EAIとはどのような仕組みか
課題を見る前に、何を担う仕組みなのかを押さえておきましょう。
EAIが担う役割
EAIとは、企業内に存在する複数のシステムをつなぎ、データのやり取りを仲介する仕組みです。販売管理と会計、人事と給与計算、基幹システムとクラウドサービスといった組み合わせが対象になります。
つなぐ相手ごとに個別のプログラムを作る構成では、システムが増えるほど接続の数が急激に増えます。EAIでは、中継する仕組みを一つ置き、それぞれのシステムをそこにつなぐ形にします。接続の管理を一か所に集められる点が特徴です。
個別に連携する構成との違い
個別に作り込む構成では、接続ごとにプログラムが作られ、それぞれ別の担当者が保守することになります。作った本人しか内容を把握していない状態が生まれやすく、変更の際に影響範囲を追いにくくなります。
EAIでは、画面上で連携の設定を行える製品が多く、内容を確認しやすくなります。似た処理を扱う仕組みとしてETLがありますが、こちらは分析のために大量のデータをまとめて処理する用途が中心です。EAIは業務システム間のやり取りを、必要な時点で仲介する用途で使われます。
設計段階で生じる課題
連携を組み立てる段階でつまずきやすい点を、三つに分けて確認します。
連携する項目とデータ形式の整理
つなぐシステムどうしで、同じ意味の項目が異なる名称や形式で管理されていることがあります。取引先を表すコードの桁数が違う、日付の形式が異なるといった状況です。
この整理は、ツールを入れれば済む作業ではありません。どちらの値を正とするか、変換の規則をどう定めるかを業務の担当者と決める必要があります。この作業を後回しにすると、連携を始めてから食い違いが表面化します。対応づけの内容を文書として残しておくことも欠かせません。
実行のタイミングと順序の設計
いつデータを渡すのかを決める必要があります。発生した時点で即座に渡すのか、一定の時間ごとにまとめて渡すのかによって、必要な仕組みも負荷も変わります。
複数の連携が関係する場合は、順序も課題になります。先に渡すべき情報が後回しになると、受け取る側でつながらない状態が生じます。締めの処理と重なる時間帯を避けるといった配慮も必要です。実際の業務の流れを踏まえて設計しましょう。
誤りが生じた際の扱い
連携が失敗する要因は一つに絞れません。接続先が停止している、渡したデータが受け取る側の条件を満たさない、通信が途切れるといった状況が考えられます。
失敗した際に何が起こるかを設計しておく必要があります。自動でやり直すのか、担当者へ知らせるのか、処理できなかったデータをどこに残すのかといった内容です。ここを決めずに稼働させると、失敗に気づかないまま業務が進む可能性があります。
運用段階で生じる課題
稼働した後に表面化しやすい課題を二つ挙げます。
連携の増加による全体像の把握
使い始めると、部署ごとに新しい連携が追加されていきます。数が増えるほど、どの連携がどのシステムとつながっているかを把握しにくくなります。
あるシステムを入れ替える際に、影響する連携を洗い出せない状態は、計画の妨げになります。連携の一覧と、それぞれの目的や担当を記録として残しておく運用が必要です。使われなくなった連携を整理する機会も、定期的に設けましょう。
接続先の変更への追随
つないでいるシステムが更新されると、項目の構成や接続の方法が変わる場合があります。クラウドサービスとつないでいる場合は、提供元の都合で仕様が変わることもあります。
変更の予告を把握し、必要な修正を行う体制が求められます。連携が止まってから気づく状態では、業務への影響が生じます。接続先ごとに、変更の情報をどう受け取るかを整理しておきましょう。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でEAIツールの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
課題への向き合い方
ここまでの課題に対して、どのような備えが考えられるかを整理します。
記録と可視化の仕組み
いつどの連携が実行され、成功したか失敗したかを記録として残すことが基本になります。記録があれば、失敗の傾向を確認し、原因の切り分けを進められます。
実行の状況を一覧で確認できる画面があると、日々の確認を進めやすくなります。失敗が続いた際に知らせる仕組みも組み合わせましょう。ただし通知が増えすぎると確認が追いつかないため、条件を調整できるかも確かめておく必要があります。
担当と手順の整備
連携が止まった際に、誰が確認し、誰が対処するのかを決めておきます。関係するシステムの担当者が別々の場合、連絡の経路も整理が必要です。
処理できなかったデータをどう扱うかの手順も明示しておきましょう。手動でやり直せるのか、担当者が個別に登録するのかによって、対応の時間が変わります。担当者一人に集中する体制では、不在時に対応が止まる要因になります。
EAIツールの選び方
ここまでの内容を踏まえ、製品を選ぶ際の確認事項を整理します。
連携する対象と件数の整理
最初に、つなぎたいシステムの一覧と、それぞれの組み合わせを整理します。自社に設置したシステムどうしか、クラウドサービスを含むか、外部の取引先とのやり取りも対象かによって、必要な機能が変わります。
