発注管理とは
発注管理とは、製造業者が自社の製品を作るのに必要な材料を購入したり、小売業者が消費者に販売する商品を集めたりする「仕入れ」を管理する業務です。在庫管理の担当者に在庫状況を確認するところから始まり、注文書を作成し注文を完了するまでの一連の業務を管理します。
そのため各業務の担当者と綿密に連携を取りながら、作業を進めていかなければなりません。在庫の把握はもちろん、発注タイミングや発注先の見極め、スケジュール調整なども大切です。
発注管理のプロセス
発注管理は、購買依頼書の作成からはじまり、発注方式や発注先の決定、そして発注書の作成・送付へと進むのが一般的です。各プロセスにおいて、具体的にどのような業務が発生するのか解説します。発注管理の業務プロセスについて、順に確認しましょう。
1.購買依頼書を作成する
まず在庫管理の担当者は、在庫の現状とこれから必要になる材料や商品の種類・数を把握します。その後、発注を行うために購買依頼書を作成し、購買担当者へと受け渡します。
購買依頼書とは、発注に必要なことがらを記載した書類であり、商品の種類や数・発注の目的・希望納期・納入場所などが記載されています。
2.発注方式を決定する
発注内容が確定したら、発注方式を決めましょう。発注方式は主に以下の2種類に大別されます。
A.定期発注方式
「1週間に1度」「毎月第2月曜日」など、定期的に発注する方法です。発注のタイミングがあらかじめ決まっているため、材料が不足するたびに見積書を確認して発注先を考える手間が省けます。しかし、発注量に関しては必要に応じて毎月調整する必要があります。
B.定量発注方式
定量発注方式は、在庫が一定量を下回ったときに事前に決めた量の発注を行う方法です。ただし、発注量が固定化されるため、季節や年月の経過などで需要量が変化しやすいものには不向きです。
以下の記事では、在庫管理と発注方式について詳しく解説しています。
3.書類に基づき発注先を選定する
購買依頼書を受け取った購買部門は、書類にもとづいて発注先を選定します。規模が大きな企業であれば、過去の取引実績から仕入れ先を選定する場合が多いでしょう。
納期まで余裕がある場合は、候補となる複数の仕入れ先に対して見積もりを依頼する「相見積もり」を実施します。相見積もりにより、その時点で最も条件がよい発注先を選べるでしょう。
見積もりを受ける際には以下のような点を考慮するとよいでしょう。
発注先の規模によっては小ロットでの発注を受けつけていない場合や、逆に大量発注に対応できない場合もあります。事前に確認しましょう。
4.注文(発注)書を作成・送付する
仕入れ先の選定が終われば、正式に発注するための発注書・注文書を作成し、発注先に送付します。別途、メールや電話で発注書送付の連絡を入れておくとよいでしょう。最近では発注書をメールに添付する企業も増えており、取引先の企業の同意を得ていれば特に問題ありません。
発注先の企業は、発注書をもとに商品を用意するため、内容に不備がないように注意しましょう。発注書には発注日・商品名・単価・数量・納期を明記し、見積もりを取った場合は見積書のナンバーを記載します。
基本的に発注書と注文書に違いはありませんが、なかには明確に使い分ける企業もあるため注意してください。使い分けの方法については以下の記事で解説しています。
発注管理を効率化する方法
発注管理を効率的に行うために用いられる代表的なツールが、「エクセル」と「発注管理システム」です。
エクセルは低コストで導入でき、運用も容易である一方、発注管理表を一から作成し頻繁に更新しなければいけないデメリットもあります。複数人での作業には不向きである点や、処理スピードの問題も気をつけたほうがいいでしょう。
発注管理システムには、発注業務の効率化に役立つ機能が多数搭載されています。システム上で購買依頼書や注文書を簡単に作成でき、発注データもリアルタイムで確認できます。発注履歴の保存により再発注が容易になるほか、担当者間での引き継ぎなどの工数も削減できるでしょう。メリット・デメリットについては次項で詳しく解説します。
受発注業務の効率化に興味がある方には、以下の記事もおすすめです。
発注管理システムを利用するメリット・デメリットは?
発注管理システムを利用するメリットとデメリットを見てみましょう。
メリット1:作業効率が上がる
発注管理システムの導入・運用により、現在の在庫量を確認したうえで発注できるため、作業効率が上がります。また、在庫管理部門から購買担当者へと情報を共有する際に生じるタイムラグがなくなり、より正確な情報共有が可能です。
発注先を事前に登録しておけば仕入先の選定もしやすいでしょう。過去の発注履歴を確認すれば、どれくらいの費用が発生するかも見当がつきます。
また、発注する商品名を入力するだけで、不足分の在庫を自動算出し発注できる在庫管理システムもあります。発注業務を自動化できると、作業効率は飛躍的に向上するでしょう。
メリット2:発注ミスが少なくなる
システムによる発注のため、担当者の発注ミスを減少できます。手動で発注する場合、在庫量を正確に把握できていないこともあるでしょう。また、違う担当者が同じ商品を発注する可能性もあります。
発注管理システムを使用すれば、部署ごとではなく会社単位で在庫量を把握して発注が可能です。過去の発注履歴も確認しやすいため、誤発注を防ぎやすくなるでしょう。
デメリット:運用コストがかかる
発注管理システムを活用すると、当然ですが運用コストが発生します。コストは提供形態によって異なり、クラウド型のシステムの場合、毎月の利用料が発生します。発注数が少ない月は割高になる可能性も否めません。
オンプレミス型のシステムの場合は、毎月の利用料は発生しません。しかし、初期費用と社内で保守・運用を行うための人件費は必要です。システムを選定するときは、導入によって効率化される発注作業の費用対効果を比較することが重要です。
以下の記事ではスマホやアプリに対応できる受発注システムを徹底比較しています。発注業務だけでなく受注業務も効率化したい方は必見です。月額無料で利用できる製品も紹介しているので、ぜひ一読ください。
発注管理システムを導入して、プロセスの最適化を!
商品や資材を発注するときには、購買依頼書の作成・仕入れ先の選定・発注書の作成などのプロセスが必要です。
発注業務は作業量が多くミスも発生しやすいため、発注管理システムを導入するとよいでしょう。運用コストはかかりますが、作業効率が上がり発注ミスの削減にも効果的です。自社に適した受発注管理システムを導入して、業務効率化を図りましょう。