
流動資産と固定資産とは
流動資産と固定資産には、どのような違いがあるのでしょうか。流動資産と固定資産の概要や種類について解説します。
流動資産と固定資産の違いは現金化のしやすさ
固定資産は、土地や建物など現金化に1年以上かかるものを指します。 流動資産は、現金や売掛金など1年以内に換金できるものです。 「正常営業循環基準」で考えると、棚卸資産や受取手形など通常の商取引で生じる 債権・債務はすべて流動資産に分類されます。
流動資産と固定資産の種類
固定資産は以下の3種類があります。
- ・有形固定資産
- 土地や建物など形のある資産のことです。年月の経過により経年劣化する「減価償却資産」と、経年劣化しない「非減価償却資産」にわけられます。
- ・無形固定資産
- ソフトウェアや借地権など実体がない資産のことです。ソフトウェアは技術の発達により価値が目減りする「減価償却資産」に分類されます。
- ・投資その他の資産
- 有価証券や長期貸付金など、投資目的で得られる資産のことです。
流動資産は以下の3種類があります。
- ・当座資産
- 現金や預金、受取手形など簡単に現金化できる資産のことです。
- ・棚卸資産
- 企業が保有する在庫のことです。小売業であれば原材料、不動産屋であれば販売前の土地や建物が該当します。
- ・その他の流動資産
- 当座資産や棚卸資産に分類されない資産のことです。前払費用や短期貸付金など、流動資産の中でも換金しにくいものが該当します。
- ・流動資産/流動負債×100
- 流動資産を流動負債で割ったもので、短期的な支払能力を表します。100%を下回ると支払い能力が低いと判断されるため、将来的な資金ショートの可能性があります。140%を超えると十分な流動資産があるとみなされ、企業としての安全性・信頼性が向上します。
- ・固定資産/自己資本×100
- 固定資産の取得価額における自己資本の割合を表します。100%を上回ると返済が必要な借入金などで固定資産を取得していることになるため、将来的な資金ショートの可能性があります。一方、100%を下回ると固定資産の取得を自己資本で賄えていると判断され、企業としての評価が高まります。
流動資産・固定資産と繰延資産との違い
流動資産と固定資産いずれにも該当しないものは、「繰延資産」として扱われます。 繰延資産とは、会社運営や資産運用のために拠出された費用のことです。来期以降にも経営に影響を及ぼすため、短期・長期関係なく現金化できません。株式交付費や商品開発費、創立費などが該当します。
固定資産について詳しく知ろう
正しく管理することで節税にもつながる固定資産について、さらに詳しく解説します。
固定資産は貸借対照表に表示される
貸借対照表は借方が「資産の部」、貸方が「負債の部」と「純資産の部」になっています。このうち、資産の部に表示されているのが固定資産です。会社が事業のために集めた資産を、「流動資産・固定資産・繰延資産」に分類して表示します。
固定資産を取得したときは固定資産台帳に登録する
新しく固定資産を取得したときは、固定資産台帳に取得価額や耐用年数、償却方法などを登録します。自動車取得税や登録免許税などの租税公課は、取得価額に含めなくても構いません。会計ソフトを利用すると、表示された項目を入力するだけで登録が完了します。
固定資産には税金がかかる
固定資産を保有している企業は、市町村から「4月・7月・12月・2月」の年4回にわたり固定資産税が徴収されます。毎年1月1日の時点で固定資産課税台帳に記載されている人が納税義務者となるため、年の途中で所有者が変わっても納税者の変更はありません。東京23区の場合は、東京都から「6月・9月・12月・2月」の年4回にわたり固定資産税が徴収されます。
税率は固定資産税評価額の1.4%です。都市計画地域にある土地および建物については、固定資産税のほか都市計画税が徴収されます。 固定資産税は「租税公課」として損金に算入できます。
資産計上した固定資産は減価償却費として計算する
建物や工場設備など年月の経過とともに価値が目減りする固定資産は、原則として全額費用計上できません。一度固定資産として計上し、毎年目減りした価値の分だけ「減価償却費」として費用計上します。減価償却した部分は経費となるため、法人税の節約にもつながります。 土地など経年劣化しない固定資産については、減価償却できません。
流動比率と固定比率とは
流動資産と固定資産において重要な、「流動比率」と「固定比率」について解説します。これらは、企業の安全性(支払能力)を判断するための指標です。
流動比率
固定比率
流動資産と固定資産の違いなどを知って会社の資産を守ろう
流動資産は1年以内に換金できるもので、当座資産・棚卸資産・その他の流動資産の3つにわけられます。会社の短期的な支払能力を表すため、非常に重要です。 固定資産は現金化に1年以上かかるもので、有形固定資産・無形固定資産・投資その他の資産の3つにわけられます。
いずれも、繰延資産とともに貸借対照表の資産の部に表示されるため、違いなどを理解して適切に管理しましょう。
