有料製品と無料製品の違いとは
「労務管理を無料で行いたい」という方に向けて、まずは有料製品と無料製品の違いを解説します。
- ●利用人数に制限がある
- ●利用できる機能に制限がある
- ●サポートに対応していない場合がある
- ●データ保存期間が限られている
労務管理における最低限の機能は揃っているものの、データ連携ができなかったり、データの保管期限や容量に難点があったりと、実際に運用しているうちに少し物足りなさを感じる担当者も多いでしょう。今回紹介する無料製品は有料プランが用意されているので、利用規模の拡大や機能の追加が簡単です。自社の運用方法やセキュリティポリシーに適したものを選び、資料請求や無料トライアルなどを活用しながら導入を成功させましょう。
製品比較表を使って比較
ここでは、この記事で紹介している労務管理システムを比較表にまとめて紹介します。各製品の詳細情報については、後ほど紹介していますので、気になる製品をチェックしてみてください。また、ITトレンドでは実際の資料請求数を元に人気製品をランキング形式で紹介しています。気になる方はチェックしてみてください。
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
【無期限】無料で使える労務管理システム
まずは無料プランのある労務管理システムを紹介します。小規模の利用であれば永年無料で使えるうえ、有料プランへの切り替え時にデータがスムーズに移行できることから、導入コストがネックで承認が下りない場合にもお試し利用として活用できるでしょう。各製品ごとに有料プランを導入した場合の費用なども紹介していますので、参考にしてください。
《ジョブカン労務HR》のPOINT
- シリーズ導入25万社以上!電話・メール・チャットで無料サポート
- 入退社・年末調整・ストレスチェック等幅広い業務を自動・効率化
- 人事労務まわりの紙書類ゼロへ、電子申請も利用可能!
株式会社DONUTSが提供する「ジョブカン労務HR」は、クラウド型労務管理システムで、無料プランでもサポートが受けられるのが特長です。各種保険手続きや従業員情報の管理、マイナンバー管理など、労務業務の広い範囲を効率化します。累計導入15万社超のジョブカンシリーズは、勤怠管理やワークフロー、給与計算など複数製品を導入することでお得に利用できるプランや、勤怠・労務・給与を一元管理できる「人事労務バリューパック」などがあります。
利用人数 |
無料プラン:5名まで 有料プラン:無制限 |
データ連携 |
無料プラン:不可 有料プラン:可 |
有料プラン価格 |
初期費用無料 月額400円/ユーザー |
無料トライアル |
◯(30日間) |
無料プランの機能制限 |
データ保存期間に制限あり(30日間) |
《SmartHR》のPOINT
- 情報収集の手間が削減され役所への申請もワンクリックで可能
- クラウド上の運用でペーパーレス化を実現
- 労務情報を一元管理して経営を効率化
株式会社SmartHRが提供する「SmartHR」は、全国4万社以上に導入されているクラウド人事労務ソフトです。Web給与明細やマイナンバー管理、申請承認機能のほか、多言語対応やオプションで人事評価、オンライン雇用契約などが利用できます。人事・労務手続きに必要な機能だけを備えた無料プランも用意されてます。
利用人数 |
無料プラン:30名まで 有料プラン:無制限 |
データ連携 |
可(プランによる違いなし) |
有料プラン価格 |
ー |
無料トライアル |
◯(15日間) |
無料プランの機能制限 |
カスタマーサポート非対応、オプション機能利用不可 |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
いい点
情報処理、SI、ソフトウェア
1,000名以上 5,000名未満
《オフィスステーション 労務》のPOINT
- PC・スマホから直接申請、各種手続きがおよそ3分で完了。
- プロも納得!119種類帳票数で、多様な従業員に対応可能。
- 欲しい機能を選べる"アラカルト型"で価格が安い。
株式会社エフアンドエムが提供する「オフィスステーション 労務」には、無料で使えるe-Gov電子申請連携ツール「オフィスステーション労務ライト」があります。帳票作成時の自動入力機能や電子申請機能、PDF作成機能が利用可能です。法改正の自動アップデートにも対応しており、金融機関と同等レベルの高いセキュリティをもつため安心して使えるでしょう。テレワーク下での電子申請を効率化したい企業に適しています。
利用人数 |
無料プラン・有料プランともに無制限 |
データ連携 |
無料プラン:給与勤怠データ連携不可 有料プラン:可 |
有料プラン価格 |
登録料110,000円 月額440円/ユーザー |
無料トライアル |
◯(30日間) |
無料プランの機能制限 |
対応帳票数一部制限あり、一括申請非対応 |
改善してほしい点
運輸
1,000名以上 5,000名未満
「人気製品をより多く参考にしたい」「最新のランキングを知りたい」という方は、以下のランキングページも参考にしてください。
【期間限定】無料で使える労務管理システム
ここからは無料トライアルが提供されているおすすめの労務管理システムを紹介します。気になる製品は積極的に無料トライアルを活用し、使い勝手を確認したうえで導入すれば運用も軌道に乗せやすいでしょう。
製品・サービスのPOINT
- 作成した書類は電子申請も紙の申請もOK
- 従業員ごとの対応状況管理ができる
- 料率改定や申請様式の変更にも自動アップデートで対応
株式会社マネーフォワードが提供する「マネーフォワード クラウド社会保険」は、請求書作成や経費精算などの経理財務と、勤怠管理・給与計算・Web明細発行・マイナンバー管理などの人事労務サービスに対応した製品です。e-Gov電子申請も可能です。低価格で豊富な機能を利用したい中小企業に適しています。
参考価格 |
月額2,980円~ |
無料トライアル |
◯(1か月) |
無料トライアルの機能制限 |
なし |
データ連携 |
可 |
改善してほしい点
情報処理、SI、ソフトウェア
10名未満
《sai*reco(サイレコ)》のPOINT
- ワークフロー機能で定型業務を自動化・効率化
- システム連携による機能拡張が可能
- 人事情報を一元管理して業務を効率化
株式会社アクティブアンドカンパニーが提供する「sai*reco(サイレコ)」は、社内申請の電子化やWeb給与明細の作成が可能なHRオートメーションシステムです。タレントマネジメントや人事評価機能もあります。クラウド労務・人事管理システム「オフィスステーション」との連携によって、労務手続きの書類作成や電子申請にも対応できます。
参考価格 |
- |
無料トライアル |
◯ |
無料トライアルの機能制限 |
なし |
データ連携 |
可 |
いい点
食品、医薬、化粧品
50名以上 100名未満
改善してほしい点
その他製造
100名以上 250名未満
製品・サービスのPOINT
- 面倒な労務関連業務の手続きがラクになる!
