モチベーションとは?
モチベーションとは、目標や欲求を満たすために行動を起こし、その行動を継続させる動機づけのことです。日本語では「動機づけ」と訳され、仕事に取り組む意欲や行動の方向性、持続性に影響します。
一時的な気持ちを表す「やる気」に対し、モチベーションは目標の達成に向けて行動を続けるための心理的な原動力を指します。ここでは、モチベーションの意味や、エンゲージメント・ロイヤリティとの違いを解説します。
やる気との違い
「やる気」は、特定の行動に取り組もうとする、その時々の意欲を表す言葉です。一方、モチベーションは、行動を起こす理由や、その行動を継続させる仕組みまで含んだ概念です。
例えば、上司から褒められて一時的に仕事へのやる気が高まっても、仕事の目的や評価基準に納得できていなければ、意欲は長続きしない可能性があります。モチベーションを維持するには、社員が仕事に意味や達成感を感じられる環境を整える必要があります。
エンゲージメント・ロイヤリティとの違い
モチベーションと関連する言葉に、エンゲージメントやロイヤリティがあります。それぞれ意味が異なるため、混同しないようにしましょう。
- ■モチベーション
- 目標や欲求に向かって行動を起こし、継続するための動機づけ。
- ■エンゲージメント
- 社員が仕事や組織に対して、熱意や貢献意欲をもって関わっている状態。
- ■ロイヤリティ
- 社員が所属する会社に対して抱く忠誠心や帰属意識。
モチベーションが高い社員でも、現在の会社に魅力を感じていなければ、転職を選ぶことがあります。社員の定着や組織力の向上を目指す場合は、モチベーションだけでなく、エンゲージメントやロイヤリティもあわせて考えることが重要です。
モチベーションの種類
モチベーションは、行動を起こすきっかけによって「内発的モチベーション」と「外発的モチベーション」に分けられます。社員の意欲を持続させるためには、どちらか一方に偏らず、両方を適切に組み合わせることが大切です。
内発的モチベーション
内発的モチベーションとは、仕事そのものへの興味や楽しさ、達成感、成長実感など、本人の内側から生まれる動機づけです。「新しい業務に挑戦したい」「難しい課題を解決したい」「仕事を通じて成長したい」といった気持ちが該当します。
内発的モチベーションは、外部からの報酬がなくても行動を続けやすい点が特徴です。社員の内発的モチベーションを高めるには、仕事の裁量を広げたり、挑戦する機会を与えたり、本人が成長を実感できる環境を整えたりする必要があります。
外発的モチベーション
外発的モチベーションとは、給与や賞与、昇進、表彰、上司からの評価など、外部から与えられる報酬や働きかけによって生まれる動機づけです。成果に応じて報酬を支給する制度や、優れた取り組みを表彰する制度などが該当します。
外発的モチベーションは、短期間で行動を促しやすい一方、報酬や評価が得られなくなると意欲が低下する場合があります。そのため、給与や表彰だけに頼るのではなく、仕事のやりがいや成長実感につながる施策と組み合わせることが重要です。
モチベーションに関する代表的な理論
社員のモチベーションを理解するうえでは、人の欲求や行動に関する代表的な理論が参考になります。ただし、理論をすべての社員に一律で当てはめるのではなく、自社の状況や社員の価値観に応じて活用しましょう。
ハーズバーグの二要因理論
ハーズバーグの二要因理論とは、仕事への満足を高める要因と、不満を減らす要因は異なるとする考え方です。仕事への満足に関わる要素を「動機づけ要因」、不満に関わる要素を「衛生要因」と呼びます。
- ■動機づけ要因
- 仕事の達成感、承認、昇進、成長、責任、仕事そのものの面白さなど。
- ■衛生要因
- 給与、会社の方針、上司との関係、職場環境、人間関係、労働条件など。
例えば、給与や職場環境を改善すれば不満を減らせますが、それだけで仕事への満足や意欲が大きく高まるとは限りません。モチベーションを高めるには、働きやすさを整えるだけでなく、達成感や成長を得られる仕事を与える必要があります。
マズローの欲求5段階説
マズローの欲求5段階説とは、人間の欲求を5つの段階に分類した理論です。下位の欲求が満たされると、より高い段階の欲求を求めるようになると考えられています。
- 1.生理的欲求
- 食事や睡眠など、生きていくために必要な基本的欲求。
- 2.安全の欲求
- 危険を避け、安心して暮らしたいという欲求。
- 3.社会的欲求
- 集団に所属し、他者とつながりをもちたいという欲求。
- 4.承認欲求
- 周囲から認められたい、自分の能力を評価されたいという欲求。
- 5.自己実現欲求
- 自分の能力を発揮し、理想とする姿を実現したいという欲求。
企業に当てはめると、安定した給与や安全な職場環境を整えるだけでなく、周囲から認められる機会や、成長・挑戦できる仕事を用意することが重要だと考えられます。
目標設定理論
目標設定理論とは、明確で適度に難しい目標を設定することで、仕事への意欲や成果が高まりやすくなるという考え方です。簡単すぎる目標では達成感を得にくく、反対に難しすぎる目標では諦めや不安につながります。
社員のモチベーションを高めるには、努力すれば達成できる水準の目標を設定し、期限や評価基準を明確にすることが重要です。また、上司が一方的に目標を与えるのではなく、社員本人と話し合いながら決めることで、納得感を高められます。
社員のモチベーションが低下することで生じる問題
