ERPのおさらい
ERPとは、企業全体の経営資源の情報をコンピュータで一元管理して、経営支援するシステムのことです。経営資源とは企業におけるヒト・モノ・カネのすべてを指します。情報を一元管理することで、財務会計や生産管理、販売管理といった基幹業務のサポートをすることができます。
ERPの特徴として、一般的にパッケージシステムが多いことが上げられます。パッケージシステムは受託開発と対をなすもので、需要が多そうなシステムを汎用化したものです。
また、ERPは従来から考えられてきた個々の業務効率化だけでなく、企業全体での効率化などを重視している点も特徴といえます。ERPは多くの企業にとって魅力的なシステムといえるでしょう。
ERPの導入にあたっての2つの選択肢
ERPにはさまざまな種類がありますが、大きく分けると2つに分類されます。
オープンソース(OSS)を利用する
ERPは当初、大企業向けの製品として登場し、導入コストが億単位でかかることが普通でした。しかし、中小企業向けのERPの開発が始まり、クラウドサービスのERPも台頭したことにより、導入コストが低下しました。そして、数百万円から数千万円でERPを導入し、ITシステム全体を統合することが可能となったのです。
オープンソースERPはその流れを受け、さらなる低コスト化を実現したものです。無償ライセンスによりERPのシステムを無料で利用したり、改修したりすることができます。そのコストの低さゆえに、多くの企業が注目しています。
有料のサービスを利用する
ERPの有料サービスは、操作性に優れており、自動的にアップデートできるという利便性があります。ERPの有料サービスの種類は、クラウド型とオンプレミス型に分けられます。
ただし、代表的なERPパッケージの中には、クラウド型でもオンプレミス型でも利用できるものもあるのです。ERPの有料サービスごとにさまざまな特徴がありますから、よく比較してみると良いでしょう。
オンプレミス型
オンプレミス型は自社サーバを用意して、社内でシステムやデータの管理を行うところが特徴です。従来のERPがこれに当たり、セキュリティがしっかりしているのが特徴です。ERPの導入コストが高いというイメージは、オンプレミス型の影響が大きいかもしれません。
クラウド型
クラウド型は自社サーバを用意せず、社外でシステムやデータの保守を行う仕組みで、現在は主流となりつつあります。多くの企業で導入されているということはそれだけのメリットがあるからでしょう。
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製品を見てみよう|オープンソースのERP
オープンソースのERPにも様々なものがあります。実際にどんな製品があるのか、代表的な5製品を紹介します。
世界で370万人以上のユーザ数を誇るオープンソースのERPソフトです。会計管理、ECサイト運営、顧客管理、生産管理、在庫管理、プロジェクト管理などの幅広い業務が1システムで管理でき、多言語や多通貨にも標準で対応しています。
システム構成はDBサーバ(PostgreSQL)、APサーバ(開発言語Python)、Webクライアント(JavaScript)で、ユーザ側は普段利用しているWebブラウザから本ソフトを操作でき、特別なソフトをインストールする必要はありません。クラウドにも対応しています。
ADempiere
販売・仕入・顧客の管理や会計などの機能を持ったオープンソースのERP・CRMソフトウェアです。多言語や複数通貨にも対応し、レポートや財務諸表の出力機能も備えるなど、豊富な機能を有します。
ADempiereのソースコードはGPLで公開されており、無料で全機能を試し導入することができます。また、Application Dictionaryという独自のフレームワークで構築されており、ノウハウがあれば比較的容易に独自カスタマイズすることもできます。
Compiere
流通業やサービス業の中小企業に向けた、アメリカのComPiere社が提供するオープンソースのERP ・ CRMシステムで、世界で180万件のダウンロード実績があります。
販売・在庫・仕入・債権・債務・財務会計、顧客管理・ネットショッピング・セルフサービスなど企業の基幹システムとしての豊富な機能を一元的にカバーし、管理会計や実績モニタリング機能も有します。無償で公開されているコミュニティエディションと、有償サービス付きで提供されるスタンダードエディションの2種類のライセンスがあります。
iDempiere
