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労働者名簿とは?記載項目・保存期間・作成義務をわかりやすく解説

労働者名簿とは?記載項目・保存期間・作成義務をわかりやすく解説

労働者名簿は、労働基準法第107条で作成が義務づけられた帳簿であり、賃金台帳・出勤簿とあわせて法定三帳簿と呼ばれます。氏名や生年月日など9つの事項を事業場ごとに記録し、退職や死亡の日から原則5年間(当分の間は3年間)保存しなければなりません。作成を怠ると罰則の対象になり得るため、正確な運用が欠かせません。本記事では、記載事項や様式第19号の書き方、保存期間の起算日、電子データでの管理方法までを整理して解説します。

この記事は2026年9月時点の情報に基づいて編集しています。
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目次

    労働者名簿とは?法律上の位置づけ

    労働者名簿は、企業が任意で作る社員リストではなく、法律で作成と保存が義務づけられた公式の帳簿です。まずは根拠となる条文と、どの従業員が対象になるのか、そして作成を怠ったときにどのような責任が生じるのかを確認しておきましょう。

    労働基準法第107条が定める作成義務

    労働者名簿は、労働基準法第107条により、使用者が各事業場ごとに調製しなければならないと定められた帳簿です。ここでいう「調製」とは、必要な事項を記入した名簿を作成し、整えておくことを指します。会社単位ではなく事業場単位である点が重要で、本社のほかに支店や営業所、工場があれば、それぞれの事業場で働く従業員について名簿を用意する必要があります。

    また同条では、記載した事項に変更があった場合、使用者は遅滞なく訂正しなければならないとされています。住所変更や部署異動があったまま古い情報を放置していると、名簿を備えていても義務を果たしたとは言えません。入社時に一度作って終わりにせず、人事情報の変更にあわせて更新し続ける運用が求められます。

    作成対象となる労働者と対象外となる人

    労働者名簿の対象は、雇用形態を問わずその事業場で雇用しているすべての労働者です。正社員だけでなく、パートタイマーやアルバイト、契約社員、嘱託社員も含まれます。一方、労働基準法第107条の条文上、日々雇い入れられる労働者は対象から除かれています。ただし実態として雇用が継続している場合は日々雇い入れられる者に当たらないと考えられ、短期の雇用でも実態の確認が必要です。

    また、会社と委任関係にある役員や、業務委託契約で働く個人事業主は労働者にあたらないため、原則として対象外です。派遣社員については、雇用主である派遣元が名簿を作成します。派遣先は労働者派遣法で別に定められた派遣先管理台帳を整える立場となるため、受け入れ側で労働者名簿を作る必要はありません。

    作成を怠った場合に生じる責任

    労働者名簿を作成していない、あるいは必要な事項が記入されていない状態は、労働基準法違反にあたります。同法第120条では、第107条に違反した使用者は30万円以下の罰金に処すると定められています。労働基準監督署の臨検監督では、同法第101条に基づき帳簿書類の提出を求められることがあり、不備があれば是正勧告の対象となります。是正勧告を受けた場合は、改善のうえ報告を求められます。

    罰則以外の実務上のリスクも見逃せません。名簿が整っていないと、助成金の申請や社会保険の手続き、労使トラブルが起きた際の事実確認で必要な情報をすぐに示せず、対応が遅れます。従業員が増えるほど紙やファイルの管理は煩雑になるため、早い段階で管理方法を整えておくと負担軽減につながります。

    労働者名簿に記載する項目と書き方

    労働者名簿には、法律と省令で記入すべき事項が具体的に定められています。ここでは9つの記載事項の中身と、厚生労働省が示す様式第19号を使った書き方、さらに記載を避けたほうがよい情報について確認します。

    労働基準法施行規則で定められた9つの記載事項

    記載事項は、労働基準法第107条が定める「氏名」「生年月日」「履歴」の3つと、労働基準法施行規則第53条が定める6つを合わせた9項目です。省令側の6項目は、性別、住所、従事する業務の種類、雇入れの年月日、退職の年月日およびその事由(解雇の場合はその理由を含む)、死亡の年月日およびその原因を指します。

    このうち「従事する業務の種類」については、常時30人未満の労働者を使用する事業では記入が不要とされています。「履歴」の範囲は条文で細かく定義されていないため、社内での異動歴や昇進歴、担当業務の変遷などを記録する方法がとられます。入社前の職歴まで詳細に書く義務はなく、自社での経歴を整理して残せば足りると考えられます。

