経理部の業務内容
経理部は、会社の資金管理をする部署です。企業活動で発生した資金情報を帳簿に記録する役割をもちます。具体的には、現金・預金管理や給与・保険計算、資産管理や決算書作成などがあげられます。
経理部の日次業務
経理部の主な日次業務は以下のとおりです。
- ・現金・預金の管理
- ・伝票の起票・整理
- ・従業員の立替経費精算
- ・受注・出荷・売上の計上
- ・取引先登録・与信業務
事業規模によっては毎日発生するわけではない業務も含まれます。業種によってはお金の管理とあわせて、商品や資材の在庫管理を行う企業もあります。
会社の規模が大きくなるにつれ、システムを前提とした経理業務が必要です。主に販売管理システムによって発注、入荷・出荷、売上情報をまとめて会計伝票を作成する会社が増えているようです。
経理の月次業務
毎月の主な経理業務は以下のとおりです。1か月の流れを見ていきましょう。
- 【上旬】
- ・取引先からの入金管理
- ・月次決算
- ・在庫の確認・棚卸
- 【中旬】
- 【下旬】
- ・給与計算・支給
- ・請求書発行
- ・取引先への支払い
- ・社会保険料の納付
月次の業務では、取引先への請求・回収業務および給与の計算・支払い、取引先への支払いが重要です。給与の計算は人事や総務部が担当することもありますが、送金処理は経理業務として担当するのが一般的です。
また経営の現状を把握するために重要となる「月次決算」も経理にとって欠かせない業務といえます。
経理の年次業務
年次で行う業務は、経理にとって重要なタスクばかりです。3月決算を想定して、年間スケジュールを紹介します。
- 【4月】
- 【5月】
- 【6月】
- 【7月】
- ・賞与計算、支払業務
- ・労働保険の年度更新
- ・社会保険料の算定基礎届提出
- 【11月】
- 【12月】
- 【1月】
- ・賞与計算、支払業務
- ・給与支払報告書の提出
- ・償却資産申告書の提出
- ・法定調書の提出
- 【3月】
経理業務のなかでも「決算業務」は比重が重く、準備にも時間を要するでしょう。さらに年次決算後には税務申告や有価証券報告書作成などの重要な業務が続きます。
そのほか株主総会の準備や社会保険や労働保険の事務手続き、源泉徴収税の管理・支払いも経理が担当する重要業務です。
財務部との違い
「経理」とよく似ている会社の部門に「財務」があります。一部の会社では経理と財務を同じ部門で扱っている場合があるかもしれません。しかし機能は似ているようで異なります。
経理が企業内で動いた資金の情報をまとめて記録していくのに対し、財務は会社の予算を策定したり、事業計画を推進するための資金調達の方法を検討したりする部署です。経理が「すでに動いた」資金を扱うのに対し、財務は「これから動く」資金を扱います。
会社規模・業種による経理業務の違い
ひと口に経理といっても、会社の規模や業種によって経理担当者の仕事内容は異なります。具体的な違いを以下に示しました。
会社規模による経理業務の違い
- ■中小企業
- 経理専門の部署がなく、総務・人事・経理といった管理部門を一部署や担当者ひとりで対応することもあります。幅広い知識と柔軟性が求められるでしょう。
- ■上場企業・大企業
- 仕事量が多く、業務範囲も広いため経理専門の部署が置かれます。一人ひとりが特定の範囲のみ行う分業タイプの業務です。より専門性が求められるでしょう。
- ■外資系企業
- 親会社が海外にあることから会計基準が異なります。そのため本国の会計基準に沿った決算報告と、国内における納税申告用の決算業務の2つに対応しなければなりません。
- ■グループ会社
- 親会社に提出する決算書を別に作成することがあるようです。親会社が上場企業の場合は、独自に求める会計基準に則した決算を行う必要があります。
業種による経理業務の違い
- ■不動産業
- 不動産業界には独特の経理処理があります。例えば土地売買や貸し付けによる収入は課税売上と非課税売上が混在するケースも見られます。そのため、経理の仕分けや判断が複雑になる業種といえるでしょう。
- ■製造業
- 自社で製品を製造し販売することから、製造にかかわる原価管理を行う必要があります。決算書類の一つとして「製造原価報告書」を作成し、原価計算の計算過程を報告する業務が発生します。
- ■小売業
- 「モノを仕入れて売る」という簿記の基本となる流れが強くあらわれる業種です。日々の売上管理とあわせて仕入れも毎日発生することから、買掛金も頻繁に発生します。ほかの業種に比べ支払い業務が煩雑になる傾向がみられます。
- ■金融業
- 「お金=商品」になるのが金融業の大きな特徴です。ほかの業種と比べて管理項目が細かく、非常に厳しい監査が入る傾向にあります。
経理が扱う書類の種類
経理業務は日々の取引を集計し、記録することです。この取引を記録するのに使用する書類が、「伝票」と「帳簿」です。
日々のさまざまな取引は、各部署の担当者や経理担当者によって「伝票」に記録されます。「伝票」は主に入出金記録の管理に用いられる書類です。「帳簿」とは伝票を集めてまとめたもので、会社における取引や会計に関する記録書類の総称をさします。
伝票・帳簿の種類
経理で扱う伝票には以下の種類に分類されます。
- ・入金伝票:現金の入金があった場合に起票する伝票
- ・出金伝票:現金の出金があった場合に起票する伝票
- ・仕入伝票:仕入れ取引を記入する伝票
- ・売上伝票:商品の売上取引を記入する伝票
- ・振替伝票:手形など現金以外の取引があった場合に起票する伝票
また、帳簿には以下のような「主要簿」と「補助簿」があります。
- ■主要簿
- ■補助簿
- ・小口現金出納帳
- ・預金出納帳
- ・売掛金元帳
- ・買掛金元帳
- ・受取手形記入帳
- ・商品有高帳
- ・固定資産台帳
- ・支払手形記入帳
書類の保存期間
税務関係の書類は、その事業年度の確定申告書を提出する期限日翌日から7年間保存しなければなりません。(※例外あり)
これらに係る関連書類には、総勘定元帳・仕訳帳・現金出納帳などの帳簿や、棚卸表・貸借対照表・損益計算書・契約書・領収書などの書類があげられます。
参考:帳簿書類等の保存期間|国税庁
経理部の業務を知って効率化を図ろう
経理とは、会社に直接利益をもたらさない「間接部門」だとみなされることが多いかもしれません。最近では、日次・月次・年次でやらなくてはいけない作業が決まっている経理のような業務は、「定型業務」として、非正規社員への置き換えなどが進んでいます。
昨今では、経理業務の効率化を図る「経理アウトソーシング」を取り入れる企業も増えてきています。経理部の業務を把握し、一部の定型業務から自動化・効率化を図ってみてはいかがでしょうか。