給与明細の電子化とは
給与明細の電子化とは、従業員への給与支払いの際に発行する給与明細を電子化し交付するシステムです。リモートワークなどの柔軟な働き方が増加する現代では、給与明細の手渡しは課題も多く、非効率になりつつあります。これを解決し、コスト削減も実現するのが給与明細電子化です。
国税庁によると給与明細の電子交付の方法は以下の3つとされています。一般的には、1の電子メールで送付する方法と2のクラウド上で閲覧させる方法が多くなっています。
- 1.電子メールを利用する方法
- 2.社内LAN・WANやインターネット等を利用して閲覧する方法
- 3.フロッピーディスク、MO、CD-ROM等の磁気媒体等に記録して交付する方法
参考:1. 基本的な事項| 国税庁
そもそもなぜ給与明細は発行しないといけないのでしょうか。給与明細は、所得税法において給与の金額や明細を記載した支払明細書として発行が義務付けられています。詳細について知りたい方は、以下の記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
関連記事
watch_later
2020.10.08
給与明細の発行は義務なのか?給与明細発行のルールを徹底解説!
続きを読む ≫
給与明細電子化のメリット(管理部門編)
毎月、紙媒体で給与明細を発行することは、給与担当者にとって相当の労力を要する作業です。給与明細電子化によって封入・封かんの手間、配送費の削減などコストの削減、ミスの減少と業務効率化の効果があります。
コストの削減
給与明細の配布には、紙・印刷代や郵送代などがかかってきます。従業員数の多い企業であれば、そのコストは膨大なものになります。加えて、印刷した明細書の封入や切手貼り、投函作業などをおこなう人件費もかかります。電子化することで、これらのコストを大幅に削減できます。
ミスの減少と業務効率化
電子化することで印刷・封入・郵送作業の手間が省けるだけでなく、配布先を間違えてしまうといった人的ミスの発生も抑えられます。また、パソコン内で発行作業がおこなえるため、個人情報だからと人目を気にして業務時間を限定する必要もなく、効率的に業務をおこなうことができます。
給与明細電子化のメリット(従業員編)
給与明細電子化は、給与明細を受け取る従業員側にもメリットがあります。
データの管理が楽
これまで紙の配布では、一度明細書を捨ててしまったり紛失してしまうと過去のデータを見られなくなったり、たとえ残しておいたとしてもすぐに確認できないなど不便な面がありました。しかし、電子化することで過去のデータも含めていつでも閲覧できます。また、データ化されると保管のための物理的なスペースも必要ありません。データの管理が非常に簡単になるのです。
明細の紛失のリスクが減る
紙で発行した明細書は、郵送時や受け取った後に紛失するリスクがありました。場合によっては個人情報の流出にもなりかねないため、扱いには注意が必要です。しかし、電子化の場合は配信履歴などで確実に配信できているかを確認できますし、過去の明細もすぐに再発行できます。
「いつでも」「どこでも」給与明細を確認できる
給与明細電子化システムは、スマホやタブレットなどモバイル端末に対応した製品も数多くあります。これにより、外出先や普段の業務でパソコンを使っていない場合でも、給与明細の確認ができます。
給与明細電子化の注意点・デメリット
一方、給与明細の電子化はメリットばかりではありません。導入前に知っておくべきデメリットもご紹介しますので、しっかり理解したうえで検討を進めましょう。
従業員からの同意の取得が必要
まず、法律の点から注意が必要です。給与明細の電子化は、平成18年4月1日施行の税制改正によって認められています。しかし、電子交付には条件があり従業員の承諾や同意がなければ電子化できないと定められています。電子化する際には、必ず従業員からの承諾を得ることが必要です。
加えて、従業員の理解を得ることも重要です。企業としてはメリットの多い電子化ですが、受け取る側にとって必ずしもいいとは限りません。導入前には、電子化することで得られる従業員側のメリットもきちんと説明し、同意をもらいましょう。
参考:給与所得の源泉徴収票等の電磁的方法による提供(電子交付)に係るQ&A| 国税庁
同意書については以下の記事で詳しく紹介しています。
関連記事
watch_later
2019.12.06
同意書が必要!給与明細電子化の前に知っておきたい4つのポイント!
