DMPの導入条件を決める前に整理したい前提
条件を決める前に、何のために、どのデータを、誰が使うのかを整理しておくと、必須条件と希望条件を分けやすくなります。前提があいまいなままだと、比較の軸がぶれる場合があります。
利用目的と対象データを言語化する
DMPの利用目的は、広告配信の精度向上、顧客分析、既存顧客への施策の見直しなど、企業によって異なります。目的によって、必要なデータの種類や処理の速さ、出力先が変わります。目的があいまいだと、不要な機能にまで費用をかけてしまう場合があります。
目的を1文で書き出し、対象データを一覧にしましょう。自社で直接集めた1stパーティデータだけを扱うのか、外部事業者のデータである3rdパーティデータも使うのかを決めると、比較する条件が明確です。
データ量と更新頻度を見積もる
扱う顧客数やログの件数によって、必要な処理能力や料金プランが変わります。料金がデータ量や取り込み件数に連動する製品もあるため、将来の増加も見込んで試算しましょう。想定より増えたときの追加料金の決まり方も、あわせて確認すると安心です。
更新頻度も条件の一つです。日次の更新で足りる業務もあれば、サイト訪問の直後にセグメントへ反映したい業務もあります。要望をベンダーに伝え、対応できる頻度を確認してください。
社内の体制と予算の範囲を確認する
導入後に運用する部署と担当者を決めておくと、必要なサポート内容を判断できます。専任の担当者を置けない場合は、初期設定の支援や運用の相談窓口があるかが条件です。
予算は初期費用と月額費用に分けて考えましょう。オプション機能の費用や、連携に必要な開発費が別になる場合があるため、見積もりの内訳を確認し、社内の予算と照らし合わせてください。導入後の運用費まで含めて、年間でいくらかかるかを試算しておくと判断しやすくなります。
日本語や多言語への対応範囲に関する導入条件
日本語対応や多言語対応は、画面表示だけでなく、サポートやデータの扱いまで範囲が分かれます。どこまでを必須にするかを決めておくと、ベンダーへの確認が具体的です。
- ■管理画面
- 操作画面の表示やエラーメッセージが日本語で提供されているか
- ■マニュアルと資料
- 操作手順書や技術資料が日本語で用意されているか
- ■問い合わせ窓口
- 日本語で相談できる時間帯と連絡手段が決まっているか
管理画面とサポートの日本語対応を確かめる
日本語対応には、管理画面の表示、マニュアル、問い合わせ窓口、契約書類など、複数の範囲があります。製品によっては、管理画面は日本語でも、詳細な技術資料は英語のみの場合があります。
日本語で相談できる時間帯や、緊急時の連絡方法も確認しましょう。担当者が日常的に使う画面と資料が日本語で整っているかは、資料請求や無料トライアルの段階で見ておくと判断しやすくなります。マニュアルの更新頻度も、あわせて聞いておきましょう。
国内の制度や商習慣への対応を確認する
国内で運用する場合は、個人情報保護法や電気通信事業法の外部送信規律など、国内の制度への配慮が求められる場合があります。外部送信規律とは、Webサイトが利用者の情報を外部へ送る際に、通知や公表などを求める仕組みです。
請求書払いや日本円での契約、国内の広告媒体やツールとの接続可否も、商習慣にあうかを見る材料です。ただし、国産かどうかだけで対応力は判断できません。
個々の機能と契約条件を確認しましょう。国内企業での利用事例が紹介されている場合は、自社と業種が近いかも見ておくと参考にできます。
多言語対応が必要な範囲を決める
海外拠点や外国人顧客のデータを扱う場合は、多言語対応が条件です。確認する範囲は、管理画面の言語、データの文字コード、住所や氏名の入力形式、多言語サイトの行動データの取得などです。
多言語の対象に、海外の個人情報関連の法令が関わる場合もあります。国境を越えるデータの扱いは、法務部門や専門家に確認したうえで、データの保管場所とあわせてベンダーに問い合わせてください。多言語の管理画面が必要な範囲を、利用する担当者の人数とあわせて伝えると話が進みます。
セキュリティ要件が厳しい企業向けの導入条件
顧客データを扱うDMPでは、セキュリティの確認が選定の前提といえます。社内規程で求められる項目を先に洗い出し、ベンダーが公開している情報と照らし合わせましょう。
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| ISMS認証 | 認証範囲にDMPのサービスや運用拠点が含まれるか |
| ISMSクラウドセキュリティ認証 | クラウドサービス固有の管理策について取得しているか |
