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電子カルテをオンプレミスで運用する理由と院内に必要な体制

電子カルテをオンプレミスで運用する理由と院内に必要な体制

オンプレミス型の電子カルテは、院内ネットワークで診療記録を完結させたい医療機関に向いていますが、サーバーの管理やセキュリティ対策を自院で担う体制づくりが前提です。オンプレミスとは、システムを動かすサーバーを自院の施設内に置いて運用する形のことです。この記事では、オンプレミス型が選ばれる理由と、院内で負う責任、運用を支える体制、クラウド型と比べる際の判断材料を解説します。

この記事は2026年10月時点の情報に基づいて編集しています。
目次

    ITトレンドがおすすめする製品・サービス

    ■サーバーの置き場所別
    ■保守の受け方別

    オンプレミス型の電子カルテが選ばれる理由

    オンプレミス型の電子カルテが選ばれる主な理由は、院内で処理が完結する点や、院内の機器やシステムとの接続を自院で設計できる点です。医療機関がオンプレミス型を選ぶ背景を、3つに分けて説明します。

    院内ネットワークで診療記録を完結できる

    オンプレミス型では、電子カルテのサーバーが院内にあるため、インターネット回線の状態に左右されずに院内の端末からカルテを読み書きできます。回線の障害や混雑で画面の表示が遅れるといった影響を受けにくい点は、外来や病棟で途切れなく記録を続けたい医療機関にとって判断材料の一つです。

    ただし、院内ネットワークで完結していても、外部と接続する経路がまったくないとは限りません。オンライン資格確認やリモート保守などの通信経路は存在するため、院内で完結する構成だからといって、安全とは言い切れません。

    関連記事 電子カルテを使いこなすには?機能や導入手順をわかりやすく解説!

    部門システムや医療機器との接続を院内で設計できる

    病院では、検査や放射線、薬剤、給食などの部門ごとにシステムがあり、電子カルテとオーダや結果をやり取りします。オンプレミス型は同じ院内ネットワーク上にサーバーがあるため、こうした部門システムや検査機器との接続を院内で設計できます。

    接続できる部門システムの種類や方式は、製品によって異なります。既存の部門システムを使い続けたい場合は、接続実績や連携の方式、接続にかかる費用の扱いを、ベンダーごとに確認しておきましょう。

    自院の運用にあわせて画面や帳票を調整できる

    オンプレミス型の製品の中には、入力画面のテンプレートや帳票、院内独自の運用ルールにあわせた設定を細かく調整できるものがあります。長年の運用で定着した記録の様式を、できるだけ変えずに電子化したい医療機関にとっては検討材料です。

    一方で、独自の調整を増やすほど、更新プログラムを適用するときや将来乗り換えるときに、調整部分の検証や作り直しが必要になる場合があります。調整は診療に欠かせない範囲にとどめ、標準の機能で対応できる部分は標準に寄せるという考え方も大切です。どこを調整したかを一覧にして残しておくと、更新時の確認作業を減らせます。

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    院内に電子カルテのサーバーを置くことで生じる責任

    オンプレミス型では、サーバーを自院で所有するため、機器の維持やセキュリティ対策、障害時の対応について、医療機関が主体となって判断する必要があります。導入前に、どのような責任が生じるかを把握しておきましょう。

    機器の保守と定期的な更新

    サーバーやネットワーク機器、端末には保守期間があり、期間が終わると部品交換や修理を受けられなくなる場合があります。また、OSのサポートが終了すると、セキュリティ更新が提供されなくなります。そのため、オンプレミス型では数年ごとにハードウェアを入れ替える前提で計画を立てておく必要があります。

    更新のたびに、機器の購入費用や、データの移行、動作確認の作業が発生します。導入時の見積もりだけでなく、次の更新までの保守費用と、更新時にかかる費用の見込みもベンダーに確認しておくと、長期の予算を立てやすくなります。

    セキュリティ対策と外部接続の管理

    院内にサーバーがある以上、ウイルス対策ソフトの更新や、OSやネットワーク機器のセキュリティ修正の適用は、医療機関の管理の範囲に入ります。特に、リモート保守に使うVPN装置などの外部との接続口は、脆弱性の修正が遅れると不正アクセスの入口になるおそれがあります。

    こうした作業はベンダーや保守事業者に委託することもできますが、委託した範囲と自院で行う範囲をはっきりさせておくことが前提です。修正をいつ、誰が適用したかを記録として残しておくと、点検の際にも確認しやすくなります。

    関連記事 電子カルテの課題とは?普及率の推移や導入メリットも解説!

