企業の人事部門が抱えがちな課題
現在、日本の企業の人事部門はさまざまな課題を抱えています。代表的な人事課題の一覧は次のとおりです。
企業が抱えがちな人事課題の一覧
- 新卒・中途社員をなかなか確保できない
- 人材育成・開発が思うように進まない
- 優秀な社員の流出が多い
- 新たな働き方への対応が難しい
- 人事部門の人手が足りない
新卒・中途社員を確保できない
長年にわたる日本の生産年齢人口(15~64歳)の減少により、新卒・中途ともに人員を確保できない企業が相次いでいます。総務省の発表によると、2022年9月時点での生産年齢人口は推計7,418万4,000人でした。前年同月に比べて62万人(0.84%)も減少しているそうです。この減少傾向は長らく続いており、若手人材の確保は厳しいものとなっています。
現在は新型コロナウイルスの影響もあり、社員の新規雇用にブレーキがかかっている企業も多いことでしょう。生産年齢人口のさらなる減少、そして新規雇用の難しさを考えると、若手社員の確保はこれからますます困難になっていくと予想されます。
参照:人口推計(令和4年(2022年)4月確定値、令和4年(2022年)9月概算値)(2022年9月20日公表)|総務省統計局
人材育成・開発が思うように進まない
新たな人材の確保が困難である以上、一度確保した人材の能力は最大限に活かさねばなりません。ところがその育成・開発にも難が生じている企業は多くあります。
日本企業で人材育成・開発がうまくいかない原因の一つは、中堅層の空洞化でしょう。1990年代初頭のバブル崩壊や、2008年のリーマン・ブラザーズの経営破綻による金融危機の影響で若手を採用できなかった企業が多く、中堅とされる年代の社員数が少なくなっています。若手社員を直接育成・指導する立場の中堅社員が少なければ、人材育成を回していくのは困難でしょう。いかにこの穴を埋めるかが課題となります。
また、社員の高齢化が顕著な企業では育成制度が刷新されず、すでに時代遅れになっている可能性もあります。人事評価制度や人材育成計画を見直すことで時代に則した教育ができ、若手社員の育成の手助けとなるかもしれません。
優秀な社員の流出が多い
コストをかけ、社員を採用・育成したところで安心はできません。手塩にかけて育てた優秀な社員が退職するおそれもあります。社員が退職する原因はさまざまです。例えば給与や仕事内容、評価や職場の人間関係に関する不満、将来に対する不安などが考えられるでしょう。コロナ禍によるテレワークの拡大も、人材流出の一因です。
退職の原因は、人事だけでは解決できません。しかし人事制度の構築や運用について、改善点の検討は必要不可欠です。例えば、人事評価制度を賃金体系と結びつけて社員の意欲を高めたり、管理職に向けた人事評価スキルの研修を実施したりといった施策があげられます。社員の満足度を高めることにつながる、公正な評価制度を構築しましょう。また退職につながる原因を早い段階で排除できるように、ハラスメント相談窓口を設けるなど、労働環境や組織体制を整えておく必要もあります。
新たな働き方への対応が難しい
昨今の働き方改革の推進やコロナ禍の影響で、ニューノーマルな働き方への対応が人事の急務となっています。長時間労働の制限やイノベーションによる生産性向上、ダイバーシティの推進、コロナ禍で増加したテレワークなど、さまざまな点に対応した人事制度改革は重要課題だといえるでしょう。従来とは異なる評価方法の検討も頭を悩ませるところです。
特に、テレワーク下での人事評価は困難かもしれません。社員の勤務状態を現認できず、業務内容や成果の明確化で評価するしかないためです。ジョブ・ディスクリプション(職務記述書)を活用して日々の業務を把握し、評価につなげていくほかないでしょう。また、管理職の評価方法も再考しなければなりません。従来の職場での直接指導や研修ではなく、リモートマネジメントという形に変わったためです。リモートでいかに部下や業務をマネジメントするか、その成果はどう判断するのか。この評価は難しいものです。
またテレワークという性質上、社員が健康で意欲的に働けるような福利厚生の充実も検討すべきといえます。コロナ禍により急きょテレワークを導入した企業も多く、制度が追いついていない場合もあるでしょう。アフターコロナの働き方も踏まえ、長期的な目線で考えていかなければなりません。最終的には柔軟で多様な雇用・勤務体系の仕組み化を図り、ワーク・ライフ・バランスを重視する社員が長く働ける企業にしていくのが理想的です。
人事部門の人手が足りない
これまで紹介した課題を解決できない理由の一つには、そもそも人事部門の人手が足りていないことも挙げられるでしょう。
人事の業務は幅広いうえ、中小企業など、企業規模によっては総務やその他の部署と兼務している場合があります。また、給与計算や勤怠管理などの業務は非常に煩雑です。恒常的に発生する業務で、ミスがあれば訴訟や法律違反にもつながりかねません。社員や企業の評判にもかかわってくるでしょう。
さらに税制・法改正の確認と反映にも対処するため、多くの時間と労力を奪われます。結果として人材の確保や育成、把握に充分なリソースを割けなくなります。人事部門の人手不足は深刻な問題といえるでしょう。しかし、人材の確保・育成に注力しなければ、人事部門の人手は不足したままです。人手不足がさらなる人手不足につながる悪循環を解消すべく、システム導入による定型業務の自動化や体制の整備を進めるのが、企業に与えられる喫緊の課題だといえるでしょう。
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人事の課題を解決するためのヒント
企業が経営戦略を立てるうえで、人事部門は非常に大きな役割を果たします。しかし上述のとおり、現在の人事部門は非常にさまざまな困難を抱えています。業務内容も幅広いため、人手不足は特に深刻な課題といっても過言ではありません。
その課題解決の第一歩として、まずは効率化できる業務を洗い出してみましょう。人材の採用・育成・評価・人事制度の構築・運用や労務管理といった、人事部門の主な業務のうち、まず自動化できるものは労務管理(勤怠管理・給与計算)です。
その際に役立つのが、人事システムと人事業務を支援するITツールです。例えば個人情報から勤怠情報までの人事情報を管理でき、給与計算機能があれば、必要なデータを入力するだけで給与も自動計算してくれるでしょう。また社員の目標設定や評価にも対応していれば、それをもとに人材分析までを行えます。人事業務の大幅な効率化が期待でき、その分の人員や時間を課題解決に充てられるでしょう。
このように人事システムは、人事業務におけるさまざまな業務の自動化に役立ちます。人事データベースとしても活用できるので、スキルや在籍期間といった社員情報から人材配置も効率的に行えるでしょう
人事の課題を理解し、解決に向けた一歩を!
日本の企業の人事部門は、時代の移り変わりとともにさまざまな課題に直面しています。人事評価制度の見直しや企業ブランディングの刷新を行い、人材確保・育成に務めるのが急務でしょう。
また限られた人的リソースで対処するには人員や労力、時間を捻出しなければなりません。そこで役立つのが人事システムです。システム導入も視野に入れ、課題解決に向けて取り組んでいきましょう。
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