給与明細の電子化とは
給与明細の電子化とは、従業員への給与支払いの際に発行する給与明細を電子化し、交付することです。給与明細電子化システムやWeb給与明細システムなどを使えば簡単に交付できます。
リモートワークなどの柔軟な働き方が増加する現代では、給与明細の手渡しは課題も多く、非効率になりつつあります。これを解決し、コスト削減も実現するのが給与明細電子化です。
国税庁によると給与明細の電子交付の方法は以下の3つとされています。一般的には、1の電子メールで送付する方法と2のクラウド上で閲覧させる方法が多くなっています。
- 1.電子メールを利用する方法
- 2.社内LAN・WANやインターネット等を利用して閲覧する方法
- 3.フロッピーディスク、MO、CD-ROM等の磁気媒体等に記録して交付する方法
参考:1. 基本的な事項| 国税庁
そもそもなぜ給与明細は発行しないといけないのでしょうか。給与明細は、給与の金額や明細を記載した支払明細書として所得税法において発行が義務付けられています。詳細について知りたい方は、以下の記事で詳しく解説しているのでご覧ください。
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2023.01.17
給与明細の発行は義務なのか?給与明細発行のルールを徹底解説!
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参考:所得税法
【管理者視点】給与明細電子化のメリット
毎月、紙媒体で給与明細を発行することは、給与担当者にとって相当の労力を要する作業です。給与明細電子化によって封入・封かんの手間、配送費の削減などコストの削減のほか、人為的ミスの減少と業務効率化の効果があります。
コストの削減
給与明細の配布には、紙・印刷代や郵送代などがかかります。従業員数の多い企業であれば、そのコストは膨大になるでしょう。加えて、印刷した明細書の封入や切手貼り、投函作業などを行う人件費もかかります。電子化によって、これらのコストを大幅に削減できます。
ミスの減少と業務効率化
印刷・封入・郵送作業の手間が省けるだけでなく、配布先を間違えてしまうといった人的ミスの発生も抑えられるでしょう。また、メールやWeb上で明細書を渡せるので直接会って手渡しする必要がなく、いつでもどこでも発行・交付作業を行えます。さらに、電子データは検索しやすく、年末調整などにおいてこれまでの給与データを参照したい場合、迅速に情報を取り出せるでしょう。
給与明細電子化に興味がある、Web給与明細システムについて知りたいという方は、ぜひ以下ランキングをご確認ください。問い合わせが多い人気製品を紹介しているので、傾向の把握や比較検討に役立ちます。
【従業員視点】給与明細電子化のメリット
給与明細電子化は、給与明細を受け取る従業員側にもメリットがあります。
データの管理が楽になる
紙の配布は、一度明細書を捨てたり紛失したりすると過去の給与データを閲覧できません。また、たとえ保管しておいたとしてもすぐに確認できないなど不便な面がありました。場合によっては個人情報の流出にもなりかねないため、扱いに注意が必要な点もネックでした。
しかし給与明細電子化により、過去のデータもすぐに閲覧できます。また、明細書を保管するための物理的なスペースは必要なく、紛失の心配もありません。データの管理が簡単になり、負担も減るでしょう。
いつでもどこでも給与明細を確認できる
給与明細電子化システムは、スマホやタブレットなどモバイル端末に対応した製品も数多くあります。外出先や普段の業務でパソコンを使っていない場合でも、給与明細の確認ができます。
当サイトは、法人向けIT製品の比較サイト調査で認知度・利用経験率No.1を獲得。資料請求は無料ですので、ぜひお申し込みください。
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給与明細電子化の注意点・デメリット
一方、給与明細の電子化はメリットばかりではありません。導入前に知っておくべきデメリットも紹介するので、しっかり理解したうえで検討を進めましょう。
従業員からの同意の取得が必要
まず法律の面で注意が必要です。給与明細の電子化は、平成18年4月1日施行の税制改正によって認められています。しかし電子交付には条件があり、従業員の承諾や同意がなければ電子化できません。電子化する際には、必ず従業員からの承諾を得る必要があります。
加えて、従業員の理解を得ることも重要です。企業としてはメリットの多い電子化ですが、受け取る側にとって必ずしもいいとは限りません。導入前には、電子化で得られる従業員側のメリットもきちんと説明し、同意をもらいましょう。
同意書については以下の記事で詳しく紹介しています。
関連記事
参考:給与所得の源泉徴収票等の電磁的方法による提供(電子交付)に係るQ&A| 国税庁
既存の給与計算システムとの相性
給与明細電子化システムには、2つのタイプがあります。
- ●既存の給与計算システムのデータをCVSやシステム上で連携してインポート(読み込み)するもの
- ●給与計算システムと一体化しているもの
既存の給与計算システムとの相性が悪いと、読み込み時のデータ成形に手間がかかったりミスの原因になったりするので、事前によく確認しておきましょう。
情報漏えいの可能性
インターネット経由で明細データを交付する特性上、情報漏えいのリスクが伴います。メールで交付する場合は誤送信やハッキングの可能性を否定できません。社内のセキュリティ対策が万全でないとパスワードの漏えいやファイル流出などの危険性も高まります。こうしたリスクを理解し、セキュリティ面もチェックしたうえで導入を検討しましょう。
