所得税とは
所得税とは、年間に得た所得に対して課される国税です。主に給与や事業収入、利子・配当など、さまざまな種類の所得に課税されます。
企業に勤める給与所得者の場合、毎月の給与から「源泉徴収」という形であらかじめ概算の所得税が天引きされ、年末調整で年間の税額と精算されるのが一般的です。
所得税の税率
所得税は超過累進税率が採用されており、課税所得の金額に応じて5%から45%まで段階的に税率が高くなります。つまり、所得が多い人ほど高い税率が適用される仕組みです。
(例)課税所得が330万円の場合:20%の税率を適用し、速算表にある控除額を差し引いて所得税額を求めます。
所得税と源泉所得税の違い
「所得税」とは、1年間の所得に対して最終的に確定する税金のことです。一方「源泉所得税」とは、給与や報酬を支払う際に概算の所得税をあらかじめ天引きする仕組みを指します。
つまり源泉所得税は、最終的な所得税の“前払い”のようなもので、年末調整や確定申告によって実際の税額と精算されます。
所得税はどうやって決まる?
所得税額は「1年間の収入」から「経費や各種の控除」を差し引いた課税所得をもとに計算されます。そこに課税所得の金額に応じた税率を掛け、場合によっては税額控除を差し引くことで最終的な税額が決まります。
整理すると、所得税を決める要素は次の3つです。
- 収入:給与、事業収入、利子、配当、不動産収入など
- 控除:給与所得控除、基礎控除、扶養控除、社会保険料控除など
- 税率:課税所得金額に応じて5〜45%の超過累進税率が適用
このように、収入・控除・税率の3要素が所得税額を決める大きな基準です。次章では令和8年度税制改正で変わった控除を、その後に給与所得者の具体的な計算方法を解説します。
【2026年】税制改正で変わった所得税の控除
令和8年度の税制改正により、所得税の「基礎控除」と「給与所得控除」が引き上げられ、扶養親族等の所得要件も見直されました。改正は令和8年12月1日に施行され、令和8年分以後の所得税に適用されます。
令和8年分は、11月までの源泉徴収は改正前の税額表のまま行われます。改正後の控除額は、12月の年末調整でまとめて反映される仕組みです。
基礎控除額の引上げ
基礎控除とは、納税者に広く適用される所得控除です。改正により、令和8年分・令和9年分は、合計所得金額が489万円以下の人の基礎控除が104万円に引き上げられました。令和10年分以後は、合計所得金額132万円以下が99万円、それ以外は62万円になる予定です。
| 合計所得金額 | 令和7年分 | 令和8年分・令和9年分 | 令和10年分以後 |
|---|---|---|---|
| 132万円以下 | 95万円 | 104万円 | 99万円 |
| 132万円超~336万円以下 | 88万円 | 104万円 | 62万円 |
| 336万円超~489万円以下 | 68万円 | 104万円 | 62万円 |
| 489万円超~655万円以下 | 63万円 | 67万円 | 62万円 |
| 655万円超~2,350万円以下 | 58万円 | 62万円 | 62万円 |
※合計所得金額が2,350万円を超えると、基礎控除は段階的に減り、2,500万円超で0円になります。
給与所得控除の最低保障額の引上げ
給与所得控除とは、給与収入から差し引かれる控除です。令和8年分・令和9年分は、最低保障額が65万円から74万円に引き上げられました。対象は給与収入が220万円までの人で、それを超える場合は従来の計算式で控除額が決まります。
| 給与等の収入金額 | 令和7年分 | 令和8年分・令和9年分 |
|---|---|---|
| 190万円以下 | 65万円 | 74万円 |
| 190万円超~220万円以下 | 収入金額×30%+8万円 | 74万円 |
| 220万円超~360万円以下 | 収入金額×30%+8万円 | 収入金額×30%+8万円 |
扶養親族等の所得要件の見直し
扶養控除や配偶者控除の対象になる親族の所得要件も変わりました。合計所得金額の上限は、58万円以下から62万円以下に引き上げられています。給与収入だけの場合は、年収136万円以下が目安です。
年末調整の前に、改正後の基準で扶養の対象になる親族がいないか、申告書の内容を確認しましょう。
参考:令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について|国税庁
特定親族特別控除
特定親族特別控除とは、納税者と生計を一にする19歳以上23歳未満の親族等がいる場合に、一定の要件のもとで受けられる所得控除です。令和8年分からは、特定親族の合計所得金額が62万円超123万円以下であることなどが要件です。
| 特定親族の合計所得金額 | 特定親族特別控除額 |
|---|---|
| 62万円超~85万円以下 | 63万円 |
| 85万円超~90万円以下 | 61万円 |
| 90万円超~95万円以下 | 51万円 |
| 95万円超~100万円以下 | 41万円 |
| 100万円超~105万円以下 | 31万円 |
