請求書とは
請求書とは、サービスや商品の代金を請求するための書類で、納品書とは別に後日発行したり、納品書兼請求書として納品時に発行されたりします。法律によって発行と保管が義務付けられており、税務調査時には提示が求められることもある重要な書類です。
取引先にサービスや商品を納品しても、請求書を送付しなければ代金は支払われません。また、取引先が代金の支払いを行わない場合、自社との間に取引があったことを証明する書類となります。
請求書に記載する項目は以下のとおりです。
- 請求先名
- 請求書の発行日
- 請求書番号
- 商品やサービスの内容や数量、納品日
- 請求単価、消費税、合計請求額(税込み)
- 代金の支払期限
- 代金の振込先
- 請求者の会社名、住所、電話番号
企業によって請求書の発行者は異なる
請求書の発行は「営業部」か「経理部」のどちらかで行われ、企業によって異なります。
営業部や営業事務が請求書を発行する場合、取引先の担当者と面識があるケースが多く、代金の回収がスムーズに行えることが多いです。
一方、経理部が請求書を発行する場合は、経理担当者が請求の締め日に請求内容と金額を確定し請求書を発行します。その後、郵送などの事務処理を行います。経理部が請求書の発行を担当することは、営業担当による不正が起こりにくい環境を構築しやすいでしょう。
請求書の発行をする日・タイミング
請求書の発行日・タイミングは先方と相談して決めます。具体的にいつ頃発行するのか解説します。
先方の締め日に発行するのが原則
請求書の発行は、先方の締め日に合わせます。発行日が空欄の場合は、税務調査時にカラ取引と疑われる原因となるので注意が必要です。
発行日は決算に関わるため重要です。発行日が決算の境目にあたる場合、請求書を今期にするか来期にするかで、未払金として計上するか否かに分かれ、利益に影響を与えます。請求内容は今期であるのに、発行日が来期の場合だと「期ズレ」と呼ばれる修正の対象です。そのため、請求書の発行日は注意しましょう。
納品時または納品後に発行
一般的に請求書は商品やサービスの納品時、または納品後に発行します。しかし、契約締結後や商品の納品前に発行する場合もあり、取引先によってさまざまです。
請求方法は以下の2種類があります。
- ・都度方式
- 取引の発生ごとに請求します。会社の資金繰りが良くなるメリットも。
- ・掛売方式
- 定常的な取引がある場合、請求を一括で行う方法。締日・発行日を決め、毎月同じタイミングで請求しましょう。
請求書の管理方法
請求書は請求先や支払い状況がさまざまです。その効率的な管理方法を解説します。
未払いと支払い済みを分けて保管
全ての請求書をまとめて保管すると、どれが未払いで、支払い済みであるのかわかりにくくなります。そこで、適切な請求書管理を行うため、未払い・支払い済み請求書を分けて保管します。
請求書を受け取った時、請求金額と内容の一致を確認。さらに、支払日ごとに保管すると支払い漏れを防げ、管理がしやすくなります。
支払い済み請求書に関しては、支払った旨がわかるよう日付などを記入することで、二重払いを防げます。
取引先別・請求月別に分けて保管
支払いに関する照会にスムーズに応えるため、支払済み請求書はきちんと管理しましょう。
請求書の整理方法は「取引先別」と「請求月別」の2つ。それぞれの方法の特徴は以下のとおりです。
- 【取引先別】
-
- 取引先ごとの数字が把握しやすい
- 月全体の数字が把握しにくい
- 取引先が多いとファイルが多くなり、管理しにくい
- 【請求月別】
-
- ファイリングしやすい
- 月全体の数字が把握しやすい
- 特定の会社を探しにくい
法人の場合は7年間保管
請求書の保存期間は法律で定められ、法人の場合だと7年間です。
保存期間の起算日は、事業年度の確定申告の提出期限の翌日からです。
しかし平成20年4月1日以降、事業年度の欠損金の繰越期間は9年間とされました。そのため、欠損金が生じた事業年度の帳簿書類の保存期間は9年間です。
また平成30年4月1日以降に開始する欠損金が生じる事業年度では、保存期間は10年間となります。起算日を間違えないよう、注意しましょう。
請求書発行の手間を減らすには
請求書発行にもさまざまな工数がかかり、発行フローを構築する必要があります。その手間を減らすにはどのような方法が良いのでしょうか。
経理アウトソーシング
請求に関わる業務をアウトソーシングすることで、外部にできます。これまでかかっていた請求書発行の手間がなくなるだけでなく、法改正などにもスムーズに対応できるメリットがあります。
以下のページでは、経理アウトソーシングについて詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
電子文書での保管
請求書を電子文書として保管する方法もあります。税制上、請求書は原本での保存が原則です。
しかし「電子帳簿保存法」により、電子データで作成した請求書または紙文書をスキャナーでデータ化した請求書でも保存が可能になりました。
ただしスキャナによる電子文書の保存は、税務署への事前申請が必要で細かなスキャナ保存要件などをクリアしなければなりません。
請求書の電子化は、紙だけでなく、印刷や郵送が不要となるためコスト削減につながります。またデータを送受信するため、照合作業の自動化やシステムへの転記作業が不要です。
作業の効率化や最適化を図るためにも、文書の電子化を検討してみてはいかがでしょうか。
請求書の発行・管理方法を理解し、経理業務を正しく行おう
請求書は商品やサービスの代金の回収を目的とし、経理部や営業部が発行・請求を担当します。また、請求書の発行日は取引先の締め日に合わせ、納品時や納品後に発行。
保管は未払い・支払い済みに分け、支払い後は取引先別か請求月別に請求書を管理しましょう。
さらに請求書は7年間の保存が義務付けられ、電子文書での保管は申請や一定条件のクリアが必要。
以上の点を踏まえ、自社に合った方法で請求書管理を行いましょう。