MRPとは
MRP(Material Requirement Planning)とは「資材所要量計画」のことです。主に在庫管理業務で使われる言葉で、効率的に生産管理・在庫管理を行うための管理手法を意味します。ここからはMRPの詳細について説明します。
MRPは在庫を管理して生産計画を立てる手法
MRPは工場などの生産施設における管理の手法です。生産する資材・部品を調達するところから在庫管理を行い、生産計画を立てます。必要な資材だけでなく、生産にかかる時間・コストまでを算出することで、企業にとって適切な業務を行えます。
MRPのメリットは自社の状況を正確に把握することで、無駄をなくし効率化を図れることです。適正な発注・計画を立てることで在庫の過不足を少なくすることが可能であり、効率的な生産を実現できるでしょう。
MRP2はMRPから発展し製造能力を加味して計画する手法
MRPは主に1960年から1970年ごろに広がった考え方であり、1980年代になると「MRP2(製造資源計画)」平均報酬額と発展していきました。MRPと違いMRP2では、資材や在庫だけでなくヒト・モノ・カネといった複合的な要素をまとめて考慮します。
主にヒトが意味する「製造能力」を重視する手法であり、生産に必要な従業員・工数・資材・設備・費用などを含め生産計画を立てていきます。管理する方法は複雑ですが、より正確な計画を立てられ、生産性が高く利益を出しやすいため、世界的に広がっていきました。
ERPとは
今ではMRPではなく「ERP(Enterprise Resource Planning)」が主流となっています。MRPの登場からERPの登場までを知ることで、現在のERPをより深く理解できるでしょう。では、耳にすることが多い「ERP」とは、具体的にどのようなものでしょうか。ここからはERPについて説明します。
ERPはMRP2から発展し経営資源を最適にする考え方
ERPとはさきほど説明したMPR2の発展形であり「企業資源計画」を意味します。MRP2までは、あくまで生産部門内を効率化する考え方です。しかし、企業にとって最適な生産計画を立てるためには企業全体の状況を考慮する必要があります。
ERPでは企業全体の業務プロセスを見なおすことで、最適な企業経営へ導きます。また、このERPで重要になるポイントが「基幹業務のシステム化」です。生産業務や会計業務をシステム化することで、社内の効率は飛躍的に向上します。
ERPが普及するまで
ERPの普及には、BPR(Business Process Re-engineering)という考え方が元になっています。BPRとは、業務、組織、戦略を根本的に再構築する考え方です。業務プロセスを含め、製造、研究開発、品質管理、サービス、人事評価などの企業活動を顧客志向で一貫したプロセスとして再統合、最適化することを目指します。
アメリカで生まれたこのBPRが、1990年代当時不況であった企業を中心に広がりを見せはじめ、さまざまな企業で取り入れられました。そして、BPRを実現するために必要であったものがERPになります。ERPはBPRで重要視される基幹業務のシステム化を果たせるため、会計業務や人事業務を最適化し、BPRの実現に貢献できます。
アメリカで爆発的に普及を見せたERPは、その流れのまま1900年代後半に日本企業にも取り入れられるようになりました。
ERPと基幹系情報システムの違い
ERPとは企業全体の経営資源を統合管理し、効率化を図るための「概念」です。
近年では企業全体の効率化を図る「システム」として使われることが一般的になっていますが、「基幹系情報システム」とは異なります。ERPと基幹系情報システムにはどのような違いがあるのでしょうか。ここからはERPと基幹系情報システムとの違いを説明します。
ERPは部門単位の情報を1つに統一できる
一般的に「ERP」と呼ばれるシステムは、企業内ほぼすべての業務を統合し、部門単位のデータを連携させ1つに統合可能です。企業は、生産・購買・会計・人事・営業・販売・経営戦略などさまざまな部門に分かれています。そして、この部門は単独で活動しているわけではなく、お互いが密接に関わり合っています。
そこで、ERPを活用することで各部門単位のデータを統合・一元管理し、まとめることが可能です。つまり、個別の基幹系情報システムではなく、「統合して一元化されている」ことに違いがあります。
ERPは現状に最適な経営の戦略・戦術の決定ができる
ERPがあれば、社内に散らばっている情報を一箇所にまとめられるため、企業の状況を適切に把握することが可能です。このように生産部門だけでなく、企業全体の状況をタイムリーに把握することで経営戦略の参考になり、最適な意思決定が可能です。
つまり、基幹系情報システムとの違いは、企業状況を把握・分析することによる「最適な意思決定ができる」ことです。
ERPを活用するメリット
今では社内に複数の部署が存在する企業にとってERPは必要な不可欠な存在となっています。それは多くの企業がERPの活用にメリットを感じているからであり、導入することで効果を得られるためです。では、ERPには具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
ここからはERPを利用するメリットについて説明します。
メリット1.経営の状態を明確にできる
まず、ERPのメリットは「経営状態を明確に把握できる」ことです。さきほどの説明したとおり、ERPを活用することで企業全体のデータを一元化し分析します。そのため、どの部署でどのようにコストが発生しているか、目標に対しての進捗などさまざまな状態を明確にできます。
精度の高い情報をまとめて管理でき、整合性が取れた情報で分析・意思決定が可能です。このように経営の状態を明確にできるため、企業を正しい方向へ進め
ます。
メリット2.業務の効率化で負担を軽減できる
今までは部署から部署へデータを共有するときは、人の手で情報を入力していました。しかしERPがあると、社内のシステムを連携させるため、情報共有を自動化できます。担当者がデータを転記していた作業を省くことになるため、業務負担が減り正確性も増します。
今までは人の手で情報入力することで、業務の二重化や人為的ミスが多くなり課題となっていました。ERPを活用すると、このようなどの企業も感じている課題を解決できます。
メリット3.調達・在庫保管におけるコストを低減できる
ERPがあれば生産管理システム以外のシステムと連携するため、企業の状況に合った精度が高い生産計画を立てられます。そのため、必要な資材を発注することや在庫の過不足を解消でき、管理コストの削減が可能です。
企業にとって在庫を抱えることはリスクが高いため、資材の発注は慎重に行わなければなりません。そこでERPを使うと整合性が取れた妥当な数量を発注できます。保管するスペースを節約するだけでなく、経年劣化による資材の品質が下がることもないため、メリットが多いです。
メリット4.生産工程の管理・調整ができる
ERPではMRPとしての機能も当然備わっているため、自社の生産管理の効率化を図ることが可能です。製品や資材の在庫を管理するだけでなく、他のシステムと連携することで適切な生産計画を立てられます。
例えば、営業部門が好調であれば、その分だけ生産を増やすように動く必要があります。この情報を共有できてなければ、必要な分の生産できず納品が遅れてしまうこともあります。ERPを使うと、状況に合わせた生産工程の管理や調整も行いやすいです。
ERPを使って社内の問題を解決し業務の改善を図ろう
いかがでしたか。今回はERPとMRPについて紹介してきました。今の時代であれば、ERPを使った業務改善が一般的になっています。しかし、ERPは単純に導入すればよいというものでもありません。
ERPにも種類によって強みや特徴が変わるため、目的や課題に合わせたシステムを選ぶ必要があります。自社に最適なERPを導入し、社内の問題を解決するなど業務改善を図りましょう。