資産管理とは
企業が持つ資産は2種類に分けられます。それぞれ見ていきましょう。
流動資産:1年以内に換金可能な資産
流動資産とは、営業によって発生し、基本的には1年以内に現金化できる資産のことです。ただし、現金化に1年以上かかってもそれが通常の状態なのであれば流動資産と見なします。
流動資産には以下の3種類があります。
- 【当座資産】
- 現金あるいは短期間で現金化可能な資産です。預金・受取手形・売掛金・有価証券などが該当します。
- 【棚卸資産】
- 在庫のことです。販売によって現金化できます。ただし、当座資産と違って多ければよいというものではありません。売れる見込みがなければ現金化できず、むしろ企業にとって重荷となります。
- 【その他流動資産】
- 上記の2つに当てはまらないものです。短期貸付金や未収金などが該当します。
固定資産:長期にわたり保有する資産
固定資産とは、企業が長期にわたって保有・使用する資産のことです。長期間とは基本的に1年以上を言い、1年未満で使いきるものは固定資産ではなく消耗品費として扱います。
固定資産には以下の3種類があります。
- 【有形固定資産】
- 土地や車両、建築物のほか、パソコンやスマートフォン、サーバ、ネットワーク機器などのIT資産も該当します。
- 【無形固定資産】
- 特許権や借地権、営業権といった法律上の権利のことです。
- 【投資その他の資産】
- 上記の2つに当てはまらないものです。投資有価証券や長期貸付金などが該当します。
資産管理の必要性
資産管理はなぜ必要なのでしょうか。IT資産にフォーカスして見ていきましょう。
コンプライアンスの遵守
資産を適切に管理していないとコンプライアンス違反が生じるおそれがあります。特に、ソフトウェアのライセンス違反はよくある例です。たとえば、契約で認められている台数以上のパソコンにソフトウェアをインストールすると著作物の無断複製に該当します。
多くのベンダーは、ユーザー企業のコンプライアンス違反を防ぐため、監査を実施しています。ベンダーのサービスを利用している以上、この監査は避けられません。そして、監査によってコンプライアンス違反が見つかると、ユーザー企業にとって大きな損失となります。
まず、ベンダーからの信頼を失います。そのソフトウェアの使用継続が困難になるかもしれません。また、訴訟されるリスクもあります。著作権法違反として非常に厳しい懲役や罰金を科されることがあるため注意が必要です。
セキュアな環境の構築
適切に管理されていないIT資産はセキュリティの観点から見ると危険です。
たとえば、セキュリティ対策として自社のすべてのパソコンにセキュリティソフトを導入する場合を考えてみましょう。しかし、そもそも資産管理をしておらず自社にパソコンが何台あるのか把握していない状態では、そのすべてにソフトを導入することは不可能です。
また、導入できたとしてもそのパソコンを誰が扱うのか分からなければ、アップデートなどに対応できません。気づかない間にセキュリティ上の欠陥を抱え、そこを攻撃者に狙われるリスクがあります。自社が持っているIT資産は、すべて攻撃者のターゲットになり得ることを理解しておかなければなりません。
資産管理の方法
適切な資産管理を行い、上述したリスクを避けるにはどうすれば良いのでしょうか。
固定資産管理システムを導入する
固定資産の台帳をエクセルで作成し、管理している企業も多いでしょう。しかし、エクセルでの管理は不自由です。複数人が同時に使えないうえ、どのファイルが最新なのか把握するだけでも大変です。特に複数の拠点における資産をまとめて管理するのは非常に難しいと言えます。
一方、固定資産管理システムがあればそれらの問題は解決します。基本的にクラウド型サービスであるため、ユーザーは時間や場所、人数を問わずに利用可能です。全拠点の情報を集約できます。
また、他システムとの連携や監査ログ、減価償却など、利便性やセキュリティ性を高める機能も豊富に備わっています。エクセルでの管理と比べて大幅に効率化するでしょう。
IT資産管理ツールを導入する
IT資産管理ツールとは、その名のとおりIT資産の管理に特化したITツールです。前述したIT機器に関するコンプライアンス遵守やセキュリティのリスクを避けるうえで有効です。
たとえば、ソフトウェアやアプリのライセンスに関する情報を詳細に管理できます。契約年月日や人数、契約期限切れまでの残り日数、ソフトの更新情報などをすべてツール上で管理可能です。これなら、ライセンス違反や、期限が残っているのに誤って新しくライセンスを購入する損失などを避けられます。
また、自社のIT機器と連携させ、それらを直接管理することも可能です。たとえば、ツール側からOSのアップデートを指示する機能があります。これなら一台ずつ対応しなくて良いうえ、アップデートを社員任せにせずに済むためセキュリティ対策として有効です。
資産管理について理解し、上手に運用しよう!
資産管理とは自社の資産を管理することです。資産は以下の2種類に分けられます。
資産管理を行わないと、コンプライアンス違反やセキュリティリスクの上昇といった問題が生じます。これらを避けるための方法は以下のとおりです。
- ■固定資産管理システムを使う
- ■IT資産管理ツールを使う
以上を踏まえて適切に資産管理を行いましょう。