    停電や災害時の診療継続

    オンプレミス型では、停電や機器の故障、災害でサーバーが止まると、院内の電子カルテ全体が使えなくなるおそれがあります。無停電電源装置の設置や、サーバーを二重化する構成など、どこまで備えるかを規模と予算に応じて決める必要があります。

    あわせて、バックアップを院内のサーバー室とは別の場所に保管しておくことも重要です。院内に置いたバックアップだけでは、火災や水害、ランサムウェアの被害で本体と同時に失われる可能性があるためです。サーバーが止まった際に紙の記録へ切り替える手順も、平時に決めて訓練しておくと安心です。

    電子カルテのオンプレミス運用を支える院内体制

    オンプレミス型の電子カルテを安定して運用するには、機器や設定に詳しい職員を1人置くだけでなく、院内の役割分担と規程、ベンダーとの契約をそろえることが大切です。体制づくりの要点を整理します。

    院内の担当者と委員会の役割

    オンプレミス型では、システムの状態を把握し、ベンダーとやり取りする院内の窓口が必要です。ただし、特定の職員1人に任せると、その職員が不在のときに障害対応が滞るおそれがあります。複数の職員で担当し、対応手順や連絡先を文書にして共有しておきましょう。

    さらに、医師や看護師、事務部門の代表が参加する委員会を設け、運用ルールの見直しや更新計画を話し合う場をつくると、現場の要望と管理側の判断をすり合わせやすくなります。委員会で決めた内容は議事録に残し、職員に周知する流れまで決めておきましょう。

    保守契約で確認しておく範囲

    オンプレミス型の保守契約では、対象となる機器とソフトの範囲、障害時の受付時間と対応方法、リモート対応か訪問対応か、セキュリティ修正の適用を誰が行うかを確認します。夜間や休日に障害が起きた場合の対応も、入院病床のある医療機関では特に重要な確認項目です。

    電子カルテのベンダーと、ネットワーク機器やサーバーの保守事業者が別の場合は、障害の原因がどちらにあるか分からないときの連絡先も決めておきます。窓口をどちらか一方にまとめられるかも確認しましょう。障害の連絡を受けた後、どの程度の時間で対応を始めるかといった目安が契約に定められているかも、比較のポイントです。

    ガイドラインにもとづく規程と点検

    医療情報を扱うシステムの安全管理については、厚生労働省が「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」を公表しています。2026年6月には第7.0版が公表され、保守を委託する事業者の役割を扱う保守委託機関編が新たに加わりました。

    オンプレミス型を運用する医療機関は、ガイドラインを参考にして運用管理規程を整えましょう。厚生労働省が公表しているサイバーセキュリティ対策チェックリストなどを使い、定期的に点検することも大切です。最新の内容は厚生労働省の公式情報で確認しましょう。

    クラウド型と比べてオンプレミスを選ぶ判断材料

    オンプレミス型とクラウド型のどちらが自院に向くかは、費用のかかり方や院外からの利用、院内で担える管理の範囲によって変わります。比較するときに押さえておきたい判断材料を紹介します。

    導入時と更新時の費用のかかり方

    オンプレミス型は、サーバーや端末の購入、設置作業などで導入時にまとまった費用がかかり、その後は保守費用と数年ごとの機器更新費用が発生する形が基本です。クラウド型は、初期費用を抑えて月額の利用料を払い続ける料金体系が中心です。

