
給与計算業務に影響を与えたマイナンバー制度
マイナンバー制度の施行は、給与計算業務に大きな影響を与えました。2015年10月から順次日本人全員に12桁の固有の番号が配布され、2016年の1月以降運用が開始されました。この制度に基づきすべての企業は関係する個人番号の収集・管理が必要になりました。
以降、企業は以下の書類に12桁の番号を記載する必要があり、給与計算ソフトにもマイナンバーを追加する手間が問題となりました。
- ■給与所得の源泉徴収票
- 年間の収入・控除額・納付した所得税額が記載された書類
- ■給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
- 扶養控除などの諸控除を受けるための書類
- ■給与所得者の保険料控除申告書、兼給与所得者の配偶者特別控除申告書など
- 生命保険料、地震保険料などの保険料控除を受けるための書類
2020年2月の改正
当初、従業員に交付する源泉徴収票等には、従業員のマイナンバーを記載する決まりでしたが、2015年10月2日に所得税法施行規則等の改正を施行。
企業の従業員など給与の支払を受ける方に交付する源泉徴収票などへのマイナンバー(個人番号)の記載は行わないことになりました。そのため、現在は税務署提出用の源泉徴収票や支払調書などにのみ記載が義務付けられています。
参考:本人へ交付する源泉徴収票や支払通知書等への 個人番号の記載は必要ありません!|国税庁
給与計算システムに及んだ問題
まず、定められた正しい手順でマイナンバーをパート・アルバイトも含め全従業員から集めなければなりません。 これがあまりに大きな障壁となって、パート・アルバイトを多く雇うチェーン店では募集を店舗まかせにせず、本部が代行するところもあります。
次に集めた番号と付随する情報が漏えいしないような万全の対策が必要です。 したがって多くの企業は情報漏えいを防ぐために、細心の注意を払っています。管理に関しては国からガイドラインが出ており、物理的安全措置や技術的安全措置が義務付けられています。
給与計算システムにおけるマイナンバー対策
情報漏えい対策として、具体的にはアクセス権限の設定やログ蓄積などが必要となり、給与計算ソフトに関しては、以下3つの対策が考えられます。
システムのバージョンアップまたは買い替え
最新のバージョンではマイナンバー制度への対応が標準またはオプションで対応となっています。その都度バージョンアップが必要ですが、対応できない場合は別途購入を検討しましょう。
新規に給与計算システムを導入する
今まで手作業で行ってきた場合は、マイナンバー制度に対応したシステムを新規に購入することがおすすめです。サービス提供事業者の指導の下、システム化に挑戦することになります。システムによってはマイナンバー管理機能を有しているものや、マイナンバー管理と連携しているシステムがあります。
アウトソーシングする
管理できそうにないと思われる場合は、アウトソーシングも1つの手段となります。幸いアウトソーシングのサービス提供事業者は多く、既存のITサービス事業者や会計事務所もアウトソーシングの準備を進めています。相談する価値はあるでしょう。
マイナンバーの管理も給与計算システムの利用が便利
給与計算業務におけるマイナンバー対応は、現在エクセルなどの表計算ソフトを利用して作業しているのか、すでに給与計算システムを導入済みなのか、あるいは外部に業務委託しているのかといった現在の状況によって、対応が異なります。
しかし、いずれの場合も従業員からマイナンバー情報を集め管理しなくてはなりません。これまで以上に情報セキュリティへの意識や体制を整えなければならないでしょう。そしてマイナンバー制度はすべての企業が対象となっているため。できるだけ早めの対応を行いましょう。
マイナンバーに対応した効率的な給与計算業務を行うためにも、マイナンバー対応した給与計算システムの導入を検討してみてください。
