帳簿をエクセルで作成する方法
まずは、現金出納帳をエクセルで作成する手順を解説します。
レイアウトを作成する
現金出納帳をエクセルで作成する場合は、まず、記載する項目を打ち込みましょう。具体的な項目は以下のとおりです。
- ■現金の入出金が発生した「日付」
- ■現金の入出金に対する「勘定科目(売上高、消耗品費など)」
- ■入金額
- ■出金額
- ■摘要(入出金に関する詳細な内容)
- ■差引残高(入金時は前残高にその金額を加算し、出金時は減算する)
- 手順1
- 各項目を横並びにセルに入力します。
- 手順2
- 入力後、各項目に合わせてセルの横幅を調整しましょう。
- 摘要は入出金の詳細を入力するので横幅を大きめにしておくと良いです。ちなみに、作成時の差引残高は期首残高となるので、その旨を記入することをおすすめします。差引残高から1行下がったセルが日付のスタートになります
- 手順3
- 現金出納帳として利用したいセルの範囲を指定し、格子状の罫線を引きましょう。
数式・各項目を記入する
レイアウト作成後は差引残高に該当するすべてのセルに数式を入れなければいけません。差引残高は「=差引残高+入金-出金」の数式で求められます。
- 手順1
- 起点となる差引残高のスタートのセルに数式を入力します。差引残高のセルがF2の場合は「=F2+D3(入金額を記入したセル)ーE3(出金額を記入したセル)」となります。
- 手順2
- すべての差引残高のセルに同数式をコピーして貼り付けます。該当のセルを選択後、「ctrl」を押しながら「D」キーを押すと、数式をコピーできます。
- 手順3
- 各項目を記入します。摘要には「ノート〇冊」「売上高」「お茶菓子」など、現金の流れを簡潔に記入しましょう。現金の動きを明確にするため、記入時は表現の統一を心がけると良いです。
エクセルで会計業務を行う際に便利な機能
エクセルの「フィルター機能」と「ピボットテーブル」を使えれば、より会計業務が便利になります。それぞれの機能と特長を見ていきましょう。
フィルター機能
フィルター機能はすべてのデータの中から項目を指定し、分類・集計できる機能です。たとえば、勘定科目ごとの集計をだせるので消耗品のみ、交際費のみの集計を出したいときに便利です。
- 手順1
- すべてのデータ選択して「挿入タブ→ピボットテーブル」をクリックします。
- 手順2
- ウインドウが表示されるので「OK」をクリックすると、ピボットテーブルの作成画面が表示されます。
- 手順3
- ピボットテーブルのフィールドリストにデータ上の項目が表示されるので、集計したい該当項目を選び、「値」「行」「列」欄のいずれかへドラッグしましょう。たとえば、勘定科目ごとの集計を行うのであれば「金額」を「値」欄へドラッグし、次に「勘定科目」を「行」欄へドラッグします。
エクセルで会計業務を行うメリット・デメリット
会計業務をエクセルで行うにはメリット・デメリットが存在します。それぞれ2つずつ紹介します。
メリット:コストが抑えられる
エクセルが標準搭載されているパソコンであれば無料で使えます。一方、エクセルが搭載されていないパソコンでエクセルを使う場合は、別途費用が発生します。ログインする台数や販売形態によって費用が異なりますが、会計ソフトと比較すると初期コスト・ランニングコストの両方を抑えられるケースが多いです。
メリット:カスタマイズができる
取引や支払方法など、独自のルールをもつ企業は多いです。エクセルはさまざまなパターンで関数やマクロを使い分けることができ、企業独自のルールでの運用が可能です。よく利用する機能だけをカスタマイズし、オリジナルメニューを作成できます。
表計算ソフトであるエクセルは、データ加工がしやすいのも特長の1つだといえるでしょう。
デメリット:ヒューマンエラーを起こす可能性がある
エクセルで使用する関数やマクロは人が設定を行います。そのため、会計ソフトと比較すると、ヒューマンエラーを起こす可能性は非常に高いです。
設定を間違うとすべてのデータに影響が及んでしまい、リカバリーに多くの時間が必要になります。また、上書き禁止のファイルを誤って上書き保存してしまうのも、エクセル利用時によくあるミスの1つです。
デメリット:専門知識が必要になる
エクセルで会計帳簿を作成するには、借方・貸方といった簿記の基礎知識や、法人税・消費税などの税務に関する知識が必要です。また、現金出納帳のような帳簿は比較的簡単に作成できますが、総勘定元帳となるとマクロなどの専門的な知識が必要です。
また、エクセルでの会計帳簿の運用は属人的になりやすい傾向にあります。知識に長けた社員が会計業務を一手に引き受けている場合、退職により業務が滞るケースがあるようです。
会計ソフトを使用するメリット
会計ソフトは専門知識がなくても使用可能です。金額とその用途を入力すると、ソフトが自動で仕訳を行います。領収書をスマートフォンで撮影して読み込めば、経費処理を効率化できるだけでなく、外出先でも登録が行えます。営業担当者は経費精算のために帰社する必要はありません。
さらに、会計ソフトは見積・納品・請求・債権管理といった一連の会計業務を一元化できます。すべての情報が会計ソフトに集約されるので、それぞれを紙で管理する必要がなくなります。
なお、エクセルと会計ソフトを併用すると運用しやすいため、おすすめです。会計ソフトはエクセルのデータを取り込むことが可能です。現金出納帳はエクセルで行い、データを会計ソフトに取り込むといった運用も行えます。エクセルの操作に慣れ、新しいソフトの操作に抵抗を感じる社員のハードルを下げられるでしょう。
関連記事
watch_later
2021.01.22
法人向け会計ソフトを比較!人気ランキングや選び方のポイントも解説
続きを読む ≫
会計ソフトを使って経理業務を効率化しよう
エクセルでの帳簿作成手順は以下のとおりです。
- 1.項目の設定後、レイアウトを作成
- 2.数式の設定後、各項目を入力
また、エクセル利用のメリット・デメリットは以下のとおりです。
- メリット
-
- デメリット
-
会計ソフトは簡単に始められ、人的ミスを軽減できます。エクセルとの併用もおすすめです。ソフトの導入を検討し、会計業務の効率化を目指しましょう。