1月の償却資産の申告に向けて今やること
事業で使うパソコンは、毎年1月1日時点で持っている分を、1月に償却資産として申告する必要があります。年明けに慌てないよう、次の順で準備を進めましょう。
- ●1月1日時点で持っているパソコンを、取得年月・取得価額とあわせて洗い出す
- ●申告の対象になるかを、取得価額と経理の処理方法で分ける
- ●申告する資産の評価額の合計が、免税点の150万円未満かを確かめる
- ●申告先の自治体の案内で、提出期限を確かめる
- ●電子申告(eLTAX)か、郵送・窓口のどれで出すかを決める
10万円未満で全額を経費にしたパソコンと、20万円未満で3年の一括償却にしたパソコンは、申告の対象外です。一方、中小企業者等の特例で全額を経費にしたパソコンは、申告の対象になります。
申告の期限は、毎年1月31日です。2027年は1月31日が日曜日のため、翌日の2月1日(月)を期限とする自治体があります。申告先の自治体の案内で、期限を必ず確かめましょう。
償却資産の申告は、電子申告(eLTAX)にも対応しています。インターネットを使い、オフィスなどから手続きができます。
参考:償却資産の申告|太田市
パソコンに固定資産税はかかるのか
結論から言うと、事業用として使用するパソコンは、原則として固定資産税(償却資産税)の課税対象となります。
ただし、すべてのパソコンに税金がかかるわけではありません。10万円未満で全額を経費にしたものと、20万円未満で一括償却にしたものは、償却資産税の対象外です。中小企業者等の特例で全額を経費にしたものは対象になります。
また、所有している償却資産の合計額が一定未満(免税点)であれば課税されません。なお、事業に使わない私用のパソコンは、償却資産にあたりません。
「法人税・所得税上の経費処理(損金算入)」と「地方税上の償却資産税」は、判断基準が異なる部分があるため注意が必要です。
【金額別】パソコンの勘定科目と処理方法
パソコンの経費処理は、基本的に「取得価額」によって決まります。まずは正しい金額を把握し、適切な処理を選択しましょう。
1.取得価額を計算する
取得価額とは、パソコン本体の価格だけでなく、購入にかかった付随費用を含めた合計金額のことです。送料や手数料、セットアップ費用なども取得価額に含まれるため、これらを合算して判定する必要があります。
2.取得価額の金額によって処理方法を決める
パソコンは、取得価額がいくらかによって処理方法が異なります。
10万円未満:消耗品費として全額経費処理
取得価額が10万円未満のパソコンは、「消耗品費」として処理できます。購入した年度に全額を経費(損金)として計上できるため、会計処理がシンプルです。
また、消耗品費として全額を経費にしたパソコンは、償却資産税の課税対象外となります。
10万円以上20万円未満:一括償却資産の活用
取得価額が10万円以上20万円未満の場合は、「一括償却資産」として処理することが可能です。これは、個別の耐用年数に関係なく、3年間で均等に減価償却を行う方法です。
一括償却資産として処理する最大のメリットは、償却資産税の対象外になることです。通常の固定資産として計上するよりも税負担を抑えられるため、この価格帯のパソコンではよく利用されます。
10万円以上40万円未満:少額減価償却資産の特例(中小企業者等)
青色申告を行っている中小企業者等であれば、「少額減価償却資産の特例」を利用できます。取得価額が40万円未満のパソコンなら、年間合計300万円まで購入年度に全額を経費にできます。
40万円未満の基準は、2026年4月1日以後に取得したパソコンが対象です。2026年3月31日以前に取得したものは、30万円未満で判定します。
法人の場合、常時使用する従業員の数は400人以下(一部の法人は300人以下)が条件です。2026年3月31日以前の取得では、500人以下が条件でした。特例は、2029年3月31日までに取得したものが対象です。
ただし注意が必要なのは、この特例を使って全額経費にした場合でも、償却資産税の課税対象にはなるという点です。法人税等の節税にはなりますが、固定資産税の申告は必要であることを忘れないようにしましょう。
参考:中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例|国税庁
40万円以上:固定資産として減価償却
取得価額が40万円以上のパソコン、または特例を使わない場合は、通常の「固定資産(器具備品)」として資産計上します。2026年3月31日以前に取得したパソコンは、30万円以上がこの扱いになります。パソコンの法定耐用年数(サーバー用以外は通常4年)に基づいて、減価償却を行います。
この場合は当然、償却資産税の課税対象となります。
ここまでの内容をまとめると、以下の表のようになります。
| 取得価額 (2026年3月31日以前の取得) | 取得価額 (2026年4月1日以後の取得) | 処理方法 | 勘定科目(例) | 償却資産税 |
