ITトレンドがおすすめする製品・サービス
- ■提供会社のセキュリティ認証別
- ISO/IEC 27001を取得:SmartHR、カオナビ、XOLOGY年末調整、KING OF TIME 給与、レコル
- プライバシーマークを取得:カオナビ、S-PAYCIAL with 電子年調申告、KING OF TIME 給与
- ■運用の支援体制別
- 法改正への対応を提供会社が担う:カオナビ、S-PAYCIAL with 電子年調申告、KING OF TIME 給与、レコル、弥生給与 Next
- 導入時の設定支援あり:レコル、弥生給与 Next
オンプレミスの年末調整支援システムが選ばれる背景
クラウド型の年末調整システムが広がるなかでも、オンプレミスで運用する会社はあります。その背景には、データの置き場所に関する社内ルールや、既存の基幹システムとの関係があります。
給与やマイナンバーを社外に置かない方針
年末調整では、従業員の給与額やマイナンバー、家族の氏名や所得の見積額など、扱いに注意が必要な情報を集めます。社内規程で、こうした情報を社外のサーバーに保存しないと定めている会社では、オンプレミスが前提となります。
ただし、クラウドだから安全性が低い、オンプレミスだから安全性が高いと一概にはいえません。どちらの形態でも、アクセス権限や通信の暗号化、ログの管理といった対策の中身で安全性が決まります。方針を決める際は、規程の趣旨とあわせて確認しましょう。年末調整支援システムの提供会社が公開しているセキュリティ対策の資料も、判断の材料として役立ちます。
既存の給与・人事システムとの一体運用
給与計算や人事管理のシステムをすでにオンプレミスで運用している場合、年末調整の機能も同じ環境で動かすと、従業員情報や支給額のデータを社内で受け渡せます。同じ提供会社のシリーズ製品であれば、データ連携の設定を少なくできる場合があります。
一方で、給与システムを更新する際は年末調整の機能も同時に更新する必要があり、どちらかの都合で入れ替えにくくなる面もあります。システム全体の更新計画のなかで判断するとよいでしょう。
オンプレミスかクラウドかを決める判断材料
オンプレミスとクラウドのどちらが自社にあうかは、規程、費用、従業員の働き方で変わります。次の3つの材料を並べて検討すると、判断の理由を社内に説明しやすくなります。
データ保管に関する社内規程
まず、個人情報や特定個人情報の取り扱いについて、社内規程がどのように定めているかを確認します。保存場所を社内に限る規定があるのか、委託先の管理体制を確認すれば社外に置けるのかによって、選べる形態が変わります。
規程が古く、クラウドの利用を想定していない場合もあります。その場合は、規程を見直すか、オンプレミスを選ぶかを、人事部門と情報システム部門、必要に応じて法務部門で協議します。判断の経緯を記録しておくと、次回の見直しにも役立ちます。
年に一度の利用とサーバーの費用
年末調整の作業は主に11月から翌年1月に集中し、それ以外の時期は利用が限られます。年間を通じて扶養の異動を管理する使い方もありますが、利用の中心は年末です。オンプレミスでは、利用の少ない時期もサーバーの保守費用や電気代、管理の手間がかかります。
給与システムと同じサーバーで動かせる場合は、追加の費用を抑えられる可能性があります。年末調整のためだけにサーバーを用意する場合は、ソフトの費用に加えてサーバーの購入や保守、更新の費用を数年分で見積もり、クラウド型の利用料と比べて判断しましょう。
従業員が申告する場所
オンプレミスのシステムは、社内ネットワークからの利用を基本とします。従業員が会社のパソコンから申告する場合は問題が生じにくい一方、在宅勤務の従業員や、自宅のスマートフォンで申告したい従業員がいる場合は、社外からの接続方法を考える必要があります。
社外から接続させる場合は、VPNと呼ばれる暗号化した通信経路の用意や、外部に公開するサーバーの設計が必要です。この負担が大きい場合は、申告の受け付けだけを紙や別の仕組みで行う方法もあります。
オンプレミス運用に必要な社内体制
オンプレミスで年末調整システムを運用すると、提供会社が担っていた作業の一部を自社で受け持ちます。誰が何を担当するかを事前に決め、年間の作業予定に落とし込んでおくことが大切です。
人事・情報システム部門・提供会社の役割分担
人事部門は申告書の配付や回収、計算結果の確認を担い、情報システム部門はサーバーの管理や更新作業、アクセス権限の設定を担う、という分け方が考えられます。提供会社には、保守契約の範囲で改正対応の更新プログラムの提供や問い合わせ対応を依頼します。
保守契約の内容は製品によって異なり、更新プログラムの提供だけの場合もあれば、適用作業の支援が含まれる場合もあります。どこまでを提供会社に任せられるかを契約前に確認し、残りを社内でどう分担するかを決めておきましょう。
年末調整に向けた年間スケジュール
オンプレミスでは、年末調整の本番前にサーバーと更新プログラムの準備を終える必要があります。例えば、夏から秋に改正内容と更新プログラムの提供時期を確認し、10月から11月に更新の適用とテストを行い、11月に申告の受け付けを始める流れが考えられます。