    様式第19号の書き方と記載時の注意点

    労働者名簿には、労働基準法施行規則で様式第19号が定められており、厚生労働省や各労働局のサイトから書式を入手できます。ただし、必要な記載事項がすべて含まれていれば、自社で作成した書式や人事システムの管理画面で代替しても差し支えありません。従業員一人につき一枚を作成し、事業場ごとにまとめて保管するのが基本の形です。

    記入の際は、退職時の取り扱いに注意が必要です。退職の年月日だけでなく事由まで記録し、解雇であればその理由も残します。マイナンバーは法定の記載事項ではなく、番号法により利用できる場面が限定されているため、名簿本体には記載せず別管理とする運用が安全です。健康情報や家族構成なども、必要性を確かめたうえで扱いを決めましょう。

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    労働者名簿の保存期間と起算日

    作成した労働者名簿は、退職後も一定期間の保存が求められます。保存期間は法改正で見直されており、現在は経過措置が適用されている点に注意が必要です。期間の長さと、いつから数え始めるのかを正しく押さえましょう。

    保存期間は原則5年、当分の間は3年

    労働基準法第109条は、労働者名簿や賃金台帳、雇入れ・解雇・災害補償・賃金に関する重要書類を5年間保存しなければならないと定めています。ただし、同法の附則により「当分の間」は3年間とする経過措置が設けられており、実務上は3年間の保存で義務を満たす状態が続いています。この経過措置は将来的に見直される可能性があります。

    そのため、社内規程では3年ではなく5年を基準に運用しておくと、制度が変わったときにも慌てずに済みます。保存期間を過ぎた名簿には従業員の個人情報が含まれるため、そのまま放置せず、廃棄の基準と手順を定めておくことも重要です。保存と廃棄の両方をルール化しておくと、情報管理の観点でも安心できます。

    起算日は退職・解雇・死亡の日

    保存期間の数え方は帳簿ごとに異なり、労働基準法施行規則第56条で起算日が定められています。労働者名簿の場合は、その労働者が死亡し、退職し、または解雇された日が起算日です。在職中の従業員については保存期間の考え方が問題にならず、雇用関係が終わった時点から期間のカウントが始まると理解すると分かりやすいでしょう。

    一方、賃金台帳は最後の記入をした日、雇入れや退職に関する書類は労働者の退職または死亡の日が起算点です。同じ従業員に関する書類でも起算日がそろわない場合があるため、退職者ごとに関連書類をまとめ、廃棄可能となる時期を一覧で管理しておくと、誤って早く処分してしまう事故を防げます。

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    法定三帳簿としての労働者名簿

    労働者名簿は単独で存在するものではなく、賃金台帳・出勤簿と合わせて法定三帳簿と呼ばれます。監督署の調査ではこの3点セットで確認されるため、それぞれの役割と記載内容の違いを整理しておきましょう。

    賃金台帳に記載する項目と保存の考え方

    賃金台帳は労働基準法第108条で作成が義務づけられた帳簿で、事業場ごとに賃金の支払い状況を記録します。労働基準法施行規則第54条により、氏名、性別、賃金計算期間、労働日数、労働時間数、時間外労働・休日労働・深夜労働の時間数、基本給や手当など賃金の種類ごとの額、賃金の一部を控除した場合はその額を記入します。

    労働者名簿が「誰を雇っているか」を示すのに対し、賃金台帳は「いくら、どのような計算で支払ったか」を示す帳簿です。給与明細と内容は近いものの、明細の控えを保管するだけでは記載事項を満たさない場合があります。給与計算システムから出力できる形式が法定項目を網羅しているか、一度確認しておくとよいでしょう。

    出勤簿など労働時間の記録の扱い

    出勤簿は、労働基準法に「出勤簿」という名称で直接定められた帳簿ではありませんが、労働時間や休日、時間外労働の実績を示す労働関係の重要書類として保存対象になると解されています。厚生労働省が示す労働時間の適正な把握のためのガイドラインでも、始業・終業時刻を客観的な記録で確認することが求められています。

    記録方法としては、タイムカードやICカード、勤怠管理システムのログなど、客観性のある方法が推奨されます。自己申告だけに頼ると、実態との差が生じたときに説明が難しくなります。三帳簿は相互に整合していることが望ましく、名簿の入退社日と勤怠・賃金の記録が食い違わないよう、同じ人事データを起点に管理する体制が有効です。

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    労働者名簿の管理を効率化する方法

    従業員数が増えたり拠点が分かれたりすると、紙やファイルでの管理は限界を迎えます。ここでは電子データによる作成・保存が認められる条件と、システムで一元管理する場合の考え方を確認します。