| 105万円超~110万円以下 | 21万円 |
| 110万円超~115万円以下 | 11万円 |
| 115万円超~120万円以下 | 6万円 |
| 120万円超~123万円以下 | 3万円 |
なお、年末調整で特定親族特別控除の適用を受けるには、従業員から「給与所得者の特定親族特別控除申告書」の提出を受ける必要があります。
2027年1月から変わる源泉徴収税額表と防衛特別所得税
令和9年(2027年)1月以後に支払う給与からは、新しい源泉徴収税額表が使われます。令和8年度改正の控除の引上げが反映されるため、毎月の源泉徴収税額が少なくなる人が多くなります。
あわせて、防衛特別所得税(所得税額の1%)が新しく源泉徴収されます。一方で、復興特別所得税の税率は2.1%から1.1%に下がるため、上乗せされる税率の合計は2.1%のまま変わりません。
税制改正への対応や年末調整の確認作業を効率化したい方は、給与計算システムの活用がおすすめです。各製品の機能や対応範囲、価格を比較し、自社にあうシステムを検討してみましょう。
所得税が発生する収入の目安
「どのくらいの収入から所得税がかかるのか?」は多くの方が気になるポイントです。実際には、所得税は所得控除によって非課税となる金額が定められています。ここでは立場ごとに、おおまかな目安を整理します。
会社員の場合
会社に勤める方は、給与所得控除と基礎控除が適用されます。令和8年分・令和9年分は、給与所得控除の最低保障額が74万円、基礎控除が104万円です(合計所得金額489万円以下の場合)。
そのため、給与収入のみの場合は「74万円+104万円=178万円」までは課税所得が生じず、所得税がかからない目安になります。
なお、基礎控除は合計所得金額に応じて加算があるため、適用額は一律ではありません。また、社会保険の加入や扶養の判定は、所得税とは別の基準で決まる点にも注意が必要です。
パート・アルバイトの場合
パートやアルバイトの方も、基本的な判定は会社員と同様です。ただし実務上は、給与の支給方法・扶養状況などにより、源泉徴収が行われる/行われないが分かれます。源泉徴収は概算の前払いであり、年末調整や確定申告で最終的な税額と精算されます。
個人事業主の場合
個人事業主は給与所得控除がなく、事業にかかった経費を収入から差し引いた所得をもとに課税判定します。基礎控除は所得に応じて変わり、令和8年分・令和9年分は合計所得金額が489万円以下なら104万円です。
収入額ではなく、経費を引いた「所得」で判定する点が会社員やパート・アルバイトと大きく異なります。
所得税の計算方法
ここでは給与所得者における所得税額の計算方法を解説します。所得税額は、以下の計算式で算出します。
課税所得金額✕所得税率ー控除額=所得税額
さっそく以下の3ステップを踏まえて、所得税額を計算してみましょう。
- 1.給与所得金額を算出
- 2.課税所得金額を算出
- 3.所得税額を算出
1.給与所得金額を算出
給与所得金額の計算式は、以下のとおりです。
(非課税手当を除いた)給与収入額 - 給与所得控除額 = 給与所得金額
1月から12月までの給与や賞与の合計から、まず非課税となる手当(通勤手当の一定額など)を除きます。残った課税対象の給与収入に対して、給与所得控除を適用します。給与所得控除額は収入によって異なり、国税庁が示す算出方法は以下の表のとおりです。
| 給与などの収入額 (源泉徴収票の支払金額) | 給与所得控除額 (令和8年分・令和9年分) |
|---|---|
| 220万円以下 | 74万円 |
| 220万円超~360万円以下 | 収入金額×30%+8万円 |
| 360万円超~660万円以下 | 収入金額×20%+44万円 |
| 660万円超~850万円以下 | 収入金額×10%+110万円 |
| 850万円超 | 195万円(上限) |
※給与等の収入金額が660万円未満の場合は、国税庁の「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」で給与所得を求めます。上の表の計算式で求めた金額と、少し差が出ることがあります。
主な非課税手当の例:
- ・通勤手当のうち、通勤方法などに応じた非課税限度額(電車・バスなどは1か月15万円まで)以内のもの
- ・宿直や日直の手当のうち1回あたり4,000円以下のもの
- ・転勤や出張など旅費のうち、通常必要と認められるもの
そのほか、「傷病手当金」や「育児休業給付金」などの公的給付も所得税の課税対象外です。
参考:No.2508 給与所得となるもの|国税庁
参考:No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当|国税庁
2.課税所得金額を算出
課税所得金額の計算式は、以下のとおりです。
給与所得金額ー所得控除額=課税所得金額
所得控除には、すべての人に適用される「基礎控除」のほか、家族・支出状況等に応じて適用される控除があり、代表的なものは次の16種類です。
