使いやすいERPの基本は操作UIにある
ERPの使いやすさは、ユーザーが日常業務の中でストレスなく操作できるかどうかにかかっています。UIの設計と管理のしやすさが、現場への定着を左右します。
現代的なUIで現場担当者が直感的に操作できるか
ERPの中には、20~30年前の設計思想をそのまま引き継いだ画面構成のシステムも存在します。こうした製品は機能は充実しているものの、操作ステップが多く、初めて使う担当者には覚えにくいことがあります。一方、現代的なWebUIを採用したクラウド型ERPは、画面が見やすくメニューの探しやすい設計になっていることが多くあります。
使いやすいUIの特徴は、「よく使う機能にすぐアクセスできる」「入力フォームの項目がシンプルで必要最小限である」「エラーが発生したときにわかりやすいメッセージが表示される」という点です。デモや無料トライアルで実際の操作画面を体験し、現場担当者が迷わず操作できるかを確認することが選定の基本です。
マスターデータの設定変更が担当者自身でできるか
ERPを長期運用する上で、組織変更や業務変更に伴ったマスターデータ(部門コード・取引先情報・商品マスターなど)の更新が、情シス担当者や現場の業務担当者自身で行えるかどうかは使いやすさの重要な指標です。変更のたびにベンダーへの依頼が必要なシステムは、対応に時間がかかり運用の柔軟性が下がります。
管理画面から設定変更できる範囲が広い製品は、業務の変化にすぐに対応できます。初期データ移行(既存システムから新ERPへのデータ移行作業)が担当者の手で進めやすいか、移行ツールやサポートが整備されているかも確認しておくことをおすすめします。設定変更の操作手順が明確にドキュメント化されている製品は、担当者の交代時にも引き継ぎがしやすくなります。
モバイル対応と業務テンプレートの充実
外出先や現場からアクセスできるモバイル対応と、業種に合ったテンプレートによる短期導入のしやすさも、使いやすいERPを選ぶ上での重要な観点です。
スマートフォンから在庫確認・見積承認ができるか
営業担当者が外出先からスマートフォンで在庫状況を確認したり、見積の承認を行えるモバイル対応のERPは、業務のスピードを上げる上で効果的です。承認フローがモバイルで完結できると、担当者が社外にいても処理が止まらず、顧客への対応スピードが上がります。
ただし「モバイル対応」と表記されていても、PCと同等の操作が行えるケースとモバイルでは閲覧のみに制限されるケースがあります。実際に使いたい機能がモバイルで動作するかを、デモや試用環境で確認しておくことが重要です。専用アプリがある製品と、ブラウザ対応のみの製品とでは使い勝手が異なるため、利用環境に合わせて選びましょう。
業種別テンプレートで短期導入を実現する
製造業・流通業・建設業・サービス業など、特定の業種向けに業務テンプレート(ベストプラクティスに基づく業務フローの雛形)があらかじめ用意されているERPは、初期設定の工数を大幅に削減できます。ゼロから業務フローを設計する必要がなく、テンプレートをカスタマイズするだけで自社業務に合わせられるため、導入期間の短縮が期待できます。
業種別テンプレートが用意されているかどうかは、デモや提案書で確認できます。テンプレートの内容が実際の自社業務と大きくかけ離れている場合は、カスタマイズ工数が増えるため、テンプレートの詳細をベンダーに見せてもらいながら比較することが大切です。自社の業種・業態に最も近いテンプレートを持つ製品を選ぶことが、短期導入への近道です。
導入支援とサポート体制が使いやすさを左右する
使いやすいERPを実現するには、製品の機能だけでなく、導入フェーズから運用フェーズにわたる支援体制の充実度も重要な選定基準です。
BPRコンサルティングを提供するベンダーの価値
ERP導入は単なるシステム入れ替えではなく、業務プロセスの改革(BPR:Business Process Re-engineering)を伴う取り組みです。システムを入れるだけでなく、「どの業務フローを変えるか」「どの作業を自動化するか」という業務設計の観点からコンサルティングを提供しているベンダーを選ぶと、ERPの効果を最大化しやすくなります。