    電子データでの作成・保存は可能か

    労働者名簿は、一定の要件を満たせば電子データで調製・保存できると行政解釈で示されています。厚生労働省が示す要件は、法定の記載事項を備え、画面に表示し印字できることです。加えて、労働基準監督官の臨検時に直ちに必要事項が明らかにされ提出できること、誤って消去されないこと、長期にわたって保存できることが挙げられています。

    電子化により、事業場が離れていても本社でまとめて更新でき、記載事項の変更にも素早く対応できます。一方で、個人情報を含むデータであることに変わりはないため、アクセス権限の設定やバックアップ、操作履歴の記録といった安全管理措置を整えることが前提となります。

    労務管理システムで一元管理するメリット

    労務管理システムを使うと、入社手続きで集めた情報がそのまま名簿の項目に反映され、二重入力の手間を減らせます。住所や氏名の変更を従業員本人が申請し、承認と同時に名簿へ反映される仕組みを備えた製品もあります。社会保険や雇用保険の手続きと同じデータを使えるため、書類ごとの転記ミスも起こりにくくなります。

    導入を検討する際は、法定三帳簿に必要な項目を保持できるか、事業場単位で出力できるか、退職者データを保存期間中に維持できるかといった観点で比較すると選びやすくなります。勤怠管理や給与計算との連携範囲、既存システムからのデータ移行のしやすさもあわせて確認し、自社の規模と運用にあう製品を選びましょう。

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    労働者名簿の作成・更新に役立つ製品

    従業員情報を一元管理でき、氏名や住所の変更、入退社の記録を人事データと連動して扱える労務管理システムを取り上げます。電子申請や帳票作成への対応も基準にしています。

    SmartHR

    株式会社SmartHR
    《SmartHR》のPOINT
    1. あらゆる労務業務をミスなく、 カンタンにペーパレス化
    2. すべての従業員にとって 使いやすく コミュニケーションが効率化
    3. あらゆるシーンで自然にデータが集まる・蓄まる

    株式会社SmartHRが提供する「SmartHR」は、従業員情報の管理と労務手続きをオンラインで行えるクラウド型の労務管理システムです。入社手続きや住所・氏名の変更といった手続きを通じて従業員データベースが更新される仕組みで、最新の情報を一元管理できます。社会保険や雇用保険のe-Gov電子申請、マイナンバー管理、年末調整に対応し、給与明細などの帳票をペーパーレス化できます。勤怠管理や給与計算の機能も備えており、人事データを起点に労務業務を進めたい企業に向いています。

    オフィスステーション

    株式会社エフアンドエム
    《オフィスステーション》のPOINT
    1. 労務管理クラウドシェアNo.1の豊富な導入実績
    2. 初心者でも迷わず使えるシンプルな操作設計
    3. 人事労務業務をまるごと効率化

    株式会社エフアンドエムが提供する「オフィスステーション」は、労務手続きの電子化に対応したクラウド型の労務管理システムです。従業員情報を一元化して管理でき、入退社手続きや社会保険の申請をオンラインで進められます。e-Gov対応の電子申請のほか、年末調整、マイナンバー管理、給与明細の電子配布、各種帳票の作成にも対応。ISO/IEC 27001を取得し、API連携で既存システムと組み合わせた運用も可能です。従業員情報の登録から届出までを一つの流れで扱いたい場合に検討できます。

    e-AMANO人事届出サービス (アマノ株式会社)

    《e-AMANO人事届出サービス》のPOINT
    1. 多様な打刻方法に対応。
    2. 複雑なシフト・残業管理を自動化
    3. 法令遵守をサポートするアラート機能搭載

    LoMe (フューチャーテクノロジー・コンサルティング株式会社)

    《LoMe》のPOINT
    1. 全機能がいつでもどこでも利用可能
    2. 機能画面クリックで操作イメージ動画を視聴可能
    3. 300社以上の導入実績とISMSを取得した安心のセキュリティ

    まとめ

    労働者名簿は、労働基準法第107条により事業場ごとの作成が義務づけられ、氏名や生年月日を含む9つの事項を記入します。保存期間は同法第109条で5年とされ、当分の間は3年とする経過措置が適用されており、起算日は退職や解雇、死亡の日です。賃金台帳や出勤簿とあわせた法定三帳簿として整合性を保つことが求められます。手作業での更新に負担を感じている場合は、電子化や労務管理システムの活用を検討し、正確で継続しやすい管理体制を整えましょう。

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