パソコンに固定資産税はかかるのか
固定資産税がかかるのは、土地・建物・償却資産の3種類です。このうち、パソコンは償却資産に該当するため、固定資産税がかかります。資産計上されれば、毎年1.4%の税率で固定資産税を支払わなければなりません。たとえば課税評価額が300万円のパソコンは42,000円の納税が必要です。
ただし、固定資産税が適用されるのは課税評価額が150万円以上の場合です。そのため小規模な投資だと、固定資産税を支払わなくてよいケースも多いです。また、費用計上された場合も、固定資産税を支払う必要はありません。
固定資産税を支払わなくてよいケースでも、会計処理は金額別に異なります。そのため金額の大小にかかわらず、経理担当者は慎重に業務を行わなくてはなりません。

取得価額別!パソコンの処理方法
金額別の仕訳処理の方法を説明します。
1.取得価額を計算する
耐用年数に応じて減価償却する場合、取得価額の把握が不可欠です。そのためまずは、パソコンの取得価額を計算しましょう。 取得価額とは、固定資産を取得するために要した費用の合計です。本体価格のほかに「付随費用」も含まれます。パソコンの場合、付随費用となるのは、付属品・購入手数料・配送料・増設メモリ・モニターなどです。
付随費用について詳しく知りたい方のために、国税庁のホームページを紹介します。
参考:減価償却資産の取得価額に含めないことができる付随費用|国税庁
取得価額は、一般的に1単位として取引される、その単位ごとに設定します。そのため10万円のパソコンを30台、計300万円購入した場合でも、1単位の取得価額は10万円となります。ただし複数台を用いて1つの環境を構築する場合は、環境ごとに必要な台数を1単位と考えます。たとえば5台で1つのマイニング環境を構築する場合、1単位の取得価額は50万円です。
実務では取得価額を税込・税抜で記帳しますが、特に決まりはないので、会社のルールに従ってください。
消費税等の経理処理方式に応じた判定方法については以下の国税庁のサイトで詳しく紹介されています。
2.取得価額の金額によって処理方法を決める
パソコンは、取得価額がいくらかによって処理方法が異なります。
10万円未満:消耗品として費用計上する
取得価額が10万円未満のパソコンは、「消耗品」という勘定項目を使い費用計上します。10万円以下のものも償却資産と認めると、会計処理が煩雑化するためです。10万円近い物品を消耗品扱いするのは違和感がありますが、この場合、会計上では消しゴムやコピー用紙などと同じように扱います。
10~20万円未満:一括償却資産として均等償却する
取得価額が10万円以上になると償却資産として扱います。10~20万円未満のパソコンは、通常の減価償却も可能ですが、一括償却資産として処理するのが一般的です。一括償却資産は、耐用年数に関わらず3年間での均等償却ができ、また固定資産税がかかりません。
なお、中小企業を対象に2024年3月31日までの時限措置として、10~30万円未満の資産には少額減価償却資産の特例が設けられています。これを適用すれば、年間300万円までの費用を経費として処理できます。
参考:中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例|国税庁
20~30万円未満:「少額減価償却資産の特例」を適用する
20~30万円未満のパソコンは、前述した少額減価償却資産の特例を適用するか、耐用年数によって減価償却するかの2パターンですが、現状は前者を利用するケースが多いです。どちらの場合も、課税標準額の合計が150万円以上になると固定資産税の支払いが必要です。
30万円以上:耐用年数に応じて減価償却する
30万円以上のパソコンは、耐用年数によって減価償却します。均等償却や少額減価償却資産の特例などは利用できません。課税標準額の合計150万円以上で、固定資産税がかかります。
固定資産管理システムを活用すると、償却資産税申告書などが自動で作成できるなど効率化が可能です。以下の記事では固定資産管理システムの機能や人気の製品ついて詳しく解説しています。
パソコンの仕訳処理を行うときの留意点
決算時点で事業用として使用していないパソコンは、償却資産とはいえないため、均等償却や通常の減価償却処理を行えません。実際に使用している期間がないと、減価償却できないからです。この場合、取得価格が30万円未満であっても、経費として処理できないので注意しましょう。
使用していないパソコンは「建設仮勘定」という勘定科目で会計処理します。一見パソコンと関係なさそうな名前になっているのは、償却資産と区別するためです。
固定資産について理解して正しく管理を!
事業用のパソコンは固定資産なので、金額別の会計処理が必要です。金額ごとの管理が必要になるため、誤った処理にならないよう注意をしましょう。
なお、事業用に使用していないパソコンは経費として処理できないので注意が必要です。
こういった手続きを円滑にミスなく行うには固定資産管理システムが便利です。まずはメリット確認や製品比較のために資料請求をしてみましょう。
