タレントマネジメント導入で解決したい経営課題
タレントマネジメントは、従業員の能力や経験を可視化し、配置や育成に活用する取り組みです。導入を検討する際は、まず自社がどのような経営課題を解決したいのかを明確にすることが出発点になります。以下では、代表的な課題を2つの視点で整理します。
人材の把握・活用が進まない課題を整理する
従業員のスキルや経験がエクセルや紙の履歴書に散在し、必要なときに参照しにくい状態になっている場合があります。まずは自社でどのような情報が、どこに、どの形式で保管されているかを棚卸ししましょう。人事部門だけでなく、各部署の管理職に確認すると、抜け漏れを防ぎやすくなります。
情報が分散していると、異動や昇格の検討時に担当者の記憶や勘に頼った判断になりやすくなります。棚卸しを通じて、情報を一元化する必要性や優先度を整理しておくと、その後のシステム選定にも役立ちます。優先度を整理する際は、緊急性と重要性の両方の観点で検討するとよいでしょう。
後継者育成や配置の課題を整理する
管理職やキーポジションの後継者が明確でない場合、急な退職や異動が発生した際に組織運営へ影響が出る場合があります。誰がどのポジションの候補になり得るかを、現時点で把握できているかを確認しましょう。後継者候補が特定の部署に偏っていないかもあわせて確認しておくと安心です。
後継者育成の課題は、一部の管理職だけで検討すると偏りが生じやすくなります。複数の観点で候補者を検討し、育成計画を立てられる体制を整えることが、タレントマネジメント導入の目的のひとつになります。育成計画には、研修だけでなく実務経験を通じた学びの機会もあわせて盛り込みましょう。
タレントマネジメントシステムに搭載される主な機能
タレントマネジメントシステムには、人材情報の一元管理から評価、育成計画の作成まで、幅広い機能が搭載されています。自社の課題にあわせて、必要な機能を見極めることが選定のポイントです。すべての機能を一度に使いこなそうとせず、優先度をつけて導入範囲を検討しましょう。
人材データベース機能で情報を集約する
人材データベース機能では、従業員のスキルや資格、経歴、評価履歴などの情報をシステム上に集約できます。検索や絞り込み機能を使えば、特定のスキルを持つ人材を素早く見つけられます。プロジェクトの体制を検討する際にも活用できます。
情報を集約する際は、既存の人事システムや勤怠システムとのデータ連携が可能かどうかも確認しておきましょう。連携ができないと、複数のシステムへ同じ情報を入力する手間が発生する場合があります。連携方法は製品によって異なるため、導入前にベンダーへ確認しておくと安心です。
スキルマップ・配置シミュレーションを活用する
スキルマップ機能を使うと、部署や職種ごとに必要なスキルと従業員の保有スキルを比較でき、育成すべき領域が把握しやすくなります。配置シミュレーション機能があれば、異動候補の検討にも活用できます。可視化された結果は、面談の場でも説明資料として使いやすくなります。
シミュレーション機能は、あくまで検討のための参考情報として活用することが大切です。システム上の数値やスコアだけで配置を決定せず、実際の業務適性や本人の希望もあわせて確認しましょう。最終的な判断は、複数の管理職を交えて行うと、偏りを抑えられます。
タレントマネジメントを社内に定着させるシステム活用術
システムを導入しても、現場で使われなければ効果は限定的です。人事だけでなく、管理職が日常的に活用できる仕組みを整えることが定着のポイントになります。ここでは、運用ルールと情報の更新という2つの観点から工夫の方法を紹介します。
管理職が使いやすい運用ルールを整える
管理職がシステムを使う機会は、評価面談や1on1ミーティングの前後が中心になります。面談前に部下の情報を確認し、面談後に記録を残すという流れを業務フローに組み込むと、活用が定着しやすくなります。フローを社内マニュアルとして明文化しておくと、担当者が変わっても運用を引き継ぎやすくなります。
操作方法が複雑だと、忙しい管理職ほど利用が定着しにくくなります。導入時には操作研修を実施し、簡易マニュアルを用意しておくと、日常的な利用のハードルを下げられます。マニュアルは画面のスクリーンショットを交えて作成すると、より理解しやすくなります。
更新ルールを決めて情報の鮮度を保つ
人材情報は、一度入力して終わりではなく、定期的な更新が必要です。評価のタイミングや異動のタイミングにあわせて、誰がいつ情報を更新するのかをあらかじめ決めておきましょう。更新担当を人事だけに集中させず、各部署の管理職とも役割を分担すると負担を抑えられます。
更新ルールが曖昧だと、情報が古いまま放置され、配置検討の精度が下がる場合があります。年に数回、情報の更新状況を確認する棚卸しの機会を設けることも有効です。更新が滞っている項目を可視化できる機能があると、対応の抜け漏れを防ぎやすくなります。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でタレントマネジメントシステムの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
タレントマネジメント導入時に注意したい進め方
システムの選定や導入は、機能面だけでなく、社内の運用体制もあわせて検討する必要があります。導入時に見落としやすい点を確認しておきましょう。段階的な進め方とセキュリティ面の確認は、特に見落とされやすい観点です。
目的にあわせてスモールスタートを検討する
