生産管理システムの基本的な役割
生産管理システムは、製造業における計画・実行・記録の一連の業務をつなぐ役割を担います。部門ごとに分かれていた情報を1つの仕組みで管理できる点が特徴です。まずは基本となる2つの機能を確認しましょう。
生産計画とスケジュールを管理する機能
生産計画機能は、受注情報や在庫状況をもとに、いつ・何を・どれだけ製造するかを立案する機能です。設備や人員の稼働状況をあわせて管理できるシステムでは、負荷の偏りを可視化しやすくなります。
計画が現場の実態と乖離していると、納期遅延や余剰在庫につながる場合があります。計画変更が生じた際に、関連する工程やスケジュールへ反映できる仕組みを備えているかどうかも確認しておきたい点です。急な受注変更が多い現場ほど、計画の再調整にかかる手間が業務負荷に直結しやすいためです。
在庫・資材の情報を一元化する機能
在庫管理機能は、原材料や仕掛品、完成品の数量をリアルタイムに近い形で把握するための機能です。生産計画と連動させることで、資材の発注タイミングを判断しやすくなります。
在庫情報が部門ごとに分散していると、二重発注や欠品といった問題が起こる場合があります。システム上で情報を一元管理できれば、こうした連携不足に起因する不具合を減らしやすくなります。棚卸しの結果とシステム上の数量を定期的に照合する運用も、精度を保つうえで有効です。
生産管理システムに搭載される主な機能
生産管理システムには、計画系の機能に加えて、現場の実績を記録・分析するための機能も搭載されています。どの機能をどこまで活用するかは、企業の規模や生産方式によって異なります。ここでは代表的な3つの機能を紹介します。
工程管理・進捗管理の機能
工程管理機能は、製造の各工程がどこまで進んでいるかを記録し、遅延の有無を確認するための機能です。バーコードやハンディターミナルと連携し、作業実績を入力できるシステムもあります。
進捗状況を一覧で確認できると、遅延が発生している工程を早期に把握しやすくなります。ただし、入力のタイミングが遅れると実態との差が生じるため、記録のルールを現場で徹底することが前提です。工程ごとに入力担当者を明確にしておくと、記録の抜け漏れを防ぎやすくなります。
原価管理・原価計算の機能
原価管理機能は、材料費や労務費、経費といった原価要素を製品ごとに集計する機能です。実際原価と標準原価を比較できるシステムでは、想定との差異を把握しやすくなります。
原価計算の精度は、工程管理や実績データの入力精度に左右されます。実績データが不足していると、原価が正確に反映されない場合があるため、関連機能とあわせて運用することが重要です。原価の差異が大きい製品を早期に把握できれば、価格設定や工程改善の検討材料としても活用できます。
品質管理・トレーサビリティ機能
品質管理機能は、検査結果や不良の発生状況を記録し、品質の傾向を把握するための機能です。ロット単位で製造履歴を追跡できるトレーサビリティ機能を備えるシステムもあります。
トラブルが発生した際、どの工程・どのロットに起因するかを特定できると、原因調査や再発防止の対応を進めやすくなります。業種や取引先の要求水準によって、必要な記録項目は異なります。取引先から記録の提出を求められる業種では、対応できる記録項目の範囲を事前に確認しておくとよいでしょう。
業種によって異なる機能の重視ポイント
生産管理システムに求められる機能は、生産方式によって異なります。同じ製造業でも、案件ごとに仕様が変わる業種と、あらかじめ決まった製品を作る業種とでは重視すべき機能が変わります。ここでは個別受注生産と見込み生産、それぞれで重視されやすい機能を紹介します。
個別受注生産で求められる機能
個別受注生産では、案件ごとに仕様や工程が異なるため、案件単位で原価やスケジュールを管理できる機能が重視されます。見積もりから製造、納品までを一貫して追跡できる仕組みが求められる場合があります。
標準品を扱う業種向けの機能をそのまま適用すると、案件ごとの個別対応が難しくなるケースもあります。自社の生産方式に合わせて、案件単位の管理機能を備えているかを確認しましょう。図面や仕様変更の履歴を案件ごとに残せる機能があると、後工程での確認作業も進めやすくなります。
見込み生産で求められる機能
見込み生産では、需要予測にもとづいた生産計画の機能や、在庫の適正量を維持するための機能が重視されやすい傾向にあります。過去の販売実績を参照できる機能があると、計画の精度を高めやすくなります。
見込みが外れた場合の余剰在庫や欠品を防ぐため、需要変動に応じて計画を柔軟に見直せるかどうかも、選定時に確認しておきたい観点です。季節変動が大きい製品を扱う場合は、複数年分のデータを参照できるかも確認するとよいでしょう。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)で生産管理システムの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
生産管理システムの機能を選ぶ際に確認したい観点
搭載機能が多いほど良いとは限りません。使わない機能が多いと操作が複雑になり、かえって現場の負担が増える場合もあります。自社の業務に必要な機能を見極めるための観点を紹介します。
既存システムとの連携範囲
会計システムや販売管理システムと連携できるかどうかは、データの二重入力を減らすうえで重要な観点です。連携方法にはAPIやファイル連携などがあり、対応範囲はシステムによって異なります。