- 雑損控除、医療費控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、 地震保険料控除、寄附金控除、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除、勤労学生控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、特定親族特別控除、基礎控除
雑損控除・医療費控除・寄附金控除(ふるさと納税等)は年末調整の対象外のため、該当する場合は確定申告が必要です。ただし、ふるさと納税は、確定申告が不要な会社員などが寄附先5団体以内でワンストップ特例制度を使えば、確定申告をしなくても控除を受けられます。
参考:No.1100 所得控除のあらまし|国税庁
参考:No.1155 ふるさと納税(寄附金控除)|国税庁
3.所得税額を算出
所得税額は、以下の計算式で算出します。
課税所得金額✕税率ー控除額=所得税額
2.で求めた課税所得金額は、1,000円未満の端数を切り捨てます。そのうえで、国税庁の「所得税の速算表」(以下の表)を参照して税率を掛け、控除額を差し引きます。税率は、超過累進課税制度が採用されているため、課税所得金額によって以下のように異なります。
| 課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000円から1,949,000円まで | 5% | 0円 |
| 1,950,000円から3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
| 3,300,000円から6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
| 6,950,000円から8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
| 9,000,000円から17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
| 18,000,000円から39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
| 40,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
【場合によっては】税額控除額を差し引く
税額控除とは、所得税額から差し引ける控除のことを指します。税額控除額を差し引くと、実際の納税額が算出可能です。以下の表で、税額控除の主なものを一部紹介します。
| 税額控除の主なもの | 条件 |
|---|---|
| 配当控除 | 総合課税の配当所得がある場合 |
| (特定増改築等)住宅借入金等特別控除 | 住宅ローンを組んで、住宅の新築または増改築した場合 |
| 住宅耐震改修特別控除 | 昭和56年5月31日以前に建築された居住用家屋で住宅耐震改修をした場合 |
| 寄附金特別控除 | 政党、認定NPO法人、公益社団法人に一定の寄付金を支払った場合 |
| 外国税額控除 | 所得の中に外国で生じた所得があり、外国での所得税相当の税が課税されている場合 |
実際の計算例
合計収入が600万円の場合の、所得税を実際に算出してみましょう。
- 1.給与所得金額【給与収入額ー 給与所得控除額ー非課税の手当】
- 【給与所得控除額】6,000,000円✕20%+440,000円=1,640,000円
- 【給与所得金額】6,000,000円ー1,640,000円=4,360,000円
- 2.課税所得金額【給与所得金額ー所得控除額】
- 【所得控除額】ここでは便宜上、基礎控除のみと仮定します。令和8年分は、合計所得金額が489万円以下のため、基礎控除は104万円です。
- 【課税所得金額】4,360,000円ー1,040,000円=3,320,000円
- 3.所得税額【課税所得金額✕税率ー控除額】
- 【税率】20%
- 【控除額】427,500円
- 【所得税額】3,320,000円✕20%ー427,500円=236,500円
※税額控除額はなしと仮定
- 4.復興特別所得税を加えた年税額【所得税額✕102.1%】
- 【年税額】236,500円✕102.1%=241,466.5円→100円未満を切り捨てて241,400円
年末調整では、この年税額と、毎月の給与から源泉徴収した税額の合計を比べ、差額を12月の給与で精算します。
復興特別所得税と防衛特別所得税の計算方法
復興特別所得税とは、東日本大震災からの復興に必要な財源を確保するため、平成25年1月1日から所得税とあわせて課される税金です。令和8年分までの計算式は、以下のとおりです。
所得税額✕2.1%=復興特別所得税
令和9年1月1日以後は、復興特別所得税の税率が1.1%に下がり、課税される期間が令和29年12月31日まで延長されます。あわせて、所得税額の1%の防衛特別所得税が新しく課されます。上乗せされる税率の合計は2.1%のままです。
給与計算における源泉徴収
