多頻度小口配送とは
まずは、多頻度小口配送の概要と特徴をみていきましょう。
少量の商品を頻繁に配送する方式
多頻度小口配送とは、小口の商品を頻繁に配送することです。過剰在庫のリスクを減らすために、必要な数だけ商品を発注するようになったことでこの配送方式が普及しました。多頻度小口配送を導入すると、一回あたりの発注量が減り、全体の発注回数が増加します。
従来は、一定量の荷物を一括で配送するのが一般的でした。しかし現在は消費者のニーズが多様化しており、小売業が行うマーケティングも細分化されています。そのため、必要なときに必要な数だけ発注できる、多頻度小口配送を採用する企業が増えています。
小売業関連で有効となる輸送手段
コンビニやスーパーなどの小売業界では、たくさんの種類の商品を販売する必要があります。そのため仕入れた商品の保管に、それなりのスペースが必要です。
しかし多くの小売店は、十分な保管スペースを用意できません。そのため在庫量を細かくコントロールできる、「多頻度小口配送」が適しています。
小売業界での配送を従来のスタイルで行うと、ほとんどの商品を在庫として保有しなくてはなりません。そのため仕入れた商品の中に、陳列できないものも出てきます。特に生鮮商品は鮮度が重要なため、賞味期限を過ぎれば即廃棄物行きです。
そのため在庫管理だけでなく、廃棄にかかるコストも増えるでしょう。多頻度小口配送には、このようなコストを削減する効果もあります。
多頻度小口配送のメリット
多頻度小口配送のメリットは、「鮮度の高い商品の販売」と「過剰在庫リスクの軽減」です。以下で、詳しい内容をみてきましょう。
より鮮度の高い商品を顧客に提供できる
必要なときに必要な量だけを発注できるということは、常に鮮度の高い商品が顧客に届くということです。生鮮食品などは期限内に売れなければ商品としての価値がなくなります。売れ残れば廃棄するしかないため、いかに効率よく店頭に陳列して売るかが重視されます。
多頻度小口配送を利用すれば、鮮度が重要な商品も売れる分だけを仕入れられます。また品揃えの充実という点でも、顧客満足度の向上が期待できるでしょう。
過剰在庫リスクを軽減できる
食品を扱う会社なら、鮮度の落ちた商品は不良在庫でしかありません。衣類や雑貨など、トレンドが売上に直結する業界も同様です。多頻度小口配送を利用すれば、過剰在庫になることがなく、利益を確保できるでしょう。また在庫が減れば、保管スペースやそれらを管理する人材も削減できます。木材などを扱う製造業のような広い保管スペースを必要とする業種であれば、よりメリットが大きいでしょう。
多頻度小口配送のデメリット
多頻度小口配送にも問題点はあります。「物流コストの増加」と「自然環境の汚染」の２つです。以下で、詳しい内容を見ていきましょう。
物流コストが上がる
配送頻度が高くなると、その分配送コストや人件費がかかるため、全体の物流コストが増大します。物流コストの増加は、物価の上昇も引き起こしますので、結果的に全体の売上に影響する可能性があるでしょう。
特に日本では企業が送料を負担するケースが多いので、いかに配送コストを軽減させるかが重要な課題になっています。
自然環境の汚染につながる
配送回数が増えると、トラック走行時の燃料消費量が多くなるため、「CO2」の排出量が増えます。CO2が増えすぎると地球温暖化を促進させるといわれており、環境保護の観点から問題視されます。
また多頻度小口の発注は、複数の納品元に対して出されるのが普通のため、納品先の店舗前などでは入荷のトラックがかち合い、待機時間が生じます。この際のアイドリングもCO2排出につながります。
多頻度小口配送のメリット・デメリットを理解し適切な判断を
多頻度小口配送は、必要なときに必要な分だけ顧客に届けられる新しい配送スタイルです。少量の商品を頻繁に配送できるため、企業の在庫リスクは軽減されます。商品の鮮度が重要なコンビニやスーパーなどで、よく使われている配送方式です。しかし、その一方で配送コストや自然汚染などの問題も出てきています。
それぞれのメリット・デメリットを理解して、最適な配送システムを構築しましょう。
