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ISO30414とは?11の領域・指標や人的資本開示との関係をわかりやすく解説

ISO30414とは?11の領域・指標や人的資本開示との関係をわかりやすく解説

ISO30414は、従業員に関する情報をどう測り、どう報告するかを整理した国際規格です。結論から述べると、多くの企業にとって当面必要なのは認証の取得ではなく、規格が示す領域と指標を物差しとして自社のデータを整えることです。本記事では、規格の位置づけ、11の領域と指標の考え方、日本の開示制度との関係、人的資本経営への活かし方、そしてデータ整備を支える仕組みの選び方までを順に解説します。

この記事は2026年9月時点の情報に基づいて編集しています。
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目次

    ISO30414とは何を定めた規格か

    まず押さえたいのは、この規格が「何を定め、何を定めていないのか」という点です。ここを取り違えると、社内の検討が認証取得の可否ばかりに向かい、本来の目的である情報の整備が後回しになってしまいます。規格の性格を正しく理解しておきましょう。

    人的資本の報告を体系化した国際規格

    ISO30414は、国際標準化機構(ISO)が2018年に発行し、2025年8月に第2版へ改訂した、人的資本に関する報告と開示の規格です。人的資本とは、従業員が持つ知識や技能、経験など、企業の価値を生み出す力を指します。この規格は、その状態を数値で測り、社内の意思決定と社外への説明の両方に使える形へ体系化した点に大きな特徴があります。

    対象は特定の業種や規模に限定されず、組織の内部向け報告と外部向け報告の双方を想定しています。財務諸表が資金の動きを共通の形式で示すように、人に関する情報も共通の物差しで示そうという発想です。国内でも解説が増えていますが、原典は英文で、2025年版が2018年版を置き換えています。細部を確認する際は発行元が公開する最新版を参照してください。

    認証取得を前提とした規格ではない

    ISO30414は、2018年版では報告のやり方を示すガイドラインでした。2025年版では規格名に要求事項という語が加わり、指標が必須と推奨に整理されましたが、ISOが認証制度を運営する規格ではありません。認証機関の審査を前提とする品質管理のISO9001や情報セキュリティのISO27001とは性格が異なり、日本の法令上「取得しなければ違反になる」という種類のものでもありません。この違いを社内で共有しておくと、議論の出発点がそろいます。

    一方で、規格への準拠状況を第三者が評価するサービスを提供する民間機関があり、日本国内でも評価を受けた企業が出ています。ただし、それは規格そのものが定めた制度ではなく、あくまで民間の取り組みです。自社が評価を受けるかどうかは、投資家や取引先への説明にどれだけ客観性が必要かという観点から判断すると整理しやすくなります。

    人的資本開示が世界で求められる背景

    この規格が注目を集める理由は、企業価値の測り方が変わってきたことにあります。設備や在庫では説明しきれない価値の源泉として、人への関心が急速に高まりました。国内外の制度の動きとあわせて背景を確認します。

    無形資産への関心が投資家の視点を変えた

    企業価値のうち、ブランドや技術力、組織の力といった目に見えない資産が占める割合は年々高まっています。こうした無形資産を生み出すのは最終的に人であるため、投資家は「どのような人材がいて、どう育て、どう定着させているのか」を知りたいと考えるようになりました。人的資本経営という言葉が広く使われるようになった背景も同じところにあります。

    ただし、各社が独自の指標で語ると比較ができません。ある企業の離職率が別の企業と同じ計算方法とは限らず、数字だけを並べても判断材料になりにくいのです。ISO30414は、この比較可能性の問題を解くために、測るべき領域と算出の考え方をそろえる役割を担っています。海外では上場企業に人材関連の開示を求める動きも先行しました。

    日本でも有価証券報告書での記載が求められている

    日本では、2022年に内閣官房から人的資本の可視化に関する指針が公表され、開示の考え方が整理されました。さらに2023年1月の内閣府令改正により、有価証券報告書を提出する企業には、人材育成方針や社内環境整備方針と、それに関する指標および目標の記載が求められています。女性管理職比率、男性の育児休業取得率、男女間賃金差異については、女性活躍推進法などに基づきこれらを公表する会社が記載の対象です。