データの管理が困難
過去の給与データも含めてデータ管理ができる点はメリットです。しかし、多くの場合、すべてのデータが無期限で保存されているわけではなく、一定の期間で削除される可能性もあります。また、システムをリプレイス(入れ替え)した場合には、過去のデータの引き継ぎができない場合も多くあります。こうした管理面でのデメリットがあることは、事前に従業員と共有しておく必要があります。
コストがかかる
給与明細電子化システムの導入には初期費用やシステム利用料がかかります。料金体系はユーザー数に応じた課金型が多いため、従業員数が増えるにつれてランニングコストも増加します。しかしながら、紙の給与明細を廃止するコストメリットもあるので、費用対効果を考えてみるとよいでしょう。
さらにシステム選定の際には製品ごとに価格やサポート費用を調べ、どれくらいの費用がかかるのかをシミュレーションしておきましょう。
製品比較表を使って比較
ここでは、この記事で紹介している製品の比較表を紹介しています。
各製品の詳細情報については、のちほど紹介しますので、気になる製品をチェックしてみてください。また、ITトレンドでは実際の資料請求数を元に人気製品をランキング形式で紹介しますので、気になる方はチェックしてみてください。
|
製品名 |
対象従業員規模 |
提供形態 |
参考価格 |
無料プラン |
無料トライアル |
レビュー評価 |
 |
S-PAYCIAL
|
全ての規模に対応 |
クラウド /
SaaS /
ASP
|
30円 |
-
|
-
|
4.2
★
★
★
★
☆
|
 |
SmartHR
|
全ての規模に対応 |
クラウド /
SaaS
|
- |
-
|
-
|
4.3
★
★
★
★
☆
|
 |
ポケット給与
|
全ての規模に対応 |
クラウド /
SaaS /
ASP
|
30円 ~ |
-
|
-
|
4.3
★
★
★
★
☆
|
※"-"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
人気の給与明細電子化システムを見てみよう
ITトレンド2022年ランキング「Web給与明細(給与明細電子化)システム」部門で、資料請求数が多かった上位3製品を紹介します。
《S-PAYCIAL》のPOINT
- シンプルな画面構成で、マニュアルいらずの簡単な操作感。
- PC、スマホ、タブレットからいつでもどこでも明細閲覧が可能!
- 電子年調申告機能で年調業務の大幅なコスト削減と効率化を実現。
ITトレンド2022年上半期資料請求ランキング第1位
鈴与シンワート株式会社が提供するWeb給与明細システム「S-PAYCIAL」は、給与明細書に加えて、賞与明細書・源泉徴収票・支払調書にも対応可能です。社会保険改定通知書やアンケート機能などオプション機能も充実しており、中でも電子年調申告機能は年末調整業務の効率化やコスト削減に役立てられるでしょう。
メール配信 |
◯ |
Web閲覧 |
◯ |
参考価格 |
月額30円/人 初期費用50,000円 |
提供形態 |
クラウド/SaaS/ASP |
業種 |
その他 |
従業員規模 |
750名以上 1,000名未満 |
S-PAYCIALのいい点 |
★ ★ ★ ★ ★ 5
|
課金は登録者数ではなく、実際に送信した数に対しての請求であり、退社した社員をすぐに削除する必要がない。登録から運用まで、非常にシンプルで機能性は高いと思います。
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業種 |
その他 |
従業員規模 |
750名以上 1,000名未満 |
S-PAYCIALの改善してほしい点 |
★ ★ ★ ★ ★ 5
|
明細のレイアウトに柔軟性がなく、不要な項目部分に給与明細の空白部分が出てしまうことから、多少見にくく見える印象がある。
|
《SmartHR》のPOINT
- Excelや給与計算ソフトのCSVデータを活用し給与明細配布
- 給与明細配布前に内容確認可能
- 貴社独自の給与明細項目も追加可能
ITトレンド2022年上半期資料請求ランキング第2位
ITトレンド認定 Good Productも受賞した、株式会社SmartHR提供の「SmartHR」は、クラウド型の人事労務ソフトです。Web給与明細機能も搭載しており、CSVファイルを取り込みWeb上で給与明細を配布できます。CSVインポート後に確認フローを挟むため、ミス防止にも効果的です。
メール配信 |
◯ |
Web閲覧 |
◯ |
参考価格 |
ー |
提供形態 |
クラウド/SaaS |
業種 |
コンサル・会計・法律関連 |
従業員規模 |
10名未満 |
SmartHRのいい点 |
★ ★ ★ ★ ★ 5
|
従業員が自分で従業員情報を入力するので、後からデータベース化しなくてもデータベースが出来上がっている。退職届や住所変更届などもsmartHRで作成できるので便利。
|
業種 |
コンサル・会計・法律関連 |
従業員規模 |
10名未満 |
SmartHRの改善してほしい点 |
★ ★ ★ ★ ★ 5
|
従業員が従業員情報を書き換えた際、ログを見ることはできるが、どこが書き変わったのか従業員のページでフラグなどがつくと分かりやすいと思う。
|
《ポケット給与》のPOINT
- 給与明細をスマホ・PC・タブレットで、いつでもどこでも閲覧可能
- 年末調整・マイナンバー収集・オリジナル帳票など幅広く電子化!
