タレントマネジメントとはどのような取り組みか
目的を見る前に、何を指す取り組みなのかを押さえておきましょう。
タレントマネジメントが指す取り組み
タレントマネジメントとは、従業員一人ひとりの経験、技能、志向、評価といった情報を把握し、配置や育成の判断に活かす取り組みを指します。組織が持つ人材を経営の資源として捉える考え方が土台にあります。
対象は特定の層に限りません。管理職の候補を計画的に育てる用途で使われることもあれば、全従業員を対象に配置の検討材料とする場合もあります。どこまでを対象とするかは、組織の課題によって変わります。
従来の人事管理との違い
従来の人事管理は、所属や雇用契約、給与といった情報を正確に保持し、手続きを滞りなく進めることが中心でした。制度の運用を支える役割が主でした。
タレントマネジメントでは、これに加えて、何ができるか、何を志向しているか、どのような経験を積んできたかという情報を扱います。手続きのためではなく、判断のために情報を集める点が違いです。そのため、どのような判断に使うのかを先に定める必要があります。
取り組みが目指す目的
何のために行うのかを、三つに分けて確認します。
適切な配置と登用につなげる
人事異動を検討する際、対象となる候補を担当者の記憶や限られた資料から探している組織は少なくありません。部署をまたぐと、どのような人材がいるかを把握しにくくなります。
経験や技能を条件で検索できれば、候補を広く挙げられます。これまで接点のなかった部署の人材が候補に上がることもあります。ただし、示されるのは登録された情報にもとづく候補です。最終的な判断は面談や現場の意見とあわせて行う前提で使いましょう。
育成の計画を組み立てる
現在の人材が持つ経験や技能と、将来必要になる要素を照らし合わせることで、育成すべき領域が見えてきます。誰にどの経験を積ませるかを、計画として組み立てられます。
研修の受講状況や資格の取得状況を管理していれば、次に何を提供すべきかも検討しやすくなります。重要な役割を担う人材が限られている場合は、後継者を計画的に育てる取り組みにもつながります。
人材の定着につなげる
本人の志向と実際の配置が合っていない状態が続くと、離職の要因になり得ます。面談の記録や本人の希望を蓄積しておけば、状況を把握する材料になります。
ただし、情報を集めるだけでは変化は生まれません。把握した内容をもとに面談を行い、必要に応じて配置や業務の内容を見直す動きが伴って初めて効果が期待できます。対応する体制とあわせて設計しましょう。
扱う情報と活用の場面
実際に何を集め、どこで使うのかを整理します。
蓄積する情報の種類
基本となるのは、所属や役職の履歴、担当してきた業務、保有する資格や技能です。これに、評価の結果、研修の受講状況、面談の記録、本人が希望する働き方といった情報が加わります。
拠点が海外にも広がる組織では、国ごとに制度や情報の扱いが異なる点も踏まえる必要があります。集める項目を増やすほど、入力の負担も増えます。本人が入力する項目、人事部門が登録する項目、上司が記入する項目を分けて整理しておくと、更新の担当も明確になります。誰も更新しない項目が残ると、情報の鮮度は下がっていきます。定期的に見直す機会も設けておきましょう。見直しの際は、使われていない項目を減らす判断もあわせて行うと運用が続きます。
情報を活用する場面
異動の検討、昇格や登用の判断、研修の対象者の選定、後継者の計画といった場面で使われます。組織の構成を俯瞰し、特定の技能を持つ人材が偏っていないかを確認する用途もあります。
活用する場面を先に決めておくと、必要な情報も定まります。逆に、集めてから使い道を考える進め方では、入力の負担だけが残りやすくなります。誰がどの場面で参照するのかを明確にしたうえで、項目を設計しましょう。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でタレントマネジメントシステムの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
取り組みが進まない要因
導入したものの活用が広がらない場合、いくつかの要因が考えられます。二つ挙げます。
目的が定まらないまま情報を集める
何に使うかを決めずに項目を増やすと、入力の負担が大きくなり、内容も更新されなくなります。情報が古いまま残れば、判断の材料としても使えません。
まず解決したい課題を一つ決め、そこに必要な情報に絞って始める進め方が現実的です。配置の検討を進めやすくしたいのか、後継者を育てたいのかによって、集めるべき情報は変わります。運用が定着してから対象を広げましょう。
現場での活用が広がらない
人事部門だけが使う仕組みになると、情報の更新も人事部門の作業として残ります。現場の管理職が自部署の状況を確認する場面がなければ、活用の実感も生まれません。
管理職が部下の情報を参照できる範囲を設け、面談や育成の検討に使える形にすることが有効です。閲覧できる範囲は、扱う情報の性質に応じて制御する必要があります。本人が自分の情報を確認し更新できる構成であれば、鮮度も保ちやすくなります。
タレントマネジメントシステムの選び方
ここまでの内容を踏まえ、製品を選ぶ際の確認事項を整理します。
目的と対象範囲の整理