企業は給与や賞与を支払う際、国税庁が定める「源泉徴収税額表」に基づいて源泉所得税をあらかじめ天引きし、従業員に代わって納付します。ここではその計算方法と年末調整の流れを解説します。
源泉徴収額の計算方法
源泉徴収額を求めるには、まず給与から社会保険料(健康保険・厚生年金・介護保険・雇用保険)などを差し引き、課税対象となる金額を算出します。そのうえで扶養人数を確認し、「源泉徴収税額表」を使って金額を割り出します。
税額表には月額・日額・賞与の3種類があり、給与の支給形態に応じて使用します。ボーナスについては「賞与に対する源泉徴収額の算出率の表」を参照します。
扶養控除等申告書を提出している人(甲欄)で、扶養親族などがいない場合を見てみましょう。令和8年分の税額表では、社会保険料などを差し引いた月の給与が105,000円未満なら、源泉徴収税額は0円です。令和9年分の税額表では、この金額が111,000円未満に引き上げられます。
一方、扶養控除等申告書を提出していない人(乙欄)は、2か所目の勤務先の給与などが対象です。乙欄では月の給与が少なくても、一定の税率で源泉徴収されます。
参考:令和8年分 源泉徴収税額表|国税庁
参考:賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(令和8年分)|国税庁
年末調整と所得税の関係
会社員の所得税は、多くの場合、会社が年末調整で1年分の税額を計算して精算します。ここでは、年末調整の仕組みと、会社と従業員がそれぞれ行う作業、確定申告が必要になるケースを紹介します。
年末調整で所得税を精算する仕組み
源泉徴収はあくまで概算であり、年間の所得税額と一致しないこともあります。その差を精算するのが年末調整です。過不足があれば12月の給与で還付または追加徴収され、最終的な所得税額が確定します。
国税庁の案内によると、令和8年分は、11月までの源泉徴収は改正前のまま行われ、12月の年末調整で改正後の控除額を使って精算します。基礎控除が上がるため、例年より還付が多くなる人もいます。従業員の扶養状況の確認や、申告書の提出漏れに注意しましょう。
会社が行う作業と従業員が行う作業
従業員は、扶養控除等申告書や保険料控除申告書などを会社に提出します。生命保険料や地震保険料の控除を受ける場合は、保険会社から届く控除証明書も添付します。
会社は、提出された申告書をもとに年税額を計算し、源泉徴収した税額との差額を精算します。そのうえで、源泉徴収票を従業員に交付します。国税庁の「年末調整のしかた」によると、令和8年分の源泉徴収票の交付期限は令和9年2月1日です。
年末調整後に確定申告が必要な人
会社員でも、確定申告が必要な場合があります。主な例は、給与の収入金額が2,000万円を超える人や、給与以外の所得が20万円を超える人です。給与が2,000万円を超える人は、年末調整の対象になりません。
また、医療費控除を受けたい人も、年末調整では対象外のため、自分で確定申告をする必要があります。ふるさと納税(寄附金控除)も確定申告で受けますが、ワンストップ特例制度を使えば申告は不要です。
参考:No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人|国税庁
参考:No.2665 年末調整の対象となる人|国税庁
確定申告・還付申告の時期
確定申告の期間は、原則として翌年の2月16日から3月15日までです。
一方、税金が戻ってくる還付申告は、翌年1月から提出できます。医療費控除などで還付を受ける人は、2月16日を待たずに申告できます。
参考:所得税のしくみ|国税庁
給与計算システムを使えば源泉徴収もスムーズに
企業は従業員の給与を支払う際、毎月の給与から源泉所得税を正しく天引きし、さらに年末調整で年間の税額を精算する必要があります。従業員数が増えるほど計算は複雑になり、手作業ではミスや工数の増加につながります。
令和8年分のように、年の途中で控除額が変わる年は、12月の年末調整で改正後の金額に置き換える作業も加わります。給与計算システムを使えば、こうした改正への対応も含めて年税額の計算を進めやすくなります。
多くの給与計算システムでは、源泉徴収税額表に基づいた毎月の天引き額や年末調整の計算を自動化できます。税率や控除額の改定に対応した製品を使えば、法改正のたびに計算方法を見直す負担を減らせるのが大きなメリットです。さらに、源泉徴収票や法定調書の作成まで対応できるシステムも多く、人事・総務担当者の大幅な負担軽減につながります。
「自社に合う製品がわからない」、「どんな観点で選べばいいかわからない」という方向けの診断ページもあります。
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給与計算システムの選び方や製品の比較は、以下の記事で詳しく解説しています。
所得税の計算方法や税制改正に関するよくある質問(FAQ)
ここでは、所得税の計算方法や令和8年度税制改正に関する質問をQ&A形式でわかりやすく解説します。
- Q:年収の壁(103万円・178万円)はどう見直されましたか?