    つまり、上場企業を中心に人的資本の開示はすでに実務上の課題です。もっとも、開示項目そのものはISO30414と一対一で対応するわけではありません。制度で求められる最低限の記載を満たしたうえで、規格の領域を参考に自社らしい情報を加えていく、という二段構えで考えると進めやすくなります。

    11の領域と指標の全体像をつかむ

    ISO30414の中心にあるのが、人的資本を測るための領域と指標の体系です。2025年版でも11の領域という枠組みは維持され、そのもとに必須の指標と推奨の指標が置かれています。この構造を理解すると、自社に足りないデータが見えてきます。

    11の領域が示す測定の切り口

    2025年版が示す11の領域は、労働力の構成、ダイバーシティ、コスト、生産性、健康と安全とウェルビーイング、リーダーシップと組織文化とエンゲージメント、コンプライアンスと倫理と労使関係、採用、異動と後継者計画、離職、スキルと能力と能力開発です。2018年版から区分が見直され、採用と異動、離職が別々の領域に整理されました。人材の入口から育成、活躍、定着、そして次世代への引き継ぎまでを一通り覆う構成です。

    注目したいのは、コストや生産性のように経営に直結する領域と、組織文化や健康のように従業員の状態を表す領域が同居している点です。前者だけを追うと現場が疲弊し、後者だけでは投資家への説明が弱くなります。両方を並べて見ることで、人への投資が成果につながっているかを検証できる設計になっています。

    指標は数値の羅列ではなく計算方法まで含む

    各領域には具体的な指標が置かれています。例えば採用の領域では採用にかかった費用や採用までの日数、離職の領域では離職率などが挙げられます。コストの領域では総人件費や採用単価、生産性の領域では従業員一人あたりの利益といった指標が示されます。

    重要なのは、指標が単なる項目名ではなく、算出の考え方まで含めて整理されている点です。同じ「離職率」でも、分母を期首人数とするか平均人数とするかで数字は変わります。社内で定義をそろえないまま集計すると、部門ごとに違う数字が出て信頼を失いかねません。まずは定義を文書化し、誰が集計しても同じ結果になる状態を作ることが出発点です。

    あわせて、給与や勤怠のデータを扱う仕組みについても理解を深めておくと検討が進みます。

    関連記事 【2026年最新】人事給与管理システム比較6選!選び方から導入まで徹底解説

    必須の指標から段階的に範囲を広げる

    示された指標をすべて開示しなければならない、というわけではありません。2025年版では、規模や業種を問わず報告すべき必須の指標として14項目が定められ、残りは推奨という位置づけに整理されました。中小規模の組織向けの推奨も別途まとめられています。規模の小さい組織ほど、まずは内部管理に役立つ指標から着手する形が想定されています。

    この考え方は実務でも有効です。最初から全項目をそろえようとすると、データ収集だけで数か月を費やし、肝心の活用に至りません。自社の課題が採用難なのか定着なのか育成なのかを見極め、そこに関わる領域から着手して、翌年以降に範囲を広げていく進め方が現実的です。

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    人的資本経営に活かす進め方

    規格を理解しても、数字を集めるだけでは経営は変わりません。集めた情報を意思決定と説明に結び付けてはじめて、人的資本経営と呼べる状態になります。実務の手順を二つの段階に分けて見ていきます。

    まずは手元のデータを棚卸しする

    最初に取り組むべきは、自社がすでに持っているデータの棚卸しです。人事情報、勤怠、給与、研修受講歴、評価結果などは多くの企業に存在しますが、担当部署ごとに別々の台帳で管理され、突き合わせができない状態になりがちです。どこに何があり、どの粒度で残っているかを一覧にするだけでも、現状が大きく見えてきます。

    棚卸しの結果、多くの企業では表計算ソフトへの手作業転記が発生していると分かります。この状態のまま毎年の開示を続けると、担当者の負担が増え、集計ミスの危険も高まります。従業員情報を一元的に扱う基盤を整えることが、継続的な報告の前提条件です。

