DMPの連携性を左右する方式とデータの向き
DMPの連携性は、連携先の数だけでなく、どの方式で、どの向きに、どのタイミングでデータを受け渡すかで決まります。まず基本となる考え方を整理します。
| 方式 | 特徴 | 向く場面 |
|---|---|---|
| API連携 | システム同士が自動でデータをやり取りする | 更新頻度が高く、自動化したい場合 |
| ファイル連携 | CSVなどのファイルを受け渡す | 更新が日次や週次で足りる場合 |
| 計測タグ | Webサイトに設置したコードで行動データを取得する | サイトの閲覧履歴を取り込む場合 |
連携方式の種類と選び方
連携方式には、APIによる自動連携、CSVなどのファイルによる連携、Webサイトに設置する計測タグの3種類があります。APIとは、ソフトウェア同士がデータをやり取りするための窓口です。製品によっては、連携先ごとに用意された専用の接続機能を使う場合もあります。
方式の選び方は、更新の頻度とデータ量で変わります。毎日の更新が必要な広告配信にはAPI連携が向く場合がある一方で、週に1回の集計であればファイルでも運用できます。自社の業務で求められる更新の頻度を、先に整理しましょう。
取り込みと出力、2つの向き
連携には、外部のデータをDMPへ取り込む向きと、DMPで作ったセグメントを外部へ出力する向きがあります。同じ連携先でも、取り込みだけに対応する場合や、出力だけに対応する場合があります。
連携先の一覧に名前があるだけでは、必要な向きに対応しているとは限りません。取り込みと出力のどちらに対応しているかをベンダーへ確認し、両方向が必要な場合はその旨を伝えましょう。見積もりにも連携の向きが反映されているかを見ておくと安心です。
更新タイミングと反映までの時間
連携で見落としやすいのが、データの反映にかかる時間です。リアルタイムに近い反映ができる連携と、バッチ処理と呼ばれる、一定時間ごとにまとめてデータを処理する方式の連携があります。
バッチ方式では、DMPで作成したセグメントが広告配信などに反映されるまでに、数時間以上かかる場合があります。施策のスピードに必要な反映時間を決めたうえで、連携先を含めた全体の反映時間をベンダーに確認してください。遅れが生じたときの対応も聞いておくと安心です。
広告配信プラットフォームやMAツールとの連携
DMPで作成したセグメントを施策に使う場面では、広告配信プラットフォームやMAツールとの連携が中心です。連携先ごとに使う識別子が異なる点にも注意が必要です。
広告配信プラットフォームへセグメントを渡す
広告配信プラットフォームとは、広告枠の買い付けや配信の管理を行うサービスです。DMPとの連携により、作成したセグメントに向けて広告を配信したり、特定の顧客を配信対象から除外したりできます。
連携できる配信先は製品ごとに異なります。自社が使っている広告媒体や配信ツールが対象に含まれるかを確認し、連携の設定を自社で行えるのか、ベンダーの作業が必要なのかも聞いておきましょう。連携先を後から追加する場合の費用も見積もりで確認できます。
MAツールと連携してシナリオに活用する
MAツールとは、見込み客へのメール配信やスコアリングなどのマーケティング業務を自動化するツールです。DMPのセグメントをMAツールに渡すと、顧客の行動にあわせたメッセージを送るシナリオに活用できます。
連携時には、メールアドレスなどMAツール側で使う識別子がDMPにあるかを確認します。MAツール側の顧客情報をDMPに戻して行動データと結びつけられるかも、運用の幅を左右する観点です。双方向の連携が必要な場合は、その旨を最初に伝えておきましょう。
連携先ごとの識別子の違いを確認する
広告配信ではCookieやスマートフォンの広告用IDが、メール配信ではメールアドレスが、識別子として使われます。識別子が異なると、同じ人物でも連携先ごとに別のデータとして扱われます。
DMPが複数の識別子を結びつけて保持できるか、連携先ごとに必要な識別子を出力できるかを確認しましょう。個人情報にあたる識別子を外部へ出す場合は、利用目的や同意の取得状況の確認も必要です。社内の法務部門にも、外部へ出す範囲を事前に相談しておきましょう。
CRMやCDP、DWHとのデータ連携
社内の顧客基盤や分析基盤とつなぐ連携では、データの役割分担を決めることが大切です。基準とするデータの保管先を決めておくと、連携後の混乱を抑えられます。
CRMと連携して顧客情報を補完する
