年末調整電子化とは
年末調整電子化とは、年末調整(支援)システムを使用して、年末調整に関わる作業の効率化を図ることです。2020年10月から電子化が可能になりましたが、義務化はされていません。
年末調整が電子化することで、控除証明書など各種従業員から集めるべき書類がデータで回収できるようになります。給与部門の担当者と給与システムを連携すれば、所得税の税額の計算も自動化でき、これまでの紙での取り扱いから工数を大きく削減できるようになるでしょう。
年末調整電子化で何が変わるのか
従来方式の年末調整は、以下のような問題点がありました。
- ■従業員から送付等により、控除証明書などの必要な書類を受け取らなければならない
- ■必要書類が添付された申告書を勤務先に提出し、作業完了を待たなければならない
- ■人事の給与担当者が手作業や目視で確認しなければならず、ほかの作業が中断されてしまう
- ■年税額の計算後、管轄の税務署に全従業員分の申告書を提出しなければならない
年末調整は1年に1回のため、作業工程を忘れがちです。また、全従業員の書類が揃うまで税務署に提出ができないため、確認作業とあわせて膨大な時間がかかってしまいます。
年末調整の電子化によって、これらの問題の改善ができるでしょう。
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年末調整電子化のメリット
年末調整を電子化することにより、企業側と従業員側それぞれにメリットがあります。以下でくわしく解説します。
企業側のメリット
年末調整の電子化により企業側で得られるメリットは、以下のとおりです。
- ・事務作業の大きい負担軽減が期待される
- 目視での税額計算が不要になり、添付される証明書類の確認漏れや記載ミスも減少するでしょう。従業員への問い合わせ事務も減少し、業務効率化が期待されます。
- ・ペーパーレス化できる
- 従来の方法での年末調整は、申告書を7年間保管する必要があり、書類の量が膨大になっていました。年末調整の電子化により、書類の保管や管理作業にかかるコストも削減できるでしょう。
- ・給与システムとの連携により税額計算が不要
- 年末調整(支援)システムは給与計算ソフトと連携ができるため、高度な知識や計算は必要ありません。電子化されたデータはそのまま税務署へ送付でき、従業員全員の給与などの個人情報も担当者に知られずに済みます。
従業員側のメリット
年末調整の電子化により従業員側で得られるメリットは、以下のとおりです。
- ・控除額が自動で計算され、修正の手間や計算ミスが軽減
- 配偶者控除や生命保険料控除などの各種控除額は、年末調整の電子化により自動計算されます。書き損じや計算ミスを防ぎ、スムーズに手続きができるでしょう。
- ・必要な書類を電子データで受け取れ、削除しても再交付の手間が少ない
- 年末調整に必要な書類は、「マイナポータル」と連携ができるため、電子データで受け取れます。書面でもらうと紛失した際に再発行の手続きが必要ですが、データは容易に再取得できるため、紛失しても手間が少ないでしょう。
- ・翌年以降もデータが利用できるため、翌年の負担も軽減
- 前年の年末調整申告書のデータは、翌年以降も使用できます。従業員本人や扶養親族の氏名や住所、生年月日などの入力を省略でき、申告書の作成の手間が軽減されます。
年末調整(支援)システムの選定ポイント
ここでは、年末調整(支援)システムの選び方について解説します。導入前に以下の3つのポイントを押さえておきましょう。
従業員・担当者が行うすべての工程を電子化できるか
年末調整に関わる業務は、以下の4つの進行プロセスがあります。
- ■申告準備プロセス:マニュアル作成、申告書の印刷など
- ■従業員による入力:提出プロセス:各種申告書や証明書の提出
- ■内容確認プロセス:提出状況のチェック、申告書の内容確認
- ■情報活用プロセス:給与システムへの入力作業、申告書の保管
年末調整(支援)システムで、すべての進行プロセスを自動化できるかを確認しましょう。
自社の事情に合った運用ができるか
従業員のなかには、従来の方法どおり書面でないと手続きできない人がいます。ITシステムに不慣れな従業員や、メールアドレスを把握しきれていない従業員への対応など、自社の事情により年末調整の電子化が難しい場合もあります。
自社の従業員が抱えている課題を明確にし、ナビゲーション機能やわかりやすい操作画面を備えているシステムの導入を検討しましょう。
政府が推奨するデジタル環境を構築できるか
政府は「マイナポータル」の利用を推奨しています。マイナポータルとは、個人の端末からオンラインでサービスを受けられ、生命保険料控除などに必要な証明書類が入手できるサービスです。
マイナポータルとの連携で控除証明書は基本的に提出済の扱いになり、証明書類の回収が不要になります。政府が推奨するデジタル環境を構築できるかも、重要な選定ポイントです。
年末調整電子化に向けての準備方法
実際に年末調整(支援)システムを導入する前には、以下の3つについて確認しましょう。
- ■従業員個々のマイナポータルの登録申請
- ■システムのマニュアル作成と周知
- ■各種必要なソフトの準備
それぞれの確認事項についてくわしく解説します。
従業員個々のマイナポータルの登録申請
政府が推奨するマイナポータルを従業員が利用できるかで、年末調整電子化がスムーズに進めるかが変わります。マイナポータルを利用するためには、マイナンバーカードの取得や読み取るためのICカードリーダーの所持が必須です。
年末調整のために、強制力をもって従業員に対応をしてもらうのはやや困難でしょう。事前に全従業員を対象とした説明会を開き、マイナンバーカードの取得やマイナポータルの利用を促すことをおすすめします。
システムのマニュアル作成と周知
導入するシステムが決定したあと、従業員向けにマニュアルを作成し、方法や導入時期を周知します。電子化を開始する場合、電子での受付も可能な旨や従来の方法との変更点などをマニュアルに盛り込みましょう。
国税庁では、年末調整電子化に関するパンフレットを制作しており、事前準備の資料として配布することもひとつの方法です。
各種必要なソフトの準備
国税庁では「年末調整控除申告書作成用ソフトウェア(年調ソフト)」を配布しています。自社で利用している給与計算ソフトとあわせて準備を行いましょう。
また、給与計算ソフトの調整も年末調整(支援)システム導入前の準備のひとつです。従業員が提出したデータをもとに、給与計算ソフトで年税額の計算を行えるよう設定や調整作業を行います。年末調整対応が始まる前に、システムがスムーズに動作できる状態が理想です。
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従業員の年末調整対応に困っているなら電子化を検討しよう
年末調整電子化は、企業側と従業員の双方に対して、さまざまなメリットを備えています。記事内で紹介した選定ポイントも参考にしたうえで、自社にとって必要な機能を洗い出し、製品を選びましょう。
以下の記事では、年末調整支援システムの製品の詳細を紹介しています。どのようなシステムがあるか、くわしく知りたい方はぜひご覧ください。