかかる企業の財政状況の根拠を示し、クリアな運営であることを証明するために、固定資産管理台帳が必要となります。
目的②税務処理目的
税金計算にかかる控除のうち、減価償却費が正しく計算されているかを税務調査で証明するために、固定資産管理台帳が必要となります。
目的③資産管理目的
企業の所有する資産がどこにどれだけあるかという情報を集約するために、固定資産管理台帳を作成します。資産の増減など情報を把握しておくことで、節税につながる場合もあります。
また土地や建物といった動かせない資産に関しては、毎年実地調査(実地棚卸)を行う必要があるのですが、所在地の確認や不正に使用、売却されていないかを確かめる際にも、固定資産管理台帳を活用します。
固定資産管理台帳の作成手順
ここでは、固定資産管理台帳の具体的な作成手順をご紹介します。確定申告の時期になって困らないためにも、必要な情報を確認するようにしてください。
①帳簿に記載するべき事項を決める
固定資産管理台帳には決まったフォーマットがありません。そのため、台帳に記入する項目を決めておく必要があります。台帳に記入する項目としては、以下の情報が挙げられます。
- ●資産名
- ●固定資産番号
- ●資産の区分
- ●取得年月日
- ●管理部門
- ●償却率
- ●耐用年数
- ●償却方法
- ●個数
- ●備考
ここに挙げた情報のうち、資産の区分、償却率、耐用年数に関しては税法で細かく定められています。国税庁が提供している耐用年数表を参考にして記入するのはもちろんのこと、記帳した内容に変更があれば、速やかに変更するようにしてください。
参考URL:耐用年数表|国税庁
②エクセルまたは会計システムで作成する
固定資産管理台帳は、エクセルや会計ソフトなどのツールを利用して作成することが可能です。ここでは、固定資産管理台帳をエクセルや会計ソフトで作成する方法をご紹介します。
エクセルで作成する場合
固定資産管理台帳に必ず記入しなければならない項目はないため、エクセルで作成する場合には、自由なフォーマットで作成することが可能です。エクセルで作成する際には、まず行・列どちらかに手順①で決めた記帳事項を登録し、もう一方に固定資産を番号順に記入していきます。
とはいえ、エクセルで作成する場合には入力がすべて手作業になってしまうので、エクセル入力が得意だという人でない限りは、多少の手間と時間がどうしてもかかってしまうという点には注意してください。
なおインターネット上では、固定資産管理台帳のテンプレートを無料配信しているサイトもあります。ぜひ検索してみてください。
固定資産管理システムで作成する場合
エクセルが苦手な場合や、エクセルでの記帳よりもさらに効率的に固定資産管理台帳を作成したいという場合には、固定資産管理システムを利用するとよいでしょう。
固定資産管理システムでは、帳簿に記入する際に固定資産として登録するだけで、自動的に減価償却費の計算まで完了します。登録した情報は固定資産管理台帳以外の帳簿にも登録されるため、帳簿すべてに登録する手間が省けて便利です。
ただし台帳に登録する事項はすでに決まっているため、場合によっては記入する必要のない項目があるかもしれません。
▼固定資産管理システムとは
参考記事:固定資産管理システムを比較!選定ポイントもご紹介
固定資産管理台帳を効率的に作成し、業務改善につなげよう!
この記事では固定資産管理台帳について、作成の意味と目的を解説するとともに、固定資産管理業務や固定資産管理台帳作成の手順をまとめました。
固定資産管理台帳はエクセルや会計ソフトを活用して作成すると便利です。ただし、前者は入力の手間が削減できない部分が存在し、後者は利用料金が発生するデメリットがあります。そのため、手間と予算の要素を天秤にかけ、自社にあった作成方法を検討しましょう。