
カンバン方式とは
では、さっそくカンバン方式とはどのようなものか見ていきましょう。
トヨタ自動車で使われている生産方式
カンバン方式はトヨタ自動車発祥の生産管理方式です。
トヨタでは具体的な作業を書いた指示書のことを「カンバン」と呼び、「いつ、どこで、何が、どれだけ使われたか」が明記されていました。この「カンバン」を使った生産方式が「カンバン方式」であり、ジャストインタイム「JIT(Just In Time)」方式とも言われています。
「必要なものを、必要なときに、必要な分だけ」製造することで、効率良く生産するだけでなく、無駄な在庫を生まない方法として有効です。このカンバン方式は徹底的に無駄をなくす目的で考案され、トヨタの文化的手法として幅広く知られているでしょう。
製造する商品には「カンバン」と呼ばれる商品管理カードがあり、商品名・品番・保管場所など詳細の情報が書かれています。このカンバンの指示通りに生産することで無駄がなくなり、後工程もカンバンを確認することで詳細を把握できるという仕組みです。
一般企業ではプロジェクト管理方法として応用
カンバン方式は元々製造業で使われている手法ですが、プロジェクト管理の手段として幅広く活用されています。
プロジェクトをチームで進めていく場合、内容を細分化すると各メンバーごとのタスクに分かれます。結果としてチーム内の全てのタスクが完了すればプロジェクトも同時に完了するでしょう。
カンバン方式では、チーム全体で個人のタスクを共有し管理することが可能です。具体的には、まず1つのボードに「作業前」「作業中」「作業完了」という3つの仕切りを作ります。そして個人のカンバン(タスク)をその状態の位置に合わせてボードに貼っていきます。
このように、カンバン方式でプロジェクト管理を行うと、チーム全体の進捗状況を詳細まで一度に把握できるでしょう。現状のタスクを整理できるため、計画を立て直せる効果もあります。
カンバン方式のメリット
このカンバン方式を業務で活用すると、どのようなメリットがあるか説明していきます。
情報を統一化して管理しやすくなる
カンバン方式を採用すると情報を統一化して管理しやすくなります。重要な情報を入力するフォーマットを統一できるため、担当者によって情報の入力方法が異なる事態を避けられます。
フォーマットが分かれていると、統一するのに時間がかかったり、レポートをプリントするときにズレが生じるなど問題が発生するかもしれません。
しかし、カテゴリ分けした必要な情報だけを表示すればプロジェクトの進捗もスムーズに把握できます。
チームのコミュニケーションを取りやすくなる
カンバン方式の最大のメリットはプロジェクトチームのコミュニケーションが取りやすくなることです。他のメンバーの作業状況を把握できるため、進捗が遅れている原因や今後の予定などをシェアしやすくなります。
プロジェクトは1人の遅れが全体の遅れに繋がってしまいます。カンバン方式であれば、プロジェクトの全体像をコメントや画像・動画で共有することが可能です。これにより、チームプレーで期限内に完了させプロジェクトを成功に導くことができるでしょう。
カンバン方式のデメリット
カンバン方式にはデメリットもあるため注意しなければなりません。詳しく見ていきましょう。
1つのタスクの大きさ・重要性が把握できない
カンバン方式では全体のタスクの「量」や状況を管理できますが、タスクごとの「重要度」までは管理できません。そのため、仮に遅れているタスクがあったとしても、遅れが生じることの影響まではすぐに把握できず、問題が深刻化する可能性も否めません。
現場の負担が大きくなる
カンバン方式を採用すると、プロジェクトの進め方のルールはより厳しくなり自由度が失われます。メンバーによっては自分らしい仕事ができなくなるため、窮屈さを感じることもあるでしょう。
メンバー間でもコミュニケーションや密接な人間関係が要求されるため、人付き合いが苦手な方にとっては息苦しい現場になるかもしれません。
コストダウンを図りにくい
製造業のカンバン方式は大量生産に向いていないため、コストダウンを図りにくいです。必要なものを必要なときに生産するので中小企業では生産量や規模の生産性を活かしにくく、価格を下げることが困難です。
カンバン方式のデメリットをカバーしてくれる、自社にあったプロジェクト管理ツールをお探しの方はこちらから。
カンバン方式を上手く取り入れてプロジェクト管理を効率化!
徹底的に無駄を省ける「カンバン方式」。このカンバン方式を採用すると情報共有がしやすくなるため、プロジェクトの期限切れを防ぐことが可能です。しかし、タスクの重要性が把握しづらく負担が大きくなりやすいといったデメリットもあるため、導入前にはよく検討しましょう。
カンバン方式を上手く取り入れて、自社のプロジェクト管理を効率化していきましょう。
