メルマガ配信と関係のある法律「特定電子メール法」とは
特定電子メール法の概要を見ていきましょう。
迷惑メールを規制するための法律
特定電子メール法は、正式には「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」といいます。社会問題と化していた迷惑メールを規制するために制定されました。
その後も、現状を鑑みながら度々改正されています。現在は制定当時と比べて規制の対象範囲が拡大されているためメール送信者は注意が必要です。
宣伝を目的としたメールに適用される
特定電子メール法が適用されるのは、広告や宣伝を目的としたメールです。具体的に適用対象となるメールは以下のとおりです。
- ■商品やサービス情報の広告宣伝メール
- ■商品やサービスの情報を提供するWebサイトへ誘導するメール
- ■懸賞当選の通知やSNSへの案内を含む営業目的のメール
一方、以下のような広告・宣伝を含まない内容のメールであれば、特定電子メール法は適用されません。
- ■料金請求や取引上必要な情報の伝達を行うメール
- ■挨拶のみを目的としたメール
- ■非営利団体が送信するメール
違反すると罰則がある
法律である以上、特定電子メール法に違反すると処罰されるおそれがあります。ただし、違反が見つかり次第すぐに必ず処罰されるわけではありません。
基本的には、総務大臣及び消費者庁長官によって問題があると見なされた場合、改善を命じられることになります。この命令に従わなかった場合は、1年以下の懲役あるいは100万円以下(法人の場合は3,000万円以下)の罰金を課せられます。
さらに、違反者は総務省のWebサイトにて詳細が公表される点にも要注意です。企業の場合は企業名を公表され、社会的信頼を大きく損なうことになります。
参考:特定電子メールの送信の適正化等に関する法律 | e-Gov法令検索
メルマガ配信で法律違反にならないためのポイント
特定電子メール法に違反しないために、メルマガ配信者はどのような点に留意すればよいのでしょうか。
オプトインを取得する
オプトインとはメール受信者の同意を得ることです。特定電子メール法では、オプトインを得た相手にのみメール送信が許されています。これは、逆に言えばメールアドレスを獲得しても、オプトインを得ていなければメルマガを配信してはいけないことを意味します。
たとえば、顧客が会員登録時に入力したメールアドレスに、勝手にメルマガを送ってはいけません。あくまで会員登録を目的としてアドレスを入力したのであり、メルマガの受信については同意していないからです。
顧客からオプトインを得る際には、以下の条件を満たす必要があります。
- ■メルマガの受信について顧客が確認できること
- ■顧客がメルマガ受信に対する同意を明確に示したこと
たとえば、ECサイトの決済ページに「メルマガの受信を希望する」のチェック欄を設けるといった方法でオプトインを得られます。
名刺交換で連絡先を知った場合や取引先などは例外
特定電子メール法では、書面でメールアドレスを通知した者に対しては例外的にメルマガを送っても良いことになっています。つまり、名刺交換によって知り得た取引先にメルマガを送るのは問題ないということです。ただし、送信するメールが通信販売などの電子メール広告である場合は、相手から承諾を得る必要があります。
さらに、インターネット上で公開されているアドレスに送付する場合も例外的に認められます。たとえば、ホームページでアドレスを公表している企業にメールを送るのは問題ありません。
ただし、広告や宣伝を目的としたメールの受信を拒む旨が記載されている場合は認められません。また、アドレスを公表しているのが個人である場合は、その個人が事業を営んでいる場合にのみ認められます。
オプトアウトをメルマガに設置する
オプトアウトとは、メルマガ受信者からメールの受信を拒否(配信解除)する旨を申し出ることです。メルマガにおいては、「メールの配信停止をご希望の方はこちら」といった案内のことを指します。
オプトアウトを設置していないメルマガは特定電子メール法違反になります。つまり、受信者がいつでもメルマガの受信を拒否できるようにしておく必要があるということです。
また、オプトアウトはただ設置すればよいわけではありません。受信者側の負担にならないように分かりやすい位置に設置したり、少ない手間で配信を停止できるようにしたりしましょう。理想的なのはURLのクリックや、メールを一つ送るだけでメルマガを解除できる状態です。
そのほか、「解除の手続きが完了するまでに2~3日かかります」といった記述もあると親切です。
広告・宣伝以外の目的で配信される場合は例外
広告・宣伝を目的としたメールでなければオプトアウトの設置は不要です。具体的には、以下の目的で送信されるメールに付随的に広告・宣伝が含まれるだけであれば問題ありません。
- ■サービス内容に関する通達や料金請求など、契約取引上必要なメール
- ■フリーメールサービスを使って送信するメール
- ■顧客からの問い合わせなどに対する返答として送信するメール
個人情報保護法にも注意が必要
メルマガ配信では特定電子メール法に加え、個人情報保護法にも注意が必要です。メルマガ配信は読者の電子メールアドレスや氏名などの個人情報を扱うため、個人情報の漏えい対策や適切な管理、個人情報利用目的の明記や本人の許諾なく第三者に個人情報を開示しないことなどが定められています。特定電子メール法とあわせて確認しておくとよいでしょう。
参考:個人情報の保護に関する法律 | e-Gov法令検索
オプトイン・オプトアウトを設置して安全なメルマガ配信を
特定電子メール法は迷惑メールを規制するための法律です。メルマガも対象となるため注意する必要があります。特定電子メール法に違反することなくメルマガを配信するには、以下の点に留意しましょう。
- ■オプトインを取得する(名刺交換によって連絡先を得た場合は例外)
- ■オプトアウトをメルマガに設置する(広告・宣伝を目的としないメールの場合は例外)
以上を踏まえ、安全にメルマガを配信しましょう。