社員のモチベーション低下を放置すると、本人の仕事ぶりだけでなく、チームや会社全体にも影響が広がります。ここでは、代表的な問題を紹介します。
生産性や業務品質が低下する
仕事への意欲が低下すると、必要最低限の業務しか行わなくなったり、新しい改善策を考えなくなったりする可能性があります。確認不足や作業の遅れが増え、業務品質の低下につながることもあるでしょう。
一人のモチベーション低下が周囲の社員にも影響すると、チーム全体の生産性が落ちるおそれがあります。
社内のコミュニケーションが減少する
仕事や組織への関心が薄れると、会議での発言や情報共有が減り、周囲とのコミュニケーションも消極的になりやすくなります。その結果、必要な情報が共有されず、認識のずれや業務上のミスが生じる可能性があります。
また、意見や提案が出にくくなることで、業務改善や新しいアイデアが生まれにくい組織になることも考えられます。
離職者が増加する
仕事にやりがいを感じられず、評価や職場環境にも不満がある状態が続くと、社員は転職を検討するようになります。特に、能力や成長意欲の高い人材ほど、よりよい環境を求めて離職する可能性があります。
離職者が増えると、採用や教育にかかるコストが増加するだけでなく、残った社員の業務負担も大きくなります。さらなるモチベーション低下や離職を招く悪循環に注意が必要です。
社員のモチベーションを上げる方法
社員のモチベーションを高めるには、給与や表彰だけでなく、目標設定、評価、成長機会、職場環境などを総合的に改善する必要があります。自社の課題や社員の状況に応じて、複数の施策を組み合わせましょう。
会社や仕事の目的を共有する
社員が仕事に意味を感じるためには、担当業務が会社や顧客にどのような価値を提供しているのかを理解する必要があります。経営方針や組織目標を一方的に通知するだけではなく、日々の業務とのつながりを具体的に説明しましょう。
上司が面談やチームミーティングを通じて、社員の役割や期待する成果を伝えることも有効です。
適切な難易度の目標を設定する
目標は、社員の経験や能力を踏まえ、努力すれば達成できる程度の難易度に設定します。簡単すぎる目標は達成感につながりにくく、難しすぎる目標は意欲を失う原因になります。
大きな目標を複数の小さな目標に分け、進捗を確認できるようにすることも効果的です。社員本人と話し合いながら設定することで、目標への納得感も高まります。
評価基準を明確にする
社員が努力の方向性を理解できるよう、評価項目や判断基準を明確にしましょう。売上や件数などの数値だけでなく、業務プロセスやチームへの貢献、改善への取り組みなども評価対象に含めることが大切です。
評価者によって判断が大きく異ならないよう、評価者向けの研修や評価基準のすり合わせを行うことも重要です。
裁量や挑戦の機会を与える
仕事の進め方を細かく指示しすぎると、社員は自分で考えて行動する機会を失います。経験や能力に応じて一定の裁量を与え、自ら判断できる範囲を広げましょう。
新しいプロジェクトや責任のある業務を任せることも、成長実感や達成感につながります。ただし、仕事を任せきりにするのではなく、必要な支援や相談体制を用意することが重要です。
キャリア形成やスキルアップを支援する
社員が自分の将来を描けるよう、研修や資格取得支援、ジョブローテーション、社内公募などの機会を整えましょう。現在の業務に必要なスキルだけでなく、本人が希望するキャリアに応じた学習を支援することも有効です。
定期的なキャリア面談を実施し、社員が目指す方向と会社が期待する役割をすり合わせることで、仕事への納得感を高められます。
職場環境や人間関係を改善する
どれだけ目標設定や評価制度を整えても、過度な業務負担や人間関係の問題が残っていれば、モチベーション向上は期待できません。長時間労働や業務量の偏り、コミュニケーション不足などを確認し、働きやすい環境を整えましょう。
社員が安心して意見や悩みを伝えられる相談窓口を設けるほか、管理職向けのマネジメント研修を実施することも有効です。
定期的にフィードバックする
評価を年に一度伝えるだけでは、社員は日々の仕事で何を改善すべきかわかりません。1on1ミーティングや定期面談を実施し、成果や課題について継続的にフィードバックしましょう。
改善点を指摘するだけでなく、よかった行動や成果を具体的に伝えることが大切です。「何がよかったのか」「次に何を期待しているのか」を明確にすることで、社員は自分の成長を実感しやすくなります。
なお、人事システムを活用すれば、目標や評価、面談履歴などを一元管理でき、社員の状況を把握しやすくなります。評価基準の統一や継続的なフィードバックにも役立ち、モチベーション向上につながる仕組みを整えられます。
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まとめ
モチベーションは欲求を満たそうとすることを意味します。企業において社員のモチベーションを向上させることは、生産性を高めて離職を防止するうえで重要なポイントです。
一方で、モチベーションを高めることは簡単ではありません。あえてギリギリ達成できる目標を設定する、褒めることと叱ることを組み合わせて指導するなど、上司が部下と向き合って部下が望むことは何か把握することが重要です。
最近はモチベーションやエンゲージメントを可視化するツールがたくさんありますが、ツールだけではモチベーションは上がりません。人を相手にするからこそ、最後は人と人との向き合いが大切なのです。