CRMは、商談や問い合わせ、契約などの顧客情報を管理するシステムです。DMPと連携すると、Webの行動データとCRMの顧客情報を結びつけ、関心の高い顧客を抽出するなどの活用ができます。
連携する項目と更新の向きを事前に決めましょう。CRMの顧客情報をDMPへ取り込むのか、DMPの分析結果をCRMへ戻すのかによって、必要な連携機能が変わります。項目の名称や形式が異なる場合の変換方法も確認が必要です。
CDPと連携するときの役割分担を決める
CDPは、個人単位で顧客データを統合する基盤です。DMPとCDPを併用する場合は、どちらで個人のデータを管理し、どちらで匿名の行動データや広告向けのデータを扱うかを決めておく必要があります。
役割が重なるデータを両方に持つと、更新のタイミングの差で内容が食い違う場合があります。データの流れを図にして、基準とするデータの保管先を明確にしましょう。併用せず、片方に集約する選択肢も検討できます。
DWHと連携して分析基盤に集約する
DWHとは、社内のさまざまなデータを分析しやすい形で蓄積するデータベースです。DMPからDWHへデータを出力すると、売上や在庫など他のデータと組み合わせて分析できます。
DWHの種類によって、受け取れる形式やデータ量が異なります。連携先のDWHに対応した出力方式があるか、出力のたびに全件を送るのか、差分だけを送れるのかを確認しておきましょう。差分だけを送れると、処理にかかる時間や費用を抑えられる場合があります。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料請求して、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でDMPの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
APIとCSVで連携するときの確認ポイント
連携の中心となるAPIとCSVは、対応範囲の違いが運用の手間に影響します。それぞれで確認したい項目を整理します。
- ■API連携
- 取得や更新ができるデータの範囲、認証の方式、リクエスト数の上限
- ■CSV出力
- 出力項目の選択、文字コードの指定、一度に出力できる件数の上限
API連携の提供範囲と制限を確認する
API連携では、取得できるデータの種類、更新できる範囲、認証の方式を確認します。製品によって、参照だけができるAPIと、データの登録や更新までできるAPIがあります。
一定時間内に送れるリクエスト数に上限が設けられている場合もあります。データ量が大きいと上限に達する可能性があるため、想定する処理件数をベンダーに伝え、仕様書が公開されているかもあわせて確認してください。仕様の変更が事前に告知されるかも見ておきましょう。
CSV出力の柔軟性を比べる
CSV出力の柔軟性は、出力する項目を選べるか、文字コードや区切り文字を指定できるか、条件で絞った結果を出力できるかで比べられます。連携先が受け付ける形式にあわせて調整できると、手作業での加工が減ります。文字コードが合わないと文字化けが起こる場合があるため、事前の確認が欠かせません。
一度に出力できる件数の上限や、定期的に自動出力できる機能の有無も確認しましょう。出力したファイルに個人情報が含まれる場合は、保管場所や受け渡しの方法に関する社内ルールも必要です。
認証と権限の設定を確認する
連携用のアカウントやキーは、管理者の画面とは別に発行される場合があります。連携で使う認証情報の発行方法や、有効期限の有無を確認しましょう。期限が切れると連携が止まる場合があるため、更新の時期を管理する担当者も決めておく必要があります。
連携用の権限は、必要な操作だけに限定して設定すると、誤操作や情報の流出のリスクを抑えられます。担当者の退職や異動のときに、認証情報を更新する手順も決めておくと、引き継ぎが円滑に進みます。
連携を始める前の確認と運用の準備
連携は、接続できたら終わりではなく、運用を続けるための準備が必要です。構成の整理、検証、運用体制の3つを順に確認しましょう。
連携対象とデータの流れを図にする
連携するシステムとデータの流れを図にまとめると、関係者の認識をそろえられます。どのデータを、どの向きに、どの頻度で受け渡すかを1枚にまとめるとよいでしょう。図は更新しやすい形式で保存し、構成を変えるたびに見直す運用にしておくと役立ちます。