販売・在庫・購買・会計・生産・顧客管理などの機能を備えたオープンソースのERPソフトです。グループ経営の管理にも活用でき、多言語・多通貨への対応、会計帳簿を複数作成する機能なども有します。
また、OSGiの仕様を取り込んでいるためにプラグインによる機能拡張が可能です。さらに、レスポンシブデザインにも対応し、クラウド環境での利用も問題ありません。権限やログの管理などといったセキュリティー機能も備わっており、安心して利用できます。
xTuple
オープンソースのERPシステムであるPostBooksをベースに、製造・流通・サービス業に向けた業務機能を追加した環境がxTupleです。製造業における部品・生産管理、流通・小売業における在庫管理などで海外で多くの実績を有します。
電子商取引でバックエンド業務と連携でき、事業収益が望めます。Webポータルや、iphoneクライアント対応、バーコードリーダ対応、帳票出力やDBデータの入出力などの機能を有します。
オープンソースERPを利用するメリット
オープンソースERPを導入するメリットは何があるのでしょうか。
導入コストを抑えられる
無料のソースコードを利用しているため、導入時の費用は抑えることができます。また、ライセンス料やアップグレード料などもかかりませんので、運用コストも減らすことができます。
拡張性が高い
オープンソースERPでは、アドオンが用意されていることが多いです。アドオン自体は有志が作成したものですから、完成度やセキュリティ面などの細かい部分はまちまちですが、必要なときに必要な機能を追加しやすいという特徴があります。
ベンダーを選ぶことができる
オープンソースはベンダーが決まっていないです。そのため、自由にベンダーを選ぶことができるので、サービスの質やコストを比較してベンダーを選ぶことができます。
オープンソースERP導入時に押さえておきたい注意点
オープンソースERPを導入する場合に、いくつか押さえておきたい注意点を解説します。
不具合がおきても自己責任
オープンソースERPは、開発コミュニティによって作られています。そのため、アドオンを使用して不具合が発生しても、責任の追及を行えません。アドオンなどをインストールする際は自己責任である点に注意しましょう。
セキュリティの脆弱性
オープンソースERPは、セキュリティが脅かされやすい傾向があります。セキュリティ更新プログラムに遅れなく対応することを基本としていますが、それだけでは防げない脆弱性が見つかる可能性があります。
セキュリティを強化するためには、セキュリティシステムへの投資を行わなければなりませんので、結果的にコストがかかってしまいます。
社内インフラ構築や運用・人件費にコスト発生
オープンソースERPの製品自体は無料ですが、社内インフラ構築費用や運用費用などは当然かかります。社内インフラを整備しなければ導入は難しいですし、導入後にも運用費用や人件費がかかるのです。特にオープンソースERPを効果的に活用するためのランニングコストは、大きな負担となるでしょう。
運用費用や人件費のコストとセキュリティシステムへの投資で、結果有償製品よりもコストが多くかかるということも少なくありません。
「コストを気にして、オープンソースを検討していたけどやっぱり不安」という方は、有償のERPをご検討されてはいかがでしょうか。下記のページでは、ランキング形式で製品を比較検討が可能です。一括資料請求もできますので、ご利用ください。
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運用コストを考慮すると有料版の製品が有利なことも
インフラ環境を構築したり、運営や保守に人材を登用すると結局コストがかかる恐れがあります。本格的なERPの活用を考えるのであれば、有料版の製品を選びましょう。近年ではクラウド型の製品もでてきており、オンプレミス型よりもスムーズに導入することも可能です。
以下の記事では、ERPを特徴別に紹介しています。導入を検討している方は、是非参考にしてください。
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オープンソースERPの導入には注意が必要!
オープンソースERPは、製品自体は無料という大きなメリットがあります。しかし、不具合が起きても自己責任になってしまったり、セキュリティの脆弱性が多かったりといった注意点も少なくありません。スムーズに導入するなら有料版の製品がおすすめです。
製品について詳しく知りたい場合は無料で資料請求もできますので、さらに製品をご覧になってみてはいかがでしょうか。