    導入時の金額だけで比べると判断を誤るおそれがあるため、機器の更新時期までを含めた期間で総額を比べることが大切です。比べる期間や前提条件をそろえたうえで、各社に見積もりを依頼しましょう。

    院外からの参照と他施設とのデータ共有

    訪問診療や院外での当直対応などで、院外からカルテを確認したい場面がある場合は、その方法も比較のポイントです。オンプレミス型でも院外から接続する仕組みを用意できる製品はありますが、接続口が増える分、セキュリティ対策の範囲も広がります。

    また、国は電子カルテ情報共有サービスなど、医療機関の間で診療情報を共有する仕組みの整備を進めています。オンプレミス型を選ぶ場合も、こうした国の仕組みへの対応方針をベンダーに確認しておきましょう。

    オンプレミスとクラウドを組み合わせる構成

    院内サーバーで電子カルテを動かしつつ、バックアップをクラウドに保管する構成や、一部の機能だけをクラウドで提供する構成を用意している製品もあります。院内完結の利点を保ちながら、バックアップの保管場所を院外に確保できる点が特徴です。

    こうした組み合わせの構成では、どのデータがどこに保存されるのか、通信がどの経路を通るのかを確認することが重要です。保存場所ごとの管理責任も、契約の段階で明確にしておきましょう。

    サーバーの置き場所で比べる電子カルテ一覧

    オンプレミス型・ハイブリッド型・クラウド型のどれを選べるか、保守をどう受けられるかを比べやすいよう、この記事で紹介する電子カルテをまとめました。

    製品名特徴
    Qualis Cloud/Qualis安全性と安定性を優先するオンプレ型と、クラウド型を選べる。操作性は共通
    i-MEDIC Plus++ケアミックス病院向けの医療介護統合型。オンプレミスとクラウドの両方に対応
    医師協 Zebra for Karte院内サーバー方式にクラウドバックアップを組み合わせられる。訪問・リモートサポートあり
    Medicom-HRf Hybrid Cloudオンプレミスとクラウドを活用する医事一体型。サイバー攻撃を防ぐ仕組みを搭載
    電子カルテシステムER中小規模病院や介護医療院に適合するオンプレミス型。医療と介護の情報を一元化
    Wingクラウド・オンプレミス両対応。サーバーひとつで同一法人の複数施設を運用できる
    HOPELifeMark-MX300床までの中堅病院向け。仮想サーバーの導入でサーバー購入などの初期費用を削減
    MALL200床未満の病院向け。他社の部門システム150社以上や検査機器と連動できる

    院内サーバーで運用できる電子カルテ

    院内にサーバーを置く形で導入できる製品を中心に、クラウドとの組み合わせや保守の受け方が異なる製品を紹介します。自院で担える管理の範囲にあわせて比較してみてください。

    Qualis Cloud/Qualis

    株式会社ビー・エム・エル
    《Qualis Cloud/Qualis》のPOINT
    1. 多機能なのに直感的な使い心地
    2. 各種システムとの連携も充実
    3. BMLだからできる、安心のサポート

    株式会社ビー・エム・エルが提供する「Qualis Cloud/Qualis」は、院内にサーバーを置くオンプレ型と、経済性とデータの保全性を重視したクラウド型を選べる電子カルテです。安全性と安定性を優先する医療機関にはオンプレ型『Qualis』が用意されています。両者は同じ操作性のため、機器の更新時期にクラウド型へ移る選択肢も残せる点が特徴です。各種機器やシステムとの連携実績は230種類以上あり、拠点営業所からのフィールドサポートと全国の営業所ネットワークによるサポート体制を備えています。

    i-MEDIC Plus++

    株式会社コア
    《i-MEDIC Plus++》のPOINT
    1. 医療と介護を、ひとつのシステムで一元管理
    2. 「治療」「ケア」から「看取り」まで生涯にわたって管理
    3. 法人内サービスの稼働管理で病床・施設を効率的にマネジメント

