企業にとって緊急連絡網は必須
緊急連絡網とは、災害やトラブルなどの緊急時において、情報の収集・共有の迅速化を目的に、事前に救急時の連絡方法や順番を定めたものです。BCP(事業継続計画)対策の1つとして整備する企業も少なくありません。
2011年の東日本大震災以降、企業のBCP対策の必要性が訴えられてきました。特に近年では、台風などの危険性がある状況で、無理に出社することを求める企業は批判される傾向にあります。そのため、企業としては危険性のある天災が発生したときに、出社か待機かを社員へ迅速に伝える必要があります。
緊急時の連絡も以前のような電話ではなく、メール・チャット・掲示板などさまざまなサービスが提供されています。それによって、緊急連絡網の構築をしやすくなったこともあり、万が一に備えて緊急連絡網の作成が重要なのです。
企業の緊急連絡網の作り方
いざ緊急連絡網を作ろうと思っても、どのように作成したらよいかわからない人も多いでしょうか。ここからは、企業向けの緊急連絡網の作成方法について、重要な4つの項目ごとに詳しく解説します。
1.緊急連絡先を登録する
まず必要なのは、緊急時の連絡先です。現在はさまざまな連絡ツールが普及しており、それぞれにメリット・デメリットがあるため、緊急連絡網には1人につきできるだけ多くの連絡先を登録するとよいでしょう。一般的な連絡手段である「電話」「SNS」「メール」について、それぞれのメリットとデメリットを見てみましょう。
電話番号
近年では携帯電話を所持している社員が大半であり、企業によっては社用の携帯電話を配布している場合もあります。社用携帯は、緊急連絡先としてすぐに登録できます。
- ■メリット
- 電話があれば誰でも利用できる。システム導入など、新しい試みを行う必要もない。
- ■デメリット
- 全社員に連絡を回すのに時間がかかり、対応が遅くなる。地震などの災害時には、通信制限や電波が届かないことが原因で、電話がつながらない可能性がある。
LINEやビジネス用SNS
LINEやTwitterなどの個人用のSNSをはじめ、Linkedin・Eightといったビジネス用のSNSが、近年緊急連絡網として利用されています。
- ■メリット
- SNSの仕組みを活用すれば、全社員と簡単に連絡がとれる。一斉連絡も可能。
- ■デメリット
- 社用のスマートフォンが支給されていなければ、個人のアカウントを社内で共有することになり、嫌がる人も少なくない。緊急連絡網で利用する場合は、ビジネス用のSNSが必須。
メールアドレス
社用のパソコンまたは個人のメールアドレスも、緊急連絡先として有効です。
- ■メリット
- 災害が起きた瞬間に、大勢の社員に安否確認のメッセージを送信できる。内容を詳細に記載でき、返答までにかかった時間によってその社員の状況を理解することも可能。
- ■デメリット
- メールには既読機能がないため、メールは見たが返信できない状況の際には不便といえる。メールの返答があっても、本人が返答したかは確証できず、返答内容の収集・管理は管理者の業務負担となる。
2.緊急連絡時のルールを決める
連絡先の登録後は、緊急連絡時の役割や連絡順など、細かなルールを決めましょう。
■運用責任者や確認担当者などの役割を明確にする
危機管理担当者(緊急連絡網を発令する人)、運用責任者(連絡状況を取りまとめる人)、中間管理者(連絡の受け渡しをする人)など、役割を細分化して担当者を決めます。また一方的な連絡だけでなく、社員の安否状況や出社可否を確認する場合には、回答結果の集計・確認担当者も必要です。回答結果をもとに迅速に判断するためには、部署やチーム単位で集計・確認担当者を決めておきましょう。
なお緊急連絡網は、一度作ったら終わりではありません。社員の入退社や部署異動などによって、その都度連絡先やフローの更新が必要です。あわせて緊急連絡網の作成担当者も決めておきましょう。
■連絡する順番やフローを決める
緊急連絡網を発令後、どのような順番で連絡・報告を行うのか、具体的なフローを決めましょう。一般的には、危機管理担当者から運用責任者、中間管理者、リーダー、一般社員へと、順番に連絡します。
また緊急連絡は、いつどのようなタイミングで発令するかわかりません。出社前・勤務中・通勤中などの状況に応じて、社員のとるべき行動は異なります。シチュエーションごとに、具体的に決めておく必要があります。
3.緊急連絡網の発動条件を決める
続いて、緊急連絡網をどのようなタイミングで使うのか、発動条件を明確にしておきましょう。発動条件は、「自発的な発動」「外部要因による発動」の2種類に分けられます。
■自発的な発動
社長などの危機管理担当者が、緊急事態だと判断して指示を出す場合です。例えば、「コピー機が発火して大きな火災につながる可能性がある」「会社のあるビル内に不審者が侵入して危険」などの緊急時が考えられます。社員からの報告を受けて、危機管理担当者が緊急連絡を発動します。
■外部要因による発動
気象庁や政府の発表などに従って、緊急連絡を行う場合です。気象庁の発表する震度や警報、特別警報に基づいて判断します。例えば、「震度6弱以上の地震が発生したら緊急連絡網を発動する」「朝5時の時点で大雨特別警報が解除されていなければ、緊急連絡を回して出勤させない」など、発動条件を明確に決めておきます。
4.想定外の事態にも対応できるルール作りを行う
緊急連絡は、いつどんなときに必要になるかわかりません。危機管理担当者の不在だったり、次に連絡すべき人につながらなかったりと、緊急連絡網のフローどおりに進まないことは容易に考えられます。