BPRコンサルティングが付いたベンダーは、導入後の業務改善支援や操作定着支援も提供している場合があります。費用は追加になりますが、「ERP導入でどれだけ業務が変わるか」を最初から設計してもらえる点で、ERPの導入価値を高める投資と考えることができます。コンサルティングサービスの内容と費用感は、RFP(提案依頼書)で事前に確認しておきましょう。
データ移行支援とオンボーディングの手厚さ
ERPを初めて導入する場合や、既存システムから乗り換える場合、初期データ移行作業は大きな工数が必要です。取引先マスター・商品マスター・在庫残高・未決済の受注・売掛金残高などを新システムに正確に移行するためには、データのクレンジング(整理・統一)と移行ツールの活用が必要です。ベンダーが移行支援を提供しているかどうかが、導入の難易度を左右します。
移行後のオンボーディング(導入初期の利用定着支援)として、操作研修・マニュアル提供・ヘルプデスクが用意されている製品は、現場への定着が促進されます。「操作方法がわからない」という問い合わせが殺到しないよう、事前に研修計画を立て、ベンダーのサポートを活用することで、スムーズな立ち上がりが期待できます。
使いやすさを確認するための選定アプローチ
使いやすいERPを選ぶには、カタログの情報だけでなく、実際の操作体験と現場担当者の意見を選定プロセスに組み込むことが大切です。
デモ・トライアルで実際の使用感を体験する
ERPの使いやすさは実際に操作してみないとわからない部分が多くあります。特に、日常的に使う頻度が高い「受注入力」「請求書の発行」「月次締め処理」などの操作をデモで実際に体験し、画面の操作ステップ数・入力フォームのわかりやすさ・エラー時のメッセージの明確さを確認しましょう。複数の製品のデモを同じ操作シナリオで比較すると、使いやすさの違いが際立ちます。
デモには経営層や情シスだけでなく、実際に日常業務でERPを使う現場の担当者(経理・営業・在庫管理など)にも参加してもらうことをおすすめします。担当者が「これなら使えそう」と感じる製品は、導入後の定着率が高くなります。現場の意見をまとめてベンダーへのフィードバックとして伝えると、製品選定の精度が上がります。各部門のキーユーザー候補をデモに参加させることで、導入後のサポート体制も同時に固められます。
導入事例と業種ごとの実績を確認する
ベンダーが公開している導入事例や顧客の声は、使いやすさの参考になります。特に自社と同じ業種・規模の企業での導入実績がある製品は、自社の業務フローに合った設計がされている可能性が高く、現場への定着がしやすい傾向があります。製品選定時にベンダーへ「同業種の参照先を紹介してもらえるか」と依頼してみることも有効な方法です。
また、製品の評判を確認するために、ITシステムの評価プラットフォームや業界コミュニティでの口コミを参考にすることも、独立した視点からの情報収集として役立ちます。
使いやすさで選ぶおすすめERPシステム
UIの操作性・モバイル対応・サポート体制のバランスに優れたERPシステムをご紹介します。自社の利用環境に合わせて比較検討してみてください。
Microsoft Dynamics 365 Business Central
- 世界196カ国で22万社以上の導入実績!(2018年9月時点)
- 多言語・多通貨対応のグローバルERPソリューション
- 複数拠点展開に最適な統合型ビジネス管理ソリューション
「Microsoft Dynamics 365 Business Central」は、中堅・中小企業向けのクラウドERPです。Officeアプリとのシームレスな連携と直感的なUIにより、ITリテラシーを問わず幅広い担当者が使いやすい設計です。
マネーフォワード クラウドERP
- バックオフィス全体をシームレスに連携!面倒な手作業を自動化
- 事業フェーズに合わせて、機能を組み合わせることが可能
- 様々なサービスと連携!利用中のサービスと柔軟に連携可能
「マネーフォワード クラウドERP」は、会計・経費・給与・請求書をクラウドで一元管理できるERPです。シンプルなUI設計で直感的な操作が可能なほか、法改正への自動対応機能も備えています。
MJSLINK DX
- 新機能「AI仕訳」で仕訳作成も自動化。業務のスピードアップ実現
- 安定した基盤を利用し、システム維持・管理にかかる負荷を低減