あわせて、扱うデータの件数と実行の頻度も整理しましょう。件数や接続先の数に応じた料金体系を採る製品もあり、規模の想定は費用の試算に関わります。今後つなぐ予定のシステムがあれば、その計画も伝えておきましょう。
対応する接続方式と処理の機能
ファイルの受け渡し、データベースへの接続、APIを使った連携など、対応する方式は製品によって差があります。つなぎたいシステムの名称を伝えたうえで、対応の可否を確認しましょう。
データの変換をどこまで画面上で設定できるかも確認点です。項目の対応づけ、条件による分岐、値の加工といった処理をプログラムを書かずに設定できれば、担当者の負担を抑えられます。設定した内容を確認しやすいかも、後の保守に関わります。
費用とサポート範囲の確認
料金は、接続先の数に応じたライセンス、処理する件数による課金、初期費用と保守費の組み合わせなど、製品によって考え方が異なります。接続する種類ごとに追加の費用が発生する構成もあるため、総額で比べることが必要です。
サポートについては、どこまで対応してもらえるのかを具体的に確かめます。操作方法の案内にとどまるのか、連携の設計を支援してもらえるのかは製品ごとに差があります。業務が止まる影響が大きいため、障害時の連絡手段と対応時間帯も確認しておきましょう。
システム連携の課題解消に役立つEAIツール
設計や運用の段階で生じやすい課題にあわせて検討できるツールを紹介します。
ASTERIA Warp
- 国内1万社以上の導入実績と18年連続国内シェアNo.1連携ツール
- ノーコード簡単連携で高速開発を実現
- 豊富な接続先で拡張性も抜群!クラウドとの連携機能も充実!
アステリア株式会社が提供する「ASTERIA Warp」は、システム間のデータ連携をノーコードで設計できるEAIツールです。プログラミングの知識がなくても連携処理を組み立てられる構成になっており、設計段階での技術的なハードルを抑えやすくなります。国内で長年の実績があります。
Waha! Transformer
- 1,000億件のベンチマークが証明する大量データ高速処理性能
- ノーコードで簡単に構築できるシンプルな操作性
- 作り手が「欲しい!」と感じるデータ接続先とメンテナンス機能
株式会社ユニリタが提供する「Waha! Transformer」は、社内システムとクラウドサービスをつなぐEAIツールです。連携処理の実行状況を監視する機能を備えており、運用開始後に生じやすいエラーの早期発見に活用できます。
Reckoner[レコナー]
- クラウド型ETLサービスの決定版‼100種以上のデータ連携先と接続
- データ連携作業の工数を大幅削減!プログラム作業不要で実現!
- 直感的なインターフェースで簡単操作!ドラッグ&ドロップで連携
株式会社スリーシェイクが提供する「Reckoner[レコナー]」は、クラウド型のデータ連携ツールです。多様なSaaSやデータベースとの接続に対応しており、連携先が増えるたびに個別開発が必要になる課題を抑えやすい構成になっています。
mitoco X Powered by DataSpider Cloud (株式会社テラスカイ)
- SOAP API、REST APIのほかさまざまなAPIに対応
- クエリ言語SOQLで頻繁に使われるパターンを網羅
- ユーティリティ系の機能も多数
IBM App Connect (日本アイ・ビー・エム株式会社)
- アプリケーション上で起きたイベントに速やかに反応
- 豊富なテンプレートでフローを簡単構築
- 小規模なら無料でも利用可能
EAIに関するよくある質問
導入を検討する担当者から寄せられることの多い質問と回答をまとめました。
- Q1: 個別に作り込む構成から切り替える目安はありますか?
- 一律の基準はありませんが、接続の数が増えて全体を把握しにくい、作った担当者しか内容が分からない、システムの入れ替え時に影響範囲を追えないといった状況が続く場合は検討の時期といえます。現在の接続の一覧を作ることから始めましょう。
- Q2: ETLとどう使い分けますか?
- 業務システム間で必要な時点にデータを渡す用途はEAI、分析のために大量のデータをまとめて処理する用途はETLが中心になります。両方の性格を備えた製品もあるため、実現したい処理を伝えて確認するとよいでしょう。
- Q3: プログラムを書かずに設定できますか?
- 画面上で項目の対応づけや変換を設定できる製品が多くあります。ただし複雑な条件や独自の処理では、記述が必要になる場合もあります。実現したい処理の内容を具体的に伝えて、対応の範囲を確かめておきましょう。
- Q4: 導入までにどのくらいの期間がかかりますか?
- つなぐシステムの数と、項目の対応づけを整理する作業の量によって幅があります。少数の連携から始める場合は短期間で立ち上げられる一方、多数のシステムを対象にする場合は整理の工程を含めて時間を要します。段階的な計画を立てましょう。
まとめ
EAIでは、連携する項目とデータ形式の整理、実行のタイミングと順序、失敗した際の扱いが設計段階の課題になります。運用が始まると、連携の数が増えて全体を把握しにくくなること、接続先の変更に追随する必要があることが課題として残ります。実行の記録を残して状況を確認できる仕組みと、対処の担当と手順を整えることが備えの基本です。連携の対象と件数を整理したうえで、接続方式や費用を比べて選びましょう。

