会社側に再発行の義務はないとしても…
会社は従業員にむけて給与の明細書を発行する義務があります。しかし、再発行については法律では義務を定めていません。そのため対応は会社側にまかせている形です。では、再発行の希望があった場合会社側はどのように考えて対処すればいいのでしょうか。
会社側の対処の実情
個々の再発行の希望の対応まで規定化している会社は少なく、担当者次第であることが多い現状がありました。しかし最近は「人事・給与部門はサービス部門であり、お客様となる従業員の要求には最大限に対応する」という姿勢を打ち出している企業が多く見られます。
そのため効率化と従業員の満足の両立のために、給与明細のシステム化や再発行できる体制が必要となっています。
従業員が再発行を必要とするケース
そもそも、明細の再発行にはどのようなケースが考えられるのでしょうか。いくつかのケースを紹介します。
単純になくした場合
社員の管理不足などが理由で給与明細を紛失したケースです。切迫した内容でない場合は、断る会社もありますし、可能な限り対応する会社もあります。ただ、明細データの保存期間は定められており、それを越えて再発行する必要はないでしょう。
家族からの相談
よくあるのが離婚を考えている妻(夫)が夫(妻)の給与明細を見たいと要求するケースです。しかし、雇用契約は会社と本人の間で取り交わすものであり、家族や弁護士が代行するのは例外措置です。基本お断りし、重大な事情がある場合は法務コンサルタントに相談しましょう。
退職者からの要求
ハローワークでの訓練を受けるために、3ヵ月分の給与明細が必要になるケースです。退職者なら出せないということはありません。ただ、退職証明書や離職票で代わりはできないかを確認しましょう。
複数必要になった
住宅ローンと医療費の控除などのように、証明書として添付するために、複数必要になることがあります。原本が必要かどうかを確認し、速やかに再発行しましょう。
勤務データの保管期間は何年?
給与明細の再発行には、該当する月の勤務データを利用することもあるでしょう。勤務データさえあれば、給与明細の再発行はシステム上は問題ないはずです。労働時間の記録に関する書類(タイムカードや勤務記録表など)の保存義務は、労働基準法で3年とされています。
明細データのみならず、関連する労働者名簿、賃金台帳および雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類も、3年間は保存しなければなりません。
参考 : 労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン|厚生労働省
従業員も給与明細保管への意識を
会社側ばかりではなく、従業員側も給与明細データの保管には気を付けなければいけません。給与明細はそれだけ働いたという証明書でもあります。
給与明細データは2年保存することをお勧めします。理由は3つあります。
- 1.年金保険料確認に必要
- 厚生年金保険料が項目としてあり、この金額を会社側が間違えて申告している危険性があります。明細を保管しておくことで、会社が倒産していても、間違いを正すことができます。
- 2.税金面への対応に必要
- 確定申告で必要になることがあります。ただし、源泉徴収票で処理できる場合はこの限りではありません。
- 3.不測の事態のために必要
- 離職票を発行してもらうこともなく突然会社が災害等で倒産してしまい、失業給付の申請ができない場合が考えられます。離婚調停などで、証拠書類として給与明細の提出が求められることもあります。
会社側の負担を削減する「給与明細電子化システム」の活用を
毎月の給与明細を、PDFやWebなどの電子化で配信する給与明細電子化システム。様々なメリットから導入する企業が増加しています。
給与明細電子化システムとは
給与明細電子化システムとは、従業員への給与支払いの際の給与明細を電子化し、インターネット経由で配信するシステムです。リモートワークなどの柔軟な働き方が増加する現代では、給与明細の手渡しは課題も多く、非効率になりつつあります。これを解決し、コスト削減も実現するのが給与明細電子化です。給与計算システムやソフトと連携することで経理業務を自動化・効率化することができます。
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給与明細電子化システム活用のメリットとは
給与明細電子化システムを活用することで、管理部門の業務効率の向上とコスト削減、従業員側の利便性が向上します。
給与管理業務を行う従業員は、毎月、紙媒体で給与明細を発行することに、相当の労力を要しています。この点、給与明細の電子化によって業務効率の改善が可能なので、様々なメリットを享受できます。例えば、管理業務の給与明細を電子化することで、ペーパーレス化が実現します。それによる印刷・封入・郵送コストの削減につながります。
従業員のメリットは、電子化することで、スマホやタブレットといったモバイルデバイスからの閲覧も可能になるので、外出先や普段の業務でPCを使っていない場合など場所や時間に囚われずに、給与明細の確認ができます。
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