メルマガ発行で起こる情報漏えいの原因
メールマーケティングの1つの手法に「メルマガ」がありますが、大量の顧客情報を扱うため、誤って情報漏えいしてしまうリスクが多くあります。
メルマガで起こり得る情報漏えいの種類は数多く、一斉送信時にメールアドレスを「公開」してしまい他の顧客のメールアドレスが流出してしまうケースもあります。他にも顧客のリストを誤って添付してしまったり、外部のストレージサービスに保存したりすることで情報漏えいが起きます。
情報漏えいの原因はいくつか考えられますが、「不正アクセスによる情報流出」または「ヒューマンエラー」が主な原因になっています。その中でも、人為的なミスであるヒューマンエラーによる情報漏えいが全体の8割を占めているといわれているため、メルマガを運用するときは慎重に業務を行う必要があります。
メール配信システムでできるセキュリティ対策
メルマガのヒューマンエラーによる情報漏えいはメール配信システムを活用することで、対策ができます。情報漏えいを一度起こしてしまうと、企業の信用は崩れ、多額の賠償金を支払う事態になるケースもあります。また、メルマガによる情報漏えいには「外部リスク」と「社内リスク」の大きく分けて2つのリスクがあります。
ここからは、メール配信システムによるセキュリティ対策の中でも、外部リスクの対策には具体的にどのようなものがあるのかを説明していきます。
外部対策1:送信元アドレスの認証を行う
メール配信の外部リスク対策とは、迷惑メールやスパムメールと認識されないことや、メルマガ読者を迷惑メールの危険から守ることを意味します。近年では、メールを使った詐欺やマルウェア(悪意があるソフトウェア)を含んだメールが多くなっており、メール配信を行う事業者はそのようなリスクの対策が必要になります。
その中でも、「なりすましメール」の対策として有効なものが送信元アドレスの認証を行うことです。メール認証を行うことで、自分たちが送ったメールという証明になります。この送信元アドレスの認証には「SPF」という仕組みと、「DKIM」という認証形式が存在します。
SPFとは?
SPFとは「Sender Policy Framework」の略であり、メールの送信元アドレスのなりすましや偽装を防止する技術です。今ではこのSPFが広く普及しているため、SPFを使用しないメールは、迷惑メールと認識されやすくメールの到達率が低下します。
DKIMとは?
DKIMとは「DomainKeys Identified Mail」の略であり、暗号化された署名ベースの認証形式です。送信元が電子署名を行い、受信側が電子署名を検証することで、送信者がなりすましをしていないか、メールを改ざんしていないか分かるようになっています。
この電子署名の検証に必要な公開鍵は、IPアドレスとドメインを紐づけるDNSサーバで公開されています。
外部対策2:STARTTLSで暗号化されたメールを配信する
メールを配信するときは「STARTTLS」で暗号化することも重要です。このSTARTTLSはメールの送受信のデータ通信を暗号化する方式です。このようにメールを暗号化することで、外部からのハッキングやメール内容・アドレスの盗聴を防止できます。
このSTARTTLSに対応していないと不正アクセスのリスクがあるだけでなく、Gmailのメールボックスには警告マークが表示されます。今ではGmailをビジネス・プライベートで使う人が多くなっているため、STARTTLSに非対応の状態でメール配信を行うと開封率が極端に下がり、企業に対して不信感を抱かれてしまいます。
ヒューマンエラーを防止する社内運用セキュリティ対策
外部リスクの対策を万全に行っていたとしても、情報漏えいの原因の8割はヒューマンエラーによるもので、社内リスクの対策が必要になります。人為的なミスを防ぐためには社内運用を最適化し、従業員の業務権限を制限する必要があります。
ここからはヒューマンエラーを防止する社内対策について説明していきます。
社内対策1:業務の役割ごとに制限を設ける
メルマガなどのメール配信を行うとき、配信するボリュームが増えれば増えるほど、関わる担当者の人数も多くなります。このような状態のときに、各担当者の役割に不要な業務権限があると、関係ない業務のミスを誘発します。
担当者の役割ごとにシステムやデータの閲覧権限を制限することで、重要な情報にアクセスできる人数を減らし、ヒューマンエラーを最小限にできます。
社内対策2:ダブルチェック体制を整える
ヒューマンエラーの原因の大半は確認漏れによるものです。そのため、確認を複数回行う「ダブルチェック」体制が重要です。シンプルな対策ですが効果は高く、効果的に運用を行えば、ヒューマンエラーを抑えることが可能です。
ダブルチェックの活用法
このダブルチェックの活用方法は大きく分けて以下の3つがあります。
- 時間差型:業務を行ってから時間を置いて別の担当者が確認を行う
- 役割分担型:担当者ごとにチェック箇所を分担し、最終的な数値などを突き合わせる
- 同時型:複数の担当者が同時に確認を行う
メール配信のスピードが求められる状況であれば、同時型のように業務を行ってからダブルチェックが完了するまでの時間が短い活用方法が有効です。また、ここまでは複数の担当者で確認する方法ですが、ダブルチェックのシステムを使うことで、一人でもダブルチェックすることが可能です。
特にメール配信システムでは、誤送信防止のために送信ボタンを押した後に、送信元・宛先・件名・本文を確認して承認を行わないと送信完了できない機能を持ったシステムもあります。
ダブルチェックの注意点
ダブルチェックを行うときに注意が必要なことは、自分以外に確認する担当者がいることで、業務の正確性が失われることです。
ダブルチェックを行うためには、ダブルチェックを行う必要がないような状態で確認を二重に行う必要があります。メール配信のような大量の個人情報を扱う場合は、ダブルチェックの体制を整える必要があります。
社内対策3:再発防止のために履歴を残す
情報漏えいなどのヒューマンエラーが発生したときは、原因を明確にし再発防止に努める必要があります。このような人為的なミスの原因を追求するためには、各システムの操作ログ(履歴)を確認し、記録しておくことが有効です。同様のミスが多い場合は、業務の進め方に問題があるケースも多くあります。
社内対策4:高いセキュリティを担保するメール配信システムを選ぶ
メール配信システムの中には、強制的にダブルチェックを行う「承認機能」が搭載されているサービスもあります。他にも外部リスクを軽減するために、メールを暗号化できるなど、セキュリティに強みを持つサービスも多くあります。
メール配信システムには無料で利用できるサービスもありますが、大量の個人情報を扱う場合は、セキュリティの強固さを1つの基準に選定することも重要です。
社内外のセキュリティ対策を行い、情報漏洩リスクを減らそう
メールマーケティングのような大量の個人情報を扱う業務は、情報漏えいのリスクが大きくなります。外部リスクの対策を行い、安全なメールを配信することは企業にとって信用を保つために重要です。
また、複数の担当者がおり、業務が複雑になると人為的なミスが発生する可能性が大きくなります。このような社内対策は業務の見直しを行うか、メール配信システムを利用する必要があります。外部と社内のセキュリティ対策を強化し、情報漏洩リスクを減らしていきましょう。