中小企業における安否確認業務の課題
災害時において中小企業が従業員の安否確認を行うには、主に以下の課題があげられます。
- ●担当者が被災して安否確認できない場合がある
- ●復旧対応に追われるなか、発信や集計に時間やリソースを割けない
- ●電話やメールが混線して利用できない可能性がある
- ●紙ベースの記録では安否確認の状況を迅速に確認できない
2024年に行った東京商工会議所の調査によれば、中小企業・大企業を含む会員企業1,135社のうち34.4%が、従業員の安否確認手段として有料の安否確認システムを導入しています。先の能登半島地震をきっかけに、従業員が旅行や帰省で遠方にいる場合も想定して、システム導入を検討している企業も多いようです。
参考:会員企業の災害・リスク対策に関するアンケート2024年調査結果|東京商工会議所
中小企業が安否確認システムを導入するメリット
中小企業が安否確認システムを導入するメリットは以下のとおりです。
- ●安否確認の確実性が上がる
- ●迅速な安否確認で早期復旧が実現する
- ●発信・集計にかかる負担が大幅に軽減される
- ●従業員だけでなく家族の安否もまとめて確認できる
- ●入退職・人事異動時のメンテナンスが簡単になる
従業員やその家族の安否確認が迅速かつ確実に行えるだけでなく、より少ない工数で安否確認を完結できます。人員が少なく、リソースを割くのが難しい中小企業こそ、システム導入により安否確認業務の効率化を図りましょう。
安否確認システムでできること
具体的に、安否確認システムではどのようなことができるのでしょうか。主要な機能の一部を紹介します。
安否確認の一斉配信・自動再配信
安否確認システムは、事前に登録したユーザーに対して一斉にメールやSMSなどを送信できます。一人ずつ個別に連絡する必要はなく、事前に発動条件を設定しておけば担当者による操作も不要です。
また、安否が確認できなかった従業員には自動で再配信を行います。例えば、最大100回まで自動で再配信を実行するシステムもあり、連絡の見落としによる安否の確認漏れを防止できるでしょう。
製品により異なるものの、役職や部署・拠点などでグループを設定し、対象を絞った一斉連絡も可能です。家族や取引先、協力企業への安否確認も一斉に行えるシステムなら、従業員の安心感を高めつつ、事業の継続性を向上できます。
回答データの自動集計
収集した安否確認データは自動で集計が実行されます。「誰の安否が確認できていないのか」「出勤できる従業員は誰か」といった情報をすぐに確認し、迅速な事業の復旧が実現します。システムによっては、集計したデータをグラフなどで表示し、より視覚的に分かりやすく安否確認の状況確認が可能です。
例えば、自動集計されたデータをスマホで確認できる機能が搭載された製品も。集計データを複数の拠点でバックアップしているため、広範囲にわたる大災害でも確実に安否確認の集計結果を確認できます。常に外出している従業員が多い企業で活躍するでしょう。
模擬訓練
一部の安否確認システムは、模擬訓練機能を搭載しています。地震や台風など、実際の災害を想定して安否確認の配信から回答までのフローが適切に行われるかどうかを試せます。
模擬訓練を実施することで従業員が操作方法を把握でき、有事の際に漏れのないスムーズな回答が実現します。管理者も登録済みの連絡先に間違いがないか確認し、安否確認の確実性を上げられるでしょう。
中小企業における安否確認システムの選び方
安否確認システムは中小企業に適したものから、大企業向けのものまで幅広いラインナップがあります。評判や機能の多さに惹かれて自社にあわないものを選択してしまうと、導入・運用費を無駄にしてしまうかもしれません。ここからは、中小企業における安否確認システムの選び方のポイントを紹介します。
安否確認できる範囲はどこまでか
従業員の安否確認機能は、基本的にすべての安否確認システムが搭載しています。しかし、家族や取引先への安否確認はオプション扱いの場合や、そもそも機能を搭載していない場合もあるので、必ず確認しておきましょう。
また日本語が読めない外国籍の従業員が在籍している場合は、安否確認への返信が上手くできないリスクがあります。多言語対応しているかも、あわせて確してみてください。
緊急時に誰でも使えるか
緊急時に冷静な判断をするのは難しいため、できるだけシンプルで誰もが使いやすい製品がおすすめです。以下のような使いやすさに関するポイントを確認しましょう。
- ●操作・管理画面の見やすさ
- ●従業員の回答のしやすさ