| プライバシーマーク | 個人情報の取扱体制の評価を受けているか、有効期限はいつか |
ISMSなどの第三者認証の範囲を確かめる
ISMS認証は、組織の情報セキュリティを管理する仕組みを第三者が審査する制度で、国際規格のISO/IEC 27001にもとづきます。認証を取得していても、範囲にDMPのサービスや運用拠点が含まれるとは限りません。
認証の登録範囲、有効期限、審査機関をベンダーに確認しましょう。個人情報の取扱いに関する認証もあるため、自社の規程がどの認証を求めているかを先に確認しておくと、比較が進みます。取得していない場合は、同等の対策をどのような社内ルールで補っているかを聞く方法もあります。
アクセス制御と操作ログを確認する
アクセス制御とは、利用者ごとに閲覧や操作ができる範囲を制限する仕組みです。顧客データの閲覧権限を部署や役割で分けられるか、多要素認証やシングルサインオンに対応しているかを確認します。
操作ログは、誰がいつどのデータを扱ったかを記録するものです。ログの保存期間や出力方法、管理者への通知の有無は、情報漏えいが疑われたときの調査にも影響します。権限の設定変更が記録されるかも、確認しておきたい項目です。
データの保管場所と委託先の管理を確認する
クラウド型のDMPでは、データがどの国や地域のデータセンターに保管されるかが、社内規程や契約上の条件になる場合があります。バックアップの保管先も確認項目です。
運用を再委託している場合は、委託先の範囲や管理体制も確認しましょう。契約終了時のデータ削除の手順と、削除の証明を受け取れるかも、事前に決めておくと安心です。契約書やセキュリティに関する説明資料に記載があるかも、あわせて見ておきましょう。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料請求して、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でDMPの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
API連携とカスタマイズ性を条件にする判断基準
API連携やカスタマイズが必須かどうかは、既存システムの構成と運用したい業務で決まります。必須と希望を分けて整理し、追加の開発や費用が生じる範囲を事前に把握しましょう。
API連携が必須かどうかを業務から判断する
APIとは、ソフトウェア同士がデータをやり取りするための窓口です。販売システムなどから顧客データを自動で受け取りたい場合や、DMPの結果を他のシステムへ渡したい場合は、API連携が条件です。
一方で、データの更新が週に数回で、ファイルの取り込みで足りる業務もあります。自動化したい作業の頻度と件数を整理し、APIの提供範囲やリクエスト数の上限をベンダーに確認してください。API仕様書を公開しているかも、判断材料です。
カスタマイズの範囲を設定と開発に分けて考える
カスタマイズ性は、管理画面の設定で変更できる範囲と、追加の開発が必要な範囲に分けて確認します。項目の追加、画面の表示、セグメントの条件、レポートの形式などが代表的な対象です。
設定で対応できる範囲が広いほど、運用の自由度が高まる可能性があります。ただし、独自の開発を加えるとバージョンアップ時の動作確認が必要になる場合があるため、保守の体制も確認しましょう。設定だけで対応できる範囲を、デモ画面で実際に見せてもらう方法もあります。
追加費用と保守の条件を確認する
API連携やカスタマイズは、初期費用に含まれない場合があります。開発費、月額の追加費用、保守費用のどれが発生するのか、見積もりの段階で内訳を確認しましょう。
仕様の変更時に誰が対応するのかも条件の一つです。連携先のシステムが更新されたときの動作確認と修正を、自社とベンダーのどちらが担うのかを契約前に決めておくと、運用開始後のトラブルを抑えられます。担当窓口が分かれている場合は、問い合わせ先も整理しておきましょう。
Cookie規制を踏まえたデータ活用の導入条件
サードパーティCookieの利用が制限される動きを受け、Cookieに依存しないデータ活用がDMPにも求められています。規制への備えとして確認したい条件を整理します。法令の判断は専門家への確認が前提です。
1stパーティデータ中心で運用できるか確かめる
1stパーティデータとは、自社のWebサイトや店舗、アプリなどで直接取得したデータです。サードパーティCookieに依存しない運用では、会員IDや購買履歴などをどれだけ集められるかが土台です。