|---|---|---|---|---|
| 10万円未満 | 10万円未満 | 全額を費用計上 | 消耗品費 | 対象外 |
| 10万円以上 20万円未満 | 10万円以上 20万円未満 | 一括償却資産として 3年で均等償却 | 一括償却資産 | 対象外 |
| 10万円以上 30万円未満 | 10万円以上 40万円未満 | 少額減価償却資産の特例を適用し 全額費用計上(※中小企業者等のみ) | 消耗品費、雑費など | 対象 |
| 30万円以上 | 40万円以上 | 固定資産として 法定耐用年数で減価償却 | 器具備品 | 対象 |
このように、金額によって「3年償却」「4年償却」「即時償却」が混在し、さらに償却資産税の有無も変わるため、Excel等での手動管理はミスが起きやすくなります。台帳管理と税務申告を効率化するには、専用システムの活用も検討するとよいでしょう。
【ケース別】パソコン購入時の具体的な仕訳例
ここでは、具体的な金額を例に挙げて、仕訳の方法を紹介します。
10万円未満:消耗品費(全額経費)
9万円のパソコンを現金で購入した場合の仕訳です。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 消耗品費 | 90,000円 | 現金 | 90,000円 |
10万円~20万円未満:一括償却資産(3年均等)
15万円のパソコンを購入し、一括償却資産として処理する場合の仕訳です。決算時に償却費を計上します。
購入時:
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 一括償却資産 | 150,000円 | 現金 | 150,000円 |
決算時(1年分):
150,000円 ÷ 3年 = 50,000円
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 減価償却費 | 50,000円 | 一括償却資産 | 50,000円 |
10万円~40万円未満:少額減価償却資産の特例(全額経費)
2026年5月に35万円のパソコンを購入し、中小企業者等の特例を使って全額経費にする場合です。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 消耗品費 | 350,000円 | 現金 | 350,000円 |
※勘定科目は「器具備品」として計上し、即時償却することもあります。
※2026年3月31日以前に取得したパソコンは、30万円未満が特例の対象です。
40万円以上:器具備品(法定耐用年数で償却)
45万円のパソコンを購入し、資産計上する場合です。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 器具備品 | 450,000円 | 現金 | 450,000円 |
決算時には、法定耐用年数(4年など)に応じた減価償却費を計上します。
知っておきたいパソコン経費処理の注意点
パソコンを経費処理する際には、取得価額の判定など、いくつか注意すべき点があります。間違いやすいポイントを事前に確認しておきましょう。
償却資産税の免税点(150万円)に注意
前述の通り、パソコンは原則として償却資産税の対象ですが、同一区内(市町村等)に所有する償却資産の課税標準額の合計が150万円未満の場合は課税されません(免税点)。
つまり、償却資産税の対象となるパソコンを購入しても、会社全体の償却資産が少なければ税金がかからないケースがあります。
なお、中小企業者等の特例で全額を経費にしたパソコンも、償却資産の申告には含める必要があります。法人税の処理と同じ扱いにしないよう注意しましょう。
取得価額には「付随費用」も含まれる
パソコンの取得価額には、本体価格だけでなく、購入に際してかかった送料や手数料、初期設定費用などの付随費用も含まれます。例えば、本体価格が9万8,000円でも、送料が3,000円かかった場合、取得価額は10万1,000円となり、10万円以上の資産として扱われるため注意が必要です。
モニター・周辺機器やソフトの扱い
モニターやキーボード、マウスなどの周辺機器をパソコン本体と同時に購入し、セットで事業に使う場合は、原則としてパソコン本体の取得価額に含めて判断します。一方で、周辺機器が単独でも使用でき、パソコン本体とは独立した資産として管理している場合には、別資産として処理することもあります。どちらに該当するかは、使用実態や管理方法によって判断されます。
ソフトウェアについても同様に、OSや業務に必須のソフトがあらかじめ組み込まれており、そのソフトがなければパソコンとして機能しない場合には、取得価額に含めて処理するのが一般的です。一方で、後から別途購入したソフトウェアで、パソコン本体とは独立して利用できるものについては、無形固定資産や経費として別途処理するのが通常です。
消費税の「税込・税抜」判定基準
