アクセス解析とは
アクセス解析とは、Webサイトを訪問するユーザーの数や訪問頻度、サイト内での動きなどを分析することです。
Webサイトは、単にインターネット上に公開するだけでは売上につながりません。ユーザーが何を求めているのか、どうすればユーザーの目に触れるのかなどを考え、それに向けて改善しなくてはいけません。そのために必要なのがアクセス解析です。ユーザーの数や動きを分析し、サイトをどのように改善すれば良いのかを考えます。
具体的には、以下のような情報を取得・分析します。
- ■ユーザー数・頻度
- ■ユーザー属性(性別、年齢、地域など)
- ■ユーザーのサイト内での行動
- ■ユーザーがサイトに至るまでの道筋
- ■サイトにアクセスしたデバイス
- ■よく閲覧されているページ
- ■ページ内でユーザーが注視している箇所
- ■ユーザーがよく離脱しているページ
アクセス解析・改善を行えるツール
アクセス解析には、一般的にグーグルアナリティクスが用いられます。無料で利用できるため導入コストが低いのが魅力です。しかし、扱いがやや複雑で、慣れるまでが大変というデメリットもあります。
一方、有料ではあるものの、使いやすいアクセス解析ツールが多くのベンダーから提供されています。解析機能も製品によってさまざまです。たとえば、ユーザーの人数やサイト内での行動のほか、ユーザーが集中して見る箇所を示すヒートマップや、IPアドレスから顧客の属性を把握するシステムなどがあります。
アクセス解析を行って改善するまでのステップ
次は、アクセス解析でWebサイトを改善する流れを見ていきましょう。
1.コンバージョンまでの導線を把握する
コンバージョン(CV)とは、Webサイトが目指す最終的な成果のことです。商品購入のほか、資料請求や会員登録が該当します。
Webサイトを構築する際は、サイト内のさまざまな要素がコンバージョンを目指して配置されなければなりません。したがって、まずはどのようなルートでコンバージョンへつなげたいのか考えましょう。
たとえば、資料請求を目的とするのであれば、各ページはユーザーが資料請求したくなるように作られなければなりません。そして、各ページには必ず資料請求ページへのリンクが貼ってある必要があります。ユーザー目線で導線をたどり、分かりにくい部分がないか確認しましょう。
2.データの精度を確認する
アクセス解析ツールを導入したからと言って、必ずしも正確にデータが取得されているとは限りません。使い方などを間違っていて、正しく取得できていないケースもあります。
たとえば、基本的にアクセス解析は専用のタグをWebサイトに埋め込むことで行いますが、埋め込む位置や数を間違えると正確に解析できません。実際にアクセス数と比べてアクセス解析上のデータが不当に多く・少なくなっていないか確認しましょう。
ただし、アクセス解析上のデータが100%正しくなることは稀です。なぜなら、PV数などを始め、アクセス解析で用いられる各指標には業界で統一されたルールがなく、システムごとに多少の差異があるからです。データの精度を確認することは大切ですが、神経質になりすぎないように気をつけましょう。
3.サイト全体のPV数やCV数などを確認する
データの精度に問題がないことを把握したら、早速解析データを見ていきましょう。しかし、ここで気をつけなければならないのは、細かいデータに気を取られないことです。アクセス解析では非常に詳細なデータも分かりますが、最初の段階ではあまり役立てられません。むしろ、サイト全体のデータを確認し、全体像の把握に努めましょう。
具体的には、以下の指標を一定期間確認します。これで、どのような状態が現在のサイトにとって「普通の状態」なのかを把握できます。
- ■PV
- ■CV
- ■訪問回数
- ■ユーザー数
- ■新規率
- ■直帰率
- ■平均閲覧ページ数
- ■平均滞在時間
4.よく閲覧されているページを調べる
どれほど大規模なサイトでも、よく閲覧されるページは限られています。閲覧者の多いページは、少ない負担でCVの大きな改善が見込める貴重な存在です。
したがって、次はよく閲覧されているページがどれかを調べましょう。そのページからCVにつなげられるように改善することで成果の向上が期待できます。
5.ユーザーの特性について調べる
次は、サイトを訪問しているユーザーがどのような特性を持っているのかを明らかにします。ここで確認したいのが、利用デバイスと流入経路です。
利用デバイスとは、パソコンやスマートフォン、タブレットなどのことです。ユーザー層によって、利用されやすいデバイスは異なります。
また、流入経路とは、ブラウザ検索やSNS、スマートフォンアプリ、広告など、サイトへ訪問するきっかけとなっている経路のことです。こちらも主なユーザー層によって変わってきます。これらの特性を把握できれば、サイトを最適化する参考になるでしょう。
6.KPIとKGIを設定する
KGIとは「最重要指標」のことで、サイトの目的をどれほど達成できているかを示す指標のことです。たとえば、ECサイトであればKGIは売上金額になります。適切なKGIを設定することで、サイトがどれほど目標に近づけているのかを常に把握しましょう。
しかし、KGIを設定しただけでは、KGIが低いときにどう改善すれば良いのか分かりません。そこで設定するのがKPIです。これは「KGI達成のための重要指標」のことで、KGIをブレイクダウンしたものになります。
たとえば、KGIが売上金額なら、KPIは「ブラウザからの流入数」や「サイト滞在時間」などが該当します。これらのKPIを高めれば、KGIも自然に向上するという関係性です。具体的な数値データをKPI・KGIに設定することで、目標と現状の間にあるギャップを客観視できるようになり、堅実な改善活動が実現します。
アクセス解析を行って改善するためのポイント・コツ
続いて、アクセス解析のコツを2つ紹介します。
優先順位の高いページから対策する
サイトの中には重要度の高いページとそうでないものがあります。訪問者の多いページやCVページ、トップページなどは重要度が高いといえるでしょう。アクセス解析やサイト改善の施策の際には、そのような重要度の高いページを優先することが大切です。
すべてのページで最適な施策をするに越したことはありませんが、注げる時間や労力には限りがあります。そのため、ページの優先順位を意識して作業しましょう。
PDCAを継続的に回す
サイトの改善は一度施策を講じれば終わりではなく、継続的にPDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルを回す必要があります。施策がうまくいっても、まだ改善の余地があるかもしれません。
施策を実行した後は再びアクセス解析でその成果を確認し、次につなげましょう。それを怠ってしまうと、ライバルとなるサイトにユーザーが流れてしまうおそれがあります。
また、サイト訪問者の属性や世間のトレンドは常に移り変わっています。そのため、その都度最適なサイトを目指さなければなりません。一度うまくいったからといって安心せず、アクセス解析のデータをもとに試行錯誤を繰り返すことが大切です。
アクセス解析を正しく行い、自社のページを改善しよう!
アクセス解析とは、サイト改善のために訪問者数などを解析することです。アクセス解析ツール導入後の流れは以下のとおりです。
- 1.CVまでの導線把握
- 2.データの精度確認
- 3.PVやCVによる全体像の把握
- 4.よく閲覧されているページの把握
- 5.ユーザー特性の把握
- 6.KPI・KGIの設定
KPIやKGIを設定した後は、ユーザー特性を踏まえ、よく閲覧されているページに繰り返し改善を施してCVを高めましょう。