サーバーのOS更新や機器の入れ替えは、年末調整の作業期間と重ならないよう計画します。予定を表にして関係部門で共有しておくと、担当者が交代しても作業が引き継げます。前年の作業で困った点を振り返り、翌年の予定に反映していくことも大切です。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料請求して、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)で年末調整支援システムの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
令和8年分の改正を年末調整支援システムに反映する
オンプレミスの年末調整システムでは、税制改正への対応を自社の環境に適用する作業が発生します。令和8年分は計算に関わる改正があるため、適用とテストの手順を前もって決めておきましょう。
令和8年分の主な改正点
国税庁の「令和8年分 年末調整のしかた」では、昨年と比べて変わった点として4つの改正が示されています。基礎控除の引上げ、給与所得控除の最低保障額の引上げ、扶養親族等の所得要件の改正、年齢23歳未満の扶養親族を有する場合の生命保険料控除の特例です。
例えば基礎控除の本則は58万円から62万円に、給与所得控除の最低保障額は65万円から74万円に引き上げられました。これらは原則として令和8年12月1日に施行され、12月の年末調整で反映されます。扶養親族の所得要件も、合計所得金額58万円以下から62万円以下に改正されました。オンプレミスでは、計算処理だけでなく扶養親族の判定や申告書の様式も更新対象となる点に注意が必要です。
更新プログラムの適用とテスト
更新プログラムを本番のサーバーに適用する前に、データのバックアップを取ります。可能であれば検証用の環境で先に適用し、前年の従業員データを使って試算して、控除額や帳票の様式が改正後の内容になっているかを確認します。
検証用の環境を用意できない場合は、適用後に元へ戻す手順を提供会社に確認してから作業すると安心です。給与システムと連携している場合は、連携先も改正に対応した版になっているかをあわせて確かめましょう。
オンプレミスで守るマイナンバーと給与データ
オンプレミスでは、データの安全管理を自社の責任で行います。個人情報保護委員会は、マイナンバーを含む特定個人情報の取り扱いについて事業者向けのガイドラインを公表しているため、それを踏まえて社内の手順を整えましょう。
アクセス権限と操作ログの管理
年末調整システムにアクセスできる人を担当者に限り、閲覧だけできる人と修正もできる人を分けて設定します。担当者の異動や退職の際には、速やかに権限を外す手順を決めておくことが大切です。
誰がいつどのデータを閲覧・修正したかを記録する操作ログも、確認しておきたい項目です。ログを残せるかどうかや、保存期間の設定方法は製品によって異なるため、提供会社の資料で確かめておきましょう。記録したログは、定期的に担当者以外の人が確認する運用にしておくと、誤った操作にも早く気づけます。
バックアップと保存期間後の削除
サーバーの故障に備え、データは定期的にバックアップを取り、サーバーとは別の場所に保管します。バックアップから実際に復元できるかを年に一度は試しておくと、障害時に慌てずに済みます。
扶養控除等申告書などには保存期間があり、期間が過ぎたマイナンバーは速やかに削除または廃棄することが求められます。どの年分のデータをいつ削除するかを一覧にしておき、削除の記録も残しておきましょう。バックアップの媒体に残ったデータも削除の対象に含めます。
参考:特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)|個人情報保護委員会
参考:No.2503 給与所得者の扶養控除等申告書等の保存期間|国税庁
セキュリティと保守で比べる年末調整システム一覧
オンプレミスで運用するか判断する材料として、提供会社のセキュリティ認証や改正対応・導入支援の体制がわかる年末調整支援システムを一覧にしました。いずれもクラウドで提供されている製品です。
| 製品名 | 特徴 |
|---|---|
| SmartHR | ISO/IEC 27001とSOC 2を取得。スマホアプリから申告を受け付けられる |
| カオナビ | ISO/IEC 27001やプライバシーマークを取得。2段階認証やIP制限に対応 |
| XOLOGY年末調整 | ISMS認証を取得したWeb申告サービス。給与システムとCSVで連携できる |
| S-PAYCIAL with 電子年調申告 | プライバシーマークなどを取得。マイナポータルの控除証明書データを取込 |
| KING OF TIME 給与 | ISO/IEC 27001とプライバシーマークを取得。法改正は定期更新で対応 |
| レコル | ISO/IEC 27001・27017を取得。初期設定ガイドや有償の設定代行がある |
| 弥生給与 Next | 法令改正に自動で対応。ベーシック以上は無料の導入・運用支援を利用できる |
オンプレミスと比較できるクラウド型の年末調整システム
サーバーの保守や改正対応を提供会社に任せられるクラウド型の製品を紹介します。オンプレミスでの提供の有無は、各社の資料で確認してください。
SmartHR
- 最短3分のアンケート形式で、従業員が迷わずカンタン回答
- スマホへのプッシュ通知で、期日通りの回答収集を強力にサポート
- 問い合わせ対応もシステム上で完結、やりとりを大幅に効率化!