- いわゆる「年収の壁」は、主に基礎控除+給与所得控除の合計額によって決まります。以前は「給与所得控除55万円+基礎控除48万円=103万円」が目安でした。令和8年分・令和9年分は「給与所得控除74万円+基礎控除104万円=178万円」となり、給与収入のみなら178万円まで所得税がかからない目安になりました。
- Q:税制上の壁と社会保険上の壁はどう違いますか?
- 税制上の壁は、所得税や配偶者控除など「税金」に関する基準です。一方、健康保険や厚生年金の加入や扶養の判定は、労働時間や勤務先の規模、年収の見込みなど、税金とは別の基準で決まります。2026年10月からは、短時間で働く人の加入要件のうち、月額8.8万円以上という賃金の要件がなくなりました。
- Q:源泉所得税と所得税の違いは何ですか?
- 所得税は1年間の所得に対して最終的に確定する税額です。一方、源泉所得税は給与や報酬を支払う際に概算で天引きされる“前払い”の税金であり、年末調整や確定申告で精算されます。
- Q:年末調整をすれば確定申告は不要ですか?
- 医療費控除・寄附金控除(ふるさと納税)・雑損控除などは年末調整の対象外のため、該当する場合は確定申告が必要です。ただし、ふるさと納税はワンストップ特例制度を使えば、確定申告をしなくても控除を受けられます。また、副業収入がある場合なども確定申告が必要になるケースがあります。
- Q:復興特別所得税とは何ですか?
- 復興特別所得税は、東日本大震災の復興財源確保のために創設された税金です。令和8年分までは、所得税額に2.1%を掛けた金額が加算されます。令和9年分以後は税率が1.1%に下がり、課税期間が令和29年(2047年)12月31日まで延長されます。
- Q:2027年から毎月の手取りは変わりますか?
- 令和9年(2027年)1月以後の給与は、令和8年度改正の控除の引上げを反映した新しい税額表で源泉徴収されます。そのため、源泉徴収される所得税が少なくなり、手取りが増える人が多くなります。防衛特別所得税が加わっても、上乗せの税率の合計は2.1%のままです。
まとめ
給与計算はミスが生じると延滞税や無申告加算税などのペナルティが課せられるため、所得税の計算方法や概要を正しく理解することが求められます。従業員によって、税率や控除内容も異なり複雑な計算を要するため、手動計算をするとミスの原因にもなり得るでしょう。
令和8年分は、12月の年末調整で改正後の控除額を使って精算し、令和9年1月からは新しい税額表に切り替わります。
給与計算システムは、毎月の給与を自動計算できるほか、年末調整や所得税の算出にも役立ちます。また所得税率や社会保険料率の変更など、法令改正に対応した製品を利用すれば、更新作業の負担を減らせます。業務の正確性、効率化のためにさっそく資料を取り寄せ、自社に合う製品の比較をしてみてはいかがでしょうか。


簡単な給与所得者の所得税額の計算については、確定申告書作成ソフトを使えば、最低限の項目を入力するだけで、自動的に納付すべき税額まで計算してくれますが、計算の構造を知ったうえで利用しなければ、控除すべき所得控除が引かれていない場合もあります。基本的な計算方法については、押さえておきましょう。