慶弔見舞金とは
慶弔見舞金とはどのような制度なのでしょうか。概要や近年の動向を紹介します。
従業員やその家族の慶弔事に支払うお金のこと
慶弔見舞金とは、社内規程で定められた金額を従業員や家族の慶弔時に給付する制度のことです。法律上、慶弔見舞金の給付は義務化されていません。
慶弔見舞金は、福利厚生として愛社精神や勤労意欲向上のために導入する企業が多く、給付要件や金額は企業によって異なります。なお、他社との差別化を目的に「失恋見舞金」「ペット弔慰金」を設ける企業もあります。
慶弔見舞金の一般的な給付対象は以下のとおりです。
- ■本人の結婚時(結婚祝金)
- ■本人、または配偶者の出産時(出産祝金)
- ■本人、家族の死亡時(弔慰金)
- ■住居の被災時(被災見舞金)
- ■傷病による休業時(傷病見舞金)
近年は取引先企業に渡すケースも増えている
取引先企業の慶弔時に見舞金を給付するケースも増えています。取引年数や金額によって慶弔見舞金の金額が異なります。給付の度に慶弔見舞金の額に差が生じないよう、社外向け慶弔見舞金の基準を定めておくことが大切です。そのためには、社内担当者にヒアリングを行い、企業ごとに大まかなランク付けを行うと良いでしょう。
また、経営者の個人的な付き合いでも慶弔見舞金を給付するケースもあるでしょう。これは、給付担当者が判断に困ることが多いです。経営者に都度確認する・前例にならうなど、判断する基準をあらかじめ設けておくと良いです。さまざまなケースに対応できるように、慶弔の記録を残し、いつでも参照できるようにしておきましょう。
以下は取引先企業に給付する主な慶弔事です。
- ■就任祝
- ■昇進祝
- ■創立記念祝
- ■開店、開業祝
- ■上場祝
- ■ビジネスパートナー、担当者の死亡時

企業が出す慶弔見舞金の平均金額
労務行政研究所の調査による慶弔見舞金の平均給付額は以下のとおりです。(調査対象は上場企業が中心)
- 結婚祝金
- 約4万円
2回目以降は減額される場合があります。 - 出産祝金
- 約2万円
- 本人弔慰金
- 約23万円
勤続年数や役職により金額が異なります。 - 家族弔慰金
- 約3~5万円
社員に近い存在ほど金額は高めです。給付範囲は企業ごとに異なります。 - 傷病見舞金
- 業務上約3万円 業務外約1万円
労災による傷病は1~2万加算されるケースが多いです。入院が長期になると、別途追加見舞金を給付する企業もあります。 - 災害見舞金
- 約15万円
被災の程度により金額が異なり、全損時は10万円以上の企業が多いです。世帯主でない・扶養家族なしの場合は減額されるケースもあります。
慶弔見舞金制度を導入する際の注意点
慶弔見舞金制度を導入する上で、どのような点に気を付ければ良いのでしょうか。導入時の3つのポイントを紹介します。
場合によっては課税対象となる
慶弔見舞金に対して支給された従業員には税金がかからず、企業側は福利厚生費として損金で計上できるメリットがあります。つまり、慶弔見舞金制度の導入は節税対策になります。
ただし、慶弔見舞金を福利厚生費として計上するには、下記の要件を満たさなければいけません。
- ■社内規程に基づいて慶弔見舞金が給付されていること
- ■給付金額など、社員間で不当な差が生じていないこと
- ■給付金額が妥当であること
給付金額が社会通念上あまりにも高額になると給与と見なされ、従業員に課税されるため注意しましょう。
トラブルを防ぐために規定を作成する
慶弔見舞金に対する社内規程の作成は、義務付けられていません。
しかし、前例を調べるのに手間がかかったり、給付額をめぐり社員間でトラブルが生じたり、税務上の損金として認められなかったりなど、規定がないことでさまざまリスクが発生します。このような事態を避けるため社内規定を作成し、それに沿って慶弔見舞金を給付しましょう。
以下が記載事項になります。
- 慶弔見舞金の種類
- 慶弔見舞金の種類・給付条件を記載します。
- 慶弔見舞金の支払い金額
- 各慶弔見舞金の給付金額を記載します。相場と照らし合わせながら、常識の範囲内で金額を設定しましょう。
- 給付対象
- 勤続年数や役職、雇用形態など、給付対象の条件を記載します。性別で給付条件や金額に差があると、男女雇用機会均等法に抵触する恐れがあります。
- 手続き方法、必要書類
- 申請先や必要な書類を記載します。
給付金額といった社内規程の要件を設定するうえで判断が難しい場合は、社会保険労務士や税理士への相談をおすすめします。
参考:雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律|電子政府の総合窓口(e-Gov)
財源を確保する必要がある
慶弔見舞金の社内規程を作成して各種要件を満たすと、社員からの申請があれば企業はそれに応じなければいけません。申請に対し、いつでも応えられるよう企業は財源を確保しておくことが大切です。
たとえば、自然災害の発生により災害見舞金の給付が急増するかもしれません。ほかにも、社員の結婚や出産ラッシュが考えられます。該当社員に慶弔見舞金を支払えても、企業の財務状況が悪化しては元も子もありません。
このような事態に陥らないよう適切な給付水準を設定し、また想定以上の給付が生じても財務状況が困窮しない取り組みが企業に求められるでしょう。
ポイントを押さえて慶弔見舞金制度を企業に導入しよう
慶弔見舞金とは、社員や家族の慶弔時に給付されるお金のことです。福利厚生として愛社精神や勤労意欲向上などのために導入する企業が多いです。最近では取引先企業にも渡すケースが増えています。
慶弔見舞金制度を導入する際のポイントは以下のとおりです。
- ■常識の範囲内の金額設定
- ■社内規程の作成
- ■財源の確保
以上を踏まえ、慶弔見舞金制度の導入を検討しましょう。
