PDCAとは
PDCAとは一体どのようなものなのでしょうか。まずはPDCAについて詳しく解説します。
PDCAサイクル=業務の効率的な進め方
PDCAサイクルとは、Plan、Do、Check、Actionの頭文字をとったものであり、業務を継続的に改善し効率的に進めていく手法のことです。アクセス解析においてPDCAサイクルを適切に回すことができれば、サイトの課題を抽出し、解決に導くことができるでしょう。
問題が解決されればされるほどサイトのCVは増え、アクセス解析の成果が出やすくなるというわけです。
計画する「Plan」
PDCAの「Plan」は計画のことです。目標を立て、そこに至るための仮説とそれに基づく行動計画を立てるプロセスです。ここで大事なのは、まず目標を定量的な視点で定めることです。
定量的な目標とは、「10万円の費用をかけて前年比150%の売上を目指す」のような形です。逆に、定量的でない目標とは「10万円の費用をかけて売上アップを目指す」のようなものです。前者はゴールをしっかりと数値化できていますが、後者は基準が曖昧です。
そして、目標に対して効果がありそうな行動計画を立てます。たとえば、下記のようなイメージです。
- 1.リスティング広告でCVをどのくらい上げる!といった目標を立てる
- 2.ユーザーのニーズがどんなものか仮説を立てる
- 3.どんなリスティング広告を作るか行動計画を立てる
実行する「Do」
「Do」では、Planで立てた計画に基づいて施策を実行します。その際に大切なのは、「可能な限り記録を残す」ことです。
Webサイトでは実際の店舗とは異なり、アクセス解析ツールによってユーザーの行動までデータ化することができます。ブログを訪れる訪問者数、滞在時間や直帰率(※)などを記録でき、次の「Check」を行う際に役立つでしょう。
Doの実行例としては、下記のようなものが挙げられます。
- 1.Planで計画した通り、リスティング広告を出した
- 2.リスティング広告からの訪問者動向を定期的に記録
※直帰率:訪問したユーザーが1ページのみ閲覧して離脱することを「直帰」と呼ぶ。直帰率は、全セッション数に対する直帰したセッション数の割合のこと。
評価する「Check」
「Check」はDoで実行した施策に対して評価を行うプロセスです。評価を行わなければ、問題が改善されたかどうかが分かりません。
Checkの具体例としては、下記のようなものが挙げられます。
- 1.記録した訪問者動向とコンバージョン率を確認
- 2.広告にかけた費用と成果が見合ったかどうか検証
改善する「Action」
最後のプロセスとなる「Action」では、PDCを振り返って「どのような改善点があるか」を模索します。実行した施策が失敗した場合は、その改善点を考えます。また、成功した場合でも「より良い方法はなかったか」について頭を巡らせることになるでしょう。
具体例には、下記のようなものが挙げられます。
- ■広告にかけた費用と効果が見合わなかった場合
-
- 1.アクセス解析を参考に、原因を探る
- 2.流入数は低くなかったが、直帰率が高かった
- 3.ユーザーニーズを見誤っている可能性がある
- 4.ニーズを洗い出し、リスティング広告の内容や、サイトのテーマ・デザインを見直す
- ■広告効果は目標値を上回っていた場合
-
- 1.アクセス解析を参考に、より良い方法はないかを探る
- 2.コンバージョンに至らないページのPV数が高かったので、このページのコンバージョンを増やした方が良い
- 3.コンバージョン率改善のための施策をPlanに戻って考える
PDCAを上手く回すコツ
どのような点に気をつければ、PDCAを効率よく回転させることができるのでしょうか。
Planでは仮説を立てる
Planは仮説を立てる段階です。その仮説に基づいて以降のプロセスを進めるため、なるべく根拠のある仮説を立てておきましょう。
とはいえ、仮説が本当に正しいのかどうかは実行してみるまで分からないため、特定の仮説に入れ込みすぎないことも大事です。
Webマーケティングに大切なのは、柔軟な視点です。特定の要素を重視しすぎると、柔軟性が欠けてしまうことも多いため、気をつけましょう。
Planでは現実的な計画を立てる