    株式会社コアが提供する「i-MEDIC Plus++」は、オンプレミスとクラウドの両方に対応した、ケアミックス病院向けの医療介護統合電子カルテシステムです。データ移行もスムーズに行えます。医療保険と介護保険の区分を超えて法人内の利用者情報を一元管理でき、病床や施設の稼働率の可視化にも対応します。本体に加えて隣接する関連システムまでサポート対象としているため、障害時の切り分けに不安がある病院でも検討しやすいでしょう。

    医師協 Zebra for Karte

    一般社団法人全国医師厚生会
    《医師協 Zebra for Karte》のPOINT
    1. シンプルな画面構成と直感的な操作で誰でも使いやすい電子カルテ
    2. ORCAと連動!レセプト請求や各帳票類の作成も素早く正確で安心
    3. 診療報酬改定によるプログラムの更新や新機能の更新も無償で対応

    一般社団法人全国医師厚生会が提供する「医師協 Zebra for Karte」は、院内サーバーとクラウドバックアップを併用できるORCA連動型の診療所向け電子カルテです。院内にサーバーを設置する方式のため、通信トラブルやネット環境の影響を受けにくい点が特徴です。保守の面では、専用コールセンターに加え、画面を共有して対応するリモートサポートと訪問サポートの両方が用意されています。診療報酬改定にともなうプログラム更新が無償で提供される点も特徴です。

    Medicom-HRf Hybrid Cloud

    ウィーメックス株式会社
    《Medicom-HRf Hybrid Cloud》のPOINT
    1. オンライン順番受付・モバイル型決済・オンライン問診と連携可能
    2. はじめてでも直観的に理解しすぐに使いこなせるUX/UIデザイン
    3. クラウド活用によるデバイス&ロケーションフリーを実現

    ウィーメックス株式会社が提供する「Medicom-HRf Hybrid Cloud」は、オンプレミスとクラウドの両方を活用できる医事一体型の電子カルテです。院外でも電子カルテを利用でき、診療データをクラウド上にバックアップして災害時や障害時に備えられます。ファイアウォールやURLフィルター、ウイルス対策ソフトなど、サイバー攻撃を防ぐ仕組みも搭載。全国約170か所のサポート拠点を持ち、システムやマスターの修正はインターネット回線を活用して行われます。

    電子カルテシステムER (株式会社ワイズマン)

    《電子カルテシステムER》のPOINT
    1. 複数の医師やスタッフが適時、情報チェックできる!
    2. 受付や診療がスムーズに進行し待ち時間の短縮に繋がる!
    3. オーダーや他部門の記録を引用できて転記作業が軽減!

    Wing (株式会社ライブワークス)

    《Wing》のPOINT
    1. システムトラブルの発生なし!24時間・365日の安定稼働実績!
    2. デバイスを問わず運用!スマートデバイスで往診対応も!
    3. サーバーひとつで同一法人の複数施設の業務を実現!

    HOPELifeMark-MX (富士通株式会社)

    《HOPELifeMark-MX》のPOINT
    1. 現場の情報活用を推進する使いやすいユーザーインターフェース
    2. 地域ぐるみのケアを可能にするシステム連携機能
    3. トータルコストを軽減し、安定稼働する仮想化サーバ―を採用

    MALL (株式会社パシフィックメディカル)

    《MALL》のPOINT
    1. 2,664種類もの設定項目で病院ごとの運用にフィット!
    2. 約150社の他社システムと他社検査機器と連動可能!
    3. 20年以上・約200件の導入実績!継続率は99%!

    まとめ

    オンプレミス型の電子カルテは、院内ネットワークで記録を完結でき、部門システムとも接続しやすい一方、機器の更新やセキュリティ対策、障害時の対応を自院で担う必要があります。電子カルテをオンプレミスで運用するなら、複数人での担当体制と保守契約の範囲、ガイドラインにもとづく規程をそろえることが大切です。クラウド型やハイブリッド型とも比べながら、自院の体制にあう製品を比較検討しましょう。

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