- 充実した機能と分かりやすい操作性で業務をサポート
ITトレンド2022年上半期資料請求ランキング第3位
給与明細の受け取り方法が12種類もある、株式会社ICSソリューションズ提供の「ポケット給与」。従業員の好みにあわせて自由に個別設定できるため、利便性の高さが特徴です。また給与・賞与・源泉徴収票に対応するほか、社会保険料変更通知書・昇給通知書・請求書などオリジナルフォームにも対応し、汎用性がある点もポイントです。
メール配信 |
◯ |
Web閲覧 |
◯ |
参考価格 |
月額30円~/人 初期費用:別途見積 |
提供形態 |
クラウド/SaaS/ASP |
業種 |
不動産 |
従業員規模 |
1,000名以上 5,000名未満 |
ポケット給与のいい点 |
★ ★ ★ ★ ★ 5
|
基本的に手間をかけることがないという点がこの製品の良さだと思います。例えば、web給与を利用するにあたってのアドレスやパスワードの登録は従業員自身が行いますので、経理スタッフとしての手間はかかりません。経理業務が増えている状況ですので、手間が省けるのはありがたいです。
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業種 |
不動産 |
従業員規模 |
1,000名以上 5,000名未満 |
ポケット給与の改善してほしい点 |
★ ★ ★ ★ ★ 5
|
導入してからまだ1年経っていませんが、今のところ問題なく使っていますので、改善してほしい点はありません。
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テレワークの推進や情報の管理、事務の効率化などを背景に、給与明細電子化システムを導入する企業は増えています。下のページでは実際に多くの企業に選ばれている人気製品のランキングが確認できます。気になった製品は、そのまま資料請求(無料)も可能です。
以下の記事では、より詳しく製品の詳細を比較しますので、こちらもご覧ください。
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2023.01.17
【2023年版】Web給与明細システム17選!選び方も解説
続きを読む ≫
給与明細電子化システムでできることは?
電子化のメリット・デメリットを理解いただけたところで、給与明細電子化システムで対応できることを具体的に紹介します。
メールやWebで給与明細の自動配信
給与明細のデータを、メールやWebで配信できます。郵送の場合と比較しても、従業員の手元に明細書が届くまでの時間を短縮できたり、郵送時の紛失リスクを抑えられたり、利点が大きいでしょう。また、一斉自動配信により、担当者の業務にかかるコストを大幅に削減できます。
給与データの取り込み
給与計算システムと連携していれば、給与データを自動で取り込み発行・配信できます。CSVでデータを抽出して取り込む場合よりも業務コストを削減できるだけでなく、ミスの発生を防げるので効率的に業務を行えます。
給与明細の作成
多くの製品では、従来と同じフォーマットで簡単に明細書を作成できます。また、複数の形式に対応していれば、正社員やパートなどの雇用形態に合わせた発行も可能です。
給与明細のアップロード・配信
発行された明細書はすぐに確認できます。アップロードや配信については、製品によってさまざまな方法があります。
- ●インターネットなどにアップロードする
- ●PDFで配信する
- ●両方に対応する
自社の状況や従業員の雇用形態に応じて選択しましょう。
給与明細の電子化について理解し、システムを導入しよう
給与明細の電子化は、コストや人為ミスの削減など管理者にとって嬉しいことばかりではありません。従業員にもメリットがあり、過去の給与明細も簡単に検索して閲覧できます。ただし、管理者側は必ず従業員からの同意を得て明細を電子化しなければなりません。また、給与明細電子化システムを利用する場合は、既存の給与計算システムとの相性やセキュリティなどに配慮し、最適な製品を導入しましょう。