全社に一斉導入すると、運用ルールの浸透に時間がかかり、混乱が生じる場合があります。まずは一部の部署や職種に限定して試験的に導入し、運用上の課題を洗い出してから全社展開する方法も選択肢になります。試験導入の対象は、比較的協力的な部署を選ぶと進めやすくなります。
スモールスタートを行う際は、対象部署の選定理由や試験導入の期間をあらかじめ明確にしておきましょう。試験導入で得られた課題や改善点は、全社展開時の運用ルールに反映させると効果的です。展開前には、試験導入に関わった従業員からも感想を聞いておくとよいでしょう。
情報セキュリティへの配慮を確認する
タレントマネジメントシステムには、評価や経歴といった機密性の高い情報が集約されます。アクセス権限の設定やログの管理機能など、セキュリティ面の仕様を導入前に確認しておくことが求められます。役職や部署に応じて閲覧範囲を制限できるかも、あわせて確認しておきたい項目です。
セキュリティに関する確認事項は、情報システム部門とも連携して進めることが望ましいです。自社のセキュリティポリシーに沿った運用ができるか、契約前にベンダーへ確認しておきましょう。データの保管場所やバックアップ体制についても質問しておくと安心です。
タレントマネジメントに関するFAQ
タレントマネジメントの導入を検討する際に、実務担当者からよく寄せられる質問と回答をまとめました。
- ■タレントマネジメントと人事評価システムはどう違いますか。
- 人事評価システムは主に評価プロセスの管理に特化していますが、タレントマネジメントは評価に加えて、育成計画や配置検討など、人材活用全般を支援する点に違いがあります。両者の機能が重なる製品もあるため、必要な機能を比較して選ぶとよいでしょう。導入目的にあわせて、どちらを優先するかを整理しておくと選定がスムーズになります。
- ■小規模な組織でも導入する意味はありますか。
- 従業員数が少ない組織でも、後継者育成や配置検討の情報を整理する目的で活用できる場合があります。自社の課題や運用体制にあわせて、必要な機能の範囲を絞って検討するとよいでしょう。すべての機能を使う必要はなく、優先度の高いものから段階的に活用範囲を広げる方法もあります。
- ■導入後、効果はどのように確認できますか。
- 異動や昇格の検討にかかる時間、育成計画の実施状況、従業員アンケートの結果などを定期的に確認する方法が挙げられます。導入前に測定する指標を決めておくと、効果を客観的に振り返りやすくなります。関係者間で振り返りの場を定期的に設けることも効果測定の一助になります。
タレントマネジメント導入で検討したい代表的なシステム
タレントマネジメントシステムは人材データの一元管理から配置・育成支援まで機能に違いがあります。自社の目的に合った製品を見極めるために、代表的な製品を紹介します。
カオナビ
- タレントマネジメントシステム「シェアNo.1」
- 人事・労務業務の効率化から戦略人事の実現まで
- 直感的に使えるUIで人事から現場まで定着
株式会社カオナビが提供する「カオナビ」は、社員の顔写真を起点とした直感的な操作性が特徴のタレントマネジメントシステムです。基本情報や評価、スキル、経歴、配置状況などの人材データを一元管理でき、評価調整機能でリアルタイムに相対評価結果を反映できます。アンケート機能で社員のキャリア希望を定期的に収集する運用にも対応し、人事部門だけでなく現場マネージャーにも扱いやすい設計です。
HRBrain
- スキルや特徴を可視化・分析、データに基づく抜擢・配置を実現
- 評価シートの作成から集計まで煩雑な業務をワンストップで効率化
- 「使いこなせない…」の心配はご無用!充実したサポート体制
株式会社HRBrainが提供する「HRBrain」は、組織診断サーベイからタレントマネジメントまでをワンストップで実現するクラウド型システムです。人事評価データや資格・スキル情報を一元管理し、評価シートの作成・配布・集計をクラウド上で行えます。従業員のスキルや適性、配置情報を見える化することで、人材配置や育成施策の検討に活用できるほか、勤怠管理や給与計算システムとの外部連携にも対応しています。
タレントパレット
- 従業員一人ひとりの人材データに基づいた人材管理・活用が可能
- 人事と従業員にとって使いやすいデザインと操作性
- 人事評価や研修管理をはじめ、幅広い領域の「人事DX」を実現
株式会社プラスアルファ・コンサルティングが提供する「タレントパレット」は、採用・育成・評価・配置までを一元管理できるオールインワン型のタレントマネジメントシステムです。人事情報や経歴、スキル、エンゲージメントなど多様なデータを集約し、クロス集計や分析をクリック操作で行える点が特徴です。AIが社員の紹介文や目標設定案を生成する機能も備え、人材データを活用した配置・育成の検討を支援します。
Skillnote (株式会社Skillnote)
- 製造業の課題解決ノウハウを提供
- 導入実績250社超、産官学連携あり
- 現場に合わせた柔軟なサービス設計
HiTalent (ハイタレント株式会社)
- 高度専門人材が多数登録しています。
- 個人の選択肢と可能性を広げ、次代を創るハイタレント集団
- 審査・招待制の優秀なコミュニティ運営
まとめ
タレントマネジメントの導入は、解決したい経営課題を整理したうえで、必要な機能を見極め、現場に定着する運用ルールを設計することが重要です。機能面だけを比較して製品を選ぶと、導入後に運用が続かないケースもあるため注意が必要です。スモールスタートやセキュリティへの配慮もあわせて検討し、自社にあった進め方で無理なく導入を進めてみてください。