最初に、何のために導入するのかを具体化します。配置の検討を進めやすくしたいのか、育成の計画を立てたいのか、定着につなげたいのかによって、必要な機能が変わります。
あわせて、対象となる従業員の範囲も整理しましょう。全社を対象とするのか、特定の階層に絞るのかによって規模が変わります。人数に応じた料金体系を採る製品が多いため、対象範囲は費用の試算に直結します。
必要な機能と既存システムとの連携
人材情報の管理、条件による検索、組織図の表示、評価や面談の記録、育成計画の管理といった機能のうち、必要なものを整理します。実際に使う場面が定まっている機能に絞って比較しましょう。
人事システムや給与計算の仕組みとの連携も確認点です。従業員情報を二重に登録する運用では、異動のたびに作業が発生します。どちらを情報の起点とするかを決めたうえで、連携の方式を確かめておきましょう。
費用とサポート範囲の確認
料金は、利用人数に応じた月額制、機能ごとのプラン分け、初期費用と月額の組み合わせなど、製品によって考え方が異なります。対象範囲を広げる計画があれば、追加時の費用も確認しておきましょう。
サポートについては、どこまで対応してもらえるのかを具体的に確かめます。操作方法の案内にとどまるのか、項目の設計や運用の進め方を相談できるのかは製品ごとに差があります。活用の定着に不安がある場合は、この支援の内容も判断材料になります。
目的達成に活用できるタレントマネジメントシステム
扱う人材情報や活用場面にあわせて検討できるシステムを紹介します。
カオナビ
- タレントマネジメントシステム「シェアNo.1」
- 人事・労務業務の効率化から戦略人事の実現まで
- 直感的に使えるUIで人事から現場まで定着
株式会社カオナビが提供する「カオナビ」は、人材情報を顔写真とともに管理できるタレントマネジメントシステムです。組織図や配置の検討に使える表示機能を備えており、人材情報を一覧で把握しやすい構成になっています。評価やスキル情報の蓄積にもあわせて活用できます。
HRMOSタレントマネジメント
- シリーズ累計100,000社導入!
- 社員情報の管理、評価、サーベイの情報をまるっと管理!
- 初めてでも安心!専任サポートと上限なしでMTG可能
株式会社ビズリーチが提供する「HRMOSタレントマネジメント」は、人材データの一元管理と配置検討を支援するシステムです。異動や配置転換のシミュレーション機能を備えており、人材情報を活かした意思決定を進めやすくなります。
タレントパレット
- 従業員一人ひとりの人材データに基づいた人材管理・活用が可能
- 人事と従業員にとって使いやすいデザインと操作性
- 人事評価や研修管理をはじめ、幅広い領域の「人事DX」を実現
株式会社プラスアルファ・コンサルティングが提供する「タレントパレット」は、人事データを分析につなげられるタレントマネジメントシステムです。蓄積した人材情報をもとにした分析機能を備えており、取り組みが目的に沿って進んでいるかを検証する際に活用できます。
Skillnote (株式会社Skillnote)
- 製造業の課題解決ノウハウを提供
- 導入実績250社超、産官学連携あり
- 現場に合わせた柔軟なサービス設計
TimePro-VGPoweredbyZeeM (アマノ株式会社)
- 表計算ソフト風画面で全社的に利用可能。
- トップページで就業状況を可視化し労務リスクを即時把握。
- ZeeM連携で人事・給与・労務の業務効率化を実現
タレントマネジメントに関するよくある質問
取り組みを検討する担当者から寄せられることの多い質問と回答をまとめました。
- Q1: 人事システムとどう使い分けますか?
- 人事システムは所属や契約といった情報の管理と手続きを、タレントマネジメントは配置や育成の判断への活用を主な目的とします。情報が重なる部分があるため、どちらを起点にするかを決めて連携させる構成が一般的です。
- Q2: 従業員数が少なくても取り組む意味はありますか?
- 人数が少ないほど一人の異動や退職の影響は大きくなります。誰がどの業務を担えるかを把握しておくことは、規模にかかわらず意味があります。まず課題を一つ絞って始める進め方を検討するとよいでしょう。
- Q3: 評価の情報は誰まで見られるようにすべきですか?
- 扱う情報の性質に応じて、閲覧できる範囲を制御する必要があります。管理職が自部署の情報を参照する範囲と、人事部門が全社を見る範囲を分ける設計が一般的です。社内規程として整理し、対象者へ説明しておきましょう。
- Q4: 導入までにどのくらいの期間がかかりますか?
- 対象範囲や集める項目の数、既存システムとの連携によって幅があります。項目を絞って始める場合は短期間で立ち上げられる一方、全社を対象に多くの情報を扱う場合は準備に時間を要します。段階的な計画を立てましょう。
まとめ
タレントマネジメントの目的は、従業員の経験や技能、志向を把握し、配置や登用の判断、育成の計画、定着への働きかけに活かすことにあります。従来の人事管理が手続きを支えるのに対し、判断のために情報を扱う点が違いです。目的が定まらないまま情報を集めると入力の負担だけが残るため、解決したい課題を一つ決めて始めましょう。目的と対象範囲を整理したうえで、必要な機能と連携を比べて選ぶことをおすすめします。