- データ連携・AIでDX推進し、スピード経営と企業価値を向上を実現
「MJSLINK DX」は、中堅・中小企業向けのERPです。財務・会計や販売、人事・給与などの業務を支援し、クラウド環境でも利用できます。導入時のコンサルティングから運用支援、セミナー・研修までサポート体制が整っており、システムの操作や定着に不安がある企業にも適しています。
SAP Business One
- 27か国の言語、世界42か国の税制や商習慣に対応
- 低コスト・スピーディーに導入できるクラウドプランも利用可能
- 国内トップクラスの実績で海外拠点への確実な導入を実現
「SAP Business One」は、海外に拠点を持つ中小企業や大企業向けに設計されたERPです。財務・販売・購買・在庫管理を統合し、モバイルアプリにも対応した直感的なUIで業務効率化を支援します。
クラウドERP ZAC
- 業種に特化した機能をパッケージにより低コスト・短納期で提供
- UIを2022年末に刷新。以後3ヶ月おきにバージョンアップ
- 業務に紐づくワークフローにより内部統制も強化
「クラウドERP ZAC」は、案件・プロジェクト型ビジネスに必要な販売・勤怠・工数・経費などを一元管理できるERPです。スマートフォンからも一部機能を利用でき、外出先での予定確認や経費申請などに対応。PCとモバイルを使い分けながら業務を進めたい企業に向いています。
Oracle NetSuite
- 財務・販売・在庫・購買を一気通貫で管理可能なERP
- 脱Excelで業務標準化と可視化を同時に実現
- リアルタイムなデータ連携で経営判断を迅速化
「Oracle NetSuite」は、財務・受注・在庫・CRMを統合管理できる中堅・成長企業向けクラウドERPです。モバイル対応とダッシュボード機能により、外出先からのリアルタイム管理も可能です。
Reforma PSA(レフォルマ・ピーエスエー)
- 導入企業500社以上!初めてのERPに!初期コスト“0” 月額3万円~
- 自動で工数集計!作業時間から案件別工数/労務費を自動集計
- 利益がすぐ見える!プロジェクト原価をタイムリーに自動計算
「Reforma PSA(レフォルマ・ピーエスエー)」は、販売・購買・工数・経費などを一元管理できるクラウドERPです。主要画面は視認性や操作性を重視したデザインに刷新されており、動画マニュアルやFAQ、チャットサポートなどの支援も充実しています。
キントーン
- 自社の業務にフィットする業務アプリをシュシュッとつくれる
- 基幹システムや会計システムと連携。転記も不要に
- プラグイン・連携サービスを組み合わせて業務がより効率的に
「キントーン」は、AIとノーコードでアプリを作成できるクラウド型業務改善プラットフォームです。業務に合わせた柔軟な画面設計が可能で、ERPの補完ツールとしても幅広い業種で活用されています。
unito
- 就業規則・給与規程からAIが設定案を作成
- 人事・給与・勤怠・販売・経費を一元管理
- 全機能込みの月額定額・36ヶ月価格据え置き
「unito」は、人事・給与・勤怠・販売・経費などを一元管理できる中堅企業向けERPです。AIが就業規則や給与規定などをもとに設定案を作成でき、複雑な社内規程や業務プロセスを反映しながら運用できます。
SmileWorks (株式会社スマイルワークス)
- 従来のERPと比較して、約1/100程度の月額費用から利用可能!
- インボイス制度・電帳法に対応し、JIIMA認証取得
- クラウド活用で全体最適化を実現し、企業の売上&利益をUP!
with kintone (株式会社エフアンドエム)
- 会計事務所の業務管理をワンパッケージで提供。
- スマホを含むマルチデバイスでテレワークが可能。
- kintone基盤で導入後も仕様変更やアプリ作成が可能。
まとめ
使いやすいERPを選ぶには、現代的なUIのシンプルさ・スマートフォン対応・業種別テンプレートの充実・BPRコンサルティングを含む導入支援の手厚さ・データ移行のしやすさを総合的に評価することが大切です。機能の多さだけでなく、現場の担当者が日々の業務でストレスなく使えるかどうかを軸に選定を進めましょう。デモや無料トライアルに現場担当者を参加させ、実際の操作感を確認することが、導入成功への近道です。