責任者の代理を決めておくことはもちろんのこと、「中間管理者である部長に連絡がつかなかったら、責任者は課長に連絡をする」「部長にはその後、課長から連絡をする」など、さまざまなパターンを想定した細かなルール作りが必要です。その際、「5分以内に連絡がとれない場合」などと具体的な時間を明記することで、誰もが迷わずに行動しやすくなるでしょう。
緊急連絡網には安否確認システムがおすすめ
近年、注目されているツールが「安否確認システム」です。システムを使うことで、社員へ連絡をとる業務を簡単・正確に行えます。
安否確認システムは、災害が発生したときに、責任者がワンタッチで緊急連絡メールを一斉送信できます。さらに、地震や台風、津波などの災害状況にわけて、出社や待機の指示をあらかじめ設定しておくことも可能です。
また、連絡メールを開封したか・していないかをシステムで判断できるため、社員の開封確認を行うだけでも、安否確認として成り立ちます。メールの返信もワンタッチで行えるので、緊急時でも使いやすく利便性にもすぐれています。
【企業向け】安否確認システムのおすすめ製品を比較!
ではここで、ITトレンド編集部がおすすめする安否確認システムを見てみましょう。2022年の年間資料請求ランキングトップ3の製品を紹介します。機能や連絡手段などの特徴を表にまとめているので、3つの製品をそれぞれ比較してみてください。
《安否LifeMail》のPOINT
- 【確実な通知】自動安否確認機能/LINE連携機能/GPS位置情報機能
- 【優しい価格】お一人月額80円~の優しいランニングコスト設定
- 【各方面で利用中】企業/自治体/医療/学校で利用者数200万人突破
2022年間ITトレンド資料請求ランキング1位
株式会社コム・アンド・コムが提供する「安否LifeMail」は、2000年の提供開始以来、東日本大震災などの甚大な震災時にも安定して作動した実績をもつ強固なシステムです。これまでに200万人以上の利用実績を誇ります。気象庁の災害発表にあわせて自動で安否確認を通知し、メールだけでなくLINEでの通知にも対応しています。
参考価格 |
初期費用150,000円 月額費用80円~/人 |
無料トライアル |
◯(30日間) |
通信手段 |
メール、LINE |
主な機能 |
アンケート機能、健康管理機能、業務連絡機能、SNS通知機能、自動安否確認機能、家族への安否通知機能など |
業種 |
建設 |
従業員規模 |
250名以上 500名未満 |
安否LifeMailのいい点 |
★ ★ ★ ★ ☆ 4
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メールだけでなく、LINEにも情報登録依頼を送信することができる。返信が来た社員の確認も簡単にできる。
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業種 |
卸売・小売業・商業(商社含む) |
従業員規模 |
1,000名以上 5,000名未満 |
安否LifeMailの改善してほしい点 |
★ ★ ★ ★ ☆ 4
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マニュアルが少し分かりづらいという面はありますが、それ以外については特に改善してほしい点はありません。
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《Biz安否確認/一斉通報》のPOINT
- 【高信頼なシステム】有事の際に使う為、信頼のシステム設計
- 【社員の健康管理】毎朝の健康状態を問い合わせ、自動集計します
- 【複数の通信手段】 メール・電話・スマホアプリでユーザに通知
2022年間ITトレンド資料請求ランキング2位
エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社が提供する「Biz安否確認/一斉通報」は、通信キャリアによる信頼性の高いシステム構築が特長です。OCNのバックボーンに局内直収されているため、アクセス回線が不要で故障のリスクを軽減できます。組織階層別に管理者を設定できるので、より柔軟な運用が可能です。
参考価格 |
初期費用0円~ 月額10,000円~ |
無料トライアル |
◯(14日間) |
通信手段 |
メール、電話、アプリ |
主な機能 |
アンケート機能、健康管理機能、業務連絡機能、一斉通報機能、設備確認機能、掲示板機能など |
業種 |
情報処理、SI、ソフトウェア |
従業員規模 |
50名以上 100名未満 |
Biz安否確認/一斉通報のいい点 |
★ ★ ★ ★ ★ 5
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災害時の安否確認ツールとして導入していますが、重要周知などにも利活用でき、全社員の確認状況もリアルタイムに把握できるため重宝しています。
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業種 |
放送・広告・出版・マスコミ |
従業員規模 |
100名以上 250名未満 |
Biz安否確認/一斉通報の改善してほしい点 |
★ ★ ★ ★ ☆ 4
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UIが一昔前の感じなのが少し気になりましたが、肝心の機能の方は使っていて何不自由しませんでした。これからもお世話になろうと思っています。
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《安否確認システム ANPIC》のPOINT
- 【LINEへ通知】追加料金0円!使い慣れたツールで報告率UP!
