電話を使った安否確認の方法
災害時に従業員や家族の無事を確認する手段として、電話は重要な役割を果たします。ここでは、電話を利用した代表的な安否確認の方法を紹介します。
緊急連絡網
緊急連絡網は、災害や緊急時における迅速な安否確認の手段として活用されます。事前に部署や家庭内での連絡先リストを作成し、確実に連絡が回るように設定しておくことが重要です。電話がつながりにくい状況でも、安否を報告する順序や代替手段を共有しておくことで、スムーズな情報伝達が可能になります。また、連絡網の最新情報を定期的に更新し、緊急時に備えましょう。
災害用伝言ダイヤル(171)
災害用伝言ダイヤル(171)は、大規模な災害時に、被災者が自分の安否を音声メッセージとして残せるサービスです。被災した人が自身の電話番号宛てにメッセージを登録しておき、同じ電話番号に問い合わせた人が確認できる仕組みです。誰でも簡単に使えるため、災害時の重要な情報共有手段となります。事前に操作方法を確認し、災害発生時に備えておくと安心です。利用時には、通信が集中する時間帯を避けるのがポイントです。
電話を使った安否確認の課題と注意点
災害が発生すると、多くの人が安否を確認しようと電話を利用します。しかし、この状況では電話がつながりづらくなることがしばしば起こります。その原因の一つに、通信回線の仕組みが関係しています。電話網の歴史的背景や技術的制約を理解することで、災害時に起こる通信の課題と注意点について把握しておきましょう。

回線交換網は同時に利用できる数が限られている
回線交換網は通信回線の歴史のなかでも古いものであり、日本では一般家庭に黒電話(固定電話)が普及してきた頃から使用されています。一つの電話機からほかの電話機に1対1で接続される通信のため、共同利用や相乗りはできず、その回線を占有することで安定した通信を実現しています。
しかし、この仕組みにはデメリットもあります。回線数は有限であるため、同時に接続する回線数が増加すると上限数に到達し、ほかの人が利用できなくなってしまうのです。日本では現在でも、電話発信時にアナログの回線交換網を利用しています。そのため、災害時に多くの人が同時に電話発信をすることで回線が埋まり、電話がかからないという事態が発生してしまいます。
通話アプリの電話機能も受信側の状況によってはつながらない
一方で、最近は通話アプリの電話機能を利用する人が増えています。個人用携帯だけでなく、社用のスマートフォンにも通話アプリをインストールしている人も多いでしょう。この通話アプリは、先ほどの回線交換網とは異なる「パケット交換網」という仕組みを使っています。
パケット交換網は1980年代頃から普及したデジタル回線網で、大量のデータを「パケット」と呼ばれる小包に分けて回線に流す通信方法です。メールやSNSにも利用されており、回線交換網のように回線を占有しないため、同時利用に強い仕組みです。
しかし、受信側の設定や通信環境によっては、通話が回線交換網を経由する場合があります。この場合、災害時の回線混雑の影響を受け、電話がつながりにくくなる可能性があります。さらに、インターネット接続状況が不安定であれば、通話品質が低下することも考えられます。

