日本企業の災害対策取り組み事例8選
日本国内の企業における災害対策の取り組み事例を紹介します。自社で採用できるものがないかチェックしてみましょう。
防災マニュアルの作成と周知
突然の災害時には、落ち着いて行動するのが困難です。役割分担や取るべき初動対応をまとめた防災マニュアルを作成しましょう。下記の「5W2H」を意識し、理解しやすいマニュアルを作成するのがポイントです。
- ●Why:なぜやるのか
- ●What:なにをするのか
- ●When:いつやるのか、順序はどうか
- ●Who:誰がやるのか
- ●Where:どこでやるのか
- ●How to:どのような方法でやるのか
- ●How much:いくつ必要か
テキストだけでなく画像や図解を入れることで、より従業員の理解が深まります。また各人で管理する防災グッズのチェックリストも用意しておけば、防災意識の向上につながるでしょう。
定期的な防災訓練の実施
防災マニュアルを作成しても、災害時にはパニックに陥る可能性があります。下記3つの防災訓練を定期的に実施し、災害時の行動パターンを従業員に定着させましょう。
- ●避難訓練:建物から安全に避難する訓練
- ●応急救護訓練:心配蘇生やAEDなど応急手当の訓練
- ●安否確認訓練:従業員の安否確認がスムーズに取れるか確認する訓練
避難訓練を行う際には、通路や階段などに避難の邪魔になるものが置かれていないか確認するのも重要です。また、訓練で見つかった課題点をもとに防災マニュアルを更新・周知すれば、企業の防災性をさらに高められます。
安否確認の仕組みの確立
災害が発生したとき、企業は従業員の安否を速やかに確認する必要があります。しかし、事前に連絡フローや連絡網を整備しておかないと、スムーズに安否確認を行えません。下記のポイントを押さえて、安否確認の仕組みを確立しましょう。
- ●連絡手段はなににするのか(電話・メール・SNSなど)
- ●どのような順番で連絡するのか
- ●安否確認の担当者は誰にするのか
- ●確認した安否はどのような方法で管理するのか(Excel・手書きなど)
なお、効率的に安否確認を行うためには専用システムの活用がおすすめです。「安否確認システム」を導入すれば、全従業員の安否を素早く確実に把握できます。下記の記事でおすすめの安否確認システムを紹介しているので、参考にしてみてください。
オフィス家具類の固定
オフィス家具類の落下や転倒は、災害時のケガの要因になり得ます。下記のような方法を用いて、家具が動かないように固定しましょう。
- ●大型家具を金具とボルトで固定する
- ●二段式の家具の上下を金具などで固定する
- ●開き扉にセーフティロックをつける
- ●デスクトップパソコン・サーバに耐震マットを敷く
ケガを防止するだけでなく、社内の大事な資産を守ることにもつながります。
非常用電源・発電機の設置
停電に備えて、非常用電源または発電機を設置しておきましょう。なお、非常用電源とは、定置型またはポータブル型の蓄電池を指します。非常用電源および発電機のメリット・デメリットは下記のとおりです。
種類 |
非常用電源 |
発電機 |
メリット |
・太陽光充電で繰り返し使用できる ・燃料がいらない ・排気ガスが出ない |
・燃料がある限り継続して使用できる
・出力が高い |
デメリット |
・容量に上限がある |
・排気ガスが出る ・燃料の管理が必要になる
|
大きな違いは、一酸化炭素中毒の原因になる排気ガスの有無。屋内使用なら非常用電源、屋外使用なら発電機をおすすめします。
データのクラウド化
データやシステムをクラウド化することで、リモートワークが可能になります。また物理的な機器の破損や長期的な停電が発生しても、クラウド上のデータを取り出して業務が可能です。
建物の耐震化
建物に老朽化・ひび割れなどが見られる場合は、耐震化も考えなければいけません。もし自社の建物が1981年6月以前に確認申請を受けていた場合は、現行の建築基準法に遵法していないため耐震補強が必要です。
事前準備や導入費用が必要なため、既存システムをすぐにクラウド化するのは難しいでしょう。まずは簡単にはじめられる無料のオンラインストレージサービスを利用して、データをクラウド化するのがおすすめです。下記の記事で無料のオンラインストレージサービスを比較しているので、自社の運用にあうものを探してみてください。
建物の耐震化
建物に老朽化・ひび割れなどが見られる場合は、耐震化も考えなければいけません。もし自社の建物が1981年6月以前に確認申請を受けていた場合は、現行の建築基準法に遵法していないため耐震補強が必要です。