株式会社SmartHRが提供する「SmartHR」は、社外からの接続を用意せずに、自宅のスマートフォンからの申告も受け付けたい会社に適したクラウドサービスです。ISO/IEC 27001とSOC 2を取得しています。年末調整はアンケート形式で、パソコンやメールアドレスを持たない従業員にもスマホアプリで提出を依頼できます。給与計算機能と併用すれば、収集したデータを給与計算や源泉徴収票の作成に生かせます。
カオナビ
- 従業員からの問合せを減らせるシンプルな設問
- PC・スマホ・タブレットからいつでもどこでも年末調整
- 税制改正に伴う変更点にシステム側で対応
株式会社カオナビが提供する「カオナビ」は、データの保管先が社内規程に沿うかを確かめながらクラウドを検討したい会社に向く製品です。ISO/IEC 27001・27017やプライバシーマークの取得に加え、2段階認証やIPアドレス制限、全データのSSL/TLS暗号化通信といった対策を備えています。年末調整はアンケート形式で記入・提出でき、税制改正にはシステム側で対応します。
XOLOGY年末調整
- デザイン性に優れ、画面の質問に応えるだけで手軽に申告
- 従業員、人事ご担当者の業務が削減する便利機能が充実
- 人事給与分野での約50年の実績を踏まえた安心サポート
さくら情報システム株式会社が提供する「XOLOGY年末調整」は、給与システムは社内に残したまま、年末調整の申告だけを社外のサービスで受け付ける構成を考える大企業向けの製品です。ISMS認証(ISO/IEC 27001)とISO/IEC 27017を取得しています。従業員はスマートフォンやパソコンから一問一答形式で申告でき、担当者はCSVの取込み・出力のレイアウトを給与システムの仕様にあわせて設定できます。対象は従業員500名以上の企業です。
S-PAYCIAL with 電子年調申告
- 2025年度の税制改正にも対応!
- 保険料控除証明書データの取込みが可能
- 従業員の操作性と人事担当者のチェック機能にこだわった設計
鈴与シンワート株式会社が提供する「S-PAYCIAL with 電子年調申告」は、年1回の申告受付のためだけにサーバーを用意したくない会社が比べやすいサービスです。電子年調申告の料金は、利用料金350円/人/年、初期構築費用50,000円、基本料金10,000円/年です。ISO/IEC 27017やプライバシーマークを取得しています。マイナポータルからダウンロードした控除証明書などのデータを取り込め、税制改正にも対応しています。
KING OF TIME 給与
- 簡単操作で誰でも迷わずご利用いただけます。
- 年末調整も自動読み取りで手間や負担を削減。
- 勤怠管理・人事労務とのデータ連携でミスなく一元管理。
株式会社ヒューマンテクノロジーズが提供する「KING OF TIME 給与」は、毎年の更新作業と給与計算をまとめて提供会社に任せたい会社に向く製品です。ISO/IEC 27001とプライバシーマークを取得しています。法改正への対応や機能追加は無料の定期バージョンアップで行われ、サポートはチャットや問い合わせフォーム、予約制の電話で受け付けています。年末調整では電子的控除証明書(XMLファイル)と自動文字読み取り(AI-OCR)を利用できます。
レコル
- 勤怠管理・給与計算・Web給与明細・年末調整すべてレコルで完結
- オンライン年末調整でペーパーレス化と効率化を実現
- 給与支払報告書、源泉徴収票などを自動作成
中央システム株式会社が提供する「レコル」は、情報セキュリティの第三者認証を判断材料にしたい会社が確かめやすいクラウドシステムです。ISO/IEC 27001とISO/IEC 27017の認証を取得しており、セキュリティホワイトペーパーも公開しています。WebサーバーとデータベースのSSL暗号化・冗長化や、サービス稼働の常時監視を実施しています。初期設定ガイドやメール・予約制電話のサポートは無料で、有償の個別サポートプランでは初期設定の代行も依頼できます。
弥生給与 Next
- 勤怠・給与・労務をシームレスにつなげて一元管理
- Web明細や申告書回収で給与業務をペーパーレス化
- eGov連携で社会保険や労働保険の電子申請が可能
弥生株式会社が提供する「弥生給与 Next」は、改正対応や導入作業を社内の情報システム部門だけで抱えたくない中小企業が検討しやすいクラウド給与サービスです。法令改正には自動で対応し、ベーシックとベーシックプラスの契約者は無料の導入・運用支援を利用できます。インフラにはAmazon Web Services(AWS)を使っています。給与計算と年末調整、勤怠や労務の手続きを同じ流れで運用でき、300名未満の中小企業の業務に適した設計です。
まとめ
年末調整システムをオンプレミスで運用するかどうかは、データ保管の社内規程、年1回の作業のためにかかるサーバー費用、従業員の申告場所で判断できます。オンプレミスを選ぶ場合は、人事部門と情報システム部門、提供会社の役割分担を決め、令和8年分の改正を検証してから反映する手順を整えましょう。自社の体制にあう年末調整支援システムを、資料請求で比較してみてください。