    基礎となる情報基盤の考え方については、次の記事もあわせてご覧ください。

    関連記事 人事データベースの項目や構築方法を解説!目的やメリット、おすすめシステムも紹介

    指標を経営戦略と結び付けて語る

    次の段階は、数値と戦略のつながりを説明することです。研修費用を増やしたのはどの事業を伸ばすためか、女性管理職比率の目標をなぜその水準に置いたのか。こうした問いに答えられる形で指標を配置すると、開示資料は単なる数字の一覧から、経営の意思を示す文書へと変わります。

    説明の型としては、目指す姿と現状の差を示し、その差を埋める施策と、効果を測る指標を並べる方法が分かりやすい形です。前年との比較や目標値を添えると、読み手は進捗を判断できます。数値が芳しくない領域についても、原因の分析と対策を添えて開示するほうが、隠すより信頼を得やすくなります。

    人的資本データの集約を支える人事システム

    ここでは、従業員情報を一元的に管理し、集計や可視化まで同じ基盤で扱える製品を取り上げます。ISO30414の領域に沿って指標を継続的に追うには、データが分散していない状態が前提になるためです。

    HRBrain

    株式会社HRBrain
    《HRBrain》のPOINT
    1. 人材情報を一元管理、パッと並べてサクサク探せる
    2. スキルや特徴を可視化・分析、データに基づく抜擢・配置を実現
    3. 組織診断サーベイで離職防止やエンゲージメント向上

    株式会社HRBrainが提供する「HRBrain」は、人材情報の一元管理と組織の可視化を支える人事管理システムです。基本情報や評価、スキルなどを人材データベースに集約し、社員検索や組織分析、評価管理、1on1の運用管理、組織診断サーベイまでを同じ基盤で扱えます。蓄積したデータをもとに個人と組織の状態を見える化し、スキルや特徴を分析したうえで、配置や抜擢の検討に活かせる点が特徴です。人的資本に関する指標を継続して追う体制づくりの土台として検討できます。

    カオナビ

    株式会社カオナビ
    《カオナビ》のPOINT
    1. 従業員のあらゆる情報を集約!ペーパレス化を楽々実現
    2. 身上申請からそのままデータベースへ登録! 人材管理を効率化
    3. 直感的に使えるUIで人事から現場まで定着

    株式会社カオナビが提供する「カオナビ」は、人材情報を一元管理するタレントマネジメントシステムです。社員の基本情報に加え、評価、スキル、経歴、配置状況といった情報をまとめて管理でき、入退社手続きや身上申請などの各種手続きをオンラインで完結できます。一元化した人事データからグラフを作成する機能を備え、人材構成やスキル分布を可視化できるため、開示や社内説明に用いる集計の準備に役立ちます。AIによる目標・評価のアシストやダッシュボード診断も用意されています。

    STAFFBRAIN (株式会社電通総研)

    《STAFFBRAIN》のPOINT
    1. 1,200社以上の実績を持つ人事・給与・就業パッケージ
    2. 最短3ヶ月〜、低コスト導入可能
    3. Web対応で人事・給与・就業データが連携

    Rosic (インフォテクノスコンサルティング株式会社)

    《Rosic》のPOINT
    1. 経営・人事情報連携で多角的な意思決定を支援。
    2. RDMPがRosicの確実性・拡張性・柔軟性を強力に支える。
    3. オンプレとクラウド(AWS)対応、独自アドオン開発可

    まとめ

    ISO30414は、人的資本に関する情報を共通の物差しで測り報告するための国際規格です。認証の取得を目的とする規格ではなく、11の領域と指標を通じて自社の人材の状態を可視化する枠組みだと捉えると、取り組む意義がはっきりします。日本でも有価証券報告書での記載が求められる中、まずは手元のデータを棚卸しし、定義をそろえるところから始めましょう。継続的な集計を支える人事システムの比較検討も、あわせて進めることをおすすめします。

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