- 従業員マスタを一元管理し、オンラインで履歴、最新情報を確認
- 月800円/1名で豊富な機能をご提供
jinjer株式会社が提供する「ジンジャー人事労務(社保手続き)」は、業界を問わず18,000社以上の導入実績をもつ労務管理システムです。社会保険や雇用保険などの書類を自動作成でき、電子申請が可能です。2週間に1度の頻度でアップデートを行っており、最新のシステムを利用できるのも魅力でしょう。
参考価格 |
月額800円/ユーザー |
無料トライアル |
◯(1か月) |
無料トライアルの機能制限 |
なし |
データ連携 |
可 |
改善してほしい点
自動車、輸送機器
250名以上 500名未満
《人事労務freee》のPOINT
- 労務手続きからマイナンバー、給与計算を一元化
- 勤怠、給与とも一気通貫で業務効率化
- マイナンバーの収集、保管、利用、破棄までがクラウド上で完結
freee株式会社が提供する「人事労務freee」は、中小企業に適した人事労務管理ソフトです。勤怠管理や給与計算、Web給与明細に対応し、有給休暇管理機能も搭載しています。SmartHRやオフィスステーション、IEYASU、KING OF TIMEなど、他社サービスで集計・管理している勤怠データや従業員情報の同期も可能です。
参考価格 |
- |
無料トライアル |
◯(1か月) |
無料トライアルの機能制限 |
トライアルするプランによって制限あり |
データ連携 |
可 |
以下の記事では、より多くのおすすめ製品の価格や機能を比較できます。ぜひ参考にしてください。
無料で使える労務管理システムの選び方
無料の労務管理システムを選ぶ際、先に紹介した機能や利用人数の制限が運用時に課題とならないかを確認する必要があります。ここでは無料製品を導入するときに注目すべきポイントを解説しますので、参考にしてください。
対応する業務や帳票の範囲
無料の労務管理システムは、対応する帳票の数が制限されている場合があります。特にe-Govに対応した電子申請を効率化させたい方は、どのような書類に対応しているのか事前に確認する必要があります。また健康保険組合への書類では、自社の加入する組合のフォームに対応しているのかも調べてみましょう。
利用人数や機能
無料製品は使える人数や機能に制限がある場合も多いため、注意が必要です。将来的に有料プランに切り替えて本格導入することも踏まえて、実際に運用したい人数がどの程度なのか、またその人数で契約した場合にかかるコストはどの程度なのかを複数製品で比較してみてください。事前に必要な機能を洗い出しておくことも欠かせません。
そのほか、データの保存期間に制限がある場合も注意が必要です。例えば労働基準法第109条によると、「労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を五年間保存しなければならない」と定められています。これをふまえると、労働契約に関わる書類の保存要件を満たすために、データの移動や印刷による保管などが必要となるでしょう。かえって業務が増えてしまっては、導入した意味がありません。
参考:
労働基準法
ほかのシステムとのデータ連携
労務管理システムの導入時には、既存の勤怠管理システムや給与計算ソフトと連携できるかを確認しましょう。人事労務業務においてシステムを導入していない場合や、見直しを考えている企業は、ほぼ有料製品とはなりますが労務管理と勤怠管理、給与計算が一元管理できるシステムもあるので検討してみるのもよいでしょう。
サポートの有無
年末調整などで社内手続きの数が増大する時期などには、万が一に備えてスムーズなサポートがあるとよいでしょう。何らかのトラブルが発生したときや操作方法の疑問があったときに電話やメール、チャットなどによるサポートがあるか否かも確認してみましょう。
必要に応じて有料の労務管理システム導入も検討しよう
無料の労務管理システムでは、機能や利用人数に制限がある場合も多いので留意しましょう。また自社内の課題を解決できる機能が搭載されているか、利用環境にあっているかも確認したうえで導入する必要があります。
大半の有料製品は、給与計算システムや勤怠管理システムとのデータ連携に対応しており、人事労務の業務を効率化できます。必要に応じて有料の労務管理システムも検討してはいかがでしょうか。