- ●操作マニュアルの充実度
- ●模擬訓練機能の有無
従業員が回答しやすいことはもちろん、回収したデータを担当者が迅速にチェックして、事業の復旧に活用できるのが大前提です。また、メールやSMSに不慣れな従業員がいる場合は模擬訓練を行えるシステムを導入し、緊急時に混乱が起こるリスクを軽減するとよいでしょう。
複数の通信手段に対応しているか
災害発生時は電波塔の倒壊や回線の混雑により、通信障害が起こりやすい状態にあります。そこでメールや電話だけでなく、専用アプリやLINEなどのSNS、ショートメールなど、複数の連絡手段に対応しているシステムがおすすめです。より確実な安否確認が可能となるでしょう。
特に専用アプリはプッシュ通知機能を使うことで、見逃しによる回答漏れのリスクを軽減できます。また専用掲示板・チャット機能など双方向での連絡も取れるシステムなら、複数の従業員間で連携しながらよりスムーズな復旧が実現します。
災害情報と連動して自動送信されるか
緊急時には、担当者がすぐに動ける状態にあるとは限りません。気象庁などの災害情報と連動して、一定の条件で自動送信をスタートできる安否確認システムがおすすめです。
このとき地震の震度や警報レベル、地域などの条件も設定できると、安否確認の必要性が高い対象にだけ送信されます。無駄なやり取りや確認の業務が減るため、よりスムーズな安否確認と事業の復旧が実現するでしょう。
中小企業におすすめの安否確認システム
ここからは、中小企業に最適な安否確認システムを比較・紹介します。気になる製品はぜひ無料で資料請求できるためお問い合わせください。
《エマージェンシーコール》のPOINT
- 24時間365日、安否確認はシステム任せ。連絡つくまで繰返し連絡
- 大手企業や官公庁を中心に幅広い業種で4,900社以上の導入実績!
- 300名まで月額10,000円で利用可能な「ライトプラン」も登場!
インフォコム株式会社が提供する「エマージェンシーコール」は、スマホアプリや電話、メール、LINEなどの多彩な通信手段で安否確認が可能です。緊急連絡先に自動で繰り返し連絡を行い、回答状況はPCと携帯両方から確認できます。掲示板・伝言機能も装備しています。
《セコム安否確認サービス》のPOINT
- 契約社8,950社・ご利用者830万人の実績
- 災害時に従業員や家族の安否確認、事業所の被災状況確認をサポート
- 地震だけではなく特別警報や国民保護情報(弾道ミサイル落下)にも対応
セコムトラストシステムズ株式会社提供の「セコム安否確認サービス」は、専門スタッフが24時間365日体制で、迅速かつ正確な情報提供を実現します。携帯電話会社と特定接続契約を締結しているため、通信障害時でも確実に連絡が届きます。オプションで家族向け安否確認サービス「あんぴくん」の利用やLINE連携も可能です。
《ANPiS》のPOINT
- 【お手頃価格】初期費用は無料!月額6,600円からのお手頃価格
- 【気象庁と連携】気象庁の地震・津波・特別警報と自動連携
- 【豊富な導入実績】自治体や民間企業を問わず、16万人がご利用
関西電力株式会社が提供する「ANPiS」は、気象庁と専用線で直結し気象情報をリアルタイムに取得しています。災害発生時には自動でメールを配信。オプションでLINE配信も可能です。未回答者へのリマインドやパンデミック対応も可能で、社内アンケートなどにも活用できます。
製品・サービスのPOINT
- 初期費用0円!1ID200円(税別)から!
- LINE連携機能を無料でご提供
- 従業員数300人以下のお客様向けに厳選した機能
セコムトラストシステムズ株式会社が提供する「セコム安否確認サービス スマート」は、従業員数300人以下の企業に適した否確認サービスです。24時間365日、専門スタッフが災害情報の正確性を確認。無料の専用アプリやLINE連携で、迅速かつ円滑な通知と集計が可能です。
《Cuenote安否確認サービス》のPOINT
- 地震・気象データと連携し、警報等の発令時に自動通知が可能
- 回答状況はリアルタイムで反映、マルチデバイス対応
- 受信用アドレスは管理者に知られずに登録可能
ユミルリンク株式会社が提供する「Cuenote安否確認サービス」は、地震・気象データと連携して、災害発生時に自動で通知を送信します。回答状況はリアルタイムで反映。受信用アドレスは管理者に知られずに登録でき、プライバシー保護にも優れています。
《ANPIC》のPOINT
- 【LINEへ通知】追加料金0円!通知に気づきやすく報告率UP!