続きを読む ≫
既存の給与計算システムとの相性
給与明細電子化システムは、既存の給与計算システムのデータをCVSやシステム上で連携してインポート(読み込み)するものと、給与計算システムと一体化しているものの2種類があります。
既存の給与計算システムとの相性が悪いと、読み込み時のデータの成形に手間がかかったりミスの原因となるので事前によく確認しておくことが大切です。
情報漏えいの可能性
インターネット経由で明細データを配信する特性上、情報漏えいのリスクが伴います。メール配信の場合は誤送信やハッキングの可能性もありますし、社内のセキュリティ対策が万全でないとパスワードの漏えい・ファイル流出などの危険性も高まります。こうしたリスクがあることを理解し、セキュリティ面もチェックしたうえで導入を検討していきましょう。
データの管理が困難
過去データも含めてデータ管理ができる点はメリットです。しかし、多くの場合、すべてのデータが無期限で保存されているわけではなく、一定の期間で削除される可能性もあります。また、システムをリプレイス(入れ替え)した場合には、過去のデータの引き継ぎができない場合も多いです。こうした管理面でのデメリットがあることは、事前に従業員と共有しておく必要があります。
コストがかかる
給与明細電子化システム導入には初期費用やシステム利用料がかかります。料金体系はユーザー数に応じた課金型が多いため、従業員数が増えるにつれてランニングコストも増加していきます。しかしながら、紙の給与明細の廃止を行うことによるコストメリットも大きくあるので、コスト比較をしてみるとよいでしょう。
さらにシステム選定の際には製品ごとに価格やサポート費用を調べ、自社の場合はどれくらいの費用がかかるのかを、導入前にシミュレーションし計画を立てて利用すれば安心です。
関連記事
watch_later
2020.08.26
給与明細電子化システムの比較17選!選び方とメリットも徹底解説!
続きを読む ≫
人気の給与明細電子化システムを見てみよう
テレワークの推進や、情報の管理、事務の効率化などの背景からも給与明細電子化システムを導入する企業は増えています。下のページでは実際に多くの企業に選ばれている人気の製品のランキングが確認できます。必要な際は、そのまま資料請求をして見比べることも可能です。
給与明細電子化 の製品を調べて比較
資料請求ランキングで製品を比較!
今週のランキングの第1位は?
play_circle_outline
給与明細電子化システムでできることは?
電子化でのメリット・デメリットを理解いただけたところで、給与明細電子化のシステムで対応できることを具体的に紹介します。
メールやWebで給与明細の自動配信
給与明細のデータを、メールやWebで配信できます。郵送の場合と比較しても到着時間を短縮できたり、郵送時の紛失リスクを抑えられます。また、一斉に自動配信できるため、担当者の業務にかかるコストを大幅に削減できます。
給与データの取り込み
給与計算システムと連携していれば、給与データを自動で取り込み発行・配信できます。CSVでデータを抽出して取り込む場合よりも、業務コストが削減できるだけでなく、ミスの発生を防げるので効率的に業務を行えます。
給与明細の作成
多くの製品では、従来と同じフォーマットで簡単に明細書を作成できます。また、複数の形式に対応していれば、正社員やパートなどの雇用形態に合わせた発行も可能です。
給与明細のアップロード・配信
発行された明細書はすぐに確認できます。アップロードや配信については製品によって、インターネットなどにアップロードする・PDFで配信する・両方対応できるなど様々な方法があるため、自社の状況や従業員の雇用形態に応じて選択していきましょう。
給与明細の電子化について理解し、システムを導入しよう
給与明細の電子化について、理解は深まりましたでしょうか。デメリットを押さえておけば、電子化はメリット面が多くあり非常に便利です。まだ導入していない企業は検討を進めてみてはいかがでしょうか。