DMPが自社データの取り込みや統合に対応しているか、データの種類に制限がないかを確認しましょう。外部のデータを併用する場合でも、自社データを軸にする設計にしておくと、規制の変更に対応しやすくなります。自社データの量が少ない場合は、集める仕組みづくりも同時に進めましょう。
Cookie以外の識別方法に対応しているか確認する
Cookieはブラウザごとに付与されるため、端末やブラウザが変わると同一人物と判断しにくくなります。会員IDなど、ログイン情報にもとづく識別子であれば、複数の端末にまたがって結びつけられる場合があります。
DMPがどの識別子を名寄せに使えるか、識別子を加工して保管できるかを確認してください。ただし、個人を特定できるデータの扱いには、個人情報保護法に沿った対応が必要です。利用目的の範囲で使われているかを、定期的に見直す運用も欠かせません。
同意情報と法令対応の運用を確認する
Cookieや行動データの取得にあたり、利用者の同意をどう管理するかも導入条件の一つです。同意の有無をデータに紐づけて保持し、同意が取り消されたときに反映できる機能があると、運用の負担を抑えられます。取得時の同意画面との接続方法は、事前にベンダーへ確認しておくと安心です。
個人情報保護法や電気通信事業法の外部送信規律など、関係する制度は改正される場合があります。最新の情報は個人情報保護委員会や総務省などの公的機関の資料で確認し、判断は法務部門や専門家に相談しましょう。
導入条件の確認対象となるDMPと関連製品
対象規模や提供形態など、導入条件を確認する際の候補となるDMPと関連製品を紹介します。
Rtoaster(アールトースター)
- データ収集から活用まで出来るワンストップソリューション
- 2006年からの実績・350社以上の業界トップクラス企業と共に成長
- 対応満足度98.6%を誇る万全のサポート体制
株式会社ブレインパッドが提供する「Rtoaster(アールトースター)」は、Web接客やレコメンド、カスタマーデータ基盤(CDP)の機能をカバーしたソリューションです。提供形態はクラウドで、製品ページでは対象規模を従業員500名以上としています。データ分析、キャンペーン管理、レポート作成の機能に対応し、ブラウザ上で利用するサービスです。セキュリティ要件や契約条件などの個別の導入条件は、資料請求で確認しましょう。
AudienceOne® (デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社)
- 約4.8億のユニークブラウザから情報を取得
- 推定クロスデバイスモデルで複数のIDを統合
- 2ndパーティデータも入手・活用
Piano DMP (PIANO Japan株式会社)
- 訪問者の体験をデザインしエンゲージメントを強化
- セグメント化に基づく高度なパーソナライゼーション
- サブスクリプションサービスに特化したエンジンも
ZETA DMP (ZETA株式会社)
- 機械学習、分散処理による高速かつ正確な分析
- 他のZETA CXシリーズと連携が可能
- 実店舗、オンラインどちらでも利用できるDMP
DMPに関するよくある質問
DMPの導入条件についてよくある質問と回答をまとめました。
- ■Q1:導入条件は何から決めればよいですか?
- A:利用目的と扱うデータの範囲から決めると、必須条件と希望条件を分けやすくなります。次に予算と運用体制を確認し、ベンダーへの質問を整理しましょう。条件は表にまとめておくと比較に役立ちます。
- ■Q2:ISMS認証があれば安全と判断してよいですか?
- A:認証だけで判断せず、登録範囲にDMPのサービスが含まれるかを確認しましょう。アクセス制御やログの仕様もあわせて見ると、判断の材料が増えます。認証の有効期限も確認しておくと安心です。
- ■Q3:API連携が不要な場合でも確認しておくべきですか?
- A:現在は不要でも、将来の運用で必要になる場合があります。提供範囲を聞いておくと、後から比較し直す手間を抑えられます。追加費用の有無もあわせて聞きましょう。
- ■Q4:日本語対応はどこまで確認すればよいですか?
- A:管理画面、マニュアル、問い合わせ窓口の3点が目安です。日本語で相談できる時間帯も、資料請求の段階で聞いておきましょう。マニュアルの更新頻度も判断材料です。
まとめ
DMPの導入条件は、利用目的とデータの範囲を整理したうえで、項目ごとに決めると比較しやすくなります。日本語や多言語への対応、セキュリティ、API連携とカスタマイズ、Cookie規制への備えが主な項目です。認証は取得の有無に加えて範囲を確認し、追加費用や保守の条件も契約前に把握しましょう。条件を整理したら、複数の製品の資料を請求し、同じ基準で比較してみてください。