Planでは現実的な計画を立てましょう。現在月間10,000PVなのに「1ヶ月内に1,000,000PVを目指す」というのは難しい話です。
絶対に不可能というわけではありませんが、実現が難しい目標はモチベーションを損なう原因になるでしょう。Webマーケティングは長期戦なので、モチベーション管理が必要です。
Doでは記録を定期的に行う
Doでは、定期的に記録を行いましょう。記録がないと、次段階のCheckで検証すべき項目が欠けてしまいます。
記録に関しては、Google Analyticsというアクセス解析ツールを導入していれば問題ありません。アクセス解析に必要な数字を記録してくれるうえ、無料で使うことができます。
Do・Checkは定量的に行う
DoおよびCheckは定量的に行いましょう。「前月よりPV数が増えた」ではなく、「前月比150%のPVを記録した」のように記録し、検証に活用しましょう。
こちらも、前述したGoogle Analyticsを用いることで解決可能です。
ActoinはCVRへの貢献度が高い順に行う
ActionはCVR(※)への貢献度が高そうな順に行いましょう。一度のPDCAサイクルを回し終わった後、複数の結果および仮説が得られることがあります。その場合、CVRを基準におき、貢献度が高そうな仮説から試すのがよいでしょう。
その結果「思ったより効果が得られなかった」ということもあるかもしれません。それはそれで一つのPDCAによる結果になるため、今後に活かすこともできます。
※CVR:コンバージョンレートの略。サイトの訪問者数に対してどの程度コンバージョンが行われたかという指標
「PDCAが回らない」ありがちな失敗例
PDCAが上手く回らない場合、どこに問題があるのでしょうか。ここでは、初心者がPDCAを回す際にありがちな失敗例をご紹介します。こういったケースを避け、効果的なPDCAを目指しましょう。
計画だけで終わってしまう
PDCAは繰り返し行うことで、より大きな成果を発揮する手法です。しかし、中には計画段階で終わってしまうケースもあります。
たとえば、「実行不可能な計画を立ててしまった」パターンが挙げられるでしょう。計画は実行されてこそ意味を持つため、それが難しい場合はそもそもの計画に問題があります。
実現可能な範囲で、効果の高そうな計画を立てることが大切です。なるべくハードルを上げすぎないよう注意しましょう。
評価と改善の段階が抜けている
PDCAは全てのプロセスをしっかり行うことによって効果を発揮します。どれかが抜けている場合、思ったとおりの成果を得るのが難しくなるでしょう。にもかかわらず、CとAが抜け、PとDを繰り返してしまっているケースがあります。
多いのが、検証を定量的にではなく感覚で行ってしまうパターンです。うまくいかなかった原因を「多分あれだろう」程度に推測し、Planに戻ってしまう。これでは何度やっても「まぐれ当たり」以外にうまくいくことはありません。
検証はあくまでも定量的に行うことが大切です。定量的に行うからこそ、根拠が生まれ、新しい仮説を導く材料になります。PDCAを回す際には、PDだけでなくCとAまでをしっかりと行いましょう。
PDCAサイクルを急ぎすぎる
PDCAを回すこと自体が目的になってしまう失敗例もよく見受けられます。PDCAを回すのは、より良いWebサイトを作るためです。良いWebサイトの定義は人によって異なりますが、おおよそ「ユーザーのためになり、結果的にCVRの高いサイト」ではないでしょうか。
そのようなサイトを作るには、どうしても時間がかかり、気が焦ることもあるかもしれません。しかし、十分なデータが溜まっていないまま、次のプロセスに入ってしまうようでは、狙った結果を出すのが難しくなります。
Webマーケティングのコツの一つは、焦らず長期的な目線で行うことです。
まとめ:PDCAを理解して上手にアクセス解析しましょう!
PDCAの効率的な回し方についてご紹介させて頂きました。PDCAを回す際には各プロセスの役割と意味を把握し、手を抜かずしっかりと行うことが大切です。
また、ありがちな失敗例を避けられれば、効率的な運用に一歩近づくことができます。PDCAについて理解を深め、正しいアクセス解析を基にWebサイトの改善を行いましょう。