電話以外の安否確認方法
災害時には電話がつながりにくくなることがありますが、それ以外にも利用できる安否確認手段がいくつかあります。これらの方法を事前に知り、活用することで迅速かつ確実に安否を確認できる可能性が高まります。
災害用伝言板(web171)
災害用伝言板(web171)は、携帯電話や固定電話だけでなく、パソコンやタブレットからも伝言メッセージを登録・確認できます。1回の伝言で100文字まで登録可能です。なお、災害用伝言ダイヤル(171)と災害用伝言板(web171)は連携しているため、それぞれに登録した伝言内容を相互に確認できます。
SNS
X(旧Twitter)やFacebookなどのSNSは、災害時の情報共有や安否確認に役立ちます。特にXでは、ハッシュタグを使って地域ごとの状況や自分の無事を発信できます。ただし、SNS上の情報には誤情報が含まれる場合もあるため、公式アカウントや信頼性の高い情報源を確認することが大切です。
ビジネスチャット
企業で導入されているビジネスチャットは、災害時の社内安否確認に活用できます。チャットの特性を活かし、一斉に情報を共有できるため、迅速な対応が可能です。また、スマートフォンやパソコンから利用できるため、被災時の場所を問わず連絡を取れます。
安否確認情報システム
安否確認情報システムは、企業や学校などで活用される専用の安否確認サービスです。災害時に登録者へ一斉通知を送信し、安否状況を確認できる仕組みです。受信者は「無事」「被害あり」などを選択して返信し、集計結果を管理者がリアルタイムで確認できます。 また、未回答者へのリマインドや質問内容のカスタマイズ機能も備わっており、災害規模や状況に応じた柔軟な対応が可能です。大規模な組織や全国展開の企業にも適しています。
以下の記事では、ITトレンドおすすめの製品を比較紹介しています。選定ポイントも解説しているため、ぜひご覧ください。
安否確認情報システムの機能
企業向けの安否確認システムは、従業員や関係者の安否を迅速に確認し、適切な対応を支援するために多彩な機能を提供しています。以下は主な機能とそのメリットです。
- ■一斉通知と安否確認
- 登録されたメールアドレスや電話番号に一斉に通知を送信し、「無事」「被害あり」などの選択肢で安否を確認できます。数百人規模でも短時間で状況を把握可能です。
- ■未回答者へのリマインド機能
- 通知に未回答の人へ再通知を自動的に送る機能があります。情報収集の漏れを防ぎ、全員の安否確認をより確実に行えます。
- ■位置情報の取得
- 従業員の現在地や避難場所を把握するための位置情報取得機能を備えたシステムもあります。迅速な支援や連絡が可能です。
- ■カスタマイズ可能な質問項目
- 安否確認だけでなく、必要な支援内容や避難場所の詳細を入力できるカスタマイズ機能があります。状況に応じた具体的な対応が可能です。
- ■集計・レポート機能
- 回答結果をリアルタイムで集計し、状況をわかりやすく一覧化する機能を提供します。迅速な意思決定と関係各所への報告がスムーズになります。
ITトレンドでは、多機能な安否確認システムを多数取り扱っています。以下のボタンから一括資料請求が可能なため、導入検討にお役立てください。
電話音声対応の安否確認システムを紹介
安否確認システムの多くは連絡手段にメールを利用していますが、電話の音声を使ったシステムも登場しています。ここでは、電話音声に対応したおすすめの安否確認システムを紹介します。
エマージェンシーコール
- 24時間365日、安否確認はシステム任せ。連絡つくまで繰返し連絡
- 大手企業や官公庁を中心に幅広い業種で4,900社以上の導入実績!
- 300名まで月額10,000円で利用可能な「ライトプラン」も登場!
インフォコム株式会社が提供する「エマージェンシーコール」は、電話の音声やメール、スマートフォンアプリなど複数の通信手段に対応した安否確認システムです。音声通話はガイダンスに従って操作するだけなので、災害などの緊急時にも迷わずに利用できます。有料オプションでLINEの連携や、気象庁の地震情報システムとの連動も可能です。大手企業や官公庁を中心に、約4,600社の導入実績をもちます。
参考価格 | 月額10,000円~40,000円 | 無料トライアル | ○(30日間) |
提供形態 | クラウド / パッケージソフト / SaaS / ASP | 対象企業規模 | すべての規模に対応 |
通信手段 | アプリ / 携帯電話 / 固定電話 / メール / FAX(LINEは有料オプション) |
エマージェンシーコールを利用したユーザーの口コミ
文字が小さいので、人によっては見にくいんではないか?と不安もありますが、機能的には大変満足しています。
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セコム安否確認サービス
- 契約社8,950社・ご利用者830万人の実績
- 災害時に従業員や家族の安否確認、事業所の被災状況確認をサポート
- 地震だけではなく特別警報や国民保護情報(弾道ミサイル落下)にも対応
セコムトラストシステムズ株式会社の「セコム安否確認サービス」は、自然災害やインフラ障害時に従業員やその家族の安否を迅速に確認するためのシステムです。専門スタッフが24時間365日対応し、独自のノウハウを活用して正確な情報を提供します。また、LINE連携や地図表示機能などを搭載し、利便性を高めています。さらに、通信網の混雑対策により、災害時でも確実な連絡が可能です。組織や地域ごとに詳細な安否集計ができ、管理者が適切な指示を行うためのサポートも充実しています。
参考価格 | ー | 無料トライアル | ○(30日間) |
提供形態 | サービス | 対象企業規模 | すべての規模に対応 |
通信手段 | メール / スマホアプリプッシュ通知 / LINE連携(オプション) |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
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まとめ
災害時の安否確認は電話や通話アプリが一般的ですが、通信混雑やシステムの制限で十分な対応が難しい場合があります。そのため、一斉通知やリアルタイム集計、位置情報取得など多機能な安否確認システムの導入が効果的です。
災害時だけでなく、防災訓練や業務連絡にも活用できるため、迅速かつ正確な安否確認体制を整えられます。以下のボタンから各社製品の一括資料請求が可能なため、自社に最適なシステムの導入にお役立てください。

連携情報がメールや電話番号などたくさんあることが本製品の良い点である。また、安否報告状況を管理者側に集約される機能があるのも良い。
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