取得価額が10万円以上かどうかを判断する際、消費税を税込で処理するか、税抜で処理するかは、自社が採用している経理方式によって決まります。税抜経理方式を採用している場合は税抜価格で、税込経理方式を採用している場合は税込価格で判断します。例えば、税抜9万8,000円(税込10万7,800円)のパソコンは、税抜経理なら10万円未満、税込経理なら10万円以上となります。
中古パソコンの耐用年数計算
中古のパソコンを購入した場合は、新品の法定耐用年数(4年)ではなく、その資産を事業で使用できると見積もられる期間を耐用年数として減価償却を行います。
見積もりが難しい場合は、簡便法を使えます。法定耐用年数の一部を経過したものは「(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×20%」で求めます。全部を経過したものは、法定耐用年数×20%です。
計算結果の1年未満の端数は切り捨て、2年に満たない場合は2年とします。例えば、2年を経過した中古パソコンは(4年-2年)+2年×20%=2.4年で、耐用年数は2年です。
パソコン管理に悩む企業は固定資産管理システムがおすすめ
パソコンや周辺機器などのIT資産は、取得価額や取得日によって会計処理や税務対応が異なるため、管理が煩雑になりがちです。特に台数が増えるほど、Excelなどの手作業での台帳管理ではミスや漏れが発生しやすくなります。
毎年1月の償却資産の申告に向けて、対象の資産を集計する作業も負担です。特例で経費にしたパソコンを申告から漏らすなど、手作業ならではのミスも起こりがちです。
こうした課題を解決する手段として、有効なのが固定資産管理システムです。資産情報の一元管理から減価償却、償却資産税の対応までを効率化でき、経理・総務担当者の負担軽減につながります。
固定資産管理システムを活用すると、償却資産税申告書などが自動で作成できるなど効率化が可能です。以下の記事では固定資産管理システムの機能や人気の製品について詳しく解説しています。
固定資産管理システムでできること
固定資産管理システムを導入することで、これまで手作業で行っていた資産管理や税務対応を自動化・効率化できます。パソコンのように取得価額ごとに処理が分かれる資産でも、正確かつスムーズに管理できる点が大きな特徴です。
- ●取得価額や耐用年数に応じた減価償却費の自動計算
- ●償却資産税の対象判定および申告書作成の効率化
- ●パソコンや周辺機器を含む固定資産台帳の一元管理
- ●資産の移動・除却・更新履歴の管理
- ●税制改正への対応(最新ルールでの処理)
これらの機能により、複雑な処理を手作業で行う必要がなくなり、人的ミスの防止にもつながります。
こんな悩みをお持ちの方におすすめです
以下のような課題を感じている場合は、システム導入を検討する価値があります。
- ●パソコンの取得価額ごとの処理を毎回確認するのが手間
- ●Excelで管理しており、更新漏れや入力ミスが発生している
- ●減価償却費や償却資産税の計算に時間がかかる
- ●資産の所在や利用状況を正確に把握できていない
- ●決算・申告時に対象資産の確認作業が負担になっている
「どんな観点で選べばいいかわからない」という方向けの診断ページもあります。
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パソコンの固定資産税に関するよくある質問
- Q:パソコンはいくらから固定資産になりますか?
- 取得価額が10万円以上のパソコンは、原則として固定資産です。ただし、20万円未満なら一括償却資産にできます。中小企業者等なら、2026年4月1日以後の取得は40万円未満まで特例で全額を経費にできます。
- Q:社用パソコンは固定資産税の対象になりますか?
- 事業用のパソコンは、償却資産として固定資産税の対象です。ただし、10万円未満で全額を経費にしたものと、20万円未満で一括償却にしたものは対象外です。私用のパソコンは対象になりません。
- Q:償却資産の申告期限はいつですか?
- 毎年1月31日です。2027年は1月31日が日曜日のため、2月1日(月)を期限とする自治体があります。申告先の自治体の案内で確かめましょう。
- Q:2026年4月以後に買った35万円のパソコンは経費にできますか?
- 青色申告の中小企業者等であれば、少額減価償却資産の特例で全額を経費にできます。2026年4月1日以後の取得は、40万円未満が対象です。ただし、償却資産の申告には含める必要があります。
固定資産について理解して正しく管理を!
事業用のパソコンは、取得価額によっては固定資産となるため、金額別の会計処理が必要です。金額ごとの管理が必要になるため、誤った処理にならないよう注意をしましょう。
なお、事業用に使用していないパソコンは原則として経費計上できないので注意が必要です。
こういった手続きを円滑にミスなく行うには固定資産管理システムが便利です。まずはメリット確認や製品比較のために資料請求をしてみましょう。