万が一、大地震で建物そのものが倒壊してしまえば、従業員の命や会社の大事な資産を失うことになります。大きな費用はかかりますが、必要に応じて耐震化を検討しましょう。
参考:建築:住宅・建築物の耐震化について|国土交通省
災害救援自販機の設置
災害救援自販機とは、普段は通常の自販機として使用でき、緊急時に限りお金を入れなくても中身を取り出せる自販機のことです。電気・水道といったライフラインが完全に停止したとき、一時的に飲み物が提供されます。
特に追加費用もかからないため、社内の自販機を災害救援自販機に切り替えられるか、メーカーに問い合わせてみるとよいでしょう。
企業の災害対策が必要な理由は「安全配慮義務」があるから
企業には、従業員の生命や身体の安全を守るために下記の「安全配慮義務」が課されています。
- ●危険発見:職場における危険を予知して発見する
- ●事前排除(予防):リスクを除去・低減し、残ったリスクは作業者に示す
労災事故が起こって安全配慮義務が問われれば、高額な損害賠償を請求されることもあり得ます。これは自然災害を原因とした事故も例外ではありません。東日本大震災でも複数の安全配慮義務に関連する訴訟がありました。
最近は大きな地震や集中豪雨などの異常気象が増えています。企業の信用を守る意味でも、しっかりと災害対策に取り組みましょう。
参考:労働災害の発生と企業の責任について|厚生労働省
事業継続性を高めるおすすめの対策方法3選
次に、事業の継続性を高めるための対策方法を3つ紹介します。被災後も事業を続けていくために、できることから実践してみてください。
防災マニュアル・BCP(事業継続計画)の作成
防災マニュアルとBCP(事業継続計画)を作成しましょう。どちらも、災害時の役割分担や取るべき行動を整理したものです。ただし、防災マニュアルの目的が「人命や財産の保護」なのに対し、BCPは「人命や財産の保護を含めた重要な事業の継続」を目的としています。
被災中や被災後も、事業を継続するためにはBCPが必要です。小売業・サービス業など業種によっては、被災中に事業継続できれば新規顧客獲得のチャンスにもなり得ます。中小企業庁の「BCP策定運用指針」などを参考にして、自社専用のBCPを作成しましょう。
参考:中小企業BCP策定運用指針|中小企業庁
防災備蓄の用意
防災備蓄とは、突然の災害時に必要な物資をストックしたものです。例えば東京都では、「東京都帰宅困難者対策条例」において防災備蓄を努力義務としています。例として下記のものを備蓄しておくとよいでしょう。
- ●3日分の飲料水・非常食
- ●乾電池と懐中電灯
- ●手回しラジオ
- ●衛生用品
- ●救急箱
- ●簡易トイレ
- ●生理用品
- ●毛布
防災備蓄を揃えておくことで、従業員を社内に何日か滞在させてリソースを確保する選択肢も生まれます。もしスペースや資金に余裕があれば、大規模災害に備えて多めに備蓄しておくのがおすすめです。
参考:東京都帰宅困難者対策条例|東京都防災ホームページ
安否確認システムの導入
安否確認システムとは、地震や津波などの自然災害発生時に、企業が従業員の安否状況を確認するためのシステムです。電話サービスが完全に一時停止した東日本大震災において、「従業員の安否が取れず、BCP対策が実行できない」事態が頻発したことから開発されました。安否確認システムには、主に下記の機能が搭載されています。
- ●一斉配信・自動再配信:登録者へ一斉連絡
- ●グループ設定:役職や部署・拠点でグループ化して一斉連絡
- ●データ自動集計:安否確認の可否やケガの有無を自動で集計
- ●模擬訓練:メール安否確認などの模擬訓練を実施
- ●家族安否確認:従業員だけでなく家族の安否情報も共有
安否確認システムなら、一斉配信や自動集計などの機能により、安否状況の確認にかかる時間を大幅に削減可能です。人的リソースが不足する被災時に、従業員一人ひとりに連絡を取る余裕はないかもしれません。システムの導入で効率化し、従業員の安全と安心を守りましょう。
まとめ
企業には安全配慮義務があるため、災害対策を講じなければ損害賠償されるリスクがあります。紹介した事例を参考に、まずはできることからはじめてみましょう。
なお、安否確認システムは目的が明確で、企業の災害対策の入り口に適しています。下のボタンより安否確認システムの一括資料(無料)が可能なため、製品について詳しく知りたい方はぜひご利用ください。