図を作る過程で、連携が足りない箇所や、同じデータを重複して持つ箇所が見つかる場合があります。ベンダーにも図を共有し、実現できる構成かどうかを確認してもらいましょう。担当者が複数部門にまたがる場合は、図をもとに役割を確認する場を設けると、認識の違いを防げます。
検証環境で動作を確かめてから切り替える
連携は、本番のデータを使う前に、検証環境やテスト用のデータで動作を確認することが望ましいです。検証環境を提供しているか、本番と同じ条件で試せるかを確認しましょう。
検証では、データの件数や項目が想定どおりか、反映までの時間が許容範囲かを確かめます。連携先の設定変更を伴う場合は、社内の承認や連携先の利用規約もあらかじめ確認してください。問題が見つかった場合に、元の状態へ戻す手順も用意しておくと、切り替え時の不安を減らせます。
連携後の監視と変更への備えを整える
連携後は、データが正しく届いているかを定期的に確認する運用が必要です。失敗時に通知が届くか、処理の履歴を確認できるか、手動で再実行できるかを導入前に確認しておきましょう。
連携先のシステムが更新されると、連携の仕様が変わる場合があります。変更の予告をどのように受け取れるか、対応を自社とベンダーのどちらが行うかも決めておくと、運用が止まる事態を避けやすくなります。月ごとに連携の状況を振り返る機会を設けるのも、有効な方法です。
連携先を確認したいDMPと関連製品
広告やMAツール、CRMなどとの連携を検討する際に、比較の候補となるDMPと関連製品を紹介します。
Rtoaster(アールトースター)
- データ収集から活用まで出来るワンストップソリューション
- 2006年からの実績・350社以上の業界トップクラス企業と共に成長
- 対応満足度98.6%を誇る万全のサポート体制
株式会社ブレインパッドが提供する「Rtoaster(アールトースター)」は、Web接客やレコメンド、カスタマーデータ基盤(CDP)の機能をカバーしたソリューションです。データ分析、キャンペーン管理、レポート作成の機能に対応し、データの収集から活用までをひとつの製品で進めたい場合に、候補として検討できます。連携できるデータや方法は製品の仕様によって異なるため、自社の連携先に対応するかは個別に確認しましょう。
IM-DMP (株式会社インティメート・マージャー)
- 大規模メディアやアンケートから得られた膨大な情報
- 自由にカスタマイズ可能なセグメント
- Web広告やLP、CRM、MAなど幅広い用途に対応
MOTHER (株式会社フリークアウト)
- Cookieと広告IDを独自技術で統合管理
- 月間 1PB以上ものユーザーデータを保存
- 高精度なCTR予測・CVR予測を実現
Piano DMP (PIANO Japan株式会社)
- 訪問者の体験をデザインしエンゲージメントを強化
- セグメント化に基づく高度なパーソナライゼーション
- サブスクリプションサービスに特化したエンジンも
DMPに関するよくある質問
DMPの連携性についてよくある質問と回答をまとめました。
- ■Q1:連携先の一覧に名前があれば安心してよいですか?
- A:取り込みと出力のどちらに対応しているかは、一覧だけでは分からない場合があります。必要な向きと更新の頻度を伝えて確認しましょう。見積もりに連携の費用が含まれるかも見ておきましょう。
- ■Q2:API連携とCSV連携はどちらを選ぶべきですか?
- A:更新の頻度とデータ量で変わります。頻繁な更新が必要ならAPI、週次などの集計であればCSVで足りる場合があります。連携先が受け付ける形式かも確認が必要です。
- ■Q3:連携が止まったときに気づく方法はありますか?
- A:失敗時の通知や処理の履歴を確認できる製品があります。導入前に、通知の有無と手動での再実行ができるかを確かめましょう。通知の宛先を複数人にしておくと、気づきやすくなります。
- ■Q4:DMPとCDPを併用する場合は何に注意すればよいですか?
- A:同じデータを両方に持つと、内容が食い違う場合があります。基準とするデータの保管先を決め、データの流れを図にしておきましょう。片方に集約する選択肢も検討できます。
まとめ
DMPの連携性は、連携先の数だけでなく、方式、データの向き、反映までの時間で見極めることが大切です。広告配信プラットフォームやMAツールでは識別子の違いに、CRMやCDP、DWHでは役割分担に注意しましょう。APIの提供範囲やCSV出力の柔軟性、検証と運用の体制も、導入前に確認したい項目です。複数の製品の資料を請求し、同じ条件で比較してみてください。