- 【コロナ禍でお役立ち】送信数制限なし!検温報告に使用可能
- 【業界最安価格帯】国立大学発!安価でココまで使える!
2022年間ITトレンド資料請求ランキング3位
株式会社アバンセシステムが提供する「安否確認システム ANPIC」は、静岡大学と共同開発したシステムです。米国のAmazonサーバを使用しているので、日本で災害が起こっても安定して稼働します。送信状況表示機能・代理報告機能・アンケート機能など、便利な機能が多数搭載されています。
参考価格 |
初期費用25,000円~ 月額5,130円~ |
無料トライアル |
◯(30日間) |
通信手段 |
メール、LINE、アプリ |
主な機能 |
アンケート機能、健康管理機能、業務連絡機能、一括通報機能、掲示板機能など |
業種 |
食品、医薬、化粧品 |
従業員規模 |
50名以上 100名未満 |
安否確認システム ANPICのいい点 |
★ ★ ★ ★ ☆ 4
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何人かで分担し従業員に確認の電話をしなくても、このシステムがあれば、従業員それぞれが回答することで安否が伝わる。操作もシンプルなので年配の人手も平気。
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業種 |
放送・広告・出版・マスコミ |
従業員規模 |
10名以上 50名未満 |
安否確認システム ANPICの改善してほしい点 |
★ ★ ★ ★ ★ 5
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最初の設定がわりと面倒な印象を受けました。また、管理側しか誰が回答済みかわからなかったりするので、そういったことは管理側以外でもある程度できるといいです。
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安否確認システムについてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
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緊急連絡網を作成する際のポイント
緊急連絡網を作成する際には、注意点を理解することも大切です。特に重要な2つのポイントについて説明します。
1.情報漏えい対策を行う
緊急連絡網は社員とコミュニケーションを取るために、社員の個人情報を管理することになります。今ではビジネス用のメールもスマートフォンで確認できますが、業務でも使用する端末を紛失すると、情報漏えいが起きる可能性があります。
緊急連絡網を作成する場合は、登録する連絡先を決めて、その方法に適した情報漏えい対策を行うことが必要です。なお、安否確認システムを使うことが最も情報漏えい対策に有効です。
2.事前に社員の同意を得る
緊急連絡網を導入するときに、ビジネス用の連絡先ではなくプライベートの連絡先やアカウントを共有するケースもあります。このような場合は、導入する前に社員の同意を得る必要があります。
トップダウン式に決めてしまうと、現場からの反発が起こる可能性が高くなります。現在では、個人のアカウントを巡ってトラブルが発生することも珍しくありません。このような緊急連絡網を導入するときにも、社員の個人情報を扱う意識を持つことが重要でしょう。
会社にあった方法で緊急連絡網を導入しましょう!
緊急連絡網は災害時のときに非常に重要です。緊急時では冷静さを失い、その状況で適切な判断を下すことは容易ではありません。しかし、緊急連絡網をもとに迅速に社員の安否確認を行い、正確な安否状況を把握することで、落ち着いて適切に判断できるようになります。
多少のコストはかかりますが、安否確認システムを導入することで、連絡をとる効率やスピードを高められます。自社に最適な方法で緊急連絡網を導入し、万が一に備えましょう。