連携先のシステムによっては、想定していた形式でのデータ連携ができない場合があります。導入前に、自社で使用している周辺システムとの連携実績や対応可否を確認しておくと安心です。連携範囲が限定的な場合は、一部の情報を手作業で転記する運用が残る可能性もあるため、対象データの種類まで具体的に確認しておきましょう。
操作性とカスタマイズ性
現場での入力頻度が高い機能ほど、操作のしやすさが定着に影響します。画面構成を自社の業務フローに合わせて調整できるかどうかも、選定時に確認したいポイントです。
カスタマイズの範囲が広いシステムほど自由度は高くなりますが、設定や保守に専門知識が必要になる場合があります。社内の対応体制も踏まえて検討することが望ましいといえます。導入前にデモ環境で実際の操作画面を確認し、現場の担当者からも意見を集めておくと、運用開始後の齟齬を減らしやすくなります。
生産管理システムの機能を使いこなすための運用のポイント
機能を導入しても、現場での運用が定着しなければ効果を発揮しにくくなります。運用を軌道に乗せるための2つのポイントを紹介します。
データ入力・更新のルール整備
実績データの入力タイミングや担当者が部署ごとにばらつくと、システム上の情報と現場の実態にずれが生じる場合があります。入力ルールをあらかじめ明文化し、関係者間で共有しておくことが大切です。
入力漏れや遅延が起きた際の対応手順も決めておくと、データの精度を保ちやすくなります。特定の担当者だけに運用を依存させず、複数人で状況を把握できる体制が望ましいでしょう。運用ルールは一度決めて終わりにせず、現場の状況に応じて定期的に見直すことも大切です。
定着に向けた社内教育
新しい機能を導入した際は、操作方法だけでなく、なぜその機能を使うのかという目的も含めて周知することが定着につながります。マニュアルの整備や勉強会の実施も有効な手段です。
運用開始後も、現場からの意見をもとに使い方を見直す機会を設けると、機能が実際の業務に合った形で活用されやすくなります。導入後のフォロー体制もあわせて検討しましょう。提供会社によるサポート内容も、問い合わせ窓口や導入支援の範囲を含めて事前に確認しておくと安心です。
生産管理に役立つ機能を搭載した製品
生産管理に関わる機能や対応範囲は、製品によって異なります。ここでは、工程管理や在庫管理、原価管理、基幹業務との連携など、生産管理の効率化に役立つ機能を備えた製品を紹介します。
Oracle ERP Cloud
- グローバルを含めた複数事業/複数拠点を統合できる
- 短期間での導入・稼動による初期コストと投資リスクの軽減
- 豊富な標準機能で高コストなカスタマイズが不必要
日本オラクル株式会社が提供する「Oracle ERP Cloud」は、会計管理・購買管理・在庫管理・プロジェクト管理など幅広い業務領域をカバーするクラウドERPです。調達・生産・物流を含むサプライチェーン全体の業務プロセスを統合し、データをリアルタイムに処理・分析できる点が特徴です。多様な業種・業態の業務プラクティスを標準機能として設定できるほか、多言語・多通貨・各国の法制度にも対応しています。
PROACTIVE
- 製造現場の情報統合で品質・納期を両立する革新的生産管理
- SCSKの「atWill」から「PROACTIVE Production」へ。
- PROACTIVE AIによる、高度な経営判断と業務の効率化・自動化
SCSK株式会社が提供する「PROACTIVE」は、会計・人事給与・販売管理・生産管理などの基幹業務を幅広くカバーする国産ERPです。生産管理領域では、ERPとMES(製造実行システム)の情報を統合管理し、ものづくりや設備の稼働状況を可視化する機能を備えています。製造現場と経営層のデータをシームレスにつなぐことで、品質・納期の両立や迅速な顧客対応を支援します。
スマートF
- 在庫管理や工程管理など、必要な機能からスモールスタート可能
- 導入コンサルつきのトライアル可能、既存システムにも柔軟に連携
- バーコード管理やタブレット活用でペーパーレスIoTを実現
株式会社ネクスタが提供する「スマートF」は、ハンディ端末やタブレットによるバーコード管理を標準搭載したクラウド型の生産管理システムです。在庫管理・工程管理・原価管理などのモジュールから必要な機能だけを選んで導入でき、入出庫管理や工程別の納期・進捗の見える化、品番・ロット別の原価把握などに対応します。サーバー構築が不要でインターネット環境があれば利用できます。
WEB生産スケジューラ (株式会社メガ・トレンド)
- ブラウザ上でスケジュール調整や配置変更が自在に可能。
- 進捗を反映し生産計画を自動調整
- 納期や制約条件を考慮し、計画作成を支援。
Apparel-ZONEⅢ (株式会社トヨシマビジネスシステム)
- 企画から販売までの業務を一元管理
- 原価や進捗を把握できる管理機能を搭載。
- Web上で在庫や受注情報のリアルタイム共有が可能
まとめ
生産管理システムには、生産計画や工程管理、原価管理、品質管理など、製造業の業務を支えるさまざまな機能が搭載されています。自社の生産方式や既存システムとの連携範囲を踏まえて必要な機能を見極め、運用ルールを整えたうえで導入することが重要です。機能の一覧だけで判断せず、実際の業務フローに当てはめて確認する作業も欠かせません。機能の内容を理解し、自社に合ったシステムを比較検討してください。