- 【無料サポート充実】説明会・ユーザー登録代行・配布資料など!
- 【業界最安価格帯】国立大学発!安価でココまで使える!
株式会社アバンセシステムが提供する「ANPIC」は、業界トップクラスの低価格を実現した安否確認サービスです。50名プランは月額5,130円とリーズナブルで、会議の出欠確認にも利用できます。LINE・アプリ・メールでの受信が可能。米国サーバを使用しており、災害時にも確実な送達を実現します。
《オクレンジャー》のPOINT
- 使いやすい専用アプリで安否確認の連絡ができる
- 管理者がユーザーの個人情報を管理しなくても運用可能
- 手動配信と自動配信を使い分け、状況に合わせた対応が可能
株式会社パスカルが提供する「オクレンジャー」は、安否確認や緊急連絡をスマホアプリで運用できます。既読確認や自動集計が可能なほか、手動配信と自動配信を使い分けられます。掲示板機能は日常業務にも活用できるでしょう。
製品・サービスのPOINT
- 【カンタン】シンプル・直感的な操作性で災害時でも安心
- 【リーズナブル】月額6800円〜、初期費用/解約料金は無料
- 【連携】SmartHR、freee人事労務、cybozu.com、Google Workspace
トヨクモ株式会社が提供する「トヨクモ 安否確認サービス2」は、自動送信や自動集計、掲示板機能により双方向のコミュニケーションが可能です。ガラケーにも対応し、初期費用や追加費用は不要。従業員の連絡先はプライバシーに配慮し、管理者が閲覧できない仕組みを採用しています。
《バーズ安否確認+(プラス)》のPOINT
- アンケート選択式と空メール送信式の2種類で簡単集計
- 状況確認から対応策までを掲示するホワイトボード機能
- メールやショートメールで一般の連絡網として利用可能
株式会社バーズ情報科学研究所が提供する「バーズ安否確認+(プラス)」は、日常の連絡にも活用できるクラウド型連絡網サービスです。アンケートや空メールの送信で安否確認が可能。さらに家族の安否確認やホワイトボード機能を搭載しています。
より多くの安否確認システムから比較・検討したい方は、以下の記事もご覧ください。
安否確認システムの導入事例
実際に安否確認システムを導入した企業の事例を2つ紹介します。
株式会社ボルテックスセイグン
総合物流企業の株式会社ボルテックスセイグンでは、東日本大震災をきっかけに安否確認システム「オクレンジャー」を導入しました。以前は社内連絡に電話を使用していたものの、震災当時に電話回線が混雑し、従業員とまったく連絡が取れない事態が続いたのが最大の理由です。
オクレンジャーでは災害発生時に自動でメッセージを送信するため、導入後に震度5弱の地震が発生した際にも迅速な安否確認が実現しました。災害時に限らず、普段の業務で緊急連絡が必要になった際にも、オクレンジャーによる一斉送信を活用しています。
参考:導入事例:安否確認システム オクレンジャー(株式会社ボルテックスセイグン)|ITトレンド
株式会社ドミノ・ピザジャパン
宅配ピザチェーン大手の株式会社ドミノ・ピザジャパン様では、他社安否確認システムからの乗り換えで「オクレンジャー」を導入しました。既存のシステムでは運用面の不自由が多く、オクレンジャーならコストを抑えて解決できると判断したのが導入の理由です。
オクレンジャーでは、地震発生時に自動送信する際の震度の条件を自由に設定できます。小さな地震でも自動送信が実行されるように設定したことで、普段から従業員の安否確認への意識付けが可能になりました。また集計結果が見やすいことから、以前よりも迅速な被害状況の把握が行えるようになっています。
参考:導入事例:安否確認システム オクレンジャー(株式会社ドミノ・ピザジャパン)|ITトレンド
まとめ
人員が少なくリソースが不足しがちな中小企業では、工数を減らしつつ確実に安否確認ができる安否確認システムの導入をおすすめします。安否確認の対象範囲や緊急時の使いやすさなどを確認し、自社の運用にマッチした安否確認システムを検討しましょう。